スーパーフレックス制度とは? メリット、労働時間、導入のポイント

スーパーフレックス制度とは、労働者が出退勤時間を自由に設定できる制度です。ここでは、スーパーフレックス制度について解説します。

1.スーパーフレックス制度とは?

スーパーフレックス制度とは、従来あるフレックス制度をベースに、より高い自由度のある働き方を実現しようとする働き方のこと。要件は、下記のとおりです。

  • 企業が定めている月間総労働時間を満たす
  • その範囲内で出退勤時間が自由に設定できる

働く場所や時間にとらわれずフレキシブルなワークスタイルを実現できるため、欧米だけでなく日本企業でも導入する企業が増えています。

フレックス制度との違い

スーパーフレックス制度とフレックス制度の違いは、コアタイムの有無にあります。

  • フレックス制度:コアタイムを設けている
  • スーパーフレックス制度:コアタイムの設定がなく、自分の好きな時間に出退勤できる

裁量労働制との違い

  • スーパーフレックス制度:実労働時間でカウントし、一定の要件を満たせば導入できる
  • 裁量労働制:実労働時間に関係なく一定時間を働いたとみなし、導入できる職種や仕事内容に制限がある

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2.スーパーフレックス制度が誕生した背景

スーパーフレックス制度が誕生した背景には、近年の働き方改革があります。労働者を積極的に活用しようという取り組みが政府主導で行われました。

「育児や介護で働く時間に制約がある」「病気やケガで出勤できない」など問題を抱えながらも就労意欲のある人材を積極的に活用して、長時間労働や正規・非正規雇用の格差などの問題を解決するため、誕生したのです。

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3.スーパーフレックス制度のメリット

スーパーフレックス制度のメリットは5つあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 多様な働き方の実現
  2. 長時間労働の防止
  3. 生産性の向上
  4. 優秀な人材の確保
  5. 離職率の低下

①多様な働き方の実現

労働者には、家庭環境や生活様式など、さまざまな背景があります。育児や介護、闘病などの問題を抱えた労働者には、事情と仕事との両立には困難が伴うもの。スーパーフレックス制度を導入すれば勤務時間が固定されないため、柔軟な働き方が実現できます。

②長時間労働の防止

コアタイムといった固定時間が決まっている場合、時間以外にスケジュールがあっても、コアタイムも含めて対応しなければなりません。スーパーフレックス制度では、スケジュールにあわせて出退勤時間を自由に調整できるため、長時間労働を防止できます。

③生産性の向上

スーパーフレックス制度では、自分の働く時間を自由に設定できます。よってモチベーションの高さやパフォーマンスの良さが期待できます。企業全体としての生産性向上も期待できるでしょう。

④優秀な人材の確保

スーパーフレックス制度を導入すれば、労働者は柔軟な働き方ができます。このような労働環境は、労働者にとって魅力があるでしょう。労働者が働きやすい職場を創造できれば応募者も増え、優秀な人材を採用しやすくなります。

⑤離職率の低下

スーパーフレックス制度の導入によって労働者が働きやすい環境を整えられれば、モチベーションやエンゲージメントなどの向上につながります。よって離職率も低下するでしょう。

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4.スーパーフレックス制度のデメリット

スーパーフレックス制度にはデメリットもあります。

  1. 勤怠管理が大変
  2. コミュニケーションの低下
  3. 取引先とのやりとりに関する弊害
  4. 有給消化率の低下

①勤怠管理が大変

スーパーフレックス制度は、労働者が出退勤の時間を自由に決められる制度です。よって労働者個々の出退勤時間を細かく把握しなければなりません。時間外労働も含め勤怠管理が大変な点はデメリットでしょう。

②コミュニケーションの低下

スーパーフレックス制度では、労働者が自分の働く時間を決めます。よって全員が顔を合わせながら同じ場所、時間を共有する機会が減るのです。対面でのコミュニケーションが低下し、業務に支障が出る可能性もあります。

③取引先とのやりとりに関する弊害

スーパーフレックス制度では、取引先から問い合わせがあったとき、担当者が出勤しているとは限りません。顧客対応が遅くなれば、信頼がなくなったり顧客満足度が低下したりする可能性も高いでしょう。

④有給消化率の低下

スーパーフレックス制度では、労働者個々が自分の労働時間を管理できます。従来、半休や有給を取得していた部分をスーパーフレックス制度で対応するため、有給休暇の消化率・取得率の低下が懸念されるのです。

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5.スーパーフレックス制度の総労働時間

スーパーフレックス制度の総労働時間は、労働基準法で定められている一般の働き方と同様です。「1日に8時間・1週間に40時間」といった法定労働時間の範囲内で設定しなければなりません。

逆に言えば法定労働時間の範囲で総労働時間を設定すれば、下記のような就労が可能になります。

  • 今日は2時間勤務し、翌日には12時間勤務する
  • 今日は休みとし、休んだ分を翌日以降補填する

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6.スーパーフレックス制度の残業代

スーパーフレックス制度においても、残業代は正しく計算しなければなりません。スーパーフレックス制度では、清算期間全体を見て、期間の実労働時間が法定労働時間の総枠を超過した場合、その超過した分の期間外労働が発生します。

ただしスーパーフレックス制度でも、時間外労働をさせる場合はあらかじめ36協定の締結が必要です。また総労働時間に対して実労働時間が不足した場合、不⾜時間分を賃金から差し引いて賃金を計算します。

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7.スーパーフレックス制度を導入する際のポイント

スーパーフレックス制度を導入する際のポイントがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 制度導入に関する目的を浸透させる
  2. 就業規則に記載して労使協定を締結する
  3. 顧客との連絡に注意する
  4. 勤怠管理の仕組みを変更する
  5. 労働者同士のコミュニケーション手段を考える

①制度導入に関する目的を浸透させる

スーパーフレックス制度は、労働者自ら出退勤の時間を決めて就労する労働者主体の働き方です。制度を適正に運用できるよう、導入の目的を労働者に対してしっかりと説明し、制度への理解を深めなければなりません。

②就業規則に記載して労使協定を締結する

就業規則を見直し、「労働者が出退社時間を自由に決められる」「月ごとの最低勤務時間」などのルールを記載します。ただし就業規則を変更するときは、雇用者・労働者の間で労使協定を締結しなければなりません。

③顧客との連絡に注意する

スーパーフレックス制度の利用で担当者不在の間、顧客対応については事前に、代替要員や緊急連絡の方法などを決めておきます。顧客からの急な連絡に迅速に対応できる体制をあらかじめ構築しておくのです。

④勤怠管理の仕組みを変更する

スーパーフレックス制度では、労働者の勤怠管理が煩雑になります。「出退勤時間の変動制に対応できる勤怠管理システムの導入」「タイムカードの打刻に関するルール」など、システムやルールの再設計が必要です。

⑤労働者同士のコミュニケーション手段を考える

スーパーフレックス制度では、組織の全メンバーが顔を合わせる機会が少なくなります。進捗確認や連絡事項の伝達については、チャットやオンライン会議を活用して定期的に行いましょう。

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8.スーパーフレックス制度の導入事例

スーパーフレックス制度の導入事例があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 住友商事
  2. 花王
  3. ソフトバンク
  4. 富士ソフト

①住友商事

住友商事は、「時間や場所、スタイルにとらわれない柔軟な働き方」「個々の社員による高い付加価値と最大限のパフォーマンス」の実現を目的として、2018年11月からスーパーフレックス制度を導入しています。

ほかにも、「有給休暇の取得促進」「テレワーク体制の構築」「RPAやITツールの活用」といった支援を行っています。

②花王

花王は従来あった10~15時のコアタイムを設けたフレックス制を改め、スーパーフレックス制度を導入しました。「コアタイムがあるため業務が滞る」「海外とのやり取りに支障をきたす」など、コアタイムに問題を抱えていたからです。

スーパーフレックス制度導入後は、業務に勤務時間を合わせながら効率よく仕事が進められています。

③ソフトバンク

ソフトバンクでは、社員1万人を対象として「Smart & Fun!」といったスローガンのもと、スーパーフレックス制度を導入しました。導入にあたっては、IT技術を活用した作業効率化を進めるといった、体制の強化にも努めたのです。

④富士ソフト

富士ソフトは、スーパーフレックスタイム制度とほかの制度をあわせて導入し、より多様な働き方の実現を目指しています。それは「ウルトラフレックス制度」と名づけられました。

テレワークやサテライトオフィス勤務、30分単位の有給休暇取得制度といった制度の利点を生かした運用で、社員の働き方をサポートしています。