SDGs経営とは?【わかりやすく】メリット、中小企業、事例

SDGs経営とは、SDGsの達成を目指して経営に取り組むことです。近年、SDGsへの注目度が高まるなか、企業がSDGs経営に取り組むことも重要視されています。

今回はSDGs経営とは何かを踏まえて、SDGs経営により組むメリットやSDGs経営に取り組んでいる企業事例などを詳しくご紹介します。

1.SDGs経営とは?

SDGs経営とは、SDGsの達成を目指して経営を行うこと。そもそもSDGsとは「Sustainable Development Goals」の略で、2030年までの持続可能な開発目標を指します。

2015年に9月に国連サミットで採択され、人権・経済・社会・地球環境などさまざまな分野にまたがった下記17の目標を掲げています。

  1. 貧困をなくそう
  2. 飢餓をゼロに
  3. すべての人に健康と福祉を
  4. 質の高い教育をみんなに
  5. ジェンダーの平等を実現しよう
  6. 安全な水とトイレを世界中に
  7. エネルギーをみんなにそしてクリーンに
  8. 働きがいも経済成長も
  9. 産業と技術革新の基盤をつくろう
  10. 人や国の不平等をなくそう
  11. 住み続けられるまちづくりを
  12. つくる責任つかう責任
  13. 気候変動に具体的な対策を
  14. 海の豊かさを守ろう
  15. 陸の豊かさも守ろう
  16. 平和と公正をすべての人に
  17. パートナーシップで目標を達成しよう

SDGs経営は、事業との関連性を踏まえて上記目標の解決に取り組むことともいえます。世界的な課題を解決しながら、企業の持続可能な成長・価値向上を実現する手法のひとつです。

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2.SDGs経営とESG経営の違い

ESG経営とは「Environment(環境)」「Social(社会)」「Governance(ガバナンス)」の3つを重視した経営方法のこと。近年、投資の判断基準としてESGが重要視されているのです。

ESGとSDGsは密接に関係します。SDGsは世界共通の目標であるのに対して、ESGはSDGsを達成するための手段といえるのです。

SDGs経営とESG経営の目指す方向は同じであるものの、ESGがSDGsを達成する手段であるため、ESG経営はSDGs経営に包括されるといえます。

ESG経営を行っている企業は、SDGs経営を行っている企業と同様、持続可能な成長・価値向上が期待できるのです。

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3.SDGs経営が注目される理由

なぜ近年、SDGs経営が注目されているのでしょうか。ここでは、SDGs経営が注目される3つの理由をみていきます。

  1. 新たなビジネスチャンスにつながる
  2. 若手世代へのアプローチになる
  3. 資金調達に影響する
参考 SDGs経営ガイド川越市

①新たなビジネスチャンスにつながる

国連開発計画(UNDP)によると、労働生産性向上や環境負荷低減などを通じた外部経済効果によってSDGsが生み出す新たな市場機会は、年間12兆ドル規模。

SDGs経営を行わないことは企業にとってリスクであると同時に、SDGsの観点から新たなビジネスチャンスを獲得する機会でもあります。

というのも、消費者による「SDGsに関連した商品がほしい」といった希望や、取引先による「SDGsに配慮してほしい」などの希望が増えてくると予測されるからです。

ステークホルダーがSDGsに関心を持つと、SDGsに関連した商品やサービスの開発が進んだり、事業パートナーが増えたりするため、新たなビジネスチャンスが広がります。

②若手世代へのアプローチになる

デロイトトーマツが実施したミレニアル世代を対象とした調査によると、「事業の成功は財務上のパフォーマンス以外でも測定されるべき」と考える人が83%を占めました。

ミレニアム世代は、「地域社会の改善」や「環境の改善と保護」などを重要と考えており、ただ利益を求めるだけの経営を行う企業は将来的なリスクが高いと判断できる世代といえます。

つまり、SDGs経営を行っていることそのものが若手世代へのアプローチになり、共感してくれる若手人材の獲得にも有効になるのです。

③資金調達に影響する

近年、急速に拡大しているESG投資では、企業がESGやSDGsの観点から経営に取り組んでいるかどうか、が重視されているのです。

SDGs経営を行う企業は投資家からの信頼が得られます。その一方、SDGsを無視した経営を行っている企業は「リスクが高い」と判断され、投資対象から外される可能性もあるのです。

企業がSDGsに取り組んで持続的な成長を目指すには、資金面の安定も必要といえます。SDGs経営を行えば資金調達しやすくなり、資金面でも持続的かつ安定した経営が行えるのです。

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4.SDGs経営は中小企業にどう関係するのか?

日本企業の99%、従業員数の70%は中小企業といわれており、SDGs達成には中小企業の役割が大きいとわかります。

SDGs経営は新たなビジネスチャンスやビジネスパートナー、人材の獲得に有効な経営手法です。まだまだ成長余地がある中小企業のネットワークが広がれば、企業利益や価値も向上していくでしょう。くわえて投資家からの評価にもつながります。

一方中小企業がこの先も生き残るには「SDGs経営への取り組み」そして「持続的な成長・価値向上を目指すこと」が求められます。反対に、SDGs経営に取り組まない中小企業は衰退する可能性も高いのです。

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5.SDGs経営のメリット

SDGs経営のメリットは、SDGs経営の目的でもある企業の持続的な成長の実現です。具体的には、次のようなメリットがあります。

  1. 企業イメージの向上
  2. 新たなビジネスチャンスの獲得
  3. 他社との差別化が図れる
  4. 資金調達しやすくなる

①企業イメージの向上

社会課題に取り組んでいることは消費者や顧客からの信頼、共感の獲得につながるため、企業イメージの向上も期待できます。

企業イメージの向上にともなって商品やサービスの売上が向上すれば、企業の成長にもつながるでしょう。また、SDGsへの関心が高い若手人材や優秀な人材確保にもつながり、人材面からも組織力の強化に効果的です。

②新たなビジネスチャンスの獲得

自社の商品やサービスとSDGsを結びつけると、新たなビジネスチャンスの獲得につながります。社会課題の解決につながる商品やサービスは消費者からの共感を得やすく、購入・利用の促進につながり、企業利益の向上に直結するからです。

また、SDGsの観点から取引先を選抜する企業も増えています。新たな事業パートナーの獲得や他企業との新たな事業の取り組みが進展する可能性もあるでしょう。これにより事業規模が拡大し、新たなビジネス領域が展開できるかもしれません。

③他社との差別化が図れる

まだまだ、SDGs経営に取り組む中小企業は少ないといえます。しかし、その状況を逆手に取ればSDGs経営に力を入れて競合他社との差別化が図れるのです。

大企業が取引先を選ぶ際「SDGs経営を行っているかどうか」に着目するケースもあります。よって新たなビジネスパートナーの獲得にも有効といえるでしょう。

④資金調達しやすくなる

ESG投資が重要視されているなか、SDGs経営に取り組めば、投資家からよい評価を得られるため、資金調達につながります。資金は企業の持続的な繁栄に欠かせないもの。このような資金面で有利になるのは、大きなメリットです。

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6.SDGs経営の課題

一方、SDGs経営に取り組むうえでは次のような課題も考えられます。ここでは課題とあわせて、解決方法もご紹介します。

  1. 社員のSDGsへの理解不足
  2. 自社で取り組むべき課題がわからない
  3. リソース不足

①社員のSDGsへの理解不足

SDGsは企業単位に限らず、個人でも取り組むべきもの。社員一人ひとりのSDGsへの理解が十分なら、企業としてSDGsを推進するスピードも早まるでしょう。よってまずは個人単位で、SDGsへの理解を深めます。

SDGsに関する研修やワークショップをとおして、SDGsを社内に浸透させる取り組みを実施しましょう。社員一人ひとりがSDGsへの理解を示せば、SDGsに関連するアイデアや新たなビジネスチャンスも生まれやすくなります。

②自社で取り組むべき課題がわからない

17の目標が掲げられているとおり、SDGsで取り組むべき課題は幅広いです。よってどのような課題に取り組んでSDGs経営を実現させればいいか、わからなくなる場合もあるでしょう。

取り組むべき課題で重要な点は、企業理念や経営方針、事業内容との関連性。SDGsの各目標に対して自社がどのような影響を与えるか、自社がかかわることで解決できるかを把握して、課題を設定するとよいでしょう。

単にSDGsに取り組むだけでは、SDGs経営は実現しません。

③リソース不足

SDGs経営に取り組むための資金や人員、パフォーマンスといったリソース不足は、とくに中小企業に考えられる課題です。意思決定のスピード性や地域との密着性、柔軟性の高さから、中小企業はSDGs経営を行うのに最適な環境といえます。

しかし、新たな事業を立てる資金やそこにかかる人員、パフォーマンスを確保することが難しい点も事実です。それゆえSDGs経営に取り組めない企業も少なくありません。

SDGs経営は目先の利益ではなく、持続可能な成長・価値向上を目指す手段。SDGs経営の実現にかかるコストを無駄と考えず、リソースを確保するのが重要になるのです。

自治体や政府では、中小企業のSDGs導入を促進するための各種支援制度を提供しています。制度を活用しながら、できるところから積極的にSDGs経営に取り組んでみましょう。

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7.SDGs経営実践のステップ「SDG Compass」

SDG CompassはSDGsと経営戦略を整合させながら、SDGs経営を実践する具体的な指針のこと。SDG Compassが示すSDGsを実践するステップを見ていきましょう。

  1. SDGsを理解する
  2. 優先課題を決める
  3. 目標を設定する
  4. 経営に統合する
  5. 報告とコミュニケーションを行う

①SDGsを理解する

まずはSDGsについて知り、SDGsが企業活動にもたらす機会と責任を理解します。SDGsに取り組むべき理由を明確化にするのは、企業が一丸となってSDGs経営に取り組むためにも欠かせません。下記のようなポイントからSDGsへの理解を深めましょう。

  • SDGsの17の目標と169のターゲットの内容
  • 企業がSDGsに取り組むべき理由
  • 企業がSDGsに取り組まないメリットとデメリット
  • ほか企業の事例や世界的なSDGsの動き

②優先課題を決める

SDGsで取り組むべき目標は17分野あります。なかでも事業内容が影響をおよぼす、あるいは貢献できる項目は企業によってさまざまです。

すべての目標を解決しようとせず、自社に関連の深い課題を洗い出し優先的に取り組むとよいでしょう。

そのためにもバリューチェーンをマッピングし、SDGsに影響する領域を特定します。「企業活動のどの範囲にSDGsが影響するか」「最大の効果が期待できる領域はどこか」を見える化すれば、成果も出やすくなります。

③目標を設定する

取り組む課題を土台に、達成度を高めるための明確な目標を設定します。下記は、目標設定における4つの手順です。

  • 目標範囲を設定し、KPIを選択
  • ベースラインを設定し、目標タイプを設定
  • 意欲度を設定
  • SDGsへのコミットメントを公表

目標はただ設定するだけでなく、優先課題に対して「いつまでに」「どれくらい(具体的な数値)」の達成を実現するかまで、公表しましょう。というのも、取り組みの内容や達成情報を定期的に発信し、透明性を確保することが求められているからです。

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④経営に統合する

課題にともなうKPIといった目標を経営に統合しましょう。SDGs経営を企業に定着・浸透させるには、CEOや経営幹部による積極的なリーダーシップが鍵となります。下記は、目標を定着させるために重要なふたつの原則です。

  1. 特に事業として取り組む根拠を明確に伝え、持続可能な目標に向けた進展が企業価値を創造すること、またそれが他の事業目標に向けた進展を補完することについて、共通の理解を醸成すること
  2. 部門や個人が当該目標の達成において果たす具体的な役割を反映した特別報償を設けるなど、持続可能な目標を全社的な達成度の審査や報酬体系に組み込むこと

経営陣のリーダーシップとあわせて委員会やプロジェクトチームを設立し、すべての部門に持続可能性を組み込むとよいでしょう。

企業単独では課題に対して効果的に対処できないとの調査結果もあります。パートナーシップに取り組んで、企業単位で横断的に取り組む姿勢が必要でしょう。

⑤報告とコミュニケーションを行う

最終的には、これらの取り組みをステークホルダーに報告します。「なぜその目標に対して取り組んでいるのか」「どのように取り組み、進捗や達成はどうだったか」を開示しましょう。

開示にあたっては規定の報告書のほか、自社サイトやSNSなどのネットワークを活用して広く報告するのもポイントです。情報開示はステークホルダーからの信頼獲得につながるほか、投資効果にも期待できます。

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8.SDGs経営の事例

では、実際に企業ではどのようにしてSDGs経営に取り組んでいるのでしょうか。ここでは、3社からSDGs経営の事例をご紹介します。

  1. 東京海上ホールディングス
  2. 住友化学
  3. セブン&アイ・ホールディングス

①東京海上ホールディングス

企業が持続的な成長を図るには「従業員が心身ともに健康で働けることが重要」といった理念のもと、社内のみならず、他社の健康経営支援や顧客の健康増進・生活習慣改善に取り組んで、ステークホルダーとの架け橋を築いています。下記は具体的な取り組みです。

健康経営支援

  • 健康経営優良法人を目指す企業の認定支援
  • 健診やレセプトデータなどを分析して医療費や生産性との関係を定量化し、実効性の高い健康増進策の策定と健康に関するリスク軽減や生産性の向上を支援

顧客の健康増進・生活習慣改善

  • 「あるく保険」の導入→顧客にウェアラブル端末を貸与、1日平均8,000歩以上歩いた場合、半年ごとの達成状況に応じて健康増進還付金を付与

②住友化学

住友化学では、SDGs経営の一環としてマラリアへの取り組みを行っています。

工場の虫除け網戸の技術をもとに、マラリアに苦しむ人々のために防虫剤処理蚊帳「オリセット®︎ネット」を開発。その結果、マラリアによる死者数が2000年から半減しています。

さらに「オリセット®︎ネット」を現地生産して7,000人の雇用を創出し、女性の就業環境の整備にも力を入れました。くわえて収益の一部で教育支援を行い、アフリカ12ヵ国での総受益者数は1万2,000人を超えたのです。

住友化学はイノベーションによって、社会課題の統合的な解決を実現しています。

③セブン&アイ・ホールディングス

セブン&アイ・ホールディングスでは、消費者の満足度向上と資源保護を両立した取り組みを実施。具体的な取り組みとして、下記ふたつをご紹介します。

  • コンビニの店頭で使用済みペットボトルを回収
  • 国内最大級の野菜工場の稼働で野菜の無農薬栽培・安定収穫を実現

店頭で回収した使用済みペットボトルは、最終的にリサイクルペット材を使用した商品に再利用されています。

また、国内最大級の野菜工場の稼働で野菜の無農薬栽培・安定収穫を実現しつつ、歩留まり改善によるフードロス削減や水資源使用量の大幅削減にも取り組んでいるのです。

そのほか加工食品の「1/3ルール」の見直しにも取り組み、3Rを行いながら目標達成に向けてSDGsへの取り組みを強化しています。