リアリティショックとは?【乗り越え方】企業ができる対策

リアリティショックとは、理想と現実のギャップに衝撃を受けた状態のこと。理想が高いほど現実とのギャップも大きくなり、解消されない状態が続けば、最悪のケースで離職が起こってしまうほど重大な問題です。

今回はリアリティショックについて、従業員や企業への影響や原因、乗り越え方や企業ができる対策などを詳しくご紹介します。

1.リアリティショックとは

リアリティショックとは、理想と現実のギャップに衝撃を受けること。たとえば、入社前に抱いていた企業へのイメージと入社後の現実とのギャップが生じるとリアリティショックを受けてしまいます。

理想と現実とのギャップが大きいほどリアリティショックも大きくなり、その程度によっては仕事に対する意欲を消失しかねません。

なお、パーソル総合研究所の行った入社後の実態調査においては、約8割の人がギャップを感じたことがあると判明しています。程度とその影響は人によって異なるものの、リアリティショックは身近に起こりやすい現象といえます。

参考 就職活動と入社後の実態に関する定量調査パーソル総合研究所

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2.リアリティショックが与える影響

リアリティショックが起こることで、従業員と企業の双方にネガティブな影響をおよぼします。ここでは、従業員・企業の双方の視点からリアリティショックが与える影響をみていきましょう。

従業員

リアリティショックが従業員にもたらす主な影響は、下記のとおりです。

モチベーションの低下

理想と現実のギャップは、モチベーションの低下を招きます。というのも、ギャップを消化できないと納得感を持って仕事に取り組めず、仕事に対する意欲ややる気が失われてしまうからです。

職場環境や社風に馴染むまで時間がかかり、そのままの状態が継続されることで最悪のケースでは離職につながってしまう恐れもあります。

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メンタルヘルスの不調

リアリティショックの影響で、メンタルヘルスに不調をきたすケースも。具体的には、下記のような症状が見られる場合があります。

  • 集中力の低下
  • 不安を感じる
  • イライラする
  • 食欲不振 

前向きな気持ちになれず心身のバランスを崩してしまったり、以前は見られなかった遅刻や欠席が顕著になったりするなど、通常とは異なる行動が見られるケースもあります。

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企業

リアリティショックの影響は、実際にショックを受ける従業員だけでなく、企業にも及ぶもの。リアリティショックが企業にもたらす主な影響は、以下3つです。

生産性の低下

モチベーションが低下した状態では注意力や集中力も散漫になる傾向にあり、生産性の低下を招きます。また仕事へのミスや事故が起こりやすくなり、業務効率や品質の低下を引き起こす可能性もあるでしょう。

さらにリアリティショックによるネガティブな状態が続くと周囲の従業員に影響し、組織全体に悪影響をおよぼしかねません。

帰属意識の希薄化

人間関係や風土に対してリアリティショックを受けている場合、組織にコミットする意欲が生まれずにエンゲージメントは低下するばかりです。組織にも違和感を抱きやすい状態であるため、少しの不満も必要以上にストレスに感じてしまうもの。

そして帰属意識も醸成されないため、ネガティブな状態が続けば簡単に離職を選択してしまう可能性が高まります。

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早期離職のリスクが上昇

ギャップが消化できないと今の会社にとどまるメリットも見出せず、早期に離職を選択する人が出てくる可能性もあります。

コストをかけて獲得した人材が流出してしまっては、採用や教育にかけたコストが無駄になるだけでなく、新たな採用の手間とコストが発生してしまうでしょう。

新入社員内で連鎖退職が起こりやすいと若手人材が定着せず、組織の平均年齢が高まるリスクもあるのです。

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3.リアリティショックが起こる原因

リアリティショックが起こる原因は、仕事内容や人間関係などさまざまです。ここでは、リアリティショックが起こる主な6つの原因をご紹介します。原因を押さえ、リアリティショックが起こらないよう対策に生かしましょう。

  1. 仕事内容に関するギャップ
  2. 対人関係に関するギャップ
  3. 他者能力に関するギャップ
  4. 評価や待遇に関するギャップ
  5. 組織全体に関するギャップ
  6. 職場環境に関するギャップ

①仕事内容に関するギャップ

仕事に対する理想が高すぎると、いざ働き始めてからリアリティショックも大きくなるもの。仕事に対するギャップは「想像よりも仕事がきつかった」または「想像よりも簡単でやりがいがない」といった2パターンがあります。

いずれにせよ理想と現実のギャップに不満が募り、ギャップが消化できないと仕事への意欲も生まれないでしょう。また、残業や休日出勤の多さ、職場の衛生面や安全面への不備といった条件や環境面も原因となり得ます。

②対人関係に関するギャップ

職場の対人関係は、転職理由にもあがるほど影響力が大きい要素です。いざ入社してみると、周囲に年齢の近い従業員がいない、コミュニケーションを取る機会が少ない、上司や同僚と気が合わないなど、リアリティショックが起こる原因はさまざま。

対人関係へのギャップが埋まらないままだと、職場に馴染めず孤立感や喪失感も解消されません。

③他者能力に関するギャップ

任された仕事を十分にこなせない、同期と比較して能力に劣っていると感じてしまう場合もリアリティショックが起こります。

能力に関しては本人のポテンシャルや努力に依存する部分もあるでしょう。しかし会社側が十分な指導や研修、フォローを提供していないことも原因となり得ます。

④評価や待遇に関するギャップ

ある程度勤続年数を重ねた従業員に起こりうるリアリティショックの原因が、評価や待遇に関するギャップです。

頑張りに見合った評価や待遇が受けられない、自分よりも努力していない従業員が評価されているなど、努力や成果が適切に認められていない場合、リアリティショックが起こります。

⑤組織全体に関するギャップ

ビジョンに共感して入社したが実際は現場でビジョンが体現されていない、将来性に期待して入社したが不安定で伸び代に欠けているなど、組織に関するギャップもさまざまです。

組織へのギャップは帰属意識の希薄化やエンゲージメント低下につながってしまい、リアリティショックが解消されないと最悪のケースでは離職してしまうケースも珍しくありません。

⑥職場環境に関するギャップ

希望する配属先でなかったり、配属先の雰囲気やメンバーに馴染めなかったりするとリアリティショックが起こります。職場環境のギャップに遭いやすいのは、新入社員や中途社員です。

現代は価値観も多様化し、働くうえで大切にする価値観も人それぞれ。自分の価値観を大切にできない職場には違和感やギャップを感じやすく、リアリティショックもなかなか解消されません。

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4.リアリティショックの乗り越え方

リアリティショックは事前に対策可能といえるものの、100%予防するのは難しいもの。従業員にリアリティショックが起こってしまった場合、人事や上司や適切な対応をとることも大切です。

ここでは、リアリティショックが起こってしまった場合の対処法をご紹介します。

自分が感じたギャップを分析

リアリティショックの原因となっているギャップに、解消できるギャップがあるかもしれません。まずは原因となっているギャップを分析し、解消できるギャップがあるか考えることを促してみましょう。

理想と現実の違いをはっきりさせると、適切な対処が見えてきます。

立場が近い人と共有

上司や先輩には悩みを話しにくい、そうすること自体が負担になってしまうケースもあるでしょう。自分が今抱えているギャップは自分と近い立場の人も同じように感じている可能性もあるため、そうした人に共有してみるのもひとつの方法です。

自分だけが抱えているギャップでないとわかるだけでも、気持ちが楽になります。このとき、お互いが意見を出し合ってギャップを解消するための方法が見つけられるとベストです。

ポジティブ思考へ切り換え

中途社員であっても入社後すぐに完璧に業務をこなすのは難しく、新入社員であればなおのこと。失敗することがあったとしても失敗を成長のきっかけと考え、自分の成長やできていることに目を向けることも有効な方法です。

ゆっくりでも理想に近づいていることが実感できれば、その過程でギャップも徐々に埋まっていくでしょう。

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5.リアリティショック対策で企業ができること

リアリティショックは企業にも影響をおよぼしてしまうため、予防が大切です。ここでは、企業ができるリアリティショック対策をご紹介します。

内定者向けインターンシップの実施

インターンシップでは、実際の業務に触れながら現場の空気を感じられます。実務や職場環境、人間関係がわかると入社後をイメージしやすくなり、理想と現実のギャップが把握できるだけでなく、理想を高めてしまうのも防げるでしょう。

新人フォロー研修の実施

フォローアップ研修により、新人の心理的な不安を解消するのもリアリティショック対策として有効です。フォロー研修があると心理的安全性も高まり、業務に対する「できない」ギャップも徐々に解消していけるでしょう。

リーダー人材の育成

従業員にとって、上司の影響は大きいもの。リアリティショックを受けた従業員をしっかりとフォローするには、上司の力量も問われます。

適切なマネジメントとフォローによって従業員のリアリティショックをカバーできるリーダー人材を育成することも、企業ができることのひとつです。

サポート体制の整備

リアリティショックに悩んでいる従業員に気づいて適切なフォローを提供するためにも、メンター制度や1on1ミーティングなどの導入により、従業員をサポートできる体制を整えることも有効な対策です。

サポート体制が整備されていれば、従業員のリアリティショック解消のために適切なサポートが提供できるでしょう。

実態に沿った情報開示

実態とかけ離れた情報開示は理想を高めてしまい、リアリティショックを起こしやすくする原因となります。とくにギャップを感じやすい業務内容や社員の様子、残業時間などの情報は実態に即した正しい情報を開示しましょう。

双方のニーズ確認の徹底

求職者の価値観やキャリア、仕事に対する考え方をヒアリングするだけでなく、企業側からも従業員に期待するポイントや自社の価値観をしっかりと伝えることが大切です。

採用面接時に双方のニーズがマッチしているかを確認できれば、入社後にリアリティショックが起こるリスクも軽減できます。

信頼関係の構築

リアリティショックは周囲に相談できず、一人で抱え込んでしまうと一向に解消されないままです。相談して精神的な負担を軽減したり、具体的な対処法を見つけたりするためにも、周囲と気軽に相談できる関係性を構築しておくことも対策のひとつです。

適切な評価制度の導入

既存社員のリアリティショックを防ぐためにも、適切な評価制度を整えることが大切です。従業員が現状の評価制度に不満を抱いているかを把握し、納得感が得られる給与や昇進条件が整えられているか、見直してみましょう。

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6.看護業界におけるリアリティショック

看護業界は、リアリティショックによる離職率が高い業界のひとつ。命にかかわる責任の重さや休日の少なさなど、精神的にかかるストレスが大きいことが原因と考えられます。

また自力でリアリティショックを克服してきた人も多い分、新人が抱えるリアリティショックも自力で解決できるだろうと放置されやすい傾向にある点も原因のひとつ。

リアリティショックが解消できない状態が続くと精神的なダメージも膨らみ、最終的には離職を選択してしまう人も多くいます。

リアリティショックが深刻化する理由

職場に残っている職員の多くは、自力でリアリティショックを克服して今があるのがほとんど。この事実がリアリティショックを深刻な問題として認識できない原因となり、放置された結果問題の深刻化を招いてしまいます。

「辛ければやめればいい」「時間が解決する」といった考え方が定着し、新人看護師のリアリティショックが放置されると同時に、孤立化が加速する負のスパイラルに陥っている現場が多いのも事実です。