オンボーディング / on boardingとは? 意味、事例

オンボーディングとは、企業が新規で採用した社員に実施する教育プログラムのこと。離職防止対策として注目されているオンボーディングについて解説します。

1.オンボーディングとは?

オンボーディングとは、企業が採用した社員に向けて実施する教育プログラムのこと。早く職場になじんで活躍できるように、能力向上や業界や企業への浸透化を図るのが目的です。そのため新入社員や中途社員の区別なく新規採用した社員を対象としています。

新入社員研修では入社してから1か月など短期間で研修が終了することが多いのですが、オンボーディングでは3か月から半年、長ければ1年にわたって継続的に実施するのも特徴です。

なお「on-board」という語は「船や飛行機に乗る」ことを意味しますが、「受け入れる」や「参加する」などの意味でも使われます。

カスタマーサクセスにおけるオンボーディング

カスタマーサクセス(顧客を成長や成功へ導くこと)においてもオンボーディングが求められます。顧客を定着させるためには、商品やサービスの使用方法、機能を理解してもらえるようにこちらから働きかける指導や説明が必要です。これらの支援は、顧客をカスタマーサクセスへ導くためのオンボーディングなのです。

オンボーディングとOJTの違い

OJTとは「On The JobTraining」の略称であり、仕事の実施訓練のこと。現場の実務作業を担当させて訓練を行う実践的な研修です。

一方オンボーディングは、「職場環境に慣れるための訓練」。いきなり実務に触れさせることはせず、チームメンバーとのランチミーティングや社内ルールの説明などを行います

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2.オンボーディングが注目されている背景

オンボーディングは、社員の定着率を挙げるための対策として重視されています。費用をかけて採用し、時間を費やして教育した社員が、入社後のミスマッチで離職してしまうことは企業にとって避けたいリスクです。

ただでさえ労働人口の減少で優秀な人材が確保しにくい昨今、社員を定着させることは企業にとって重要な課題のひとつとなっています。オンボーディングで新入社員のモチベーションやエンゲージメントを向上させ、定着率アップを狙う企業が増えているのです。

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3.オンボーディングの目的と行うメリット

社内のさまざまな人が関わるオンボーディングには、社員の定着化以外にもさまざまなメリットが生じます。ここではオンボーディングのメリットを5つ解説します。

採用・研修にかかる費用の削減

オンボーディングを実施すると社員の退職率が下がるので、採用や研修などのコストが削減できます。社員一人を採用するだけでも求人広告費や面接などの人件費がかかりますし、採用後も教育や研修で多くの人件費が必要となるからです。

オンボーディングで新規に採用した社員たちが定着していけば、これらの費用は必然的に減っていくでしょう。

新入社員の即戦力化

オンボーディングで社以下のような情報をあらかじめ共有すると、新入社員がチームへ順応しやすくなり、戦力化が早まるでしょう。

  • マニュアルや規則
  • 顧客情報
  • 人間関係や社風

OJTでは実務をやりながらこれらを覚えていきますが、一度に覚えなくてはならないことが多くなってしまい、一人で業務遂行ができるようになるまで時間がかかってしまうのです。

社員の定着率の向上

社内でよい人間関係が構築できると、社員の帰属意識が高まります。新入社員が悩みや困りごとをチーム内や関連する人へ相談できれば、退職に至る前に解決でき、解決できたことでほかの社員や自社への信頼が増すからです。

そのためオンボーディングにランチミーティングを取り入れて、他部署とのコミュニケーションを増やすケースも見られます。

社員のエンゲージメント向上

自分の成果を正しく評価された人は、評価した相手に対して信頼が高まり、次のアクションへのモチベーションが向上します。エンゲージメント(engagement)は「約束」や「契約」などと訳され、ビジネスでは「自社に対する信頼や貢献意欲」のこと。

オンボーディングで即戦力化した新入社員の成果を正しく評価すればエンゲージメントが向上し、働きがいを感じるようになるでしょう。

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チーム力の向上

オンボーディングは、所属する部署の上司やチームメンバーだけで実施するのではありません。関連部署の社員やメンター(助言や相談などをとおして指導する人)などもオンボーディングに協力します。

オンボーディングをとおしてこのようなさまざまな人たちとの信頼を積み重ねていければ、チームの結束力や組織力の向上が実現するでしょう。

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4.オンボーディングの施策例

オンボーディングを導入する前に他社の導入事例を知っておくことで、自社に合う施策がより具体的に見えてくるでしょう。オンボーディングを実際に行っている企業は多数ありますが、ここでは6つの事例を紹介します。

コネヒト株式会社

Webサービスやアプリを開発しているコネヒト株式会社では、入社後初めの90日間に3つのオンボーディングを実施。

  • 「クイックウィンの支援」で、この期間内にその社員に期待する目標を設定し、早期の成功体験を支援
  • 「カルチャーの理解支援」で、自社の社内ルールや風土などの理解を支援
  • 「コミュニケーション支援」で、新入社員が業務に必要な情報の取得を支援

GMOペパボ株式会社

インターネット関連サービスを提供しているGMOペパボ株式会社では、中途入社のエンジニアに向けたオンボーディングを実施。「ペパボカクテル」では約3か月で会社と事業部、そしてエンジニア組織につながりを作らせます。

また「スケジュールランチ」では、エンジニア全員のスケジュールを管理し、ランダムでランチの相手を決定しています。普段あまり業務で接点がないエンジニアとのコミュニケーションをとることが目的です。

日本オラクル株式会社

クラウドサービスなどを提供している日本オラクル株式会社では、中途社員のオンボーディングを重視しています。中途社員への教育では、即戦力を求めるあまり経営理念や組織形態、社内ルールなど、自社への定着に必要な研修がおろそかになりやすいからです。

そのため中途社員のOJTをフォローする「ナビゲーター」と「サクセスマネージャー」を配置。その結果、社員エンゲージメントを85%にまで向上させました。

LINE株式会社

SNSサービスを提供するLINE株式会社は、オンライン上とオフィス内にだれでも気軽に相談できる場所を設けました。新入社員がささいなことでも質問できる環境をつくり、安心感を与えることが目的です。

この場所では、仕事に関する質問やパソコンや機材などのトラブルはもちろん、備品の保管場所などささいなことも質問できます。

サイボウズ株式会社

ソフトウェア開発を手がけるサイボウズ株式会社では、独自の報酬制度を導入。報酬額は、転職市場に出た場合の推測年収と本人の希望額などから決定しています。また希望部署があれば数日から数か月ほど体験できる制度も整備

いずれも仕事に対するモチベーションやエンゲージメントが向上し、定着率のアップにつながっています。

株式会社i-plug

リクルートサービスを提供する株式会社i-plugでは、自社の採用活動プロセス全体をオンボーディングとみなしています。各チームに採用担当を配置し、その担当者が求人から面接までを実施するのです。採用プロセス全体をとおして入社前から応募者や新規採用者と積極的にコミュニケーションをとれるため、入社後の育成がスムーズに進められます。

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5.オンボーディングの導入方法

オンボーディングは通常の研修とは異なり、内容が多岐にわたります。そのため導入前にプロセスの策定が重要となるのです。ここからはオンボーディングの導入プロセスを説明します。

目標の設定

オンボーディングで目指すゴール、すなわち目標を定めておかなければなりません。そのためには「何をどれくらいの期間でできるようになってほしいか」や「どのような人材へ成長して欲しいのか」などを明確にしておきましょう。

業務に関する目標だけでなく、自社になじむために必要な人たちとコミュニケーションをとることも目標に含めましょう。

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プランの作成

目標が決定したら具体的な取り組み、つまりオンボーディングプランを作成しましょう。プラン期間は入社後1年ほどを目安にしますが、多くの場合は課題や最終目標に合わせて1か月や3か月、半年といったタイミングで中期や短期目標を設定します。

そのためそれぞれの目標に対して、実務前の研修や説明会、OJTやランチミーティングなど、実際に社内で実施する取り組みとそれに必要な人員や資料などを決めていくことになるのです。

実行

新入社員に対してプランを実行しますが、実際にオンボーディングを実施すると、新入社員から思いもよらないような質問が出たり、プランどおりに進められなくなったりといった問題が見つかることも少なくありません。プランに改善すべき点が見つかればすぐに対応しましょう。

またプランの実行状況や進捗を記録しておくと、引継ぎやフィードバックなどに役立ちます。

振り返り

オンボーディングの実施中は、あらかじめ決めておいたタイミングや指標をもとに定期的に振り返りを行いましょう。面談やアンケートで教育担当者とオンボーディングを受けた社員から意見を集めましょう。振り返りで調査すべき点には以下のものが挙げられます。

  • プランの内容が適切であったか
  • 離職防止やエンゲージメントの向上に効果があったか
  • 不満や不足を感じた点はあったか

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6.オンボーディングを行う際のポイント

入社する新人社員をしっかりとフォローするためには、仕事の内容だけでなく人間関係や設備にも注意を払わねばなりません。オンボーディングを実施する前には、以下のポイントを押さえておくことが大切です。

準備の徹底

オンボーディングの実施前には、制度や規則を整備し、プランを作成するなど、多くの準備が必要です。また現場の受け入れ体制も整えておきましょう。たとえばオンボーディングで使用するパソコンなどの機材やツール、資料やマニュアルなどが挙げられます。

とくにリモートワーク社員が多い場合、コミュニケーション不足による準備不足に陥りやすいので注意が必要です。

人間関係のサポート

新入社員が既存の社員と馴染みやすくするために、コミュニケーションをサポートする体制を整備しておきましょう。メンター制度やランチミーティング、相談窓口の設置などは、人間関係の構築やコミュニケーションを円滑にするオンボーディングとして有効です。

悩みや困ったことがあるときにフォローが受けられる体制があると、新入社員が安心して働けます。

期待値のすりあわせ

企業と社員それぞれが持つ期待にずれが生じていると、お互いが求めている利害が一致せず定着率が下がるおそれがあります。ずれが生じやすいものには、「業務内容」や「役割」、そして「成果」などが挙げられるでしょう。

企業と社員の期待値をすりあわせ、期待値にずれがある場合は「どのように改善すればお互いが求める期待値を超えていけるか」をしっかり話し合いましょう

教育体制の整備

オンボーディングはさまざまな人が関与し、通常の入社研修などとは内容が異なるものも多いため、教育体制を整備しておく必要があります。以下の準備を完了させておきましょう。

  • 使用する教材やテスト、アンケートやマニュアルなどの作成
  • 使用するパソコンやソフトウェア、社内ツールなどの準備
  • 社内規則や社内制度の改定

場合によっては、同時に教育担当者向けの研修を行う必要があるかもしれません。

目標の細分化

目標を細分化し、新入社員が入社後に体験すべき成功体験を与えると効果的です。たとえばフリマアプリで知られる株式会社メルカリでは、1日目は「情報のインプット」に専念させHR情報や企業情報などを習得させます。2日目は「体験」させるためにワークショップや交流セッションなどを実施するのです。

多くのオンボーディングでは、このような小さな学習と、教育者からのフィードバックや本人の振り返りを1セットにして行います。小さな目標をクリアしていった新入社員は自信がつき、仕事へのモチベーションアップにつながるのです。