内定承諾書とは?【作成方法・送り方】辞退はできる?

就職活動で内定を受けた学生に対し、企業は内定通知書を送ります。内定承諾書は、その内定通知書と一緒に同封されているケースが多い書類の一つです。

  • 内定通知書と内定承諾書の違い
  • 企業が内定承諾書を交付する目的
  • 内定承諾書を提出した後の内定辞退について

などについて掘り下げていきましょう。

1.内定承諾書とは?

内定承諾書とは就職活動で企業から内定を得た学生が、企業に対して内定を承諾、企業に入社することを誓約する書類のこと。

企業は採用を決めた学生に対し、内定通知書を送付しますが、一般的に内定承諾書は、内定通知書を送付する際に同封されます。内定承諾書を受け取った学生は、中身を確認した後、署名および捺印し、企業へ返送するのです。

意思表示内容

意思表示内容とは、内定を得た学生が内定承諾書を提出することによって、

  • 内定承諾書を提出した企業に就職する
  • 就職活動を終了する
  • 他社からの採用通知があった場合、その申し出を断る

といった意思を示すこと。

内定承諾書は、内定を得た学生が企業に入社することを誓約するため、署名および捺印して企業に提出する書類です

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2.内定の意味

一般的に「内定」といった場合は、

  • 学生が企業から採用が決まった旨の採用通知書を受け取る
  • 学生が企業に入社承諾書を提出する

などによって、学生と企業の双方が意思を確認することで労働契約が成立した状態を指します。ちなみに、「内々定」という言葉は、「○月に内定を出す」など、口約束で企業から採用を約束されることです。

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法律上の定義:労働契約

労働契約法上は、内定も労働契約の一つです。内定の他に内々定という言葉もありますが、この両者の違いを決定づけるものは、労働契約が成立しているか否か。

昭和54年(1979年)7月20日の大日本印刷事件での最高裁判所第二小法廷判決では、新卒の内定取り消しの適法性について、

  • すでに採用内定通知の時点で労働契約は成立
  • 一方的な内定取り消しは無効

という判決が示され、これが

  • 内定は労働契約が成立している
  • 内々定は労働契約が成立していない

といったことの根拠となっています。

内定は、学生は企業から採用通知書を受け取り、企業は入社承諾書を学生から受け取ることで成立します

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3.内定に関する書類一覧

内定に関する4種類の書類それぞれについて解説しましょう。

  1. 内定通知書
  2. 採用通知書
  3. 雇用契約書(労働契約書/労働条件通知書)
  4. 内定承諾書

①内定通知書

内定通知書は学生(労働者)と企業の双方にとって労働契約の意思表示の証拠になる書類のことで、企業から学生に対して交付されます。

内定とは、使用側の企業が行った労働契約の申し込みに対して、学生(労働者)が労働契約の申し込みを承諾することで、内定通知書の交付は重要です。

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②採用通知書

採用通知書に法的な定義はありません。そのため内定通知書を採用通知書といって交付、採用決定後に採用通知書を交付など、採用通知書の意味は企業ごとに異なるのです。

どのような意味合いで採用通知書という表現をしているのか、確認しておくとよいでしょう。

③雇用契約書(労働契約書/労働条件通知書)

労働条件通知書とは労働基準法に基づいて企業が学生(労働者)に対し交付しなければならないと義務付けられている書類のこと。

企業は、学生が入社して勤務を開始する際、労働条件通知書で当該労働者の労働条件を通知しなければなりません。労働条件通知書の代わりに労働契約書、もしくは雇用契約書を双方で交わすことも認められています。

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④内定承諾書

内定承諾書は学生(労働者)が企業からもらった内定を承諾し、その企業へ就職することを表明するための書類のことで、企業によっては入社承諾書や入社誓約書などと呼ばれています。

一般的には、内定通知書を学生に送る際、内定承諾書を同封し、学生はその内容を確認し書名捺印して返送するといった流れが多いようです。

内定に関する書類には、
・内定通知書
・採用通知書
・雇用契約書(労働契約書/労働条件通知書)
・内定承諾書
の4つがあります

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4.内定承諾書を発行する目的

内定承諾書は、企業は学生に対して交付し、学生は署名捺印の上、返信する書類です。企業が学生に対して内定承諾書を発行するのには、目的があります。ここでは、内定承諾書を発行する企業側の目的を2つ説明しましょう。

  1. 内定の証明
  2. 内定辞退の抑制

①内定の証明

企業が学生に対して、「内定を出しました」という証明にするために用いられます。内定を出したのか出していないのかをはっきりさせることは、企業にとっても学生にとっても非常に重要な問題です。

内定承諾書は内定通知書の意味も兼ねていると考えてよいでしょう。

②内定辞退の抑制

優秀な人材であればあるほど、企業としては必ず入社してほしいと考えます。しかし、内定はあくまでも内定であり、法的拘束力があるわけではありません。

そこで内定を出した後の内定辞退を避ける、入社を念押しするといった目的のもと、内定承諾書を発行するのです。

企業が内定承諾書を交付する理由は、
・内定の証明
・内定辞退の抑制
2つです

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5.なぜ入社を念押しするのか? 企業側の背景

企業が学生に内定承諾書を交付するなどして入社を念押しするのには、理由があります。ここでは、企業が学生に対して、どうして入社を念押しするのか、その理由を内定者数の問題と経営的コストの面から説明しましょう。

経営に必要な内定者数を確保する

1つ目は、経営に必要な内定者数を確保するためです。

内定者として選抜した学生に内定を辞退された場合、内定人員に欠員が生じます。採用人数は社内で必要とされる人数を積算しているため、内定辞退によって採用人数が減少することは企業にとって悩ましい問題なのです。

採用コストが莫大である

2つ目は、採用コストが莫大であるためです。

企業が学生に内定を出すまで、

  • 説明会の開催
  • リクルーターの実施
  • 求人情報公開
  • 面接や適性検査の実施

などによるさまざまなコストがかかります。内定を出すまでの採用コストは企業にとって大きな負担であり、内定辞退されてはコストに見合った採用活動ができなくなってしまうのです。

企業が学生に対して入社を念押しする理由は、予定している内定者数の確保と採用コストに見合った採用活動を追求するためです

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6.内定承諾書の作成方法

企業は内定する学生を決定したら、学生に対して内定承諾書を発行します。その場合、多くは内定通知書と一緒に内定承諾書を学生に送付し、署名捺印の上、返送してもらうのです。

ここでは、内定承諾書のほか、内定に関わる書類の作成方法を見ていきます。

内定通知書、内定承諾書、労働条件通知書を用意する

選考が終了し、内定者を決定した後は、内定通知書と内定承諾書、労働条件通知書3つの書類を用意し、入社までのスケジュールや入社式の案内、その他連絡事項や注意事項などとともに学生に送付します。

内定や入社に関する書類をバラバラと送るのではなく、すべてを揃えた上で一緒に送るのです。

内定通知書(オファーレター)の書き方

内定通知書は採用通知書などとも呼ばれます。どちらの呼び方にしても、企業が学生を採用したことを正式に伝える大事な書類です。

法定書類ではないので決まった書式はありませんから、企業ごとに必要な内容を精査して自由に記載できます。ひな形を作っておけば、内定者が出た際、スムーズに内定通知書を交付できるので便利でしょう。

内定通知書の見本

内定通知書のひな形を作成する際、内定通知書に記載しておくとよい内容があるので、いくつかご紹介しましょう。

  • 採用試験へ応募してくれたことに対するお礼
  • 採用が内定したことのお知らせ
  • 同封した他書類の案内
  • 内定承諾書など返送書類の期限
  • 入社日(入社日未定の場合は別途案内する旨を記載)
  • 採用担当者の問い合わせ先

内定承諾書の書き方

内定通知書に同封する書類に、内定承諾書があります。内定承諾書には、内定の意思確認以外に、

  • 無断で入社を拒否しない
  • 住所などの変更事項があれば速やかに連絡する
  • 書類は速やかに返送する

などの約束事項も含めるケースがあります。返信用封筒を同封すると、書類の返送がスムーズになり、手続きも段取りよく進むでしょう。

内定承諾書の見本

内定承諾書も、ひな形を事前に作っておくと便利です。雛形に記載しておきたい項目は、

  • 内定通知書を受け取った年月日(年月日は空欄にし、内定者自身に記入してもらう)
  • 入社を承諾した旨
  • 内定者本人の氏名と捺印欄
  • 必要がある場合のみ、保証人氏名と捺印欄

ひな形があれば、急な内定にもあわてることなく書類を発行できます。

労働条件通知書の書き方

労働条件通知書は、内定者が就労する前に了承してもらう労働条件などを記載しておく書類のこと。この書類を交付することで、内定者との不要なトラブルを未然に防ぐことができます。

具体的には、

  • 雇用期間の定めの有無
  • 勤務場所
  • 仕事内容
  • 就業時間
  • 休憩の時間帯
  • 残業の有無
  • 年次休暇の有無
  • 有給休暇日数
  • 給与額
  • 残業手当
  • 給与支払日および支払方法
  • 定年年齢
  • 解雇条件

労働条件通知書の見本

労働条件通知書も、ひな形があると便利です。派遣労働者契約の場合には、

  • どこに派遣されるのかといった派遣先の名称・住所
  • 実際に働く場所
  • 誰の指揮命令を受けるのか
  • 派遣される期間
  • 仕事の苦情は誰に言えばよいのか
  • 派遣元の責任者は誰か
  • 派遣先の責任者は誰か

などを追加して記載し、明示します。

内定通知書、内定承諾書、労働条件通知書などのひな形を事前に作成しておくと、スムーズに内定手続きが進みます

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7.内定取り消し事由とは?

一般的に、学生の内定が決まった際、企業が学生に交付する内定承諾書の中には、

  • 入社することを承諾します
  • 正当な理由なく入社を拒否しません

などといった文言が記載されているほか、内定取り消し事由についての記載もあります。

内定取り消し事由の記載方法

内定者と企業は、労働契約が成立しているものと見なされるため、企業は自由に内定を取り消すことはできません。しかし、内定承諾書に記載されている内定取り消し事由が生じた場合には、不合理でない限り内定を取り消すことができるのです。

内定取り消し事由の例として挙げられるのは、

  • 内定者が単位取得不足などで大学を卒業できなかった場合
  • 内定者が病気やケガなどの健康上の理由により働けない状態になった場合
  • 内定者に犯罪行為があった場合
  • 会社の業績悪化など経営上やむを得ない場合

内定取り消しに関する裁判例

昭和54年(1979年)7月20日の最高裁判所、第二小法廷判決、いわゆる大日本印刷事件では、新卒の内定取り消しの適法性について争いました。

その際最高裁は、内定段階における労働契約は、「始期付解約権留保付労働契約」と呼ばれ労働契約が成立している点から、

  • 採用内定通知の時点ですでに労働契約が成立していること
  • 一方的な内定取り消しは無効であること

を根拠として、内定取り消しを無効としたのです。

企業は内定を自由に取り消すことはできないとされています。しかし、内定承諾書に記載している内定取り消し事由に該当する場合、その限りではありません

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8.内定承諾書を受け取り、承諾するまでのステップ・手順

内定承諾書は、内定通知書と一緒に送られてくる書類です。内定承諾書を受け取った学生が内定を承諾するまでのステップは、どのようになっているのでしょう。手順をしっかりと踏み、企業と学生の双方が内定という事実をしっかりと確認できるようにしましょう。

  1. 内定承諾書に署名・捺印
  2. 添え状(送付状、カバーレター)を付ける
  3. 返送期日までに送付

①内定承諾書に署名・捺印

内定承諾書の多くは、

  • 記入した年月日
  • 内定を承諾した者の氏名
  • 内定を承諾した者の捺印

が必要です。記入年月日は非常に重要ですので、間違いのないように記載してください。また、氏名は直筆でフルネームを記載します。

②添え状(送付状、カバーレター)を付ける

内定承諾書を返送する際、添え状を付けましょう。添え状とは、書類送付の際に必ず付ける、いわば表紙のようなもの。

  • 誰から
  • 誰宛に
  • 何を
  • どのような目的で

などが分かるような内容にします。

  • 日付
  • 宛名
  • 自分の名前と連絡先
  • 件名
  • 本文
  • 同封書類名

などを記載してください。

③返送期日までに送付

内定承諾書の返送は、早いほうが望ましいです。返信の期日にかかわらず内定の意思を速やかに企業に伝えれば、その後の入社手続きも円滑に進みます。また、提出期限を過ぎた場合、期日を守らない無責任な人間というイメージを企業側に持たれてしまうでしょう。

企業によっては内定式に持参

内定承諾書の提出方法は、企業によってさまざまです。返信用封筒による返送以外に、入社前の内定式に持参するケースもあります。内定式で内定承諾書に署名、捺印することもありますので、内定式にはボールペンと印鑑などを持参しましょう。

内定承諾書は、署名、捺印の上、添え状を付けてなるべく速やかに返送しましょう。内定式で内定承諾書に署名、捺印する場合もあります

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9.内定承諾書の返送におけるマナー

内定承諾書における返送には、マナーがあります。マナーを知っていれば他のビジネスシーンで応用することも可能です。常識あるビジネスパーソンとして振る舞うためにも、ここで内定承諾書における返送マナーを知っておきましょう。

書類をクリアファイルに入れる

内定承諾書を返送する際、内定承諾書はクリアファイルに入れます。中身が濡れたり汚れたり折れ曲がったりしないようにというような理由からです。大切な書類が綺麗な状態で相手に届くよう、配慮しましょう。

返信用封筒にはA4サイズの白い封筒を使う

内定承諾書の返送に使用する返信用封筒は、A4サイズの白い封筒を使います。もし、企業から返信用封筒が同封されていた場合には、その封筒を使用しても構いません。返信用封筒が入っていない場合は、茶色よりも紙質がしっかりしている白い封筒を使用します。

宛名・宛先を省略せず正しく書く

返送先の企業名や企業の住所は、省略せずにしっかりと書きましょう。

気を付けたいポイントは下記の通りです。

  • 住所は都道府県名から記載する
  • 人事部など部署宛てに返送する場合には、宛名の下に「御中」と記載する
  • 担当者宛てに返送する場合には、宛名の下に「様」を付ける

内定承諾書はクリアファイルに入れて送ります。もし、返信用封筒が同封されていない場合は、A4サイズの白い封筒に正式名称の宛名を記載して送りましょう

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10.内定承諾書の提出後に内定辞退は可能か?

内定承諾書を提出後に内定を辞退することが可能なのかどうか、気になるところでしょう。ここでは、企業に内定承諾の意思表示をした後で内定辞退できるのかどうか、その理由や内定辞退に対する考え方を説明します。

内定者からの辞退は拒否できない

内定承諾書の提出後に内定を辞退することは可能です。

内定承諾書が

  • 企業が独自に作成した書類である
  • 内定承諾書そのものに法的拘束力がない

といった性質であるため「労働者側から入社日の2週間前までに申し出があれば内定辞退は可能」というルールがあるからです。

「内定承諾書を提出したら内定は辞退できないのでは?」と思いがちですが、内定承諾書には実質的な法的拘束力はありません。よって、書類提出後の内定辞退は可能と解釈されるのです。

内定承諾書には実質的な法的拘束力はありません。よって、内定承諾書を提出した後でも内定辞退は可能と解釈されます