リーダー育成が失敗する理由とは? 育成のポイントと方法を解説

リーダーは従業員のやる気を引き出して生産性を高めるため、そして企業の持続的な成長のために欠かせない存在です。リーダーは外部から採用するだけでなく、社内で育成することも重要です。しかし、リーダーの育成がうまくいかない、そもそもどう育成すればいいかわからないなど、さまざまな課題があるでしょう。

今回は、リーダーの育成が必要な理由や失敗する理由、育成方法やポイントなどをご紹介します。

1.企業が育成すべきリーダーとは?

企業が育成すべきリーダーとは、目的を達成するためにメンバーのやる気を引き出し、組織・チームを率いてく人材です。

現代は急速にビジネス環境が変化し、不確実性と曖昧性をまとったVUCA時代に突入しています。このような環境下では、迅速かつ柔軟に対応でき、かつ周囲の人を巻き込んで前進することが求められます。

組織が同じ方向を向き、一丸となって目標を達成するには、個々の能力やモチベーションを高め、集団の力を引き出せるリーダーが必要です。

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リーダーの役割

リーダーは「指導者」「統率者」「先導者」の意味を持つ言葉です。その言葉どおり、メンバーを指導・統率し、目標達成に向かって先導していく役割を持ちます。ただ、先導するだけでなく、個々の能力やモチベーションを高め、集団が持つ本来の力を引き出すこともリーダーの重要な役割です。

ビジネス環境の変化が激しい現代では、リーダーだけでなく、チームの一人ひとりが自律的に行動・意思決定することが求められます。そのため、リーダー主導のもと、メンバーの自律性を高めるためのアプローチも不可欠です。

リーダーとマネージャーの違い

リーダー マネージャー
役割 メンバーの能力を最大限引き出し、チームを目標達成に導く 業務や人員などを適切に割り振り、組織を運営していく
なる人 プロジェクトやチームごとに選任された人 管理職

リーダーは現場で直にメンバーを指揮する立場にありますが、マネージャーはチームや組織全体を俯瞰して環境を整えたり、管理したりする立場にあります。また、リーダーは必ずしも管理職に限定されません。プロジェクトやチーム内で適性を持つ人が担うことが多いポジションです。

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2.リーダーの育成が必要な理由

企業が今後も成長し続けるため、組織が最大限の力を発揮していくには、リーダーの存在は欠かせません。では、なぜリーダーは育成する必要があるのでしょうか。ここでは、リーダーの育成が必要とされる主な4つの理由をみていきます。

  1. 企業が成長し続けるため
  2. リーダー人材の確保が難しいため
  3. 人材定着のため
  4. リーダーは適性だけでは務まらないため

①企業が成長し続けるため

次世代のリーダーは企業の将来を担う存在です。この先も企業が成長し続けていくには、組織の力を引き出し、目標達成に導ける人材が欠かせません。今のリーダーが永続的に企業の成長を担うわけではなく、さまざまな理由からリーダーを交代するタイミングが訪れます。

そのときにリーダーに適する人材がいないと、企業の成長が滞ってしまうでしょう。企業が止まらず成長を続けるには、いつどんなタイミングでもリーダーに選任できる人材を育成し、ストックしておくことが必要です。

②リーダー人材の確保が難しいため

現代は少子高齢化が進展し、人材不足の状況が深刻化しています。人材確保が難しい状況では、高いスキルを持つリーダー人材の確保はより難しいもの。なぜなら、リーダーともなれる人材は市場での需要が高いからです。そのため、自社でリーダー候補を選定し、早期に育成に取り組む必要性が高まっています。

社内の人材をリーダーとして育成すると、組織の文化も継承できます。外部から採用したリーダー人材はスキルが高くても、組織の文化ややり方に慣れるまで時間がかかる可能性もあるでしょう。そうした点でも、社内でリーダーを育成することはメリットがあります。

③人材定着のため

リーダーの適性がある優秀な人材は、他社からも求められるような市場価値の高い人材です。そうした人材を定着させるためにもリーダー育成が役立ちます。企業側が積極的にリーダー育成に取り組むと、従業員は企業から必要とされていると感じられ、エンゲージメントが高まります。

育成により企業が求めるリーダーを生み出せるだけでなく、その人材を次世代の経営幹部候補として投資しているというアピールにもつながるでしょう。

④リーダーは適性だけでは務まらないため

リーダーは適性も重要な一方、それだけでは不十分です。とくに、現代はビジネス環境の変化が激しく、求められるリーダー像も状況によって変わってきています。従業員が持つリーダーの適性にくわえ、今のビジネス環境に必要なリーダーのスキルを身につけるためには育成が必要です。

リーダーは一朝一夕で育つほどかんたんな人材ではありません。リーダーの適性を持つ人材を見極め、足りないスキルを補完したり、今あるスキルを高めたりするために、中長期的に育成に取り組むことが求められます。

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3.リーダーの育成がうまくいかない理由

リーダーの育成は重要度が高いものの、うまくいかないと悩んでいる企業も少なくありません。リーダーの育成がうまくいかない理由として、主に下記が考えられます。

  1. 育成が難しい
  2. 育成の時間を確保しにくい
  3. 育成体制が整っていない
  4. 現場の負担が大きい
  5. リーダーを志望する人が少ない
  6. 育成の成果がわかりづらい

①育成が難しい

従業員一人ひとりが持つ能力やスキル、経験や強み・弱みはさまざまあり、育成方法を統一して個々の能力を高めるのは難しいでしょう。画一的な育成が難しい点で、リーダー育成がうまくいかないケースもあります。

研修や実務経験などからリーダーを育成していくものの、必ずしもリーダーとして同じだけの能力を高められるとは限りません。

②育成の時間を確保しにくい

短期間で企業が求めるリーダーを育成するのは難しいでしょう。なぜなら、必要なスキルや知識を身につけるにはある程度の経験を積む必要があり、時間がかかるからです。

また、リーダー育成は通常業務と並行して行わなければならず、育成する側とされる側の負担も大きいもの。人手が足りない状況にある組織では現場が優先され、リーダー育成の優先度が下がりやすいといった問題もみられます。

③育成体制が整っていない

リーダーを育成するための体制が整っていないことも理由の一つとして挙げられます。リーダー育成は時間やコストがかかり、かつその効果が見えにくいもの。目の前の業務に追われて育成体制が整えられない、利益につながらないため育成に必要なコストを用意してもらえないなど、原因はさまざまです。

リーダーの育成体制を整えるには、リーダー育成の重要性を認識し、社内全体が協力する必要があります。

④現場の負担が大きい

リーダー候補として選抜される人材は、現場で大きな戦力となる人材であるケースが多いでしょう。育成のため現場を離れなければならないとき、それが原因でチームが回らなくなると、売り上げにも影響する恐れもあるでしょう。

育成は中長期におよぶため、その間チームがパフォーマンスを発揮できないことを懸念して育成が後回しにされてしまう可能性も考えられます。

⑤リーダーを志望する人が少ない

リーダーになる意欲のある従業員が少ないことも原因の一つでしょう。リーダーになることはキャリア面ではメリットがあります。しかし、責任と業務は増えても給料はそこまで変わらない、仕事よりもプライベートを充実させたいなどの理由から、リーダーになりたくないと考える従業員も一定数存在します。

たとえ、リーダーの適性がある人材がいたとしても、リーダーになることは強要できません。その人に意欲がなければ次世代リーダーの候補として育成するのは難しいでしょう。

⑥育成の成果がわかりづらい

リーダーの育成は中長期的な取り組みであり、かつ定量的な成果が見えにくいもの。たとえしっかり育成できていたとしても、育成の成果を実践で確認する機会が少ないため、効果が判断しづらいこともあります。

短期的な成果を追求する経営体制のもとでは、育成に時間やコストがかけられない場合もあるでしょう。結果、リーダー育成がおざなりになり、求めるリーダーを育成できなくなってしまいます。

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4.リーダーの育成方法

では、リーダーは具体的にどのように育成するのでしょうか。リーダー育成に有効な3つの方法をご紹介します。

研修の実施

リーダーに必要なスキルや知識を習得するのに有効な方法です。リーダーに求められる基本的なスキルから経営知識、管理手法などさまざま学べます。研修は、その人のスキル習得状況や適性にあわせて、学習内容をカスタマイズできます。

外部研修なら現場から離れてスキルの習得に集中でき、eラーニングも活用すれば効率的に学習できます。

現場での実践

研修でインプットするだけでは、育成は十分とはいえません。学んだことを現場で実践してこそ、育成の効果が発揮されます。また、実践によって理解度や改善点も把握できます。

実践の場は、特定のプロジェクトや日常的な業務のなかで問題ありません。実践するうえで「どういったリーダー像を求めているか」「何を期待しているか」を伝えることがポイントです。

1on1ミーティングの実施

現リーダーと育成の対象者が信頼関係を築き、二人三脚で育成に取り組むことも重要です。1on1ミーティングは信頼関係の構築に有効であり、内省と改善を繰り返すことで効率的に育成できます。

育成される側の従業員は、育成過程でさまざまな悩みや課題に直面することも多いでしょう。そうしたときに相談できたり、アドバイスしてもらえたりする環境では、モチベーションを下げることなく育成に取り組めます。

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5.リーダー育成のポイント

リーダーの育成は、以下のようなポイントを意識して取り組むことが大切です。

  1. 全社的に取り組む
  2. 中長期的な育成計画を立てる
  3. リーダー候補の選定基準を明確にする
  4. 実践の場を多く設ける

①全社的に取り組む

リーダーの育成は企業の将来に欠かせません。全社的に取り組むためにも、リーダー育成を企業全体の最優先課題と認識することがポイントです。企業全体の最優先課題であると認識できれば、経営層や現場からの理解と協力が得やすくなります。

また、リーダー育成だけに重点を置くのではなく、それに伴う業務や人員の調整など、育成によって発生する負担軽減に取り組むことも大切です。

②中長期的な育成計画を立てる

リーダー育成は短期で完了するものではありません。中長期的な視点を持ち、3年後、5年後、10年後を見据えた育成計画を立てるとよいでしょう。

そのためにも何年後にどういった姿になってほしいかを明確にし、そのために必要な育成と実践を行い、プロセスを評価することが重要です。育成中の従業員の離職可能性やメンタル面も考慮して計画を立てましょう。

③リーダー候補の選定基準を明確にする

リーダーの育成は、対象者の選定が第一ステップです。リーダー候補の選定基準を明確にすると選定がスムーズに進み、従業員からの納得も得やすくなります。また、選定基準が明確なら、将来リーダーを目指す人のモチベーション向上にもつながるでしょう。

選定基準は適性や能力だけでなく、向上意欲やポテンシャルなど、将来的な視点も持って決めることがポイントです。リーダー育成は中長期にわたるため、今の視点だけで選定しないようにしましょう。

④実践の場を多く設ける

どれだけ研修でインプットしても、現場で実践しないとリーダーとしてのスキルや立ち回りは身につきません。リーダーとして担う可能性がある業務や新規事業の立ち上げ、複数の部署と連携するプロジェクトなど、リーダーとしての役割が発揮できる機会を提供することも重要です。

実践によって育成の成果が把握できるだけでなく、当人もリーダーとしての自覚が芽生えやすくなります。そのためにも、現場の理解を得て、リーダー候補が幅広い業務や役割で経験を積める環境と体制を整えることもポイントです。