ぶら下がり社員とは? 生まれる理由、引き起こす問題やデメリット、対応や対策、ハイパフォーマーについて

働き方の多様化が取り沙汰される中、ぶら下がり社員といわれる30~40代以降の社員の在り方が問題視されています。しかし、ぶら下がり社員とは一体何でしょうか。

ここでは、ぶら下がり社員が生まれる理由や背景、ぶら下がり社員が引き起こす問題やデメリット、企業として取るべき対応策、ハイパフォーマーとの関係性、フリーライダー(ただ乗り社員)との違いなど幅広い視点から解説します。

1.ぶら下がり社員とは?

ぶら下がり社員とは、仕事に対するモチベーションが低く、指示されたこと以上の仕事をやろうとしない、成果を発揮することがない社員のこと。管理職やマネジメント業務を希望しない、会社の仕組みに慣れた30~40代の中堅社員に多いといわれています。

彼らを管理するマネージャーにとってこういった受け身姿勢の社員は扱いづらく、優秀な人材を育成するにあたって障害となるケースも多々。そのため問題社員として、世間で注目を集めているのです。

指示があったこと以上の仕事をやろうとしないぶら下がり社員。仕事に対するモチベーションが低く、マネジメント業務を嫌がる傾向があります

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2.ぶら下がり社員が生まれる理由、背景

ぶら下がり社員が生まれる背景にあるものとは何なのでしょうか。

居心地の良さ

大企業の場合、全く仕事をしなくても、決められた給与は支払われます。ぶら下がり社員にとっては働かずともお金が手に入る環境なので、指示以上のことなどを頑張ろうとしません。

それによりさらに、仕事を任されることが減り、ただ居るだけの存在になります。本来能力がある社員が何かを機にこのような負の連鎖に陥った場合、ただ会社に通うだけの生活になってしまうでしょう。

諦観

ぶら下がり社員は、諦観すなわち「諦め」の感情を持っているといわれています。ハラスメントの横行、目に見えるものしか評価されない成果主義、経営層との意見の食い違いなどが原因で「自分は会社に評価されない」と組織への期待を諦めてしまうのです。

また組織だけではなく、「しょせん自分はこの程度」と自分自身の能力に見切りをつけてチャレンジを諦めてしまう場合も。

自信がない

本来の業務と異なる仕事を押し付けられる、能力に見合った給与をもらえない、正当に評価されないなどの環境に陥ると、自分の能力や仕事ぶりに自信が持てず、頑張ろうという気が起きません。

結果、モチベーションが低いまま転職する気力もなく、何となく日々をやり過ごすぶら下がり社員が生まれてしまうのです。

特に気が弱い、要領が悪いといった場合、不当な扱いを甘んじて受けてしまう場合も多く、それらがこうした悪循環に導いてしまうといえます。

ぶら下がり社員の特徴は「居心地の良さに甘えている」「組織や自分自身の能力を諦めている」「自信がない」の3つです

3.ぶら下がり社員が引き起こす問題、デメリット

続いて、こうしたぶら下がり社員が引き起こす問題や、組織に与える悪影響について見ていきましょう。

受け身、指示された仕事しかしない

ぶら下がり社員は、自発的に考えたり行動したりということがありません。言われた仕事を素直に実施するため一見真面目に見えますが、現状を維持するのみで革新的な業務はしたがらない傾向にあるのです。

組織としては、特にミドルシニア層には「経験をもとにした事業の推進」を期待しています。そのために給与以上のパフォーマンスを求めますが、ぶら下がり社員は待遇だけを享受して期待された働きをしないため、コストのかかる社員になってしまうのです。

消極的な風土になる

ぶら下がり社員が多いといわれる30~40代が消極的な働き方をしているにもかかわらず高い収入を得ていれば、ほかの社員は「ああいう働き方でも給与が下がらないのであれば、自分もそれなりの働きでいいか」という考えになってしまうでしょう。

その結果、組織全体がやる気を失い、同じようなぶらさがり社員が増加してしまうのです。

管理職の人数が増えない

ぶら下がり社員は、責任を回避したがるため、管理職になることを嫌がる傾向にあります。このようなことが相次ぐと中核を担う人材が育たず、組織は脆弱化するでしょう。

下の世代から管理職に引き上げようとしても年功序列が基本の日本では、起こり得る懸念のほうが強く、なかなか踏み切ることができません。また、若手を指導する存在もいないため人材育成もままならず、戦力となるまでに時間がかかってしまうのです。

業績が下がりやすい

ぶら下がり社員は一見真面目に見えますが、自分から積極的に動いて仕事を獲得する、新しいアイデアを提案するといったことはありません。

リーダーとなる中堅層の社員でも、部下や後輩を持たず周囲を引っ張っていかない、重要な会議中に発言せず提案をしないなどがほとんどです。これによって業務は現状維持もしくは下降し、結果として業績が低下してしまいます。

周囲の不満がたまる

ぶら下がり社員の存在によって周囲の社員は、フォローに奔走したり業務量が増えたりするため、不満をため込んでしまうのです。またぶら下がり社員の多くは会社に長く勤めている先輩に当たるため、文句も言えず、どんどん疲弊していきます。

これにより士気が下がったり優秀な社員が辞めてしまったりと職場の雰囲気も悪化してしまうのです。

ぶら下がり社員は、周囲の社員や組織の業績にまで悪影響を及ぼすと考えられます

4.ぶら下がり社員を続けるとどうなる?

ぶら下がり社員を続けていると、本人にはどのようなことが起こるでしょうか。

スキルアップ、キャリアアップが見込めない

ぶら下がり社員は、自分や社内の仕事に対して関心が低いため自ら動くということをしません。達成したい目標や新しく身に付けたい技術もないため、スキルアップも見込めないでしょう。

それによってキャリアアップの道も遠ざかり、本人自身が将来の可能性を潰してしまうのです。最悪の場合、組織内で「いらない社員」「できれば切り捨てたい人材」の候補にリストアップされてしまうかもしれません。

リストラ対象になりやすい

業績が好調な企業でも、好調なうちに人材を整理する場合があります。その際、30~40代以降となると若手社員よりも年収が高いため、人件費削減の対象とされやすいのです。

以前から組織にとってプラスの働きをしていればリストラのリスクを回避できるかもしれません。しかしぶら下がり社員の場合、真っ先に対象にされてしまうでしょう。ぶら下がりの継続は、企業だけでなく社員自身にとってもリスクの高い行為なのです。

消極的な姿勢は、スキルアップやキャリアアップが見込めないだけでなく、企業のリストラ対象にされやすいという危険性も孕んでいるのです

5.ぶら下がり社員の対応、対策、対処法

ぶら下がり社員が組織にいる場合、企業としてどのような対策、対応を取るべきか解説します。

管理職によるマネジメント

まず行うべきことは、管理職によるマネジメントです。

傾聴によって話を聴き出す

初めに話を聴きましょう。ぶら下がり社員とはいえ、最初からぶら下がり社員だったわけではありません。何らかのきっかけでぶら下がり化してしまったケースが多いとされているのです。

未来への不安や会社への不満、自分に対する諦めなど、何がモチベーションの低下を招いているのか、原因を突き止めていきましょう。それには、今、どんな状態なのか、何を思っているのか、よく話を聴き解決策を一緒に探すことが重要です。

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コーチング

しっかり話を聞き、ぶら下がりの原因や本人が知らず知らずのうちに抱えている不安や不満を明らかにしたら、次にコーチングを行います。状況に応じたアドバイスを行い、ぶら下がり社員が自分を見つめ直すきっかけを生み出しましょう。

この際、答えを相手に教える「ティーチング」ではなく、相手の中にある答えを引き出す「コーチング」を行うことが望ましいとされます。価値観を押し付けて無理やり変わらせようとしても、社員の心を動かすことはできません。

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時間を設ける

ぶら下がり社員が自分を見つめ直すことができるよう、時間を設けることも重要です。30~40代のミドルシニア世代にいきなり「変われ」といっても、消極的な姿勢が身に付いたぶら下がり社員が急に方向転換するのは難しいでしょう。

現状に対して企業が危機感を持っている、変化を求めているなどを伝え、それに対する考えを示すまである程度の時間を設けます。

このとき、突き放したようなやり方では「見捨てられてしまう」といった不安や疎外感をあおってしまいます。気にかけているという姿勢を心掛けてください。

面談を行う

考える時間を設けたら、再度面談し、社員の中で生まれた変化や今後についての考えを聞き出しましょう。このとき、個人としての目標を設定したり、すでに設定した目標を見直したりすることも効果的です。

目標が高すぎると達成の可能性が低く、せっかく考えを改めた社員がまた諦めてしまうことも。個人の成長が見込め、怠惰につながらない程度の目標を掲げるとよいでしょう。「こういうふうに頑張りたい」という目標に沿って、やり直しの機会を設けます。

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研修やセミナー

社員がスキルに自信がないとなった場合、その自信を取り戻せるきっかけをつくるために研修やセミナーを実施してフォローしましょう。

特に30代以上のぶら下がり社員の場合、バブル崩壊や超就職氷河期のあおりにより、社内教育を受けずに現在に至ったケースも少なくありません。

そのせいで仕事の面白さを見つけられない、重要性に気付けないなどから給与だけがモチベーションになってしまったという人も存在するのです。研修などを通して、仕事の意味や役割を考え直す契機にもなるでしょう。

声掛け

マネジメントまでとはいかずとも、成果を出したときだけでなく普段から声掛けをすることは重要です。これによって「気に掛けている」点を伝えられるため、社員の不安感、疎外感などの解消や自発的な言動につながることが期待できます。

管理職のほうから社員を理解しようという気持ちで心を開き、存在価値を認めて、部下の成長を期待していることを分かりやすい言葉で伝えましょう。仕事の達成感や満足感を通して、自分が行う仕事の意義や会社などに貢献している事実を実感してもらいます。

交流会

ぶら下がり社員は自分の殻にこもって「諦めて」しまっていることも。こういった場合に役立つのが交流会です。社員同士でコミュニケーションを取れば、自らを見つめ直すきっかけづくりとなるでしょう。

またぶら下がり社員は、自分と組織のつながり意識が希薄な傾向があり、それがもとで孤独を感じていることも。疎外感を排除して組織へのロイヤルティ(愛着心)を育てるといった意味でも、コミュニケーションを積極的に取れる場は効果的です。

活躍の場を与える

ぶら下がり社員には、仕事に対してやりがいを見出せないまま機械的に作業を続け、将来への希望を失っているケースが多々見られます。こうした社員には、プレゼンや小さなプロジェクトのリーダーなどの役割を与え、前に出る機会をつくりましょう。

これにより、自発的に考えて動くきっかけが生まれます。また、目標を実現するために全力で結果を出す経験をさせることで、自信と意欲向上にもつながるのです。それでも、もし自信がないといった場合、敵船サポートして成功体験を与えるよう配慮しましょう。

褒める

単に業務を与えて指示するだけではなく、褒めることで社員の良さを引き出すことができます。成功したら褒めることを心掛け、自信を取り戻せるようステップを踏んで指導や評価を行いましょう。

「この仕事はあなただからできる仕事だ」という点を伝えることは重要です。それは、組織が社員をきちんと見ている、すなわち組織にとって「自分は必要とされている」という実感を生むことにつながるのです。

ぶら下がり社員は組織への不信感や不満からモチベーションを失っています。是正するなら多少マネジメントコストがかかっても、誠意をもって再教育する必要があるでしょう

6.ぶら下がり社員とハイパフォーマー

最後に、ぶら下がり社員とハイパフォーマーの関係について解説します。

ハイパフォーマーとは?

ハイパフォーマーとは、経験やスキル、知識を多く持ち、それを活用して高い成果を発揮できる優れた人材のこと。すなわち生産性の高い人材のことで、企業内にハイパフォーマーが多く存在すると、必然的に企業の生産性は効率よく高まります。

ハイパフォーマーには、成果にこだわる、行動力がある、コミュニケーション能力が高い、部下・後輩からの信頼が厚い、ポジティブといった特徴があり、一緒に働く人材の育成にも良い影響を与えるのです。

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ローパフォーマーとは?

ローパフォーマーはハイパフォーマーの対極に位置する存在で、与えられた指示以上のことをしないぶら下がり社員のほか、「ただ乗り社員」(フリーライダー)もローパフォーマーです。

ただ乗り社員とは、自らは業務を怠けているにもかかわらず、優秀な社員の挙げた成果に便乗する形でパフォーマンス以上の給与をもらっている社員のこと。

目的意識を持たない、努力をしない、チームワークを乱す、怠けるといった特徴があります。ぶら下がり社員との大きな違いは「勤務態度が真面目ではない」という点です。

2-6-2の法則

2-6-2の法則とは、組織がプロジェクトやグループを構成する際、特に意識せずとも自然と「2対6対2」の割合ができるという法則のこと。

ビジネスにおいては、「ハイパフォーマー2割」「一般的な業務遂行能力のある社員6割」「ローパフォーマー2割」という内訳になります。

組織が、ローパフォーマーが存在しない組織を目指したい、ハイパフォーマーで埋め尽くされたプロジェクトチームをつくりたいと思っても、結局「2-6-2の法則」に該当してしまうといわれているのです。

2割はローパフォーマー

この法則からも分かる通り、組織の構成員のおよそ2割はローパフォーマーとなります。そういった人材がどうしても生まれてしまう点を考慮して進める必要があるでしょう。

しかし、2割のローパフォーマーを退職に追いやれば、残り8割の社員のモチベーションが低下する可能性も高いです。安易に切り捨てを考えず、総合的な会社の利益を見越して、ローパフォーマーの能力や意欲の向上を進めましょう。

ぶら下がり社員やフリーライダーといったローパフォーマーとどこまで向き合えるかは重要な課題でしょう