グローバリゼーションとは? メリット・デメリット、課題、導入事例などについて

「グローバリゼーション」とは経済や政治根文化などが国境を越えて地球規模で統合・画一化・拡大していくことです。

1.グローバリゼーションとは?

「グローバリゼーション」とは技術の革新によって従来の国や地域といった物理的な垣根を超え、政治・文化・経済などが世界規模で拡大していく様子のこと。ヒト、モノ、カネが活発に移動し、地球規模で資本や情報のやり取りが行われる現象を指します。

経済の自由化や人的交流などあらゆる分野で統合・画一化が可能となったグローバリゼーションは、経済学や社会学など幅広い分野で議論されているのです。そんなグローバリゼーションが起きた背景からメリットとデメリット、これからの課題などを見ていきます。

国家や地域の垣根を越え、地球規模でやり取りが可能になったグローバリゼーション。これによりヒト、モノ、カネが活発に移動するようになりました

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2.グローバリゼーションが起こった背景

「グローバリゼーション」という現象を正しく捉えるためには、その起源やメリット・デメリットについて知る必要があります。グローバリゼーションが出現した背景にはどのような歴史があるのでしょう。また国際化とはどういった違いがあるのでしょうか。

グローバリゼーションの起源

グローバリゼーションの始まりは古く、16世紀ヨーロッパの大航海時代だといわれています。諸説ありますが、1760年代に起きた「産業革命」により一気に拡大したという考えが一般的です。

その後の第一次・第二次世界大戦で一時停滞するも、20世紀後半から更なる拡大を見せました。鉄道や飛行機などの輸送手段、またインターネットによるテクノロジーの発展がグローバリゼーションをより一層加速させたのです。

今後もAIやロボティクス産業が発展し、これまでにないスピードでグローバリゼーションは拡大すると見られています。

グローバリゼーションと国際化との違い

国際化には「国際的な視点で地球規模の行動を起こす」という意味を持ちます。あくまで「国境線を前提とした国同士の相互作用」を促すもので、他国からの影響は受けにくい概念です。

一方グローバリゼーションは国や地域だけでなくあらゆる枠組みから外れてヒト、モノ、カネが行き来する現象となります。経済や文化などに相互連鎖関係が構築され、間接的な影響を受ける可能性があるのです。

グローバリゼーションは広い分野で複雑かつ密接に絡み合っています。アジア通貨危機やリーマンショックによる世界経済危機などは、まさにグローバリゼーションの影響を示した事例です

3.グローバリゼーションのメリットとデメリット

グローバリゼーションでは、資本主義や自由主義を採用した新興国・発展途上国が市場改革に乗り出す例が挙げられます。これにより他国の産業や文化を自国の発展に活用できる点は、グローバリゼーションのメリットでしょう。

一方、資本力の高い多国籍企業が進出してくることで自国の産業や農業が停滞するといったデメリットもあるのです。

自国民の雇用機会喪失や政治的に利用される懸念、ひいては自国発展主義の拡大にもつながると警鐘を鳴らす経済学者も存在します。

今後もグローバリゼーションの活発化が予想されています。グローバリゼーションの本質、メリットとデメリットを理解したうえで事業展開を図りましょう

3.グローバリゼーションが抱える課題

国や地域の垣根を超える「グローバル化」と聞くと、「よい作用が起きそう」「さらなる発展が望めそう」などと考えてしまいがちです。しかしグローバリゼーションの推進には多くのメリットがある反面、少なからず課題となる部分もあるので注意しましょう。

グローバリゼーションの効果

グローバリゼーションにより、新興国は先進国の資本や技術を受けられます。先進国の資本や技術を受け入れると、自国の発展に寄与できるといったメリットがあるのです。またそれによりグローバル経済も発展できます。

グローバリゼーションにより先進国の企業は、生産コストを圧縮し、国内市場の縮小に対する対応策として活用できます。環境問題が地球規模で拡大するなか、国際的な協力は必要不可欠でしょう。

グローバリゼーションの拡大により、地球環境における問題意識を世界規模で高められる点もメリットです。

グローバリゼーションの懸念点

グローバリゼーションは国や地域という枠組みを超え、さまざまな分野で相互連鎖反応をもたらす取り組みです。それは同時にこれまで局地的に抑えられていた、災害や疫病の発生が自国の経済にも打撃を与えるようになることも示しています。

また多種多様な価値観や文化を持つ人々の交流には、文化上の衝突や摩擦を生み出す懸念もあるでしょう。

近年、インターネット技術の発達やデジタル化による国外からのサイバー攻撃も、グローバリゼーションが生み出した副産物として問題・課題として挙げられています。

生産性の向上とのバランス

一国の経済を安定させるために取った経済政策や金融政策が、他国に不利な状況を生み出してしまう可能性もあります。

国際貿易が盛んな日本において、マイナス金利政策などの金融緩和は国内企業利益率の底上げに一定の成果を出しました。しかし国内における雇用機会の損失につながり、生産性の向上と新たな付加価値の創出に対する遅れが出ているとも、指摘されているのです。

日本は生産性の向上と為替変動のバランスに関して、都度考えて見直す必要があると考えられます。

ダイバーシティ化とのバランス

ヒト、モノ、カネの行き来が活発なグローバリゼーションには人材マネジメントにおける懸念点があります。

グローバリゼーションのメリットを活かすには、国や地域ごとに異なるニーズと価値観をとらえて多様性を尊重する「ダイバーシティ」の考えが不可欠です。

多様性に対する理解が薄いままグローバリゼーションを進めると、価値観の異なる人材間で衝突が生まれる可能性もあります。国籍や価値観、さまざまな要素を加味してそれぞれの意見を尊重する、真の意味でのダイバーシティ化が今、求められているのです。

グローバルな人材が不足している

ダイバーシティ化とのバランスを図るには、グローバルな人材が必要不可欠でしょう。しかし日本には高い語学力やコミュニケーションスキルを身につけた人材が不足しており、まだまだグローバル化に対応できていない面があると指摘されています。

TOEFLの国別ランキングでも、日本人の英語力は163カ国中135位、アジア内では30カ国中27位と非常に低い水準です。また中堅社員以上でも、海外の工場や子会社を管理していくマネジメント能力が十分備わっているのか、が問われています。

日本政府の対応

国際競争力と国内産業の活性化に向けて、日本政府は日本企業がグローバリゼーションに取り組んでいくことを推進しています。優れた技術や経営手法を持つ海外企業を日本に誘致すると、グローバル市場に展開を見込めるようになると考えられているのです。

しかしながら日本の「対内直接投資残高の対GDP比」は、2016年時点で世界198カ国中189位。政府は2020年までに対内直接投資残高35兆円を目指し、投資案件の発掘や日本人の英語教育の強化といった取り組みを促進・注力しています。

国際化指標2010のポイント

「国際化指標2010」とは、日本企業が抱える人材の国際化という課題に対して、グローバルな人材教育や人材マネジメントに関する取り組みを示した指標のこと。

国際化指標は「グローバル人材の選抜・配置等」、「人材の採用・育成」、「業務プロセス」と3つの領域に分かれた全85項目で構成されています。

人事部門の戦略的な位置付けやキャリアパスの明確化、外国人・新卒採用及び人材の育成など、日本企業がさらなる成長を実現するうえで、国内外の人材がより活躍できる組織づくりを重視した指標となっているのです。

グローバリゼーションはさまざまな課題を持ちますが、それらに対する施策も次々進められているのです。日本企業が国際競争力を高めていくうえで実施すべきことを改めて確認しておきましょう

4.グローバリゼーションを導入した事例

グローバリゼーションを具体的かつ深く理解するには、実際に導入した企業の実例を見るとよいでしょう。日本にはグローバル企業として活躍している企業も多数存在。ここでは、グローバリゼーションにおいて飛躍的な成長を見せた企業の実例を紹介します。

P&G Japan

世界最大の一般消費財メーカーの日本法人「P&G Japan」は、グローバリゼーションによる経営環境の変化を受けて、「多様性を尊重する企業文化」「多様な社員が活躍するためのスキル」「多様な人材・働き方を支える制度」という3つの柱を掲げました。

同社では、これらがそろって相乗効果が生まれると、「能力」と「成果」の両方が最大化されると考えています。

グローバリゼーションのメリットを活かすうえで、グローバル基準の組織体制の転換は必要不可欠。P&Gでは人事統括本部を中心としたダイバーシティマネジメント施策を推進し、結果として世界180カ国に自社製品を展開することとなりました。

トヨタ自動車

日本を代表するグローバル企業のトヨタ自動車が目指すものは、「グローバル基準での品質確保」。「どこで作っても同じ品質」というグローバル基準の品質確保を掲げ、約170以上の国と地域において生産拠点の現地化を進めています。

トヨタはそれまで「暗黙知」として受け継がれてきた経営上の信念や価値観を目に見える形で表した「トヨタウェイ」という独自の考え方を約170以上の国と地域に浸透させているのです。

常に進化・発展する「トヨタウェイ」は、各拠点の自立化を促進するだけでなく、現地経済発展の寄与にもつながっています。

日本IBM

情報システムに関わる製品、サービスの提供を行っている日本IBMでは、ヒト、モノ、カネといった経営資源を一元化したグローバル企業を目指しています。

日本IBMはグローバル時代の組織形態を「国際企業」「多国籍企業」「グローバル企業」の3段階に分別。

生産性の向上を目指したグローバル基準でのコントロール体制、品質向上を前提とした意思決定、迅速な事業遂行を目指したグローバル企業の実現をソリューション事業として取り組み、世界中の活動拠点にて統合・ガバナンス強化を促進しています。

塩野義製薬

医療用医薬品の製造・販売を手掛けるシオノギ製薬は「常に人々の健康を守るために必要な最もよい薬を提供する」という基本方針にもとづいて、グローバル新薬の開発・販売を行っています。

日本国内のみならず世界中の患者に医薬品を届けられるよう、米国・欧州・アジアで事業展開を進めている企業です。

同社では、事業のグローバル展開が中長期の持続的な成長に必須だと考えています。世界最大の医薬品市場である米国では、新薬開発のスピード化や現地研究機関との共同開発にも取り組んでいるのです。

いずれの企業もグローバル展開は最終目的ではなく、企業の持続的成長における中長期戦略として考えられています

5.企業が取り組むべき課題と対応

企業がグローバリゼーションを推進していくためには、リスクマネジメントをはじめ、いくつか意識しておくべき点があります。ここでは、今後日本企業が国際競争力を高めていくうえで取り組むべき課題を見ていきましょう。

  1. リスクマネジメントを常に意識する
  2. ダイバーシティマネジメントの推進
  3. グローバルな人材の確保

①リスクマネジメントを常に意識する

グローバリゼーションを推進していくため企業は、M&Aを前提とした海外市場への進出と研究開発機関の海外拠点を設けることになります。これには当然、国内事業とは異なるリスクマネジメント体制を構築する必要があるでしょう。

リスクマネジメントの対象となる項目は、下記のとおりです。

  • 法規制などの監視強化
  • マーケットの分析
  • 情報セキュリティやリスク対応
  • 想定外に起こるリスクの認識
  • 報告体制や組織文化の構築

②ダイバーシティマネジメントの推進

イノベーションを起こすためには、さまざまな国籍や価値観を持つ人材がお互いの意見を尊重していく「ダイバーシティ」の考えが必要不可欠です。

日本企業はとりわけ同一性を重視し、職場の混乱を嫌う傾向にあります。しかし顧客ニーズの多様化が進む市場では、国内外の優秀な人材を適材適所で活かしていかなければなりません。

ダイバーシティマネジメントを推進すると、創造力の向上につながります。また従業員自らの市場価値を高めて将来の可能性につなげたり多様な顧客ニーズに対応できるようになったり、といったメリットもあるのです。

③グローバルな人材の確保

グローバリゼーションの推進には現地の社員に対して公正な人事評価を下せるグローバルな人材が必要です。

経済産業省が実施した人事マネジメントのアンケートによれば、海外拠点を持つ企業の中で人事部門が海外事業・グローバル人事にコミットする割合は、30%に満たないと報告されています。

これらから分かるのは、日本企業の大半はグローバル人材の導入と育成に後れを取っているという傾向です。日本企業にはキャリアパスの明確化や育成プログラムの整備、現地を指導する幹部社員の育成などが求められるといえます。

国内市場経済の縮小に伴う新たな市場開拓は必要不可欠です。日本企業が存在感を発揮するためには、迅速なグローバリゼーションへの対応が求められています