デザイン思考とは?【なぜ必要?】メリデメ、フレームワーク

デザイン思考とは、デザインプロセス手法を活用した思考方法です。ここでは、デザイン思考について解説します。

1.デザイン思考とは?

デザイン思考とは、

  • デザイナーが用いるデザインプロセス手法を活用する
  • デザインプロセス手法によりモノ、サービス、解決策を生み出す

という手法です。

デザイン思考の特徴は、

  • ユーザーに寄り添う
  • ユーザーを観察する
  • ユーザーに共感する

ことで、ユーザー自身も気が付かなかった問題や課題についての解決策を模索することです。

デザイン思考は、当事者を想定して行うことから、人間中心のプロセスであると考えられます。

アート思考との違い

デザイン思考と類似する言葉に、アート思考があります。

アート思考とは、

  • 非現実な世界も含めて自由に発想を取り入れること
  • 常識にとらわれない自由な発想を活かした手法

です。

デザイン思考とアート思考との違いは、それぞれの基盤が、

  • デザイン思考は、ユーザーのニーズ
  • アート思考は、自分の自由な発想

である点です。

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2.デザイン思考が注目される背景

デザイン思考が注目される背景があります。

ここでは、

  • ユーザーの能動性の向上
  • VUCAの時代

について解説します。

ユーザーの能動性の向上

デザイン思考が注目される背景のひとつは、ユーザーの能動性の向上です。

  • インターネット
  • スマートフォン

などが広く普及したことで、ユーザーのニーズが簡単に満たされる時代になりました。

ネットなどを活用することでユーザーの能動性が高まり、モノを手に入れたあとで何をするかという部分に注目が集まるようになりました。

VUCAの時代

デザイン思考が注目されるもうひとつの背景は、VUCAの時代であることです。

VUCAとは、

  • Volatility(変動性)
  • Uncertainty(不確実性)
  • Complexity(複雑性)
  • Ambiguity(曖昧性)

の頭文字をとったものです。

将来を予測するのが困難な時代だからこそ、デザイン思考に注目が集まっています。

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3.デザイン思考の5つのプロセス

デザイン思考には、スタンフォード大学のハッソ・プラットナー・デザイン研究所が提唱した5つのプロセスがあります。

ここでは、そのプロセスについて簡単に解説します。

共感 (Empathise)

デザイン思考の1つ目のプロセスは、共感(Empathise)です。

共感とは、ユーザーの思考を理解することです。

これはビジネスの基本でもあり、

  • なぜユーザーが欲するのか
  • ユーザーが手に入れたあと、どうするのか

といったニーズを探ります。

このとき、ユーザーの言葉を鵜呑みにせず、ユーザーの求めている核心部分に迫ることが重要です。

定義 (Define)

デザイン思考の2つ目のプロセスは、定義(Define)です。

共感のプロセスで得たユーザーの意見から、

  • 潜在的なニーズ
  • 本質的な課題

を掘り起こします。

この時、

  • 発生している問題の整理
  • 問題が生じた要因の分析
  • 取り組む必要のあるコンセプトの確立

を行うことで、問題について定義付けを行います。

概念化 (Ideate)

デザイン思考の3つ目のプロセスは、概念化(Ideate)です。

ふたつ目のプロセスで問題を整理し分析して導いた定義に基づき、それを仮説に見立て問題解決のためのアイデアを出していきます。

アイデアを出す際は、

  • できるだけ多くアイデアを出す
  • もっとも支持されたアイデアを決定する

ために、ブレインストーミングなどを活用します。

試作 (Prototype)

デザイン思考の4つ目のプロセスは、試作(Prototype)です。

試作とは、3つ目のプロセスで概念化したアイデアを実際に動くようにすることです。

アイデアを動かすことが重要であるため、

  • 時間
  • 手間
  • コスト

などを可能な限りカットして試作品を完成させ、ここまでのプロセスで見えなかった問題点をあぶりだします。

テスト (Test)

デザイン思考の5つ目のプロセスは、テスト(Test)です。

4つ目のプロセスでプロトタイピングしたものを、いよいよ市場へリリースします。

市場に出せばユーザーからのフィードバックが得られるため、デザイン思考のプロセスで導き出した定義との整合性を確認、ブラッシュアップを重ねていきます。

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4.デザイン思考を行うメリット

デザイン思考を行う3つのメリットについて解説します。

従業員の思いを仕事に反映できる

デザイン思考を行う1つ目のメリットは、従業員の思いを仕事に反映できることです。

デザイン思考では、職業や立場を問わず、

  • 誰かの役に立ちたい
  • 誰かのために働きたい

という思いを形にできます。

ユーザーに選択してもらえるものをさまざまな発想からデザインするため、従業員の思いを開発・改良に反映できます。

アイデア提案をする習慣が身につく

デザイン思考を行う2つ目のメリットは、アイデアの提案習慣が身につくことです。

デザイン思考では、そのアイデアが実現できるかどうかを問わず、可能な限り広く多くアイデアを募集します。

  • 失敗
  • 反論

といった恐怖を感じることなく自分の意見を提案することが習慣化されるのは、デザイン思考のメリットです。

さまざまな意見を受け入れられるようになる

デザイン思考の3つ目のメリットは、さまざまな意見を受け入れられるようになることです。

自由闊達なアイデアの交換を通して、

  • 違う立場の意見に向き合う
  • 相互で合意形成を図る

などが可能になります。

自分の考えとは異なる視点を受け入れなければならないことから、新たな視点を持つといった自己変革のきっかけにできます。

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5.デザイン思考を行う際の注意点

デザイン思考を行う際の3つの注意点について解説します。

ゼロベースの創造に不向き

デザイン思考を行う際の1つ目の注意点は、ゼロベースの創造に不向きであることです。

デザイン思考は、もともとあるあるプロダクトに対してイノベーションを起こすことはできます。

しかし、デザイン思考を、

  • 新規事業
  • ゼロベース

の企画に対して用いて画期的なプロダクトを創造するといった活用には向いていません。

結果重視になりがち

デザイン思考を行う際の2つ目の注意点は、結果重視になりがちなことです。

デザイン思考を追求しすぎると、ユーザーの反応にばかり注意が集まるため、

  • プロセスを軽視してしまう
  • 結果に重きを置いてしまう

ことになりがちです。

結果はもちろんですが、結果に至るまでの、

  • 前提
  • 過程

にも思考を及ぼすことが重要です。

アイデアがありきたりになる

デザイン思考を行う際の3つ目の注意点は、アイデアがありきたりになることです。

デザイン思考はユーザーのニーズを満たすためのモノ創りに特化した思考です。

そのため、ユーザーを広く設定すればするほど、汎用性の高いありきたりのアイデアを選択しがちになります。そうなると、本来求めていたイノベーションとは逆の結果になるリスクがあります。

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6.デザイン思考に適したフレームワーク

デザイン思考に適したフレームワークを紹介します。

共感マップ

デザイン思考に適した1つ目のフレームワークは、共感マップです。

共感マップには、

  • 見ているもの
  • 聞いていること
  • 考えたり感じたりしていること
  • 発言、行動
  • 痛み、ストレス
  • 望んでいること

といった6点があります。

これらを通してユーザーの、

  • 行動
  • 思考
  • 意識

を整理し、理解するフレームワークです。

SWOT分析と事業環境マップ

SWOT分析とは、

  • Strength(強み)
  • Weakness(弱み)
  • Opportunity(機会)
  • Threat(脅威)

この視点で経営戦略などの現状を分析するフレームワークです。

事業環境マップとは、ビジネスモデルにおける外部環境を、

  • 業界の圧力
  • トレンド
  • マクロ経済
  • 市場の圧力

といったよっつの領域に分けて評価するフレームワークです。

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ビジネスモデルキャンパス

ビジネスモデルキャンパスとは、ビジネスモデルを視覚に訴えることで認識し、共有できるフレームワークです。

キャンパスを用意し、

  • 主要パートナー
  • 主要な活動
  • 主要な資源
  • 提供価値
  • 顧客との関係
  • チャネル/販路
  • 顧客セグメント
  • コスト構造
  • 収益の流れ

以上ここのつの項目を埋めていきます。

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7.デザイン思考とデザイン経営

デザイン思考への注目が集まったことから、2018年5月に経済産業省と・特許庁が、「デザイン経営宣言」を発表しました。「デザイン経営宣言」とは、デザインが持つ力を企業競争力に活用した経営手法です。

デザイン経営宣言では、

  • ブランド構築に資するデザイン
  • イノベーションに資するデザイン

が問われます。

デザイン経営では、

  • 市場ニーズの適切な把握
  • ユーザーにとっての必要な製品やサービスの考案

といったデザイン思考が活かされます。

デザイン経営の具体的な取り組み

デザイン経営の具体的な取り組みとは、以下のようなものがあります。

  • デザイナーの製品やサービスの開発段階からの参画
  • デザイン部門と他部門との横断的な交流
  • デザイン責任者と経営チームとの密なコミュニケーション
  • デザイン経営に関する企業文化の醸造
  • デザインに関わる人材の採用
  • 試作品への積極的な取り組み

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8.デザイン思考の事例

デザイン思考に取り組む4社の実例をあげて簡単に解説します。

トヨタ自動車

トヨタ自動車は、サービスエンジニアと呼ばれる技術系のスタッフが力を最大限発揮できるよう、サービスセンターを開設。

そこで、デザイン思考を活用し、従来のカイゼンにイノベーションの力を加えました。

アップル

アップルはデザイン思考を用いたiPodの開発で、

  • 潜在的ニーズの把握、分析
  • 新たな顧客価値創造

へ取り組んでいます。

結果、

  • 大容量ハードディスク
  • 簡易な操作性
  • 音楽購入サービス実現

などユーザーから圧倒的支持を得た製品を生み出しています。

P&G

P&Gはデジタル化時代の電動歯ブラシの開発にデザイン思考を用いました。

ユーザー目線を徹底した結果、

  • USBによる充電
  • 本体操作によるアプリからの交換用ブラシの自動オーダー

ができる製品を誕生させました。

スポティファイ(Spotify)

スポティファイ(Spotify)は、デザイン思考を音楽ストリーミングサービスに活用しました。

「気持ちが落ち込む月曜日を元気にする音楽リスト」などを音楽リストに取り込んだ結果、世界最多2億3,200万人のユーザーを獲得するまでに成長しました。