CHROとは? 役割や必要なスキルの育て方、導入のポイントなども解説

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CHROとは最高人事責任者のことで、今後の日本企業で必要になるとされている役職です。今回はCHROについて詳しく解説します。

目次

1.CHROとは?

CHROとは、Chief Human Resource Officer(最高人事責任者)の略称です。CHROはもともと外資系の企業で用いられていた役職でした。

日本では「執行役員人事部長」や「取締役人事部長」にあたる役職で、人事関連業務を幹部社員として統括する役割を担います。CHROは人事部長とは異なり経営的な視点を持っている点が特徴で、今後の日本企業で必要になるとされています。

CHROとは?

CHOは同じ意味

CHROと同じような言葉で「CHO」という言葉もあります。CHOは「Chief Human Officer」の略称で、経営責任における人事の最高責任者であるため、CHROと基本的に意味は同じです。

ただし企業によっては、「Chief Health Officer(健康管理最高責任者)」や「Chief Happiness Officer(幸福最高責任者)」を指す場合もあります。

CHROと人事部長の違い

人事部長はあくまで、人事の部門での最高責任者です。一方、CHROは「企業の重要な資源である人材を経営にどのように生かすか」という視点から経営戦略を立案するため、組織作りの責任者といえるでしょう。

また、CHROは企業内で役員として配置され、人事部長は責任者として配置される点でも違いがあります。ただし、企業によってはCHROと人事部長が兼任されている場合もあります。

HRBPとの違い

HRBPとは「Human Resource Business Partner」の略で、事業部門の責任者のパートナーとして、人事の観点から事業の成長を支援する職務です。

CHROは経営陣の一員として人事戦略を策定しますが、HRBPは特定の事業部門の一員として活動します。より現場に近い立場で人事戦略を実行する点が、HRBPの大きな特徴です。

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2.日本企業におけるCHRO

人的資本経営コンソーシアム事務局は、2024年6月20日の「人的資本経営に関する調査結果」において、日本の企業がCHROをどれだけ導入しているか調査しました。以下は当該調査の回答分布と、それぞれの回答の詳細です。

日本企業におけるCHRO

引用:人的資本経営に関する調査結果(詳細)

選択肢 詳細
1 重要性を認識/議論していない
2 重要性を認識/議論はしているが対応策を未検討
3 具体的に対応策を検討
4 対応策を実行
5 対応策を実行し、その結果を踏まえ必要な見直しを実施
6 実行した結果、成果創出に明確に寄与

調査の結果、CHROの設置を進めている企業(4~6のいずれかを選んだ企業)の割合は63.2%でした。また、取り組みを進めたことで成果創出に寄与できた企業は14.2%存在します。半数以上の企業が取り組みを進めているため、CHROの重要性が認知され始めていることが伺えます。

CHROの平均年収の目安

CHROの平均年収は一概には述べられません。一般的には、年収800~1,200万円程度でCHROに就任するケースが多いです。就任者が人事戦略で成功した経験があったり、高度なスキルを持っていたりする場合は、年収2,000万円以上で迎えられる可能性もあります。

求人の募集要項や、就任する人物のスキル・経験によって、CHROの平均年収は大きく左右されます。

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3.CHROが必要とされる背景

ここからは、CHROが必要とされる背景として、以下の5点を解説します。

  • 少子高齢化の進行
  • 多様な働き方の浸透
  • 人的資本経営への注目
  • 海外進出の活発化
  • スピード感のある人事戦略の実現

必要とされる背景を知ることで、CHROの重要性について理解を深められ、経営層に説明できるようになります。導入を承認してもらいやすくなるため、CHROに興味がある人は一度確認しておきましょう。

少子高齢化の進行

現在、日本は少子高齢化が進行しており、生産年齢人口(15~64歳の人口)が減少傾向にあります。内閣府から発表された「高齢社会白書」によると、今後も生産年齢人口は減少すると予測されています。

少子高齢化の進行

引用:令和7年版 高齢社会白書(全文)(PDF版)

労働力が限られる中で企業が成長し続けるには、優秀な人材を確保し、一人ひとりの生産性を高めることが不可欠です。しかし、人事戦略を十分に練っていないと働き手のさまざまなニーズに応えられず、人材獲得の競争で不利になる可能性があります。

人材獲得を有利に進めるには、CHROを設置し、綿密な人材獲得戦略を策定・実行させることが大切です。精度の高い人事戦略を実行できるCHROがいると、優秀な人材を確保しやすくなり、企業が生き残りやすくなります

多様な働き方の浸透

近年、リモートワークやフレックスタイム制など、時間や場所にとらわれない多様な働き方が社会に浸透しています。企業が優秀な人材を獲得するには、多様な働き方を導入し、従業員のワークライフバランスを向上させることが大切です。しかし、従来と異なる働き方を導入すると、勤怠管理の複雑化やコミュニケーション不足など新たな課題も生じやすくなります。

生産性を損なわずに多様な働き方を浸透させるには、コミュニケーションツールの導入やリモートワーク用の備品提供など、さまざまな準備が必要です。現場に精通したCHROがいると、社員の希望を汲み取りながら、必要な準備を率先して進めてもらえます

人的資本経営への注目

人的資本経営とは、人材のポテンシャルを最大限に引き出すことで、企業価値の向上を目指す経営手法です。近年は投資家が企業の将来性を判断する際に、財務情報だけでなく、従業員のスキルやエンゲージメントなどの人的資本も重視する傾向が強まっています。

人的資本経営を実践するには、経営戦略と人材戦略を連動させることが大切であるため、両者の視点を持てるCHROは重要な存在です。CHROが人的資本に関する情報を分析し、経営戦略と連動した人材戦略を実行することで、人的資本経営をスムーズに実施できます

CHROによって人的資本経営を円滑に実行できると、投資家から注目されやすくなります。

海外進出の活発化

国内市場の成熟化により、新たな成長機会を求めて海外へ進出する企業が増加しています。海外事業を成功させるには、進出先の文化や法律などを理解し、現地で優秀なスタッフを集めることが必要です。しかし、国ごとに異なる人事制度を構築し、本社と現地法人で理念を共有することは容易ではありません。

グローバルなビジネス環境に精通したCHROがいることで、各国に合わせた人材戦略をリードしてもらえます。結果的に、海外進出の成功につながります。

スピード感のある人事戦略の実現

現代は技術革新や市場の変化が激しく、企業は環境の変化へ迅速に対応する必要があります。事業戦略がスピーディーに変化する中で、人事戦略が従来と変わらないと、企業の成長が鈍化しやすくなります。

経営の意思決定に関わるCHROがいることで、事業戦略の変更に応じて、必要な人材の採用や育成などをスムーズに実行可能です。CHROによってスピード感のある人事戦略を実現できれば、企業が時代の変化に対応しやすくなります

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4.CHROの役割

経営を人事視点から見るCHROは、企業目標達成のための組織作りを行ったり、企業文化を浸透させたりとさまざまな役割を担います。ここでは、CHROの役割について説明しましょう。

  1. 人事面から経営への参加
  2. 経営戦略に沿った人事評価制度の整備
  3. 社員の育成
  4. 企業ビジョン・理念の組織浸透
  5. 現場の声を経営に反映
  6. 人事施策の進行管理

①人事面から経営への参加

CHROに求められる役割に「人事の側面から経営に参画する」があります。

たとえば、企業が進めたいプランについて「必要な人材が集められるか」「人材を何人集めれば良いか」など、人事面から具体的なアドバイスを行います。いわゆる、CEOの右腕のような役割です。

②経営戦略に沿った人事評価制度の整備

「評価基準の作成」「正しく実行されているかの確認」「評価制度の修正」などもCHROの役割です。また、数値での評価が難しい部署に対して、社員のモチベーションをどのように維持するかを考えるのも業務のひとつです。

③社員の育成

人事を統括するCHROには「社員を育成する」という役割もあります。社員の育成を管理職に任せきりにするのではなく、各部署を横断した育成方法の確立が必要です。

経営戦略に沿った人員計画や育成計画を立てて、管理職のマネジメントや社員のキャリアアップなどをサポートするのも、CHROの仕事です。

④企業ビジョン・理念の組織浸透

企業のビジョンや方向性、理念を組織に浸透させていくのも、CHROに求められる役割のひとつです。

職場環境にも目を光らせ「悪い風習が生まれていないか」「部署内の風通しが悪くなっていないか」などを確認し、企業の風土や文化を作りあげることも求められます。

働きやすい職場環境を作れると、社員のモチベーションも向上するでしょう。

➄現場の声を経営に反映

人事部門を統括するCHROは、定期面談を行うことで、現場の従業員が抱える課題や意見を集約できる立場にあります。現場から上がる生の声は、企業の生産性向上や組織風土の改善につながる貴重な情報源です。

CHROは、収集した現場の声を経営陣に届けて、経営判断に反映させる橋渡し役です。たとえば、特定の部門でエンゲージメントが低下している場合、原因を分析して改善するための施策を経営層に提案します。

CHROが現場の声を経営陣に届けて、現場を改善することで、社員の満足度を高められます。人材が定着しやすい職場を作るには、CHROによる社員の意見の収集が不可欠です。

⑥人事施策の進行管理

CHROは、新たな人事制度や研修プログラムなどの人事施策を立案し、計画通りに実施できているかを管理する役割も担います。そのため、人事施策を導入した後、進捗状況や現場への浸透具合などを定期的に確認します。

施策の実行過程で問題が発生したり、期待した効果が得られなかったりする場合は、原因の分析や改善策の立案が必要です。CHROが人事施策の進行を管理することで、分析や改善をスムーズに実施できます。

CHROには、人事権限を最大限に利用して、人材の登用と育成を経営戦略に組み込むことが求められます。

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5.CHROに必要なスキル

CHROの役割は、経営戦略を実現するために、優秀な人材の登用と育成を行うことです。役割を問題なく遂行するには、どのようなスキルが必要でしょうか。ここでは、CHROに必要な能力について説明します。

  1. 組織を跨いだ人事マネジメント
  2. 労働法令をはじめとした人事労務における専門性
  3. 経営に関する知識
  4. 経営戦略を考える能力
  5. 問題・課題解決力
  6. コミュニケーション能力

①組織を跨いだ人事マネジメント

CHROは企業の人事を統括するため、すべての部署の役割に精通している必要があります。「どの部署がどのような仕事を行っているのか」「どのような人材を必要としているのか」を知っていなければ、人事に生かせません。

したがって、CHROには人事の知識だけでなく、さまざまな部署の知識やマネジメントの経験が必要です。

②労働法令をはじめとした人事労務における専門性

CHROは人事のプロフェッショナルとして経営に参画します。そのため、人事労務についての豊富な知識を持つ必要があります。

また、労働に関する法令はいつ改正されるかわかりません。法令の改正情報をいち早くキャッチし、内容を理解して経営の戦略に組み込むことも求められます。

CHROは改正情報に関するアンテナを常に張り巡らせ、改正が決まったら、早めに社内規定や制度を変更する準備を進める必要があります

③経営に関する知識

CHROは経営についても自身の意見を発信する必要があります。そのため、経営に関する知識も不可欠です。

生産管理や顧客管理、マーケティングなど、経営に関する知識は多岐にわたります。また、業界の動向や海外の経済情報など、最新のニュースにもアンテナを張る必要があります。

最新ニュースを含めた知識を得るためには、企業内外のさまざまな人と知り合って、見識を深めることが大切です。

④経営戦略を考える能力

CHROは経営者の一員として、企業の成長に貢献することが期待されます。そのため、経営知識をもとに、企業を成長させるための経営戦略を人事の観点から考える能力が必要です。

たとえば新規事業を行う場合、どういったスキルを持つ人材が必要か考えて、社員の育成や新しい人材の採用を組み合わせた計画を考える必要があります。

企業の中長期的な計画と、現場の現状を考慮したうえで、最適な戦略を考える発想力が大切です。

➄問題・課題解決力

問題解決能力もCHROには必要です。CHROには、人事や経営に関する豊富な知識をもとに、企業が抱えている問題や企業の目標を達成するためのアイデアを出すことが求められます。

アイデアを思いついたら、経営層および社員へわかりやすく説明し、実施できるように承認してもらうことも必要です。戦略の立案と周囲への説明を迅速に行えると、企業の成長も速くなります

⑥コミュニケーション能力

上述したすべての業務を円滑にこなすためのコミュニケーション能力も必要です。

組織や部署を最適化したり、社員のモチベーションを維持したりするには、各社員との面談や経営陣との会議が欠かせません。面談や会議を円滑に進めるためにも、コミュニケーション能力は重要な能力といえます。

CHROには経営や人事についての知識が必要です。加えて、知識や戦略を生かして企業の問題を解決する能力が求められます。

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6.CHROになるには?キャリアパスを紹介

CHROへのキャリアパスは複数ありますが、以下のいずれかの職種を経験してから就任するケースが多いです。

  • 人事責任者
  • 人事コンサルタント
  • 経営戦略コンサルタント

CHROになるには、ただ人事の経験を積むだけでなく、経営視点を持つことが重要です。事業マネジメントの経験や、人材の採用・育成・配置を通じて事業成果に結びつけた実績があると、CHROに就任しやすくなります。

また、事業部門で人的リソースを考慮しながら業務を進める経験も大切です。若い頃に事業部門の経験を積むと、CHROに就任してからより広い視野で物事を考えられます。

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7.CHROとなる人材の育て方

ここからは、CHROになれる人材を育てる方法として、下記の7つを解説します。

  1. 事業部門も経験させる
  2. ソフトスキルを伸ばす
  3. アジャイル思考を習得させる
  4. ピープルアナリティクスに関する教育を行う
  5. 経営に関する教育を行う
  6. コミュニティや外部セミナーへの参加を勧める
  7. 早期から育成に取り掛かる

①事業部門も経験させる

CHROは、現場の状況を考えながら、必要な人事戦略を実行する必要があります。そのため、実際に事業部門の業務を経験し、現場の社員の視点を持つことが大切です。

CHROになる人材を育てる際は、人事労務の部署だけでなく、さまざまな事業部門を経験させましょう。多くの部署で業務を進めた経験があると、俯瞰的な視点を持つCHROとして活躍しやすくなります

②ソフトスキルを伸ばす

企業のビジョンやグローバル化などを実現するため、ソフトスキル(コミュニケーションやリーダーシップ、社員のモチベーションコントロールなど)を伸ばすこともCHROの育成に必要です。

グローバルな事業の展開を考えている場合、ソフトスキルは特に重視されます。ソフトスキルがどれだけ伸ばせているかで、海外のスタッフとスムーズに対話できるかが決まりやすいです。

③アジャイル思考を習得させる

CHROには、素早い判断と対応力が求められます。物事を素早く考えられるようにするために「アジャイル思考」を学んでおきましょう。

アジャイル思考とは、50点でも良いから行動して、行動した結果をもとに改善しながら100点へ近づける考え方です。

スピードと質の両方を重視する、アジャイル思考を持ったCHROは、より早い判断が下せるでしょう

④ピープルアナリティクスに関する教育を行う

ピープルアナリティクスとは、採用や配置、離職といった人事関連のデータを収集・分析し、組織の人材戦略や業務改善に役立てる手法です。

ピープルアナリティクスに関する教育を行う

CHROの候補者に対しては、経験や勘だけに頼らない、データに基づいた意思決定能力を養う教育が重要です。具体的には、社内の人事データを収集・整理する方法や、データの分析結果から組織課題の解決策を導き出す思考法などを習得させます。

ピープルアナリティクスに関するスキルを養うことで、データに基づいた的確な人事戦略を実行できます

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➄経営に関する教育を行う

CHROが人事戦略を経営戦略と効果的に連動させるためには、経営学の体系的な知識が欠かせません。具体的には、企業の財務状況を読み解く会計の知識や、市場や競合を分析するマーケティングの知識を身につける必要があります。経営幹部向けの研修プログラムへの参加や、MBA(経営学修士)の取得を支援して、CHROの候補者に勉強する機会を提供しましょう。

会計やマーケティングの知識を身につけることで、企業の経営状況を俯瞰できるようになり、事業の成長に必要な人事戦略を考えやすくなります

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⑥コミュニティや外部セミナーへの参加を勧める

優れたCHROは、社外から常に最新の情報を取り入れています。CHROの候補者には、他社のCHROや人事の専門家が集まるコミュニティや、業界のセミナーへ積極的に参加するように勧めましょう。

社外の専門家と交流することで、先進的な人事の取り組みを学んだり、自社の課題を客観的に捉え直したりする機会を得られます。また、交流会を通じて社外の人と知り合うことで、自社の人事戦略について相談できるようになる点もメリットです。

⑦早期から育成に取り掛かる

CHROを育成するには、優れた人材を早期に見抜き、早くから育成に取り掛かる必要があります。経営者となりうる可能性を持つ人材を見つけてから、育成が終わるまで15年以上かかるケースが多いといわれています。

優れたリーダーシップやコミュニケーション能力がある人材を、早くからCHROとして活躍できるように計画して育てる意識が大切です。

CHROになる人物は、マルチに能力を発揮できる人材でないと務まりません。ある程度計画的に育成する必要があるでしょう。

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8.CHROの導入を成功させるためのポイント

ここからは、CHROの導入を成功させるためのポイントとして、以下の4つを解説します。

  • 経営層から、CHROの役割と権限について合意を得る
  • 自社に合ったCHRO像を定義する
  • CHRO導入後のKPIを設定する
  • 外部委託も検討する

それぞれのポイントを押さえることで、CHROを導入しやすくなります。CHROに興味がある人はぜひ確認しておきましょう。

経営層から、CHROの役割と権限について合意を得る

CHROを導入する際は、事前に経営層の中で、CHROの役割と権限の範囲を明確に定めることが重要です。具体的には「人事に関する最終的な意思決定権の範囲」「経営会議で担う役割」などを話し合い、合意形成を図ります。

役割や権限に関する合意を得ていないと、CHROが人事戦略を進めようとする際に、ほかの役員が裁量の大きさに疑問を持つ可能性があります。CHROの権限について議論が紛糾してしまうと、スムーズに人事戦略を実行できません。

CHROが円滑に自身の役割を果たせるよう、どれくらいの権限を持たせるか、あらかじめ経営者全員で決めておきましょう

自社に合ったCHRO像を定義する

あらかじめ、自社にとって理想のCHRO像を定義すると、どういった人を採用・育成するか決めやすくなります。CHROを導入する場合は、事前に自社が抱える課題を分析し、課題を解決するにはどういった人を登用するべきか考えてみましょう

たとえば、グローバル展開が課題であれば、海外での人事経験が豊富な人がCHROとして適任です。離職率の高さに悩んでいるなら、従業員エンゲージメントの向上や組織開発に強い人材が求められます。

CHRO導入後のKPIを設定する

あらかじめKPIを設定することで、CHROの活動が企業の成長に貢献しているかを客観的に評価できます。CHROを導入する際は、達成を目指してもらうKPIを事前に設定しておきましょう。KPIの例としては、以下が挙げられます。

  • 次世代のリーダー候補の育成人数
  • 従業員のエンゲージメントの改善率
  • 幹部クラスの人員の充足率

自社の経営課題に関係する内容をKPIに設定すると、CHROの貢献度をより評価しやすくなります。

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外部委託も検討する

社内にCHROの適任者がいなかったり、育成に時間がかかったりする場合は、外部の専門家に頼るのもひとつの手です。社内の状況を客観的に見てもらうことで、気付けなかった課題を発見できる可能性もあります。

「外部委託の人に人事戦略の基盤を整えてもらった後、社員にCHROの役割を引き継ぐ」という、段階的なアプローチも可能です。

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9.CHROを導入した企業の事例

ここからは、CHROを導入した企業の事例として、以下の3つを紹介します。

  • カゴメ株式会社
  • 株式会社サイバーエージェント
  • ソニーグループ株式会社

他社の事例を確認することで、CHROがどのような役割を果たせるか学べます。CHROをアサインする予定の人は、具体的な役割をイメージするための参考にしてみてください。

カゴメ株式会社

カゴメ株式会社は、トマトケチャップや野菜ジュースなどで国内No.1のシェアを誇る大手総合メーカーです。創業120年という非常に長い歴史がある企業で、人事戦略の一環として日本でCHROをいち早く取り入れた企業でもあります。

CHROを取り入れて社内の評価制度や報酬制度を見直し、企業全体の風土改革を進めています。また、CHROの戦略によって、販売のシェアを海外まで拡大しました。

株式会社サイバーエージェント

株式会社サイバーエージェントは、メディアやゲーム、インターネット事業を展開する企業です。企業文化を社員に浸透させるため、CHROを取締役に導入しました。

CHROによって「下位5%の人材にマイナス査定を行うミスマッチ制度」が導入され、企業理念が浸透していない社員を早期に発見する体制を整えました。マイナス査定に該当する社員に対して、改善するように働きかけることで、企業理念を浸透させるよう工夫しています。

ソニーグループ株式会社

ソニーグループ株式会社は、ゲーム・音楽・映画など、さまざまなジャンルの事業を展開している企業です。

同社では、グループ内の各社にCHROを配置し、人事戦略に関する重要な権限を委ねています。事業間の特性が大きいため、企業ごとにCHROを配置することで、各社の特性に応じた人事戦略を実行できています。

また、CHROを通して、社員と対話する機会を設けている点も特徴です。社員と経営陣の対等な関係を維持することで、社員のエンゲージメントを高めるように意識しています。

参考:「人的資本経営の実現に向けた検討会 報告書 ~人材版伊藤レポート2.0~ 実践事例集|経済産業省」(https://www.meti.go.jp/policy/economy/jinteki_shihon/pdf/report2.0_cases.pdf

日本でも、CHROをいち早く取り入れて、組織改革や経営戦略を成功させた大企業があります。CHROは今後もビジネスの世界で認知されるでしょう。

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