巻き込み力とは? 仕事やリーダーにとって重要な理由、鍛え方を解説

現代のビジネス環境では、個人の能力だけでは限界があり、チームや組織全体を巻き込んで成果を生み出す「巻き込み力」が求められています。

巻き込み力とは、チームを一つの目標に向けてまとめ、自然な協力関係を築く能力のことです。リーダーシップやコミュニケーション力とも密接に関わりながら、あらゆる場面で重要な役割を果たします。

この記事では、巻き込み力の意味や重要性、発揮するための具体的な方法、必要なスキルまで、体系的にわかりやすく解説します

1.巻き込み力とは?

巻き込み力とは、目標達成のためにメンバーの協力を引き出し、一つの目標に向かってチーム全体をまとめる能力を指します

メンバー、チームをまとめるといっても、ただ命令するのではなく、メンバーの意見を尊重し、自ら動きたくなるように働きかけ、協力関係を築くスキルです。

このスキルは、ビジネスシーンにおいて重要視されており、チームワークを向上させたりプロジェクトを成功に導いたりするうえで欠かせません。

ただし、すぐに身につくものではなく、日ごろの積み重ねや経験を通じて少しずつ育てていく必要があります。

言い換え方

「巻き込み力」は、以下のような言葉で言い換えられます。

  • チーム牽引力
  • 人を動かす力
  • 協働の推進力
  • チームビルディング
  • コミュニケーション促進力

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2.巻き込み力が仕事で重要な理由

巻き込み力は、仕事で成果を上げるうえで欠かせない能力です。どんなに優秀な人でも、一人だけでできることには限界があります。目標を達成するには、上司や同僚、部下など、まわりの人たちと協力しながら取り組むことが必要です。

だからこそ、自分の考えやビジョンを共有し、周囲の人が「一緒にやりたい」と思えるように巻き込んでいく力が求められます

とくに、先行きが不透明で変化の激しい「VUCA時代」と言われる今のビジネス環境では、多様な意見をまとめながらスピーディーかつ的確に対応できる組織づくりが不可欠となります。

幅広い分野の知見やスキルを持つ人たちに柔軟に働いてもらうべく、巻き込み力に優れたリーダーが必要となるのです。

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3.巻き込み力があるリーダーの特徴

巻き込み力は、さまざまな能力が組み合わさって発揮されるものです。そのため、多様なスキルをバランスよく身につけておくことが欠かせません。ここでは、周囲を巻き込む力を持つ人に共通する5つの特徴について詳しく解説します。

  • 明確な目標やビジョンを持っている
  • 熱意を持って主体的に行動する
  • 良好な人間関係を築ける
  • 周囲の人のために行動を起こせる
  • 最後まで努力できる

明確な目標やビジョンを持っている

巻き込み力のあるリーダーは、チームが迷わず進めるように、到達すべきゴールとその意義を明確に示します

ただ数値目標を掲げるのではなく、「なぜこの目標に取り組むのか」「それが自分たちにどう関係するのか」といった背景や意味も伝えることで、メンバーの理解と納得を引き出しましょう。

さらに、そのビジョンを継続的に共有・更新することで、方向性のズレを防ぎ、チームの意識を一つにまとめることが可能になります。

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熱意を持って主体的に行動する

目標やビジョンを示すだけでなく、自らが情熱を持って行動に移す姿勢も巻き込み力には不可欠です。リーダー自身が誰よりも率先して動き、挑戦を楽しみながら困難にも粘り強く向き合う姿は、メンバーにとって強い刺激となります。

その真剣さや前向きな態度が、自然と周囲の協力を引き出し、チーム全体のエネルギーを高める原動力になるでしょう。

良好な人間関係を築ける

巻き込み力を発揮するためには、日ごろから良好な関係性を築いておくことが大切です

リーダーが一方的に指示を出すだけでは、人は納得して動いてはくれません。信頼関係ができていればこそ、いざというときにも協力を得やすくなります。

信頼されるリーダーは、必要なときだけ声をかけるのではなく、日常的に周囲とのコミュニケーションが欠かせません。他部署とも継続的にやり取りができていると、連携が求められる場面でもスムーズに対応できるでしょう。

周囲の人のために行動を起こせる

巻き込み力のあるリーダーは、自分のためではなく「誰かの役に立ちたい」という気持ちを大切にしています。そうした思いやりのある行動は、チームに安心感や信頼を生み出すでしょう。

たとえば、忙しい中でも部下の相談に耳を傾けたり、目立たない場面でもチームのために動いたりと、その姿勢は日々の行動に表れるものです。

「この人は本気で自分たちのことを考えてくれている」と感じると、メンバーも自然と協力したくなります。

最後まで努力できる

目標に向かって最後までやり抜く姿勢は、巻き込み力のあるリーダーにとって欠かせない要素です

途中で思わぬトラブルや困難が起きたとしても、あきらめずに周囲と協力しながら解決に取り組むことで、チーム全体に前向きな影響を与えます。その姿勢を見たメンバーは「自分も頑張ろう」と思えるようになるでしょう。

また、うまくいかなかった経験から学び、次にどう活かすかを考える力も大切です。行動を継続する力が、チームの成長を支えます。

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巻き込み力がまわりの迷惑になるケース

巻き込み力が誤った形で発揮されると、「強制」や「一方的な指示」となり、チームのモチベーション低下を招きます。ここでは、巻き込み力が周囲の迷惑となる代表的なケースを紹介します。

指示や命令を出すだけ

ビジネスシーンでありがちな誤解の一つに、巻き込み力を「指示を出すこと」と捉えてしまうケースがあります

もちろん、状況に応じて指示が必要な場面もありますが、リーダーが一方的に命令するだけでは、メンバーの主体性や創造的な提案を抑制してしまうおそれがあります。

その結果、やらされていると感じる人が増え、チームのモチベーションが下がったり、信頼関係が崩れたりする原因になりかねません。本当の巻き込み力とは、メンバーの意見を尊重し、一緒に考えながら進めていく姿勢にあります。

考えを一方的に押しつける

リーダーが自分の考えや意見を一方的に押しつけると、メンバーは自分の意見が尊重されていないと感じ、積極的な発言や提案を控えるようになります。結果として、組織全体の活気や成長力が弱まってしまうかもしれません。

周囲の声にしっかり耳を傾け、誰もが意見を出しやすい雰囲気をつくることこそが、本当の巻き込み力と言えるでしょう

立場や権力を利用して人を動かす

肩書きや立場といった権威に頼って人を動かそうとするのも、正しい巻き込み方とは言えません。例として「これは上層部の決定事項だから協力してほしい」と伝えるケースがあります。

こうした言い方では相手に納得感を与えられず、「仕方なくやる」という受け身の姿勢を引き出してしまうでしょう。

一時的には協力が得られたとしても、それだけではチームとしての結びつきは深まりません。協力を得る際は、相手の立場や意見を尊重し、納得感を持ってもらうことが大切です。

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巻き込み力の鍛え方

巻き込み力を強化するには、「共感を生む目標設定」と「継続的な関係構築」の両方が大切です。どちらか一方だけではうまく人を動かせません。ここでは、巻き込み力を鍛えるための具体的な方法を5つご紹介します。

明確な目標やビジョンを示す

人が本気で行動するには、「なぜそれをやるのか」を自分なりに納得できていることが大切です

たとえば、その仕事が誰のためになるのか、自分やチーム、会社、社会にどのような良い影響を与えるのかといった“意味づけ”が必要になります。

それには、プロジェクトの目的やビジョンをわかりやすく示し、相手が共感できるような背景とストーリーを添えて伝えることが効果的です。

さらに、理想論だけでなく、どう進めるのかという具体的な道筋を見せることで「これなら自分もやりたい」と感じてもらいやすくなります。

熱意を見せる

巻き込み力を高めるには、ただ想いを語るだけでなく、日々の行動で本気度を伝えることが欠かせません。本気の姿勢は、周囲の心を動かし、「自分も力になりたい」と思わせる力を持っています。

そして、皆で目標を達成したときの喜びが、次の挑戦への原動力となり、前向きな循環を生む力になるのです。

関係者への理解を深める

関係者一人ひとりの力を最大限に引き出すには、まず相手への理解を深めることから始まります。ただ話を聞くだけでなく、相手の立場や思いにしっかり耳を傾けると、本音や本質が見えてくるでしょう。

丁寧なヒアリングを通じて相手の期待や課題を理解し、共に目指すゴールを描ければ、それだけで強い信頼関係が築かれます。

相手の意見や感情に寄り添い、共感を示すことで「この人となら一緒にやりたい」と自然な形で協力の輪が広がっていくのです。

前向きなフィードバックを行う

メンバーの行動や成果に対して適切なフィードバックを行うことで、信頼関係が深まります。評価する際は、結果だけでなく、その結果に至るまでの努力や行動にも目を向けましょう。

また、良い点をしっかり認めつつ、「ここをこうするともっと良くなる」といった具体的なアドバイスを添えることで、相手の成長を後押しできます。

さらに、小さな行動にも感謝の気持ちを伝えることがポイントです。何気ないひと言の「ありがとう」が、信頼を育てるきっかけになります。こうした日々のやりとりの積み重ねが、チーム内の良好な関係づくりにつながるのです。

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研修を受ける

巻き込み力を高める方法の一つとして、外部の研修プログラムを活用するのも有効です。多くの研修では、リーダーシップや交渉力、調整力など、巻き込み力に関連するスキルを実践的に学べるカリキュラムが組まれています。

中には、具体的な場面を想定したケーススタディ形式で学ぶプログラムもあり、実務に近い形でのトレーニングが可能です。

選ぶ際は、研修名だけで判断せず、自分が強化したい能力に合った内容かどうかを確認しましょう。階層や職種に応じた研修を選ぶと、より効果的にスキルアップが図れます。

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6.巻き込み力を発揮するためのポイント

巻き込み力を効果的に発揮するには、「どうすれば相手が協力しやすくなるか」を考えることが大切です。ここでは、そのために意識したいポイントを3つご紹介します。

適切な根回しを行う

「根回し」という言葉に、否定的なイメージを抱く人もいるかもしれません。しかし実際には、物事をスムーズに進めるために、関係者の事前の理解と合意を得ることを指します

とくに利害の異なる部門やキーパーソンに対しては、個別に話を通しておくことで、後々の合意形成が格段にスムーズになるでしょう。

根回しのポイントは、相手の立場に配慮しつつ、プロジェクトの意義や自分の想いを丁寧に伝えることです。信頼関係が築けていれば、「この人の話なら」という前向きな協力が得られやすくなります。

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巻き込まれ力を高める

巻き込み力を発揮するには、自分がまわりを動かすだけでなく、チームや他部署の動きにも自ら関わっていく「巻き込まれる力」も大切です

普段から他人の取り組みに無関心な人に対して、いざ自分が助けを求めたときに協力を得るのは難しいでしょう。

逆に、自分から積極的に関わる姿勢を見せていれば、自然とまわりからの協力も得やすくなります。人の挑戦に関わることは、自身の視野を広げ、新たな気づきを得る機会です。結果として、巻き込み力の向上にもつながります。

相手のメリットを明確に伝える

巻き込みたい相手に行動してもらうには、それが相手にとってどのようなメリットがあるのかを伝えることが重要です

協力を求める際は、相手の立場や業務負担を理解したうえで「このプロジェクトを立ち上げることで、〇〇が改善される」「〇〇の経験が積める」など、具体的なベネフィットを提示しましょう。

一方的な依頼ではなく、相手の利点にフォーカスした提案にすることで、納得感が生まれ、前向きな協力を促せます。また、こうした説明は根回しの場面でも効果的で、信頼関係の土台づくりにもなるのです。

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7.巻き込み力を支えるスキル

巻き込み力を効果的に発揮するには、以下の4つのスキルをバランス良く磨くことが大切です。

  • 主体性
  • ファシリテーションスキル
  • コミュニケーション能力
  • 交渉力

主体性

巻き込み力の土台となるのは「主体性」です。これは、組織の目標や課題に対して「自分ごと」として捉え、自ら関わろうとする姿勢を指します。この意識を持てると、周囲に自分の考えややりたいことをしっかり伝えられるようになるでしょう。

逆に、当事者意識がなければ、「こうしたい」「一緒にやろう」と周囲に働きかけられず、巻き込み力の発揮は難しくなってしまいます。

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ファシリテーションスキル

ファシリテーションスキルは、会議やディスカッションを円滑に進めるために必要な能力で、人を巻き込むうえで大切なスキルの一つです。

単なる司会進行にとどまらず、参加者が意見を言いやすい雰囲気をつくったり、質問を投げかけて本音を引き出したり、その場で出てきた意見を整理して方向性を示すといった力が求められます。

ファシリテーションの目的は、参加者が納得し、自ら動こうと思えるようにすること。そのためには、適切な場の設計と働きかけが欠かせません。

コミュニケーション能力

コミュニケーションは、巻き込み力を高めるうえで不可欠です。メンバーとの良好な関係を築くには、相手の話をよく聞き、共感を示し、明確に自分の意見を伝えることが重要です。

また、非言語コミュニケーションも活用し、相手の感情や意図を理解することが求められます。

交渉力

交渉力は、意見や利害が異なる関係者同士の調整に有効なスキルです。相手の立場やニーズを把握し、双方にとって納得のいく解決策を見出すことで、協力関係を築けます。

こうした姿勢は、社内外を問わず円滑な連携を促し、結果的にプロジェクトの成功を後押しする要因となるでしょう。


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◆資料内容抜粋 (全31ページ)
・人事評価システム「カオナビ」とは?
・人事のお悩み別 活用事例9選
・専任サポートについて   など