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バイアスには、自己中心的に捉える「認知バイアス」や集団内での同調を優先する「社会的バイアス」などがあり、企業の人材管理や選考プロセスにおいて特に注意が必要です。
目次
1.バイアスとは?意味を解説
バイアス(Bias)とは、一言で言えば「偏り、偏見、先入観」を意味し、特にビジネスや心理学の文脈では、認識の歪みや思考の偏りを表す言葉として用いられます。多くの場合、過去の経験や無意識の思い込み、前例などから生じ、客観性や論理性を欠いた非合理的な判断につながる恐れがあります。
バイアスには様々な種類があり、どれも自身の思い込みや前例といった要因から非合理的な判断に繋がる恐れがあるため、ビジネスシーンでは注意が必要です。
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2.バイアスが生まれる原因
バイアスが生まれるメカニズムを理解するには、ノーベル経済学賞受賞者のダニエル・カーネマンが提唱した「二重過程理論(Dual Process Theory)」が有名です。この理論では、人間の意思決定は以下の2つの思考システムによって行われるとされます。

Aシステムは考えている感覚がなく、無意識のうちに高速で意思決定が行われています。自分で気づかないまま判断するためバイアスがかかり、考えに偏りが生じやすくなるのです。
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3.ビジネスシーンにおけるバイアス
ビジネスシーンにおいてバイアスが深刻な影響をもたらすのは、主に「人」に関わる意思決定、すなわち採用、評価、配置の場面です。具体例として、以下のバイアスが挙げられます。
例1:スクリーニング段階での学歴バイアス
「学歴が高い人は無条件で有能である」という偏見は、潜在能力のある候補者を見逃したり、採用後のミスマッチを引き起こす原因となります。
例2:職務割り当てにおけるジェンダーバイアス
性別に関する固定観念に基づき、「女性は事務職が、男性は営業職が適している」といった偏った考え方や職務制限を設けることは、従業員のキャリア形成を阻害し、適材適所の人材配置を妨げます。
例3:マネジメントにおける類似性バイアス
上司や評価者が、自分と出身校や趣味、話し方など類似点が多い部下に対して、無意識に高い評価を下してしまう傾向も、公平な組織運営の大きな障害となります。
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4.認知バイアスとは?
認知バイアスとは、自分の思い込みや周囲の環境といった要因により、非合理的な判断をしてしまう心理現象のこと。アンコンシャスバイアスとも呼ばれます。公平・公正・客観的に目の前の物事を判断できなくなる場合も多いので、注意が必要です。
しかし認知や判断を過去の経験や知識を基に自動化し、物事をスピーディーかつ効率的に処理するためには必要な面もあるといわれています。こうした認知バイアスにはいくつかの種類があるのです。
アンコンシャスバイアスとは?【具体例でわかりやすく】改善
無意識の偏見や思い込みであるアンコンシャスバイアス。ここでは発生する要因や企業に及ぼす悪影響、改善方法などについて解説します。
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5.認知バイアスの種類一覧
認知バイアスには種類があり、それぞれの現象によってとる行動が変わるのです。6種類のバイアスを解説します。
- 確証バイアス
- 正常性バイアス
- ダニング=クルーガー効果
- ハロー効果
- 自己奉仕バイアス
- そのほかの認知バイアス
①確証バイアス
確証バイアスとは、「自分が正しい」と信じている仮説や信念を裏付ける情報ばかりを無意識のうちに集め、反証となる情報や反対意見を無視または軽視してしまう現象です。
子どもがゲーム機を欲しくて「クラスの皆が持っているから自分にも買って」と親に頼むことがあるでしょう。しかし、「クラスの皆」といっても、実際は数人程度です。
欲望のために情報が正しく見えなくなってしまうのは、確証バイアスといえます。
ビジネスにおける具体例は、以下のとおりです。
確証バイアスの例:マネジメントの場合
面接官が候補者の履歴書を見て「この人は優秀そうだ」と最初に判断してしまうと、その後の面接では無意識のうちに候補者が優秀であることを裏付ける質問ばかりをしてしまいます。その結果、公平で客観的な評価ができなくなってしまうのです。
確証バイアスの例:採用面接の場合
採用面接: 面接官が候補者の履歴書を見て「この人は優秀そうだ」と判断した瞬間から、その後の面接で無意識のうちに、候補者が優秀であることを裏付ける質問ばかりをしてしまい、公平な評価ができなくなってしまいます。
確証バイアスとは?【具体例でわかりやすく】正常性バイアス
確証バイアスとは、自分にとって都合のよい情報ばかりを集めてしまう認知バイアスの一種です。ここでは確証バイアスの具体例や改善方法、ビジネスシーンでの活用方法について解説します。
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②正常性バイアス
正常性バイアスとは、突発的な危機や異常事態に直面した際、それを現実として受け止められず、「このくらいなら問題ない」「自分は大丈夫だろう」と事態を過小評価しようとする心理傾向です。これは、パニックを防ぐための防衛機制として機能しますが、企業にとっては重大な危機管理の遅れにつながります。
たとえば人が危機や何かの異状に直面した際に、現実を素直に受け止められず、物事を過小評価して「まだ大丈夫」と思い込もうとする傾向です。あらゆる場面で、何か注意すべきことが起こっても無視してしまいます。
ビジネスにおける具体例は、以下のとおりです。
正常性バイアスの例:システムリスクの場合
システム監査の際に、軽微なセキュリティ警告やバグの兆候が見つかったにもかかわらず、「これまで大きな問題はなかったから大丈夫だろう」と過小評価してしまうケースがあります。
その結果、十分な対策を講じないまま放置してしまい、後に大規模なデータ漏洩やシステムダウンといった深刻なトラブルを招くことがあります。
正常性バイアスの例:コンプライアンスの場合
社内でハラスメントやコンプライアンス違反につながる小さな兆候が報告された際に、「自社に限って大きな問題にはならないだろう」と思い込んで初動対応を怠るケースがあります。
その結果、問題が拡大して深刻化し、企業の信用やブランドイメージを大きく損なってしまう恐れがあります。
正常性バイアスとは? 具体例、強い人の特徴、同調性バイアス
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③ダニング=クルーガー効果
ダニング=クルーガー効果とは、実際の評価と自己評価を正しく認識できず、誤った認識で自身を過大評価してしまうこと。実際の評価はそうでなかったとしても、「自身の容姿が優れている」と心理的に錯覚するような状況です。
逆に能力の高い人は、実際の評価より自己評価を低く見てしまいます。いずれも自分自身を正しく客観視できないために認識にズレが生じるのです。
ダニングクルーガー効果とは? 自分を過大評価する原因と対策
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ダニングクルーガー効果とは、能力の低い人が実際の評価と自己評価を正しく認識できずに、誤った認識で自身を過大評価してしまうことです。心理現象である「認知バイアス」の...
④ハロー効果
ハロー効果とは、対象となる人物や物事について、「目立ちやすい特定の一つの特徴」に評価全体が引きずられ、他の評価項目が歪められてしまう現象を指します。採用や人事評価の公平性を著しく損なうバイアスの一つです。
ハロー効果は、評価を主観的に偏らせてしまうため、特に採用・評価の場面では注意が必要です。評価を行う際には、項目ごとに客観的な基準を設け、感情や先入観に左右されないよう意識することが求められます。
ハロー効果の種類・具体例は、以下のとおりです。
ポジティブ・ハロー効果
候補者が有名大学の出身であるという一点の情報だけで、「きっと論理的思考力も高いだろう」「チームワークも優れているに違いない」といった好意的な印象を持ち、他の評価項目を過大に評価してしまうケースです。
このような場合、実際の能力や適性を正しく見極めることが難しくなります。
ネガティブ・ハロー効果
一方で、従業員が過去に大きな失敗をしたという印象が強く残っていると、その後の業務成果やチームへの貢献など、他の評価項目まで不当に低く評価してしまうケースがあります。
これにより、本人の成長や改善の努力が正当に評価されなくなる危険性があります。
ハロー効果とは?【意味を図解でわかりやすく】具体例と対策
人事評価の実施において気になるのは、評価者による評価エラーでしょう。こうした評価エラーの中に、ハロー効果と呼ばれるものがあるのですが、一体どのようなものなのでしょう。
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⑤自己奉仕バイアス
自己奉仕バイアスとは、何かに成功したときは「自分自身の能力によるもの」と考え、失敗したときは「周りの環境が悪かった」と思いこむ現象のこと。
たとえば新規事業が大成功したとき「自分の頑張りがあったから」と考えます。しかし大失敗したときは「ほかメンバーの能力が不十分だからだ」と考えてしまうのです。
⑥そのほかの認知バイアス
そのほか次のようなバイアスがあります。
- バンドワゴン効果:大勢の人が選んでいる判断は、個人の判断よりも正確であると思い込む現象
- 後知恵バイアス:結果の予測が可能だったと錯覚する現象。結果が出た後に「そうなると思っていた」「そのような結果になると予想していた」など思うのは、後知恵バイアスの心理から
- 内集団バイアス:ほか集団と比較して、自分が所属している集団よりも優れていると考える現象
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6.認知バイアスが企業にもたらすデメリット
認知バイアスは企業にどんなデメリットをもたらすのでしょう。それぞれについて見ていきます。
- モチベーションの低下
- 採用における多様化の阻害
- 人事評価における公平性の阻害
①モチベーションの低下
ネガティブな認知バイアスが原因で、職場の人間関係が悪化するケースは少なくありません。人間関係の悪化により、仕事に対するモチベーションや業務に対するパフォーマンスが低下します。
またこの時期を対象にして従業員を評価すると、評価が下がるため成長の機会を奪ってしまうでしょう。
組織リーダーのモチベーションが低下した場合、チームのマネジメントに影響がおよびます。その場合、「新しいアイデアを受け入れられない」「メンバーを公平に評価できない」などの悪影響が生まれてしまうのです。
②採用における多様化の阻害
採用選考の場面では、面接官の無意識の偏見(アンコンシャスバイアス)によって、特定の属性を持つ求職者が不当に優遇されたり、不当に冷遇されたりします。
例えば、応募者の出身地や学歴、性別、年齢といった、本来業務遂行能力とは関係のない要素に評価が引きずられてしまう(類似性バイアス、ハロー効果 )ことが挙げられます。これにより、企業が求める能力を持った人材が排除され、以下のような深刻なデメリットが生じるため、注意が必要です。
ダイバーシティ&インクルージョンの阻害
多様な視点やバックグラウンドを持つ人材の採用が妨げられ、組織文化が画一化し、イノベーションの土壌が失われます。
雇用の機会損失
客観的な基準に基づかない「決めつけ」により、従業員のキャリア形成が阻害され、適材適所の人材配置ができなくなります。結果として、入社後のモチベーションの低下やミスマッチにつながります。
③人事評価における公平性の阻害
たとえばスポーツが得意な従業員には「根性がある、打たれ強い」などのイメージを持ってしまいがちです。しかしその人が実際どうかは異なるので、業務でギャップが現れた際、評価を下げてしまいます。
またつねに高い実績を出していた従業員が成果を出せなくなったとき、「今回はたまたま調子が悪いだけ」と都合よく解釈してしまうと、公正な評価が妨げられてしまうのです。
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7.バイアスの改善方法
バイアスの改善方法には何があるのでしょう。くわしく見ていきます。
- 対抗意見にも耳を傾ける
- 事実と意見をわける
- 前提を疑う
- 肩書のみで判断しない
- 判断軸を持つ
①対抗意見にも耳を傾ける
自分の考えは偏っているのではないか、という視点を持つのは大切です。自分と違う視点の意見に耳を傾ければ、客観的に物事を見ていけるため、正しい検討を行うための材料を得られるでしょう。
反対意見やデメリットに関する情報を積極的に聞き入れることは、今まで気づかなかった考えに出会うチャンスです。これまでのような偏った判断も減っていくでしょう。
②事実と意見をわける
事実と人の意見は別物と考え、わけて考えます。日本人は明確な決断を出さず、グレーな部分を好む傾向にあるもの。そのため曖昧な表現が多く相手の感情も見えにくくなり、認知バイアスにかかりやすくなるといわれています。
たとえば「イベントは予想以上の集客があったので成功した」「あの大学出身だから優秀だろう」などの意見をかんたんに受け入れず、集客人数を数値化したり過去の実績を調べたりなどで分析して、正しい判断をしていくのです。
③前提を疑う
まず考えたことに先入観が混じっていないか検討します。前提を疑う視点を持ち、因果関係を分析することが重要です。
たとえば自社商品が、他社のものより売れなかったとしましょう。そのとき内集団バイアスの影響を受けて、市場の需要に合っていなかった要因に目を向けられない可能性があります。
他社のヒット商品は「人気商品だから購入されている」だけではないのです。ほか要素を検討すると、バイアスによる失敗を防げるでしょう。
④肩書のみで判断しない
肩書は特定分野の専門家や経験者など対外的な役割や立ち位置を示すもの。その人物の人格や考えの確実性を保証するものではありません。「専門家の話だから間違ってはいないだろう」と判断せず、日ごろから客観的な立場を意識しましょう。
専門家とはいえ、つねに正しいとは限りません。反証材料や批判的な意見などにも目をとおして、客観的な視点から物事を検討することが重要です。
⑤判断軸を持つ
自分や会社、所属するチームとしての判断軸を持つと、バイアスによる失敗を防げます。たとえば、
- 迷ったら顧客第一に考える
- 迷ったら効率を重視する
- 迷ったら誠実さを選ぶ
など。判断の軸をつねに持つよう心がけると、素早く正しい判断をしやすくなります。
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8.企業ができるバイアスへの対策
企業として可能なバイアスへの対策は何でしょうか。それぞれ詳しく解説します。
- 研修
- 認知テストやアンケート
①研修
研修に参加すると、多様なものの見方やとらえ方を認知し合えます。それにより自分の偏った価値観に気づいたり、他者を尊重する気持ちが養えたりするでしょう。
研修では講義や動画、オンラインで「バイアスとは何か」「バイアスにかかった際のデメリット」「職場での対応方法」「コミュニケーションの取り方」などを学びます。
認知バイアスに気づくためのゲーム
認知バイアスに気づくためのゲームとして、実際の研修で活用されているものには何があるのでしょう。それぞれについて見ていきます。
クロスロード・ダイバーシティゲーム
クロスロード・ダイバーシティゲームは、対話式のカードゲームです。多様性がある場で起きる深刻になりがちな問題を、ゲームをとおして楽しみながら、より深い対話の機会を作ります。
1チーム5~7人、1回約45分。ゲームの設問は、解決が難しくジレンマを含むものが多くなっています。個人の決断に対してチームで意見交換することで、自分の偏った見方に気づけるのです。このゲームで大切なポイントは、多様な意見を尊重すること。
以下が設問の例です。
あなたは…30代の女性社員で今日は終業後、帰宅し夕飯を作らなくてはなりません。しかし終業して支度しているところに上司から「仕事が終わらないので残業して欲しい」と言われました。あなたは上司の依頼を引き受けるか、引き受けないかを選択します。
NASAゲーム
NASAゲームはグループワークで利用可能な、合意形成を行うコンセンサスゲームです。まず自分の意見を出して、その後にチームで対話をしながら、ひとつの結論を導いていきます。出題の例は次のとおりです。
あなたは大型船に乗って太平洋を横断しようとしています。しかし機械の故障で目的地から離れた場所に流れ着いてしまいました。その時に大きな岩に衝突し、船が壊れて動きません。
さて十数個のアイテムは壊れずに残っています。目的地へ無事に着くため、これらアイテムすべてに、重要度の高いものから順位をつけましょう。
②認知テストやアンケート
具体例が明示されている認知テストやアンケートを実施するのもよいでしょう。
何が認知バイアスなのかを確認していく行為を経て、自分の偏見に気づけます。その度合いを知れば、克服の手立てを考える材料にもなるでしょう。専門の企業が提供している認知テストやアンケートもあります。
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9.人事評価におけるバイアス対策
人事評価には認知バイアスがつきものです。人事評価を公正・公平に行うための方法を解説しましょう。
- 評価基準の明確化
- 評価者同士で基準のすり合わせ
①評価基準の明確化
人事評価プロセスにおいて、評価者の主観的な判断や偏見が介入する余地を最小限に抑えるため、評価基準の「徹底的な言語化と明確化」が不可欠です。
評価基準を明確化する具体的なアクションは、以下のとおりです。
曖昧な表現の排除
「意欲的に取り組んだ」「責任感がある」といった解釈の余地がある抽象的な表現を避け、「目標達成のために設定された中間指標を期日までに80%以上クリアした」といった具体的な行動や数値で定義します。
行動規範(コンピテンシー)との連動
評価基準を、企業が求める具体的な行動規範(コンピテンシー)と連動させ、何をもって高い成果とするのか、その基準を評価者と被評価者全員が事前に理解・納得できる状態にします。
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②評価者同士で基準のすり合わせ
評価者個人の主観や価値観に影響されないよう、複数の評価者同士で意見を交わすのも重要です。上司と部下といった上下関係であった場合、対等な意見が出にくいもの。同じ立場で議論ができる評価者であるほうがよいでしょう。
また評価者研修を実施すると、正しい評価手順について理解が深まり、公正な人事評価ができます。
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10.バイアス自己診断チェックリスト(管理者・評価者向け)
以下の項目について、1つでも当てはまると感じた場合、無意識の偏見が意思決定に影響を与えている可能性があります。継続的な自己反省と学習を促すためのツールとして活用してください。
採用・面接時のチェック
□ 有名校/有名企業出身だから優秀だと期待したことがある。(ハロー効果/確証バイアス)
□ 自分と同じ大学・趣味の候補者と、無意識に長く話した/評価が甘くなった。(類似性バイアス)
□ 第一印象や挨拶の良さなど、職務と無関係の要素で能力全体を高く見積もった。(ハロー効果)
□ 履歴書の性別・年齢・育児状況など、本来無関係な情報を能力評価に結びつけた。(ジェンダーバイアス/年齢バイアス)
評価・マネジメント時チェック
□ 新しい提案を“前例がない/過去の成功と違う”だけで、精査前に却下した。(現状維持バイアス/確証バイアス)
□ 問題の深刻化に気づきながら“たいしたことない”と楽観視して対応が遅れた。(正常性バイアス)
□ 成功は自分の手柄、失敗は部下や外部要因のせいだと考えがち。(自己奉仕バイアス)
□ 「女性は昇進意欲が低い」「若手は指示待ち」などの思い込みで、機会や業務を制限した。(バイアス/キャリア阻害)
意思決定・情報収集時チェック
□ 重要な決定時に、反対意見の人を会議に呼ばない・意見を聞き流した。(確証バイアス/内集団バイアス)
□ 分析結果より“有名な調査機関かどうか”で盲目的に信頼度を上げた。(権威バイアス)
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11.バイアスに関するよくある質問と回答(Q&A)
Q.アンコンシャス・バイアス(無意識の偏見)は完全になくせますか?
A.ほぼ不可能です。
アンコンシャス・バイアスは、過去の経験や知識にもとづく省エネの思考習慣です。排除しようとするより、以下のサイクルを回すことが重要です。
- 気づく(自己診断・フィードバック)
- 影響を認識する(判断のクセを言語化)
- 行動を修正する(手順や基準で補正)
自己診断や研修を通じた継続的な内省と学習が鍵になります。
Q.研修以外に、組織がすぐできる対策は?
A.いますぐ実装しやすい打ち手は次のとおりです。
- 意思決定の多様化:会議体に異なるバックグラウンドのメンバーを組み込む
- 構造化面接の導入:質問・評価基準を事前に固定し、面接官間で統一する
- 評価基準の明文化とキャリブレーション:評価項目・重みを文書化し、評価者同士で定期的にすり合わせ
人事・評価者の自己診断:自分の意思決定パターンを定期的に振り返る
Q.バイアス対策のコストは、どう経営層に説明すべき?
A.コストではなく「人的資本ROI(Return on Investment)」を高める投資として伝えましょう。
公平な環境は離職率の低下や、生産性の向上、優秀な人材の獲得に直結します。そのため、投資額(研修、システム改修など)に対するリターン(収益性向上、業務効率化)を定量的に示すことで、経営的な説得力を高めることができます。
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