アンコンシャスバイアスとは?【具体例】要因、改善方法

無意識の偏見や思い込みであるアンコンシャスバイアス。ここでは発生する要因や企業に及ぼす悪影響、改善方法などについて解説します。

1.アンコンシャスバイアスとは?

アンコンシャスバイアスとは、人が無意識に偏見を抱いたり思い込みを持ったりすること。経験をとおして本人が気付かないうちに身に付けたもので、人の行動や意思を決定する際に影響を与えます。

注目されるようになった理由

2010年代頃に注目されるようになったアンコンシャスバイアス。その背景には、非正社員や女性、外国人、LGBTQ+などの増加による組織の多様化があります。

企業内で不祥事やハラスメントなどが多発したため企業倫理を見直す必要性が高まり、組織のリーダーや管理職は、アンコンシャスバイアスへ注目するようになったのです。

アンコンシャスバイアスの例

日常生活のさまざまな場面に入り込んでいるアンコンシャスバイアス。例として、以下7つについて説明します。

  1. ステレオタイプバイアス
  2. 正常性バイアス
  3. 集団同調性バイアス
  4. 権威バイアス
  5. 確証バイアス
  6. アインシュテルング効果
  7. そのほかのアンコンシャスバイアス

①ステレオタイプバイアス

ステレオタイプバイアスとは、これまでの経験や文化的背景にもとづいて、他者をジェンダーや出身国、皮膚の色や職業などによる先入観や固定観念によって判断すること。アンコンシャスバイアスの典型例となります。

たとえば「黒人には犯罪者が多い」「女性は男性よりも従順である」と考えることです。

②正常性バイアス

正常性バイアスとは、不測の事態が発生した際、無意識のうちにそれを正常の範囲内であるととらえ、心を平静に保持しようとするメカニズムのこと。

それによって何かが起こっても平常心を保てるので、心が乱れるのを防げるのです。また災害時に逃げ遅れるのは、正常性バイアスによるものだという見方があります。

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③集団同調性バイアス

集団同調性バイアスとは、ほかの人と同じことをすれば間違いないだろうと思い込み、周りにいる人に同調しようとすること。自分が周りにいる人とは同じ考えや意見を持っていなくとも、それを表しません。

それによって少数派の意見は埋没するため有益な議論が生まれず、結果として組織の成長を阻みます。

④権威バイアス

権威バイアスとは、「社長や管理職に就いている人などの意見は正しい」と思い込むこと。組織におけるランクの高い人の意見が優先され、ランクが低い人の意見はたとえ有益でも無視されてしまいます。

これによって社員は、自らが考える力を失うので成長機会が奪われ、モチベーションも下がり、ひいては組織全体の推進力が低下してしまうのです。

⑤確証バイアス

確証バイアスとは、根拠がないのに良いと思った意見のみを採用して情報収集をしてしまうこと。自分が良いと思った意見を肯定する情報のみを参考にし、否定する情報は取り上げません。

たとえば「外国人労働者に営業を任せないほうがよい」という思い込みにもとづいて、それを裏付ける意見だけを集めます。それを否定するような意見は参考にしません。

⑥アインシュテルング効果

アインシュテルング効果とは、慣れ親しんだ解決方法を採用して、別の解決方法を無視してしまうこと。たとえば「チェスや将棋で定石にこだわってしまい、より良い方法がある点に気付かず相手に負けてしまう」などです。

先述した確証バイアスは、心理学でいうアインシュテルング効果(構え効果)にもとづいています。

⑦そのほかのアンコンシャスバイアス

アンコンシャスバイアスは多様で、上記以外にもさまざまなものがあります。例は、下記のとおりです。

  • 一部の長所ですべてを良く捉えるハロー効果
  • 変化を好まず現状維持にこだわる現状維持バイアス
  • 脅威自分の能力を過小評価してしまうインポスター症候群
  • 自分にはバイアスがないと思い込むバイアスの盲点

無意識のうちに抱く偏見や思い込みであるアンコンシャスバイアスは、2010年頃から注目されるようになり、さまざまな種類があります

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2.アンコンシャスバイアスを生み出すもの

組織の成長を阻むとして注目を集めるようになったアンコンシャスバイアス。これは3つの原因によって生み出されるといわれているのです。

  1. エゴ
  2. 習慣や慣習
  3. 感情スイッチ

①エゴ

エゴとは、「些細なことでもそれによって自分を否定されてしまうのではないか」という気持ちになり、自己を防衛するため偏見や思い込みをもって行動してしまうこと。自己を正当化したいという気持ちや自己防衛心の表れだといえます。

②習慣や慣習

習慣や慣習とは、時代遅れになったり変化に対応できなくなったりしているにもかかわらず、気付かずに変化させず「これまで」に固執してしまうこと。習慣や慣習に縛られると、組織内部のストレスや違和感を増大させます。

③感情スイッチ

感情スイッチとは、囚われやこだわり、劣等コンプレックスや不安感を呼び起こす感情のポイントのこと。人は感情スイッチを刺激されると、本能的に自己防衛のために平常心を保てなくなります。

結果、周りの人や現状を客観的に捉えられず、人を攻撃するような行動を取る場合もあるのです。

誰もがアンコンシャスバイアスを持っている

アンコンシャスバイアスは特定の人だけが持つものではなく、誰もが持っているといえます。日常生活の多様な場面で本人も気付かないうちに生み出されるため、無意識のうちに人間関係にストレスを生み出し、円滑な集団生活の妨げになる場合もあるのです。

さらに組織内の推進力を阻むというネガティブな影響にもつながります。

アンコンシャスバイアスを生み出す要因は、「エゴ」「習慣や慣習」「感情スイッチ」の3つです

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3.アンコンシャスバイアスが企業にもたらす悪影響

誰もが持つアンコンシャスバイアスは、成長を妨げ、悪影響を及ぼします。しかしどのような悪影響を及ぼすのでしょうか。3つの観点から見ていきます。

  1. 評価や意思決定
  2. ハラスメント
  3. ダイバーシティ

①評価や意思決定

ジェンダーや人種、会社内のランクにもとづき、無意識のうちにステレオタイプによって判断してしまいます。能力が同じでも女性よりも男性を評価したり、新入社員の意見が革新的であっても無視したりする傾向にあるのです。

正確な判断ができなくなると、人材配置から昇進まで多様な側面に悪影響を与えてしまい、企業の成長を妨げてしまうでしょう。

②ハラスメント

たとえば「妊娠中や出産後の女性は仕事よりも家庭を優先したいはず」という先入観があると、閑職に移動させるなどでハラスメントを発生させてしまいます。そして社員のモチベーションも低下してしまうでしょう。

③ダイバーシティ

グローバル化が進む今日、グローバル人材の雇用を重視する企業が増え、企業内のダイバーシティ化が進行しています。しかし肌の色や出身国に対するアンコンシャスバイアスを持っていると、多様な価値観や発想を企業内に取り込めません。

それによってダイバーシティの推進が妨げられるため、グローバル経済に適応できなくなってしまうのです。

アンコンシャスバイアスは、「評価や意思決定」「ハラスメント」「ダイバーシティ」といった面で悪影響を及ぼします

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4.アンコンシャスバイアスの改善方法

企業の成長の妨げになってしまうアンコンシャスバイアスですが、改善方法はあります。知っておけば、悪影響を及ぼすのも防げるでしょう。ここでは「企業ができること」「個人ができること」の2つから改善方法について見ていきます。

企業ができること

企業ができることは、下記の2つです。

  1. 研修
  2. 認知テストやアンケートの実施

①研修

研修によってアンコンシャスバイアスへの理解が深まるため、気付きやすくなったり対処したりできるようになります。ロールプレイングも効果的です。研修は社内だけでなく、専門家にコンタクトを取って相談するなど外部リソースも活用しましょう。

②認知テストやアンケートの実施

認知テストやアンケートにはさまざまな種類があるため、具体例を参照しながらチェックリストを通して無意識の偏見や思い込みに気付けるのです。また自らの偏見や思い込みの傾向やその度合いも理解できます。

アンコンシャスバイアスの改善に取り組んだ企業の例

ここからは、アンコンシャスバイアスの改善に取り組んだ企業の例を4つご紹介します。事例を理解すると、改善方法をより身近なものとして把握できるでしょう。

  1. Google
  2. スターバックス
  3. 電通とソフトバンク

①Google

アンコンシャスバイアスの改善策として2013年、「Unconscious Bias @Work」という60~90分にわたる研修を実施したところ、全社員の半数以上がワークショップに参加。その後実験したところ、統計データによってその効果が確認できました。

②スターバックス

スターバックスでは、2018年に店内で発生した人種差別事件をきっかけに、全米の8,000店を臨時休業にして、社員全員を対象に人種差別をなくすためアンコンシャスバイアスのトレーニングを行いました。

これはアメリカ特有の問題だけでなく、ダイバーシティを推進する日本の企業にとっても手本となる取り組みといえます。

③電通とソフトバンク

電通とソフトバンクは、本社所在地の近さもあり、企業の枠を超えて学びの場を提供する越境学習プロジェクト「越境ワーカー」を2018年5月から実施しています。

プロジェクトでは、ダイバーシティの推進に当たってアンコンシャスバイアスの改善が着目され、研修が実施されたりトレーニングキットが作成されたりしました。

個人ができること

個人でもできるアンコンシャスバイアスの改善方法があります。ポイントは下記の2つです。

  1. 自己認知力を高める
  2. 判断の前に背景などへ意識を向ける

①自己認知力を高める

自分が持っている無意識の偏見や思い込みをすべて解明するのは難しいです。しかし「自らを客観的に見つめるよう意識する」「自己評価を積み重ねる」などによって、自己認知への理解を深められます。

②判断の前に背景などへ意識を向ける

判断をする前に、直面している案件の背景や周りで生起しようとしている内容へ意識を向けると、「ほかに選択肢がある」と気付きやすくなります。それによって、より正確で生産的な判断ができるようになるのです。

アンコンシャスバイアスの改善方法には、「企業ができること」「個人ができること」の2つがあります