予算管理とは? 業務フロー、目標設定、分析のポイント

予算管理とは、計画と実績を比較して適切に管理することです。ここでは予算管理のポイントや、効率化するための注意点などについて解説します。

1.予算管理とは?

予算管理とは、企業が達成すべき数値目標を適切に管理することで、経営管理要素のひとつです。予算の目的は、企業に利益を生み出すこと。目標を達成するために、企業は短期、中期、長期での目標を決め、決算に合わせて予算を作成するのです。

企業は予算を確実に達成するため、計画と実績を比較して活動を分析します。それを踏まえて戦略や活動修正を促し、日々の営業活動に反映させていく一連の活動を予算管理と呼ぶのです。

予算管理は「利益を出すために目標を設定し、その目標を達成するために必要なマネジメントを行うこと」とも言い換えられます

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2.予算の捉え方とポイント

適切な予算管理を行うためにも、まず予算について正確に捉えましょう。日々のなかで自然に使用している予算とは、そもそも何でしょうか。ここでは予算の種類や予算編成のポイントなどを見ていきます。

予算にはさまざまな種類がある

予算とは、企業が将来の経営理念に基づいて設定した目標を数値化したもの。「売上目標」や「利益目標」とも呼ばれ、対象に応じて4つに分かれます。

  • 売上予算:利益を得るために欠かせない指標。いわゆる売上目標
  • 原価予算:製品やサービスに必要な原材料の見積もり
  • 経費予算:継続した企業活動に必要な費用の見積もり(人件費や広告宣伝費、事務所賃貸料など)
  • 利益予算:売上から原価と経費を差し引いた会社の利益

予算管理では、これらの予算を確実に達成できるシステムを作ったうえでの運営が求められます。

予算を組むときのポイント

予算を組むつまり予算編成は売上予算、原価予算、経費予算、利益予算を決めていく作業ですが、ただ単に数値が決まればよいわけではありません。

予算管理は経営管理、事業計画のひとつですので、自社が置かれている状況や現場の意見を拾い上げて、適切に反映させていく必要があります。

予算編成の際は、理想的な数値ばかりを掲げず、同時に現実的な視点を持ちましょう。実態に即した予算管理は現場のモチベーションアップにもつながります。

予算管理は経営管理の一部

予算管理は経営管理の一部です。経営を行うために必要な要素を管理する経営管理には、予算管理のほか、以下の要素が含まれます。

  • 生産管理:円滑な生産活動をおこなうために必要な管理
  • 販売管理:受注から出荷、納品、代金回収までの一連の管理
  • 労務管理:賃金や賞与、福利厚生など、あらゆる労働条件にまつわる施策の管理
  • 人事管理:目的達成のための人材運用手続き管理

経営管理の中でも予算管理は企業の利益に大きく関係するため、特に重要な要素とされています。

経営管理の中でも特に重要とされる予算管理。企業の利益に大きく関係するため、明確な数値目標を定める必要があります

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3.予算管理に取り組むメリットと注意点

企業が策定した予算と実績を比較し、予算が達成できるよう管理する予算管理に取り組むと、企業全体にさまざまなメリットがもたらされます。ここでは経営を効率化するために役立つ予算管理のメリットを、注意点と合わせて見ていきましょう。

社内全体で目標を共有できる

予算は企業が立案した経営戦略や経営目標をもとに編成されます。漠然とした戦略や目標を数値として予算に落とし込むと、従業員に具体的な目標を示せるのです。

目標が明確になると、会社が実現させたい姿の共通認識を持てるうえ、無駄な業務も削減されます。従業員が、自身の業務が目標達成に貢献していると感じれば、モチベーションも向上するでしょう。

経営資源を効率的に配分できる

ヒト、モノ、カネ、情報に大別される経営資源はいずれも有限です。企業が継続的な成長を続けるためには、これらの経営資源を適切に分配しなければなりません。

従業員数に見合わない生産量やサービス量は、売上の低下を招く恐れがあります。予算と実績の乖離が大きければ、事業撤退の判断を求められるかもしれません。

どの分野にどの程度の経営資源を分配するか、効率的に経営資源を配分するにはどうすればいいか、それらを判断するために必要なのが予算管理です。予算管理に取り組むというのは、自社のあり方そのものを対外的に示すことでもあります。

今後の改善点を見つけられる

予算管理には、企業の損失拡大を防ぐといった意味合いもあります。目標達成に向けたプロセスを適宜改善したり課題点を早期に発見して損失を最小限にとどめたりなども、可能なのです。

はじめに定めた目標が、市場の動きや政治問題、為替の変動などの影響を受けて効果的な目標ではなくなってしまう場合もあり得ます。適切な予算管理が行われなければ、目標の未達に気付けず損害を生む場合もあるでしょう。

予算管理に取り組むメリットには、経営の安定化も含まれています。

予算管理には多くの手間と時間がかかる

予算管理を行うには、それぞれの部門から予算編成の前提となる数値の検証や情報のピックアップが必要となり、当然、多くの時間と手間がかかります。

また計画と実績を定期的に分析し、必要に応じた計画の更新も重要です。しかしある程度の予算を組んだら実際に運用し、その都度改善するほうが効率的な場合もあります。

予算管理を行うと、さまざまなメリットを得られます。後述する予算管理システムをうまく活用して、適切な経営管理を行いましょう

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4.予算管理のプロセスと分析

適切な予算管理を行うためにも、具体的な業務内容や予算管理のプロセスを知っておきましょう。予算管理はPDCAサイクルを用いて段階的に進めます。ここでは予算管理のプロセスと、実績をもとに行う分析について掘り下げてみましょう。

PDCAサイクルによって取り組む

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」、「Do(実行)」、「Check(評価)」、「Action(改善)」、再び「Plan(計画)」といった流れを繰り返すサイクルのこと。予算管理ではそれぞれ以下のような意味合いを持ちます。

  • P:トップダウン方式やボトムアップ方式を用いた予算の編成
  • D:予算の目標を設定し、それに沿って実行する
  • C/A:結果のチェックやフィードバックを行い計画と実績の乖離をチェックする

PDCAサイクルを活用した予算管理は一般的に、1か月ごともしくは四半期ごとに予算の数値目標を決めて、実績と比較した分析を行います。

予算と実績を分析する方法

予算と実績の分析を行う際は、数値のずれに注目して問題を特定します。予算を編成して終わりではなく、年間を通じて予算の実行状況を管理しますが、これを業績管理業務と呼ぶのです。

業績の分析には、差異分析、進捗分析、見込分析といったさまざまな手法が用いられます。予算と実績の誤差が5%以内であれば、改善もさほど困難ではありません。

一方誤差が10%以上ある場合、予算の立て方に無理がある可能性も高いと考えられます。数値のずれに注目し、予算を改めて見直してみましょう。

分析結果を経営管理に活かす

予算編成すれば終わりではないのと同じで、分析もその分析結果を経営管理に活かさなければ意味がありません。原因と解決方法を明らかにしたら、それぞれに対策を立てて実行しましょう。

PDCAサイクルのCとA、結果のチェックとアクションに該当する作業です。分析の結果、予算と実績の差が大きく目標の達成が難しいと判断される場合もありますので、事業からの撤退も視野に入れましょう。

また分析結果の把握だけでは不十分です。予算と実績の差がプラスであれマイナスであれ、差異要因をタイムリーに把握して、経営管理に活かしましょう。

各部門ごとのポイント

予算管理は部門によって指標も数値も異なります。営業部門であれば、前年の実績や市場の動向などから売上の目標を立てていくでしょう。

一般的に売上目標は、経営陣が経営計画や利益目標から逆算して落とし込む「トップダウン方式」で決められます。製造部門では、売上を達成するために必要な生産量を定め、予算と原価を照らし合わせながら業務を進める必要があるのです。

経理や人事部門の予算管理では、前年の実績に基づいて経費や人員編成を考えます。その際は、営業部門や製造部門から依頼される経費も加味してください。

予算管理は、1度編成して終わりではありません。適宜実行と分析、フィードバックと修正を繰り返す必要があります

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5.予算管理をうまく行うためのポイント

繰り返しになりますが、予算管理は売上予算や原価予算、経費予算や利益予算の数値を決めるだけの業務ではありません。予算管理は企業の事業計画そのものです。ここでは適切な予算管理を行うためのポイントを3つに絞って解説します。

  1. ルールを明確にする
  2. 予算管理システムで効率化する
  3. 予算編成のフローを改善する

①ルールを明確にする

予算管理を効率的に運用するためには、ルールの明確化が必要です。

どのような項目を分析の対象とするのか、分析は月次で行うのか四半期で行うのか、データはどこから引用するかなど、それぞれの部門で行うべき内容をはっきりとさせ、全体の枠組みを構築していきましょう。

ルールの明確化には一定の時間と労力がかかります。しかし一度構築すれば、効率の高い効果が望めるでしょう。ルールを明確化し、それを徹底するとで無駄な作業を省けるのです。

②予算管理システムで効率化する

予算管理は企業利益に関係する非常に重要な業務ですが、同時に管理が困難な業務でもあります。Excelでの管理には膨大な時間と手間がかかり、記入漏れや集計ミスが生まれる危険もあるでしょう。

そこで活用したいのが予算管理システム。同じシステム内で、各部門の予算管理や入力修正、またそれぞれのデータを共有できます。

会計システムや販売管理システムと連携しているものも多いため、効率的に予算を管理できますが、導入には費用もかかるため十分な検討が必要でしょう。

③予算編成のフローを改善する

予算管理プロセスの項で少し触れましたが、予算編成にはトップダウン方式とボトムアップ方式の2種類があります。

  • トップダウン方式:経営陣が経営計画や利益目標から逆算して現場に落とし込む方法。スピード感と強制力がある一方、現場負荷の増量や従業員モチベーションの低下といったデメリットがある
  • ボトムアップ方式:現場の予算案をもとに全社予算を組み上げる方法。現場を知った担当者が編成するため現実性を持つが、完成するまでに時間がかかり、控えめな予算になる可能性がある

予算編成は、2種類が混在した形で行われます。部門やそれぞれの課題に応じて使い分け、予算編成のフローを見直してみるとよいでしょう。

かかる時間や労力の大きさに課題を抱える予算管理。フローを見直したり、適切なツールを使用したりして予算管理の効率化を図りましょう