ワールドカフェとは、カフェのようなリラックスした雰囲気のもと、4〜5人の少人数グループで対話を重ね、メンバーを入れ替えながら全体の知恵を引き出す会議手法です。1995年にアメリカで誕生し、1,000人以上の規模でも実施でき、上下関係にとらわれず多様な視点やアイデアが生まれる点が特徴です。
本記事では、ワールドカフェの定義・歴史・効果から、標準的な進め方(4ラウンド構成)、テーブル・模造紙・トーキングオブジェクトの活用法、企業・自治体での導入事例まで図解付きで解説します。
目次
1.ワールドカフェとは(概要・意味・語源など)
ワールドカフェとは、カフェのようにくつろいだ雰囲気で少人数の対話を繰り返し、全員の知恵を引き出す会議手法です。
ワールドカフェの6つの効果
| 効果 | 内容 |
|---|---|
| アイデアの創出 | リラックスした雰囲気の中、テーマに沿ってさまざまなアイデアや意見を出しやすい |
| 心理的なゆとり | 気持ちにゆとりを持って話し合いができる |
| 傾聴のしやすさ | 相手の意見に自然と耳を傾けられる |
| 自己肯定感 | 自分の意見も尊重される |
| 一体感 | 一体感を持った対話ができる |
| 集合知の獲得 | メンバーを入れ替えながら小グループで話し合うことで、参加者全員で話し合ったような効果を得られる |

ワールドカフェ、と聞くと和やかで楽しげ、といった雰囲気が感じられるでしょう。ワールドカフェとは、お茶を飲んでくつろいでいるような雰囲気で会議をすることです。
ワールドカフェは1995年、アメリカで開発されました。くつろぎながら会議をする、というワールドカフェ。その言葉にはどういった意味が込められているのでしょう。語源や意味などについて解説します。
ワールドカフェの定義
ワールドカフェの定義は、カフェでくつろいでいるようなリラックスした雰囲気のもと行われる会議のことです。
参加者は4~5人ずつに分かれ、テーブルごとに対話をするといったもので、1,000人以上でも実施できます。一定時間が過ぎれば、テーブルのメンバーを入れ替え、対話することを繰り返し行います。
少人数で対話をすることで、相手の意見を聞きやすく、自分の意見も言いやすいのが特徴です。
歴史(発祥)
ワールドカフェはいつどのようにできたのでしょう。 始まりは、1995年、知識資本とナレッジ・マネジメントの分野が揺籃期(ようらんき)であった頃で、アニータ・ブラウンとデイビッド・アイザックスによって始められました。
二人は、サンフランシスコ郊外にある自宅のリビングルームで、「知識資本のパイオニア」というテーマの会議を開催していたのですが、2日目に激しい雨が降ってきたため、中庭で行う会議を室内に変更したのです。
しかし、中庭に出られなくなったことで、その日のアジェンダの進行に合った雰囲気づくりに悩んでしまいました。
そこでアイザックスが「カフェテーブルをリビングに並べ、全員が来るまでコーヒーでも飲んでもらおう」と提案。これをきっかけにして、集まってきた人たちが、カフェを想定してテーブルクロスや花を飾り、楽しい雰囲気の中で自然とテーマに沿った話し合いが始まったのです。
話は1つのテーブルにとどまらず、他のテーブルでの話も興味が広がり、それぞれがアイデアを出し合い、さまざまな意見が出ました。これが、ワールドカフェの始まりとなったのです。
ワールドカフェの意義と効果
ワールドカフェにはどんな効果があるのでしょう。
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2.ワールドカフェの「カフェ的会話」とは?
ワールドカフェの「カフェ的会話」とは、対話を通じて言葉の意味や価値観を交換し合い、創造的な洞察を生む手法です。
会話・対話・議論の違い
| 種類 | 目的 | 特徴 |
|---|---|---|
| 会話 | 情報交換をしながら信頼性を高める | 挨拶や日常的なコミュニケーションとして行われる |
| 対話 | 言葉の中にある価値観を交換する | どのような考え方・感情を持っているかを伝え合う |
| 議論 | 最終的に結論を出す | 時間制限の中で互いの意見を戦わせる |

ワールドカフェの発案者であるアニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックスは、共著による『ワールド・カフェ~カフェ的会話が未来を創る~』をリリースしています。
ここから、多くの新しい洞察が生まれるワールドカフェの特徴を把握していきましょう。対話と会話の違いや、対話の必要性などについて、二人の書いた本をもとに解説します。
ワールドカフェで発見された対話(ダイアローグ)
アニータ・ブラウン、デイビッド・アイザックスは、知的資本経営に関するリーダーを自宅に招いた話し合いの場にて、ある工夫を凝らしました。それはゲストがリラックスしてオープンに話し合える空間づくりです。
テーブルクロス、花など小道具を使って演出した結果、見事カフェでくつろいでいるような雰囲気となりました。そして自然と対話が始まったのです。そこでは、さまざまなアイデアが飛び出し創造性に富んだダイアローグを行うことができました。
「対話」と「会話」の違い
「会話」は日常的に行われるコミュニケーションの一つで、
- 信頼を築く
- 仲良くなる
などにおいて大切なものです。情報交換や挨拶といった形で成されます。
一方の「対話」は会話の中で出てくる言葉や情報において、
など言葉の意味や価値観を伝え合う・交換し合うことです。
「対話」と「議論」の違い
前述した通り「対話」は、会話の中で出てくる言葉や情報において、言葉の意味や価値観を伝え合う・交換し合うこと。
対して「議論」は、結論を出すことを目的に、お互いに自分の意見や価値観を言い合い、意見を戦わせることです。議論の多くは時間制限があり、その中で結論を出さなければなりません。
それを認識した上で、意見を戦わせるのです。議論の最中に新しいアイデアが生まれることもあります。

対話の必要性
3つの関係性を見ると、「議論」は「会話」と「対話」がなければ成り立たないものといえます。特に対話は重要でしょう。より深い意見交換となる議論を行うには、お互いの意見に対する価値観を確認できる「対話」が必要なのです。
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以下のステップで手順を解説します。
4.ワールドカフェの進め方とは?(形式・手法)
ワールドカフェの進め方とは、探求→アイデア交換→統合→全体共有の4ラウンドで段階的に対話を深める構成です。
ワールドカフェの4ラウンド構成
| ラウンド | 名称 | 内容 | ポイント |
|---|---|---|---|
| 第一 | テーマ探求 | 4〜5人のグループでテーマについて対話、模造紙にメモ | 自分の意見を言いやすい少人数で開始 |
| 第二 | アイデア交換 | テーブルホスト以外が他テーブルへ移動し、新メンバーと対話 | ホストが前ラウンドの内容を引き継ぐ |
| 第三 | 気付きの統合 | 最初のテーブルに戻り、各テーブルで得た情報を共有 | 間接的に全参加者の意見が集約される |
| 全体 | 発見の共有 | 参加者全体で話し合い、アイデアや意見を全員で共有 | 全体像を俯瞰し、新たな洞察を得る |
ワールドカフェには「ワールドカフェのやり方」などのマニュアルがあるわけではなく、特に方法は決まっていません。しかし、効果や意義を踏まえて行わなければ、ワールドカフェをやる意味がありません。
ワールドカフェの標準となる方法や流れについて解説しましょう。
標準的なワールドカフェのやり方
ワールドカフェの標準的な流れは以下の通りです。
①第一ラウンド(テーマについて探求)
第一ラウンドでは4~5名の少人数グループに分かれます。少人数にすることで、自分の意見を言いやすく、相手の意見を聞きやすい雰囲気づくりができるのです。
テーブルに模造紙とペンを用意し、発表された1つのテーマについて、模造紙に自由にメモをしながら話し合います。
②第二ラウンド(アイデアをやりとり)
第二ラウンドでは自由に他のテーブルに移動します。その際テーブルには、テーブルホストとなった人だけが残り、他のメンバーは第一ラウンドとかぶらないよう他のテーブルに移動するのです。
それぞれのテーブルに残ったテーブルホストは、新しいメンバーを迎えて簡単な自己紹介をした後、そのテーブルで話し合われた内容を説明し、その後同じテーマについて話し合いを続けます。
③第三ラウンド(気付きや発見を統合)
第三ラウンドでは、他のテーブルに散ったメンバーが最初のテーブルに戻り、移動先で話し合った内容や得た情報などとともに、さまざまな意見やアイデアを出し合います。
④全体セッション(集合的な発見を収穫し、共有)
第三ラウンドが終わった後の全体セッションでは参加者全体での話し合いの場をつくり、それまでに出てきたアイデアや意見を全員で共有します。くつろいだ雰囲気の中、さまざまなアイデアや意見に出会うことができます。
ラウンド数や時間、人数に決まりはない
話し合いをするテーマは1つとは限らず、2つでも3つでもいいのです。ラウンド数も4ラウンドと決まっているわけではありません。少ない場合もあれば多い場合もあります。
ラウンドの途中で参加者の感想を聞くこともありますし、終わった後にテーブルの模造紙に書かれたメモを見て回ったりする時間を設けることもあります。
時間も特に決まっているわけではありません。場の雰囲気や進行状況を見て、ファシリテーター(司会進行役)がその場で変更してよいのです。
ワールドカフェの特徴:テーブル
ユニークな特徴として、テーブルがあります。
- テーブルクロスや花で雰囲気づくり
- ドリンクやスイーツでリラックス
- 模造紙やペンでメモ
模造紙の役割
模造紙は、思いついたことをメモするものです。テーブルホストはそれを使って、次のメンバーに前メンバーとの話し合いの内容を説明できるでしょう。議事録のような役割ともいえます。
また、どういった経緯でそのようなアイデアが出たか、どういった話し合いが行われたか、などの足跡にもなります。図やイラストもあれば、より分かりやすくなるでしょう。
トーキングオブジェクトの役割
トーキングオブジェクトもワールドカフェの特徴の一つです。模造紙の上にはトーキングオブジェクトと呼ばれるものが各テーブルに1つずつ置かれているのです。
トーキングオブジェクトとは、「話をする人が手に持つアイテム」のこと。
- 棒
- 石
- ペン
- ボール
など、テーブルの上で手渡せるものを置きます。
意見を言うとき、話す人がトーキングオブジェクトを持って話を始めます。話が終わったらトーキングオブジェクトをテーブルの中央、元の場所に置きます。
話したいときに、トーキングオブジェクトを取って話を始めるという決まり事により、話し手と聞き手それぞれが自分の役割を意識できます。自分の話を周りは聞いてくれている、ことを実感できるのです。
席替えの効果
常に少人数で話し合いをするにもかかわらず、話し合いが終わった後は、参加者全員と話をしたような感覚になります。これが席替えの効果です。
席替えによって訪れる新しいメンバーは、自分の意見やアイデアとともに前テーブルの意見やアイデアをもたらします。これが繰り返されるため、何十人分の意見やアイデアを認識できるのです。
席替えの手順
各テーブルをそれぞれ「A、B、C、D」とし、そこに座る人をそれぞれ「A1、A2、A3、A4、B1、B2、B3、B4、C1、C2、C3、C4、D1、D2、D3、D4」としましょう。
1ラウンドが終わり2ラウンドになると、テーブルホストを残し、他の3人はそれぞれ別のテーブルに移動します。残ったテーブルホストのところには、新しい3人のメンバーが他のテーブルで行った話し合いの内容を持って訪れます。
たとえば、A1が交流した人は、A2、A3、A4、B1、C1、D1となりますが、間接的には、B2、B3、B4、C2、C3、C4、D2、D3、D4の情報を得ることができるのです。さらに最終ラウンドのA2、A3、A4は、A1の間接的情報であるB2、B3、B4、C2、C3、C4、D2、D3、D4と交流できます。

5.ワールドカフェの事例(企業・自治体)
ワールドカフェの事例とは、函館市・柏市・横浜市やパナソニック電工などで実践された組織横断の対話プログラムです。

函館市の例
函館市では新たな総合計画の策定に係るキックオフイベントとして、「市職員ワールドカフェ」を開催し、函館市の未来を話し合いました。
若手職員が中心となり出席者は28名。模造紙の中央には「未来の函館」と書かれ、その文字を中心にカラフルなペンでさまざまな言葉や文章が書かれています。
テーマは函館の特徴(良いところ、悪いところ)、理想の函館の未来像、将来の函館のために私たちができること、です。

柏市の例
柏市では第五次総合計画策定の一環として、市職員が将来のまちづくりについてワールドカフェを開催しました。参加人数は407名。参加した職員からはさまざまな意見が出されました。
- こどもや子育て
- 健康や福祉
- 経済産業
- 地域
- 環境・インフラ
- 防災・防犯
- 都市経営
に関するさまざまな意見が出ています。付箋なども貼られた模造紙には、あらゆる意見やアイデアが書かれ、新たな発想が生み出されている雰囲気が伝わってきます。

横浜市「イマジン・ヨコハマ」(2009)
2009年5月9日、パシフィコ横浜にて横浜市「イマジン・ヨコハマ」が開催。地域市民を巻き込んだ大規模なワールドカフェとして注目されました。
目的は、
- 横浜市民が地域への誇りや愛着心を高める
- 地域活動への参加を促す
- 横浜の魅力を外に発信する
- 人や企業を呼び寄せ、都市の活力を維持すること
参加者は500人強でこれをきっかけとして自主的にワールドカフェを生み出す動きが活発になりました。
京都市「京都市未来まちづくり100人委員会」(2009)
京都市未来まちづくり100人委員会の創設総会は、
- 市民が主役の委員会とはどういうものであるのか
- どういう可能性があるのか
という委員会自体のあるべき姿を模索するため、ワールドカフェにて開催されたのです。学生や経営者、主婦、大学教授などメンバーは多種多様で構成され、さまざまな意見やアイデアが生み出されました。
この取り組みは、京都市未来まちづくり100人委員会への期待を高めたり、まちづくりに対する姿勢が前向きになったりといった効果も生み出しています。
パナソニック電工 IS 企画部
企業において実践されたワールドカフェの一つが、パナソニック電工IS企画部のコスト削減を推進するプロジェクトです。
コスト削減のアイデアを出すために、名古屋地区でコスト削減を担当する部門と連結会社のチーム・リーダー33名を集めてワールドカフェを開催しました。
「成果」というキーワードを入れず「楽しく」という言葉を使って発想の自由を高める工夫をしたのが特徴です。
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以下では、本テーマに関連する企業の取り組み事例を紹介します。
【事例】南海電気鉄道株式会社
鉄道事業を核に沿線開発やホテル事業まで手がける従業員数千名規模の同社では、カオナビを活用して部門横断的な人材情報の共有基盤を構築しました。社員のスキルや関心領域を可視化することで、所属部署の壁を越えた対話の場づくりを後押ししています。多様なバックグラウンドを持つ社員が自由に意見を交わせる環境の整備は、ワールドカフェの観点からも先進的な取り組みといえます。
【事例】大正大学
仏教系の総合大学として多様な学部を擁する同大学では、カオナビを導入して教職員の専門分野や担当業務、研究テーマを一覧化しました。学部や事務局の垣根を越えて互いの知見を把握し、気軽に意見交換できる土壌を整えています。立場や専門領域の異なるメンバーが対等な関係で対話し、新たな気づきを得る文化を育むこの取り組みは、ワールドカフェを考えるうえで参考になる取り組みです。
【事例】株式会社グローバルキッズ
保育施設を全国に展開し、従業員数千名を擁する同社は、カオナビを活用して各園の保育士や職員の情報を一元管理しています。園ごとに閉じがちだった情報共有の課題を改善し、異なる施設の保育士同士がアイデアや実践知を交換し合える仕組みを構築しました。多拠点で働く現場スタッフが自由に知見を共有できる場を整備したことは、ワールドカフェの好事例といえます。
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よくある質問
ワールドカフェの適切な参加人数は何人ですか?
各テーブル4〜5人が基本で、全体では16〜1,000人以上の規模でも実施可能です。テーブル数を増やし、ラウンドごとにメンバーを入れ替えることで、少人数の対話の質を保ちながら大人数でも全員が話し合ったような効果を得られます。
ワールドカフェと通常の会議(議論)の違いは何ですか?
通常の会議(議論)は結論を出すことが目的で、意見を戦わせる場です。一方、ワールドカフェは結論を急がず、対話を通じてお互いの価値観を交換し、新しいアイデアや気付きを生み出すことが目的です。リラックスした雰囲気で行うため、上下関係にとらわれない自由な発言が生まれやすくなります。
ワールドカフェのテーブルホストの役割は何ですか?
テーブルホストは各テーブルに1人残り、メンバーが入れ替わるたびに前ラウンドの話し合い内容を新メンバーに共有する「橋渡し役」です。模造紙のメモを活用しながら、話し合いの文脈を途切れさせずに次のラウンドにつなげます。
評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!
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◆資料内容抜粋 (全31ページ)
・人事評価システム「カオナビ」とは?
・人事のお悩み別 活用事例9選
・専任サポートについて など

