グローバル人材育成に不可欠なグローバルタレントマネジメント。日本と海外のタレントマネジメントの違いとは?

グローバルな人材を育成するには、日本と同じ育成方法が通用するとは限りません。
海外で主流となっているグローバルタレントマネジメントと日本のタレントマネジメントの違いを歴史を振り返りながら解説します。

1.タレントマネジメントとは?

「タレントマネジメント」とは、タレント(社員それぞれが持っている能力やスキル)を最大限活用できるよう戦略的な人材配置や育成などを行う人事マネジメントのことです。日本企業においては特にリーダー候補育成の一環として用いられます。

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タレントマネジメントの意味

企業の目標を達成するためのタレント(従業員)を特定し、育成や配置転換などを行うのが「タレントマネジメント」です。

ただし、評価や処遇、採用から育成まで人材に関わる領域すべてがタレントマネジメントに関連しているため「こうすればタレントマネジメントをやったことになる」という具体的な指標はありません。

社員の潜在的な能力とやる気を引き出して最大限に活用するタレントマネジメントは、人事戦略そのものといえます。

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タレントマネジメントの歴史

タレントマネジメントはいつどこで生まれ、どのような経緯を経て現在の形になったのでしょうか。ここからはタレントマネジメントの歴史について説明します。

海外で誕生したタレントマネジメント

タレントマネジメントという概念は、1997年にマッキンゼーが提唱した『War for talent』(ウォーフォータレント 人材育成競争)というキーワードを起源として世界中に広がったといわれています。また、「企業間の業績差には、優秀な人材を強化するための施策を実行しているかどうかが影響している」という見解も示しました。

日本におけるタレントマネジメントの移り変わり

21世紀に入って導入する企業が増えてきたタレントマネジメント。日本ではどのように移り変わって現在の形になったのでしょうか。

高度経済成長期

戦後1950年代から1970年代までのいわゆる「高度経済成長期」、日本の各企業は生産を増強するために多くの社員を雇いました。人口の急増にともなう大量消費の時代をむかえ、企業は生産を大幅に強化する必要があったのです。

生産量を安定させるには社員を少しでも長く社内にとどめる必要がありました。そこで生まれたのが、PMと略される人事労務管理の手法「パーソナルマネジメント」です。「終身雇用」「年功序列」という働き方が確立したのもこの頃です。

高度経済成長期終焉から2000年まで

高度経済成長期の終わりが見えはじめた1980年代には、それまでの大量生産で売れていたモノが売れなくなってきました。企業はビジネスにおける経営資源をモノ(商品)やカネ(金)からヒト(人材)へとシフトしていきます。

そこで誕生したのが、人材を育てる資源であると考えた「HRM(ヒューマンリソースマネジメント)」です。

採用時から人材の質を見極め、いかに低コストで高い成果を生み出せるかに着目したHRMでは、一人あたりの生産性を効率よく上げるための給与体系や等級など導入しました。

2000年代

1990年代にバブルが崩壊し、労働市場はさらに変化します。2000年代、人材マネジメントの主流は人を資源として考えていたHRMから、人を資源としてとらえる「HC(ヒューマンキャピタル)」へ変わっていきました。

教育経済学の概念をもとに作られたHCでは、人材はビジネスモデルを動かすための資源ではなく、ビジネスモデルや社会を変革する主役であると考えます。

HRMと似ていますが、HCでは社員への投資が業績へのリターンをもたらすと見込んだうえで実施している点に違いがあります。

現在

こうして人材マネジメントは「仕事が先、人が後」の時代から「人が先、仕事が後」の時代に変化しました。人材の「量」ではなく「質」を求め、人材ありきで仕事を考えるようになったのが現在の人材マネジメントです。

かつて主流だった終身雇用制度や年功序列は事実上崩壊しています。人材獲得競争の激化、働き方に対する価値観の多様化から労働力の確保が難しくなっている現代では、一人ひとりのタレントに注目しつつ経営戦略に沿って人事施策を実行するタレントマネジメントに注目が集まっています。

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2.日本と海外のタレントマネジメントを考える

企業経営の課題を解決するうえで有効な手段とされているタレントマネジメントですが、日本企業では広まりにくいといわれています。

日本のタレントマネジメントと海外のタレントマネジメントの機能にはどのような違いがあるのでしょうか。ここでは日本と海外のタレントマネジメントの違いについて説明します。

日本と欧米のタレントマネジメントの違い

欧米のタレントマネジメントは、当時の労働者が自身のタレントをさらに活かせる環境を求めて転職を繰り返していたことからはじまっています。企業は労働者を自社に留めるために従業員満足度の向上、モチベーションの維持を考えました。

一方、日本では少子高齢化にともなう生産年齢人口の減少や価値観の多様化による人材流出に歯止めを掛けたいという流れからタレントマネジメントが発展しています。導入の目的を明確にできずに行き詰まっているのが現状です。

日本と欧米におけるポジションの捉え方

ポジション、つまり必要とする人材理想像のとらえ方にも違いがあります。
日本ではポジション管理という概念がなく、組織と社員を直接つなげています。

対する欧米の人事システムでは組織はポジションと結びつき、そのポジションに社員が当てはめられるという形になっています。ポジションはあくまでも企業が考える理想的なタレントであるため、実際の人材が持っているタレントとはギャップがあります。これを埋めていくための支援が、欧米のタレントマネジメントです。

日本のタレントマネジメントの課題

欧米企業のように理想的なポジションを明示している日本企業はそう多くありません。タレントマネジメントを導入したもののうまく活用できず、取り組みに行き詰まったという声も多く挙げられます。はたして日本のタレントマネジメントはどのような課題を抱えているのでしょうか。

モチベーションの高い人材確保

働き方改革による雇用の流動化や価値観の多様化にともなって、モチベーションを維持するための対応は一筋縄ではいかなくなりました。企業は仕事に対するやりがいや社会的意義、ワークライフバランスなど一人ひとりのモチベーションにつながる要因を見定めながら人材流出を防がなくてはなりません。

モチベーション維持には以下のような対策が効果的です。

  1. ワークライフバランス実現のための労働時間制度
  2. 実現可能なキャリアビジョンの提示
  3. 効果的な教育の機会
  4. 適材適所の配置

など

グローバルへの対応ができる人材の確保

グローバルな視野で人材を把握できる仕組み、そしてグローバルに活躍できる人材の確保も必要です。ビジネス環境のボーダレス化によって、企業活動にはこれまで以上にグローバルな対応が求められています。日本企業が国際競争で生き残るためには、日本人以外の労働者の雇用、グローバルに活躍できる人材の確保、育成が欠かせません。

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3.注目されているグローバルタレントマネジメントとは?

いまや中小企業でもグローバル化の問題を避けて通ることはできません。あらゆる日本企業がモチベーションの高い人材やグローバル対応可能な人材などを確保して、従来の日本的人材管理から抜け出さなければならない時代となりました。

こうしたタレントマネジメントの問題を解決するための手法として注目されているのが「グローバルタレントマネジメント」です。

グローバルタレントマネジメントとは?

グローバルタレントマネジメントとは、その名のとおりグローバル人材の能力を最大限活かすためのマネジメント手法のことです。

1990年代のアメリカで提唱されたのがはじまりで、社員の能力や才能、スキルをシステムに登録管理し、客観的に活用していきます。
従来の人材管理システムでは社員の属性を、タレントマネジメントシステムでは潜在的な能力を管理します。

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グローバルタレントマネジメントで実現できること

従来の日本的人材管理から抜け出すために欠かせないグローバル人材。彼らの能力を最大限活かすためのグローバルタレントマネジメントでは、以下を実現することが可能です。

  1. グローバル人材の一元管理と可視化
  2. グローバル人材の最適化
  3. グローバル人材の育成

➀ グローバルな人材の一元管理と可視化

グローバル人材を管理、活用するためには、どのような能力を持った人材がどこにいるのかを把握する必要があります。

グローバルタレントマネジメントではこれまでの業務経験や配属履歴はもちろん、保有している資格やスキル、性格や好みなどを可視化したうえで一元に管理することが可能です。グローバル人材に関するさまざまな情報を一元管理して、人材配置や育成計画などを戦略的に進めることができます。

➁ グローバルな人材の最適化

せっかくグローバル人材を採用しても、その能力を活用できなければ意味がありません。海外のグループ企業内で能力を持て余している社員や、優れた能力を持っているにもかかわらずその実力を発揮できていない人材はいないでしょうか。

グローバルタレントマネジメントでは、こういった人材を掘り起こし、企業の競争力強化に役立てることが可能です。人材の全体最適を図るため、トップダウンでタレントマネジメントを実施するグローバル企業もあります。

➂ グローバルな人材の育成

グローバル人材の一元管理や最適化だけでなく、育成も必要です。グローバルタレントマネジメントではグローバル人材の育成や後継者育成なども行います。

世界経済がグローバル化し、日本企業の海外進出やM&Aが進むなか、グローバル人材の育成を目的としてタレントマネジメントを導入する企業も増えてきました。スキルや適性、資質などを軸にしてグローバル人材の育成計画を立てることもできます。

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4.日本と海外のタレントマネジメントの連携を実現するために

タレントマネジメントを導入、活用するためには企業が社員一人ひとりの能力を正しく把握しておかなければなりません。社員数が増えてきたり、海外に拠点を展開したりすると、人材情報の管理はさらに複雑になります。そこで活用したいのが、グローバルタレントマネジメントをサポートしてくれるシステムです。

グローバルタレントマネジメントをシステムがサポート

グローバルタレントマネジメントシステムでは、社員のあらゆるデータを管理します。社員の情報を上司や同僚しか把握していなかったり、社員データを個人に任せて管理していたりする企業も少なからず存在します。

しかしグローバルタレントマネジメントを実現するには、企業が全社員の情報を正しく把握しておく必要があります。社員のあらゆるデータを分かりやすく管理し、人材戦略の推進に役立てるためのシステムが「グローバルタレントマネジメントシステム」です。

英語でも運用可能なタレントマネジメントシステム 「カオナビ」

「顔」を起点に人材情報をまとめたタレントマネジメントシステム「カオナビ」には、あらゆる人事の課題を解決に導く9つの機能が搭載されています。この9つの機能を活用し、柔軟なタレントマネジメント設計を可能にしたカオナビを利用すれば、日本と海外の連携もスムーズに行うことができます。

もちろん従来の評価方法では発掘しきれなかったタレントを早期に発見し、正当な評価の実施、外部流出に歯止めをかけることも可能です。モチベーションやエンゲージメントの向上にも役立つでしょう。

また、英語表記も可能になっているので、日本と海外で表示を切り替えて運用ができます。

参考 あらゆる人事の課題を解決に導く9つの機能を搭載。タレントマネジメントシステムの「カオナビ」カオナビ