サプライヤーとは?【意味や業務を簡単に】ベンダーとの違い

サプライヤーとは、資材の供給元です。ここではサプライヤーについて、さまざまなポイントから解説します。

1.サプライヤーとは?

サプライヤーとは、企業活動に必要な原材料や資材、サービスなどを供給する売り手のこと。もともと仕入先や納品業者、供給元といった意味の言葉で、英語で供給という意味があるサプライ「supply」を語源としています。たとえば下記のようになるのです。

  • 小売業のサプライヤーは、卸売業者や生産者
  • 製造業のサプライヤーは、部材メーカー、原材料メーカー
  • 旅行業のサプライヤーは、航空会社鉄道会社、宿泊施設

サプライチェーンについて

「原材料や部品、サービスの調達」「生産」「物流」「販売」といった企業活動の流れのこと。

英語のsupply chainは、供給連鎖と直訳できます。サプライチェーンは、調達先といったさまざまな協力会社との関係性があって初めて築けるのです。

製造業を例にあげると、「資材や原材料の仕入先」「輸送業者」「卸売業者」「小売業者」などを含めた一連のフローとなります。

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2.サプライヤーとまちがえやすい用語

サプライヤーとまちがえやすい用語があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. メーカー
  2. ベンダー

①メーカー

製品を製造している業者のことで、英語でいう「maker」となります。メーカーとサプライヤーの違いは、下記のとおりです。

  • メーカー:製品を製造している製造業者
  • サプライヤー:メーカーといった会社に対して原材料や部品などの資材、サービスなどを供給する業者

②ベンダー

自らが仕入れた製品を消費者に販売する業者のこと。は英語で「vendor」で、販売するという意味を持つ「vend」と接尾語の「er」を組み合わせてできました。サプライヤーとの違いは、下記のとおりです。

  • ベンダー:自らが仕入れた製品を消費者に販売する業者
  • サプライヤー:資材を供給する業者

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3.サプライヤーの対義語

サプライヤーにはバイヤーという対義語があります。内容について解説しましょう。

バイヤー

販売する製品を買い付ける業者のことで、英語で「buyer」と表記します。買うを意味する「buy」と接尾語の「er」を組み合わせた言葉です。サプライヤーとの違いは、下記のようになります。

  • バイヤー:仕入れ業を営む業者
  • サプライヤー:仕入れた原材料をもとに製品を製造、販売する業者

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4.サプライヤーを選択するポイント

サプライヤーを選択する際は、何に気をつければよいのでしょう。下記2つのポイントについて、解説します。

  1. QCD+D
  2. 7つのC

①QCD+D

QCD+Dとは、

  • 「品質の向上」を示す「Quality」
  • 「低コストの実現」を示す「Cost performance」
  • 「必要な時期に届けること」を示す「Delivery Date」

の頭文字をとったものに、

  • 「開発力」を示す「Development」

をプラスしたものです。

安く仕入れるだけでなく品質や納期限などとともに、開発力を伴う供給ができるかどうかを評価してサプライヤーを選択していく必要があります。

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②7つのC

7つのCとは以下のとおりです。

  • 技術力、マネジメント力などを意味するCompetency
  • 財務的、物理的な供給の可能性を意味するCapacity
  • 供給可能性を確約できるかどうかを意味するCommitment
  • 管理や情報に関するしくみをもっているかを意味するControl
  • 財務上の安定性を意味するCash resources
  • トータルコストを意味するCost
  • 一貫した信頼性の担保を意味するConsistency

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5.サプライヤーの公開

自社の協力会社に関するサプライヤー工場リストやサプライヤーマップなどを公開すること。こうしたサプライヤーの公開を行う企業が増えています。

サプライヤーの公開を行っている企業としては、下記が有名です。また日本でもサプライヤーの公開を行う企業が徐々に増えています。

  • アパレル産業のナイキやパタゴニア、リーバイスやGAP、アディダス、
  • 電子機器産業のHPやアップル
  • 小売業のマークス&スペンサーやKマート

公開するメリット

サプライヤーを公開して得られるメリットは、ブランド力の強化と責任の明確化。サプライヤーとの関係を良好に築いていると広く社会に宣伝できるため、企業のブランド力が高まります。

またサプライチェーンに関わる協力会社をメディアや公的機関に公開すると、企業活動を透明化し、責任の所在を明らかにできるのです。

公開するデメリット

サプライヤーを公開するデメリットは、競合他社への情報提供の場になってしまうこと。

競合他社がサプライヤーリストに掲載されている業者にアクセスして資材などの調達を依頼した場合、サプライヤーを共有する状況になります。重要なサプライヤー情報の公開は、自社が持つ強みを打ち消してしまうでしょう。

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6.サプライヤー管理とは?

「ビジネス的なつながりを持つ協力会社であるサプライヤー情報を取得する」「取得した情報を定期更新して評価分析し、調達戦略に生かす」こと。

企業にとってサプライヤーは重要なビジネスパートナーです。サプライヤー管理を行うと、調達コストの削減や安定供給先の確保などを確実に行えます。情報収集や管理、集計や評価分析などを定期的に行うITシステムを活用するとよいでしょう。

サプライヤー管理の重要性

調達に関する属人性の排除です。サプライヤーとのやりとりが特定の担当者に依存してしまうと、サプライヤーとの適切な関係が恣意的に歪んでしまうでしょう。

サプライヤー管理を行えば、定期的にサプライヤーを評価する状況になります。結果、サプライヤーからの調達に関して、安定供給やコスト削減を客観的、戦略的に判断できるようになるのです。

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7.サプライヤー管理のポイント

サプライヤー管理には押さえておきたいポイントがあります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 情報の収集
  2. 評価基準の整備
  3. サプライヤーのメリットも考慮

①情報の収集

情報収集を行う際のステップは、以下のとおりです。

  • 調達先としてリストアップした業者から、自社が要求している基準を満たしたサプライヤーを複数探す
  • 選定した複数のサプライヤーから、適正価格や安定供給、納期などのうちもっとも期待できる業者を選定する
  • 実際に取引を始めたあとで、品質や納期などが契約どおりに履行されているかパフォーマンスを評価する

②評価基準の整備

評価基準を整備する際、競争力と協力度、両面の基準を整備しなければなりません。サプライヤー管理における評価基準を決定する際は、下記に注意が必要です。

  • 主観的な評価を排除する
  • 可能な限り定量的評価に置きかえる
  • 定性的評価を用いる場合、評価基準のレベルを明確に定義づける
  • 評価手順を簡素化し、評価業務の負担を軽くする

③サプライヤーのメリットも考慮

サプライヤーは、自社と協力関係にあります。そのため一方的な要求や評価をすべきではありません。サプライヤー側のメリットも考慮し、自社とサプライヤーがWin Winでいられる関係を構築しましょう。

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8.サプライヤー管理の事例

サプライヤー管理の事例を3つ、解説します。

  1. Apple
  2. 日清食品グループ
  3. H&M

①Apple

Appleはサプライヤー責任に関する評価基準を下記5つの項目に分類して、管理しています。

  • 説明責任
  • 労働者の権利と人権
  • 従業員の支援
  • 環境、健康と安全
  • 報告書

また「サプライヤーへの年3回実施される監査を通した状況把握」「サプライヤー支援としての教育プログラムの実施」などにも力を入れています。

サプライヤーを監査するだけでなく、コンプライアンスの問題も含め、サプライヤーに必要とされているスキルを習得させる支援を行っている点が、Appleのサプライヤー管理における最大の特徴です。

②日清食品グループ

日清食品グループでは、持続可能な社会や環境に対して問題を持っているサプライヤーを特定しています。

それらサプライヤーを「持続可能性リスクが高いサプライヤー」と定義づけ、「資材部とサステナビリティ委員会の現地訪問」「国際基準によるアセスメントの実施」などを行っているのです。

また新規取引先については、「日清食品グループ持続可能な調達方針」にもとづいたセルフチェックを実施しています。このチェックを行って一定基準を満たしたサプライヤーのみと協力関係を結び、サプライヤーの質を維持・向上させています。

③H&M

H&Mでは、ヨーロッパやアジアを中心とした約800社のサプライヤーから自社の商品を調達しています。多くのサプライヤーがいるなか、下記のようなサプライ管理を行っているのです。

  • 生産の実務を行う
  • サプライヤーと密に連絡を取る
  • 世界的規模のサプライチェーンTreadlerへのアクセスを提供
  • 多面的な管理と監査を実施する

H&Mはサプライ管理をとおして、「製品が自社の品質や安全基準に適合しているか」「・サプライヤーが労働者に対し人道的、合法的な労働環境を提供しているか」などをきめ細かに確認しています。