サプライチェーン(マネジメント)とは?【わかりやすく解説】

サプライチェーンは製品が市場に供給されるまでの一連の流れを意味し、サプライチェーンマネジメントはその流れを最適化する取り組みのこと。

現代は企業活動のグローバル化や人材不足の深刻化、IT技術の発展などにより、サプライチェーンマネジメントの必要性が高まっています。今回はサプライチェーン(マネジメント)について、さまざまな観点からわかりやすく解説しましょう。

1.サプライチェーンとは?

サプライチェーンとは、モノ(製品)が市場に供給されるまでの一連の流れのこと。「supply(供給)」と「chain(鎖)」を合わせた言葉で、日本語では「供給連鎖」と表現されることもあります。

モノが市場に供給されるまでには「調達」「生産」「在庫管理」「配送」「販売」と複数のプロセスが存在します。

各プロセスは相互に関連性を持ってつながり、一連の流れの中で繰り返されることから「チェーン(鎖)」に見立てて「サプライチェーン」と呼ばれているのです。

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2.サプライチェーンとバリューチェーンの違い

サプライチェーンは製品が市場に供給されるまで、社外でのプロセスも含めた一連の活動です。一方バリューチェーンとは、製造から販売、マーケティング活動や顧客へのアフターサービスなど、各プロセスが持つ価値に着目した考え方

サプライチェーンは一連の活動に他社とのかかわりも含めるものの、バリューチェーンは自社内を対象としている点に違いがあります。

どちらも各プロセスが相互に関係し合う点で「チェーン」というワードを用いており、着眼点は異なるものの、サプライチェーンはバリューチェーンに大きな影響を与える要素です。

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3.サプライチェーンリスクとは?

サプライチェーンリスクとは、自社や取引先などが災害や事故、トラブルなどによって一部のプロセスが停止することにより供給が途絶えるリスクのこと。

自然災害や事故、人為ミスや顧客の変更、品質低下など、サプライチェーンリスクの原因となり得るリスクは多岐にわたります。

なかでも、サイバー攻撃はウイルス感染によるサービス停止や顧客情報の流出など、サプライチェーンの途絶に大きな影響を与えるリスクとして危険度が高まっているのです。

注目が高まるサプライチェーンリスク

新型コロナウイルスの流行は世界的な供給網の遮断により、製品によっては大規模なサプライチェーンリスクに陥りました。テレワークの需要が急激に高まったことによる、ネットワーク機器の不足はその一例です。

とくに、近年はサイバーセキュリティ方面でのサプライチェーンリスクが深刻化。セキュリティ技術の発展に対抗するかのようにサイバー攻撃の手口も発展し、多くの社会・経済活動がインターネットを基盤としていることからもその影響力も甚大化しています。

グローバル化に伴うサプライチェーンの複雑化やサイバー攻撃の増加、世界情勢の変化による地政学的リスクの向上や自然災害の発生など、サプライチェーンリスクの要因となる事象も増加しているため、近年サプライチェーンリスクへの注目も高まっているのです。

サプライチェーンリスクマネジメントが重要

ひとくちにサプライチェーンリスクといっても、サプライチェーンリスクの内容や発生時の影響度はさまざま。複雑化するサプライチェーンにはリスクマネジメントが重要であり、そこで活躍するのがサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)です。

サプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)は、サプライチェーンで発生するリスクを管理し、問題の発生を防ぐ仕組みのこと

近年はサプライチェーンを取り巻く環境も複雑化し、自然災害や情勢、新型コロナウイルスのようなパンデミックなど、外部要因での不確実性が増しています。

リスクに迅速に対応するには、リスクを事前に想定して対策を検討するサプライチェーンリスクマネジメント(SCRM)が欠かせません。

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4.サプライチェーンマネジメント(SCM)とは?

サプライチェーンマネジメント(SCM)とは、各工程の運営方法やリスクを管理し、モノの流れを最適化すること。効率的かつスムーズな運営によってコストやリスクをコントロールし、リソースを最小限に抑えながら利益を最大化することが目的です。

市場のグローバル化に伴ってサプライチェーンは世界規模に拡大し、その分流通コストや地政学的なリスクが大きく影響するようになりました。

そして、IT化によってビッグデータを用いた販促活動ができるようになるといった、サプライチェーンマネジメントへの取り組み方も多様化しつつあります。

物流との違い

物流とは、サプライチェーンの工程のひとつであり、重要な役割を果たします。製造したモノの「輸送」、倉庫での「保管」、配送のための「包装・梱包」、効率的に配送するための「情報管理」などが物流の主要機能です。

物流の各要素が連携することで効率的かつ迅速な市場への供給を可能とし、サプライチェーン全体の円滑な運営に貢献します。

ロジスティックスとの違い

ロジスティックスとは、自社の物流プロセスの改善・管理に単独で取り組む仕組みのこと

調達から販売までのプロセスを最適化する取り組みである点で類似するものの、ロジスティックスは自社内で完結する一方、サプライチェーンマネジメントは供給網全体にアプローチする点で違いがあります。

ロジスティックスはサプライチェーンマネジメントを構成する一部であり、サプライチェーンマネジメントを構築するための出発点ともいえるでしょう。

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5.サプライチェーンマネジメントが求められる理由

「SCM(サプライチェーンマネジメント)」は1980年代に米国で登場し、2000年代初頭に企業経営にITを取り込む動きが活発化したため、日本でも注目されるようになりました。

近年、これまで以上にサプライチェーンマネジメントの必要性が高まっている理由には、下記のような事象が関係しています。

企業や経済のグローバル化

企業・経済活動のグローバル化に伴い、世界規模のネットワークが形成されています。こうした状況下ではサプライチェーンを一元的に管理して最適化を図り、競争力を維持しなければなりません。

そのためには、サプライチェーン全体で経営資源の流れを連携管理する必要性が高まっているため、サプライチェーンマネジメントが注目されています。

人材不足の深刻化

人手不足の慢性化により、とくに物流方面での無駄を削減する必要性が高まっています。物流における人手不足感は増加傾向にあり、こうした状況を改善するために物流の効率化が求められ、その対処法としてサプライチェーンマネジメントが重要視されています。

ニーズの多様化

情報社会へと発展したことで消費者は自ら情報を収集し、ニーズにあったものを個別に選択するようになりました。

結果、消費者のニーズはこれまで以上に多様化。多様化したニーズに応えるため需要と供給をバランスよく調整し、必要なものを必要な量だけ生産できるサプライチェーンマネジメントの必要性が高まったのです。

IT技術の発展

これまで情報は分断されていることが一般的でした。しかしIT技術の急速な進歩によって情報を管理するデバイスやクラウドサービスが普及。

結果、サプライチェーン全体での情報共有と連携がリアルタイムで可能となり、在庫管理やリソースの最適化など、企業に多くのメリットがもたらされるようになりました。

サプライチェーンマネジメントに特化したソリューションも増加し、多くの企業がサプライチェーンマネジメントの強化に取り組める環境になったことも一因です。

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6.サプライチェーンマネジメントのメリット

サプライチェーンマネジメントに取り組むと、以下のようなメリットが期待できます。

コストの削減

サプライチェーンマネジメントでは需要や在庫情報など、各工程間での情報共有がコスト削減につながります。

情報共有が不足すると過剰生産や余剰在庫の発生リスクが生じる恐れがあるものの、必要な情報を迅速に前工程にフィードバックすると、原材料の購入費用や運送量などが調整でき、リードタイムの短縮にくわえて余分なコストの削減が期待できます。

人手不足の解消

人材を配置すべき工程が明確化することで、需要の増減にあわせて最適な人員を各工程に配置することが可能です。必要なときに適切なリソースを配分できることは、人手不足の解消にもつながります。

在庫の最適化

サプライチェーンマネジメントは、過剰な在庫や不足した在庫による損失を最小限に抑えるためにも役立ちます。リアルタイムの需要予測と情報共有を可能とするため市場の供給と消費者の需要に合わせた在庫が維持でき、機会損失を抑えながら売上増加を図れます。

リードタイムの短縮

調達、在庫、販売などの各データを統合管理できるため、調達業務の効率化が図れます。サプライチェーン全体で共有・管理できれば業務が効率化され、各工程のリードタイム削減にも期待できるでしょう。

消費者ニーズに対応

マネジメントシステムのなかには業務プロセスから収集したデータを分析する機能が備わっており、サプライチェーン全体の状況や課題が可視化できるようになります。

在庫最適化がつねに行えるため、需要の急増や急減にも迅速に対応可能です。製品のライフサイクルが短くなっている現代では、迅速な経営調整のためにも需要変化の予測が欠かせません。

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7.サプライチェーンマネジメントのデメリット

一方、サプライチェーンマネジメントには以下のようなデメリット・注意点があります。

仕組みの構築が困難

サプライチェーンマネジメントでは、超圧から生産・販売、包装・配送、在庫管理など幅広い業務を管理します。

広範囲にわたる工程を管理するための適切な仕組みづくりは容易ではなく、きめ細かくプロセスを検討した結果かえって非効率になってしまうケースも珍しくありません。

サプライチェーンの仕組みづくりが適切でないとリソースを無駄にしてしまい、市場価値の低下に直結します。適切な仕組みを構築するうえではその難しさを理解し、必要なスキルセットと経験を持つ人材を集めて慎重に検討していくことが必要です。

コストが増大

サプライチェーンマネジメントを導入するうえで、システム構築と運用に必要なITスキルを持つ人材の確保・育成に関するコストが発生します。

システムは企業固有の特徴を考慮して構築する必要があり、人材育成と保守運用にはコストだけでなく時間も必要です。これらのコストを踏まえ、運営方法の課題となります。

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8.サプライチェーンマネジメントの導入手順

サプライチェーンマネジメントの導入手順は、以下4ステップです。

  1. 課題の明確化
  2. 担当者の選定
  3. システムの選定と導入
  4. 効果の算出

①課題の明確化

まずは現状のサプライチェーンの全体像を整理し、ムリ・ムダによって損失が出ている工程を特定・数値化します。そのうえでサプライチェーンマネジメント導入による期待効果を概算し、改善すべき優先順位を決定していくのです。

②担当者の選定

次に、導入を進めるプロジェクトメンバーと主導部署、チームの責任者を選定します。人員が決定したらステップ①で明確にした課題のもと、サプライチェーンマネジメントを導入する目的とゴールを共有し、各メンバーの役割を明確に定めていくのです。

③システムの選定と導入

サプライチェーンマネジメントを推進するため、自社の課題や目的、体制にあったツール・サービスを検討します。機能やサポート体制、予算や費用対効果などを考慮し、最適なツール・システムを選定することが重要です。

④効果の算出

導入後は、必ず成果を測定しましょう。たとえば、実施すべき項目を具体的なスケジュールに落とし込めるか、経営目標と適合するか、コストと人員がまかなえるかなどをチェックします。

サプライチェーンマネジメントの導入によって生産や物流、在庫の最適化だけでなく、経営全体も意識して経営の最適化を図る視点を持って取り組むことが大切です。