【事例あり】組織文化とは? 4つのタイプ、デメリット

組織文化とは、企業などの組織内で共有される考え方や行動指針のこと。重要性、4つのタイプ、メリットとデメリット、醸成する際のポイントなどについて解説します。

1.組織文化とは?

組織文化とは、組織内メンバーの思考や行動のもとになる信念や価値観のこと。企業の場合は企業文化とも呼ばれます。代表的な組織文化のひとつが、企業の経営理念です。

組織文化は、商品開発やサービス展開、顧客への対応方針やマーケティング戦略など、企業活動すべてに一貫した影響を与えます。そのため社内外の環境変化に応じて、意図的に変えていく必要があるのです。

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2.組織文化と組織風土の違い

組織文化と「組織風土」は、しばしば混同されます。双方の違いは「形成される流れ」「影響を与えるもの」「コントロールの可能性」です。ここでは組織文化と組織風土の具体的な違いを解説します。

  1. 外部からの影響
  2. 周囲への影響
  3. 変化のしやすさ

①外部からの影響

組織風土とは、組織の経験から自然と生まれた共通認識のこと。多くの場合は明文化されておらず、暗黙の了解を伴った価値観や行動パターンなどを指します。

組織風土は過去の取り組みや慣習などから醸造されるため、組織文化とは異なり、時代や環境の変化といった外部の影響をさほど受けません。

②周囲への影響

組織全体の共通認識である組織文化は、全社的に影響を与えます。組織風土は、部署やチームなどグループ単位でも発生。そのためグループ内の従業員へ影響しやすいです。

③変化のしやすさ

組織文化は社会変化や競合状況に応じて変化できるものの、組織風土は一筋縄では変えられない傾向にあります。組織風土は自然発生し、徐々に定着して形成されたという経緯があるためです。

自社で常識とされるルールや考え方が根強く残るので、組織風土を変えたいときは長期的に取り組む必要があります。

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3.組織文化の醸成が重要な理由

組織文化は企業活動全体に影響を与えるため、経営戦略において大きな意味を持ちます。そのため現在では経営資源に組織風土を含める見解もあるほどです。ここでは組織文化の重要性とその理由を解説します。

  1. チームワークを強化
  2. 人材の安定的な確保

①チームワークを強化

組織文化が浸透すると、従業員は価値観や共通認識を持てるようになり、意思の疎通がしやすくなります。コミュニケーションの質が高まると従業員間に良好な人間関係が構築され、スムーズな連携によるチームワーク強化が期待できるのです。

また行動指針も定着しやすくなり、個々の従業員が迅速かつ最適な意思決定を行えるようになります。

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②人材の安定的な確保

組織文化は企業の方向性や重視する価値観を伝えるものです。組織文化に共感し、適応できる従業員はエンゲージメントが維持向上しやすくなります。エンゲージメント高い従業員は定着率と貢献度が高まり、長期に渡って自社の成長や発展を支えていくでしょう。

また採用時においても、自社とマッチする応募者かを見極める際に組織文化がひとつの指針となります。

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4.組織文化と人的資本の関係

企業が成果を上げて価値を高めるには、人的資本、つまり従業員の成長や活躍が不可欠です。そこで人材を育成し、その能力を最大限に生かす組織文化を構築する必要があります。

人的資本経営においても重要

人的資本経営とは、これまで経営資源として見なされてきた「ヒト」を資本として捉え、従業員の特性やスキル、経験を活用して企業価値につなげていく経営手法のこと。

人的資本は企業運営に不可欠なうえ、上場企業には人的資本の情報開示が義務化されることから、注目を集めています。開示項目のうち「流動性」「エンゲージメント」「ダイバーシティ」などは、組織文化と密接に関係するとして重視されているのです。

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5.組織文化の4つのタイプ

組織文化には、以下の4タイプにわかれます。それぞれの特徴を紹介しましょう。

  1. 家族文化(クラン文化)
  2. マーケット文化
  3. アドホクラシー文化
  4. 階層文化

①家族文化(クラン文化)

仲の良さや親密なつながりを重視する文化です。企業を共同体と捉え、経営層も従業員も共同体の構成員と見なし、組織に対する貢献や密接なコミュニケーション、協調性やチームワークに価値が置かれます。

ただし個人成果がチームの評価に包含されがちで、向上心の高い人ほど離職する可能性が高まる点に注意が必要です。ほかにも「他人任せになりやすい」「業務が属人的になり全体像が把握しにくい」などの傾向が見られます。

②マーケット文化

競争意識の高い思考が特徴的な文化です。目標達成や収益性、市場で高い評価を得ることを重視するのが特徴。成果主義や個人主義になりやすく、向上心や独立心の強い人に向いています。

また数字的な根拠にもとづいて経営判断を行うので、一貫性ある経営方針を保てるのがメリットです。ほかにも行動基準や評価基準が客観的にわかりやすいなどのメリットもあります。

デメリットはチームワークよりも個人成果に偏った評価になりがちで、協力体制が形成されにくいことです。

③アドホクラシ―文化

変化や創造、スピードや新規性を重んじる文化です。イノベーション文化とも呼ばれます。時代のニーズやトレンドを把握する力、課題解決、チャレンジに長けているうえに経営判断のスピードも早く、積極的に変革を起こしていくのが特徴。

一方で従業員間の競争が激化しやすく、ストレスや緊張にさらされる可能性があります。

④階層文化

上位者によるトップダウン式の管理を重視する文化。ヒエラルキー文化とも呼ばれます。

階層文化では役職やポジションに価値があり、強いリーダーシップと厳格な行動規範が特徴です。指示系統が明確なので企業の方向性が定まるうえに統率もとれるため、組織が安定しやすいタイプといえます。

しかし一貫性や画一性を重視するため、個人のチャレンジは歓迎されない場合も多く、新規性や創造性が発揮されにくい傾向にあるのです。

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6.組織文化を醸成する要素

組織文化の醸成には以下6つの要素が必要です。それぞれについて解説します。

  1. 創業者の意志と行動
  2. 使命
  3. 価値観と評価
  4. 慣行
  5. 人材
  6. 組織内でのエピソード共有

①創業者の意志と行動

組織文化を醸成するために、まずは創業者が大事にしてきた思いや考え、これまでの歴史を受け継ぐことが重要です。

「どんな経験から何を実現したくて創業したのか」「どのような思いを持って運営しているのか」など、創業者の意志や行動を従業員が知る機会を作るとよいでしょう。たとえば以下のような手法が挙げられます。

  • 言語化して社内報や自社HPに掲載する
  • 社内イベントや定期的な会議の場で直接伝える
  • 経営層が社内発信と拡散をサポートする

②使命

使命を明らかにすると、組織文化の方向性が定まります。企業活動をとおして自社が達成したいことや、実現したいことが明確になり、従業員も目の前の業務が持つ意義や、自分と組織のつながりを実感しやすくなるのです。

そのため仕事に対するモチベーション向上も期待できます。

③価値観と評価

価値観は企業にとって重要なことを定め、物事の優先順位を決めます。従業員の評価基準や行動指針にもつながるため、組織文化の形成に大きな影響を与えるのです。価値観を定着させるためには、業務や人事評価などに落とし込む方法が効果的でしょう。

④慣行

慣行とは、自社の価値観や行動指針が落とし込まれた業務や行動のこと。自社の使命や価値観が体現化されたものといえます。

⑤人材

組織文化に共感し、形成に寄与してくれる人材を採用教育するのも大切です。企業理念や価値観を体現する従業員が多いほど、組織文化の浸透と醸成が促進されます。採用において、自社の組織文化に馴染んでくれるかを見極めるのは、重要なポイントです。

⑥組織内でのエピソード共有

組織文化の醸成には、エピソード共有が効果的です。物語は記憶に残りやすく、従業員の共感を呼びやすくなります。

実際に起きた危機や苦労話、商品開発の経緯や従業員のエピソードなど、自社の組織文化に適したストーリーを選び、当時の思いや行動結果なども踏まえて話すとよいでしょう。

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7.組織文化を醸成するメリット

組織文化が醸造されると、迅速な意思決定、従業員のエンゲージメント向上などのメリットが期待できます。ここでは5つのメリットを解説しましょう。

  1. スピーディーな意思決定
  2. 風とおしのよい職場環境
  3. 団結力の向上
  4. 自発的な行動を促進
  5. 人材定着率の向上

①スピーディーな意思決定

組織文化が浸透している企業では、意思決定を迅速に行えます。共通の組織文化を前提に経営判断をするため、意見の合意や施策の優先順位づけなどがスムーズに進むからです。

スピーディーな意思決定は、迅速な行動にも直結します。時代や環境の変化に則した柔軟な企業活動が実現し、ビジネスチャンスの獲得や、事業の成長と発展につながるでしょう。

②風とおしのよい職場環境

適切な組織文化を浸透させると、従業員のエンゲージメントを高められます。組織文化の共感と理解をとおして、自社の事業と担当業務の関連性、および担当業務の意義や価値を把握でき、自社に対する愛着や信頼が生まれるからです。

モチベーションの高い従業員が集まるほど、人間関係が良好になり、風通しのよい職場環境を実現できます。

③団結力の向上

明確な組織文化のもとでは、従業員が同じ価値観や判断基準を共有しているため、強い連帯感や一体感が生まれます。

連帯感や一体感からコミュニケーションが活性化し、従業員間の情報共有や連携が円滑化。組織力が強化され、業務の品質や生産性の向上が期待できます。従業員のモチベーションアップにもつながり、定着率も高まるでしょう。

④自発的な行動を促進

組織文化を醸成できると、従業員は企業の目指す姿から逆算して「自分には何ができるか」「企業目標の実現にはどうしたらよいか」など、自発的に考え、行動できるようになります。そのような従業員が増えるほど、企業の競争力は高まっていくでしょう。

また自分の役割や存在意義を実感しながら仕事に取り組むため、やりがいを感じやすく、従業員エンゲージメントにも直結します。

⑤人材定着率の向上

企業文化を明らかにして対外的に発信していくと、自社の価値観に共感する求職者とマッチングしやすくなります。組織文化に馴染める人材はエンゲージメントも高まりやすく、長期的に貢献および活躍する人材となるでしょう。

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8.組織文化を醸成するデメリット

組織文化の醸成にはデメリットも想定されます。「思考や行動のパターン化」「同調圧力」などに陥る危険性は否めません。組織文化を定期的に振り返る機会も必要です。

  1. 考え方や行動がパターン化
  2. 組織の客観視が困難
  3. 排他性が生まれる可能性

①考え方や行動がパターン化

組織文化に馴染んだ従業員が増えると、考え方や行動パターンが似ているため、新しい発想が生まれにくくなります。

「組織文化への共感は重視しつつ、異なる視点を持つ人材を採用する」「相違点から議論を深める」など、一体感のなかで多様性も担保する工夫が大切です。

②組織の客観視が困難

組織文化が強まりすぎると自社の状態を客観視できなくなり、本質的な改善や改革から遠のいてしまうかもしれません。自社の価値観や方針を信頼するあまり、うまくいかない理由を外部に求めたり、自分たちを棚上げしたりする可能性もあるからです。

第三者の評価や数値による測定など、自らを客観視できる環境を整えるとよいでしょう。

③排他性が生まれる可能性

自社らしい組織文化に注力した結果、独自性が強くなりすぎ、同調圧力がかかるデメリットもあります。

馴染めなくなった従業員の離職が増えるうえ、求職者とのマッチングが難しくなったり、入社後の定着がうまくいかなかったりといった問題も起こりかねません。

新しい価値観や思考は排除対象になるため、ニーズや環境の変化に対応できず業績が低迷するリスクも懸念されます。

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9.組織文化の醸成方法

組織文化を醸成、浸透させるためには、大まかに4つのステップがあります。組織文化の作り方を、順を追って解説しましょう。

STEP.1
ビジョンや戦略を構築
自社の課題や目標をもとに、実現に必要な戦略を策定します。組織文化と具体的な事業戦略を結びつけて検討することがポイントです。

またこのとき、従業員が企業理念やビジョンにどの程度共感しているか確認しながら進めていきます。自社が目指す姿に賛同と理解が得られないまま組織文化を落とし込もうとしても、机上の空論で終わってしまうからです。

STEP.2
全社で共有
策定したビジョンや戦略を全社に共有します。このとき、何よりも現場の共感を大切にしながら説明するのがポイント。根気強く丁寧な共有が、行動に移した時のスピード感や一体感を生み出すからです。

以下のような内容を、経営層が自分たちの言葉で従業員に伝えると共有しやすくなります。

  • 将来的に目指す姿と現状のギャップ
  • 組織文化を浸透させたい理由、背景
  • 組織文化を作ることで得られるメリット

決定した事業戦略と根底にある価値観

STEP.3
環境を整備
従業員と経営層、全社がビジョンを体現し戦略実行しやすくなるよう、社内環境の整備に着手します。整備の対象は、「制度」「ルール」「オフィスレイアウト」など。たとえば以下のような整備が挙げられます。

  • 副業の推奨
  • デバイスの貸与
  • 研修費の補助
  • デスク配置の変更
  • オフィスエントランスや会議室のデザイン変更
  • 表彰制度の導入
  • 評価基準や採用基準の見直し
STEP.4
ビジョンに沿った行動を促進
充分に企業ビジョンが理解と共感を得られたら、実際的な取り組みを加速させていきます。従業員が自発的に企業ビジョンを意識して動けるよう、経営層と現場双方から働きかけましょう。たとえば以下のような取り組みが挙げられます。

  • 日常の業務やタスクを組織文化に沿って見直す
  • ビジョンを体現できている従業員を評価する
  • 上司部下のコミュニケーションを通じて組織文化を実践する
  • 社内メディアでビジョンに沿った発信をする
  • 社内アンケートでフィードバックを得る

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10.組織文化を醸成する際のポイント

組織文化を醸成する際は「組織文化への理解」「評価制度の整備」「多様性の担保」が不可欠です。醸成方法は多岐にわたるものの、いずれの方法でも従業員の理解と納得を得られなければ、組織文化の定着は難しいでしょう。

  1. 組織文化に関する理解
  2. 評価制度を整備
  3. 多様な人材が必要

①組織文化に関する理解

組織文化の概要を知るだけでは、実際の行動にはつながりません。その背景や理由、具体的な事例などをつうじて、深い理解と納得を促す必要があります。

組織文化の理解に有効なのが社員研修です。経営層の一方的な説明に終始せず従業員を巻き込んだディスカッションといった形で従業員の意見を聞きながら、丁寧に価値観をすり合わせましょう。

②評価制度を整備

企業ビジョンを土台にした評価制度の整備も求められます。

組織文化に沿った行動をしているのに正しい評価を受けられないのでは、従業員は「行動を変えよう」という気になりません。自社が目指す組織文化と人事評価に一貫性を持たせ、従業員が自ら企業ビジョンを意識して行動する仕組みを作ることが大切です。

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③多様な人材が必要

組織文化の醸成には、多様な意見が必要です。よりよい組織文化のイメージを固めるために、各従業員の価値観や望む未来などをヒアリングしましょう。従業員の意見や存在が尊重された組織文化は、理解や定着が早まります。

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11.組織文化に関する企業事例

その企業らしさとビジネス構成要素がうまくリンクした組織文化を作り、他社との差別化に成功している企業の事例を紹介します。

  1. ユニクロ
  2. 公益財団法人 日本漢字能力検定協会
  3. トヨタ自動車
  4. Netflix
  5. マルハン

①ユニクロ

ユニクロを運営するファーストリテイリングは「グローバルワン、全員経営」を掲げ、各従業員が経営目線を持つことを重視しています。

従業員が経営目線を持つためには、自社の考え方や行動を理解し、習得する必要があります。そのため同社は教育プログラムを充実させ、同社のビジョンを体現する経営者から直接学べる機会を創設し、従業員の向上心を刺激する場を整備しました。

②公益財団法人 日本漢字能力検定協会

日本漢字能力検定協会では「組織の硬直化」「セクショナリズムの弊害」「安定志向」を問題視し、人事労務チームによる部長研修を実施しました。

一体感に欠けていた部長同士でコアバリューの共有を図った結果、研修後は部長同士が自発的に連携するようになったのです。

さらに組織文化の変革へ取り組み、「協会の新しい使命を作る」「作った使命を組織全体に共有する」「経緯や思いを丁寧に説明する」などを実施しました。

主体的に行動する人が増え、強い一体感や新しいチャレンジが生まれる組織文化が醸造されつつあります。

③トヨタ自動車

トヨタ自動車では「トヨタウェイ」と呼ばれる独自の企業ビジョンを掲げています。トヨタウェイの柱は、製品の付加価値を高める「知恵と改善」と、ステークホルダーに対する「人間性尊重」のふたつ。

トヨタウェイからは社内外の人々と協力し、より高いレベルを目指してチャレンジと改善を繰り返すという組織文化が生まれました。

④Netflix

Netflixではおよそ14,000文字にもなるカルチャーデックを公開し、従業員だけでなく一般の人にも自社の価値観や経営理念、組織文化を発信。企業ビジョンやその具体例、策定の背景や理由について詳細に明文化している点が特徴です。

Netflixでは「自主性」「当事者意識」「人材選別」「情報共有」を重視し、社内制度やルールにも明確に反映しています。たとえば「自主性」「当事者意識」の要素を組織風土に取り入れるため、ルールを最小化しました。

自由を与える代わりに責任を持たせる環境を作り、従業員の主体的行動を促しています。

⑤マルハン

マルハンでは、自社のビジョンや独自性をマルハンイズムとして表現しています。

「業界に変革をもたらす」という目標に向かって行動し続けるため、従業員それぞれの意識や考え方、目指す将来像を全員で共有する大規模なプロジェクトを発足。

イズムプロジェクトと呼ばれるこの取り組みには1,000人以上が参加し、550日もの日数をかけて「マルハンが大切にすべきこと」を7つの項目に凝縮しました。

全社を巻き込んで意見交換を重ね、従業員にとって思い入れと愛着のある企業ビジョンが策定された好例です。