自然退職とは? 種類や解雇との違い、トラブルや事例、流れについて

会社を退職する形態にもいくつか種類があります。たとえば自己都合退職や会社都合退職などがありますが、その中でも自然退職とはどのような退職を指すのでしょうか。

ここでは、自然退職の流れや解雇との違いなどを含め、退職に関する情報を詳しく紹介します。自然退職時のトラブルの事例・裁判例についても見ていきましょう。

1.自然退職とは?

自然退職とは、就業規則や雇用契約書に定められている事由を満たした場合、労働者や会社の意思表示がなくとも労働契約が終了し退職となること。事由には、「無断欠勤」や「休職期間が満了しても復職できない」などが挙げられます。

多くの企業では、就業規則に休職期間や満了時の扱いなどが定められています。たとえば「1年間の休職期間満了時に復職できそうにない場合は退職となる」などと記載されているのです。

この場合、自己都合でも会社都合でもないため退職届(退職願)や退職通知書は不要ですが、トラブルを避けるために会社からは退職通知書や休職期間満了通知書を送付しておくことが望ましいとされています。

就業規則と自然退職

自然退職の例は、「無断欠勤(音信不通)が続いている」「休職期間満了時に復職できない」「定年退職」「雇用契約満了」「本人の死亡」などです。

このような特定の状況下において労働者を自然退職とするには、就業規則や雇用契約書に明確に定めておかなくてはなりません。つまり、就業規則などに記載がある場合、意思表示がなくとも退職にできるのです。

無断欠勤が続く場合解雇となりそうですが、解雇する場合は本人に通知が到達している必要があります。音信不通である状況も多いため、無断欠勤の場合は解雇ではなく自然退職と定めておくとよいでしょう

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2.自然退職の種類

自然退職のパターンを見ていきましょう。

定年退職

定年退職とは、定年を迎えることで退職となること。定年年齢の設定は各企業によって異なりますが、「高年齢者雇用安定法」の例外措置によって以下のことが決められています。

  • 定年年齢は60歳を下回ってはいけない
  • 65歳未満の定年を定めている事業主は、65歳までの雇用を確保するための措置(定年の廃止・継続雇用制度の導入・定年の定めの廃止のいずれか)を導入する必要がある

定年の延長や再雇用についても、就業規則などに定めておく必要があります。

期間満了退職(雇い止め)

期間満了退職(雇い止め)とは、契約期間が満了することで退職となるもので、契約社員などの有期雇用契約者に見られます。

期間満了退職の場合、原則として自己都合退職扱いとなりますが、3カ月間の給付制限期間は付かないため、待機期間が終了すればすぐに失業保険を受給できます。

ただし給付日数は、雇用期間などによって異なります。1回以上契約更新されていて雇用期間が3年以上あった場合、会社都合退職と同じ特定受給資格者として扱われるのです。

無断欠勤などの連続

無断欠勤や音信不通が続く場合も自然退職となります。ただし、あらかじめ就業規則や雇用契約書に定めておかなくてはなりません。

多くの会社では、「無断欠勤が14日以上連続していて出勤を要請しても応じない場合は懲戒解雇する」などと就業規則に定められています。しかし、本人に解雇通知が到達しなければ解雇は成立しません。

本人に連絡が付かない場合を考えて、無断欠勤が続く場合は自然退職とすると規定しておいたほうが時間も手間もかからないでしょう。

死亡退職

死亡退職とは、何らかの理由により本人が死亡したときに退職となるものです。退職日は死亡した日となります。

よって事業主が日本年金機構に提出する「被保険者資格喪失届(雇用保険・社会保険)」を記載する際、離職年月日の欄には死亡した年月日を記載します。

そのほかにも事業主は、協会けんぽや健保組合に、埋葬料の申請、傷病手当金・高額療養費の申請、未支給年金などの請求申請を行います。これらは遺族でも申請できますが、会社が代行することで申請漏れを防ぐことができるでしょう。

休職期間満了(自然退職)

休職期間満了による自然退職とは、就業規則や雇用契約書に定められた休職期間が満了するまでに復職できない場合に退職となるもの。休職制度は企業による任意の制度で、業務上に起因しないケガや病気を理由に私傷病休職が認められるのです。

業務上の傷病による休業では法的な制限がかかり、労災保険の療養補償や休業補償などの対象となります。またセクハラ・パワハラ、長時間労働によって精神疾患を発症した場合、休職期間満了による退職扱いや解雇は不当と判断される場合があるのです。

自然退職は、当然退職、自動退職などとも呼ばれます。上記以外に、役員に就任する場合も自然退職扱いとなります

3.自己都合退職、会社都合退職の違い

自己都合退職と会社都合退職の違いを詳しく説明しましょう。

自己都合退職とは?

自己都合退職とは、病気療養や介護、結婚、出産、転居、転職、家庭の事情といった一身上の都合により、労働者自らの意思で退職すること。自己都合退職の場合、退職届や退職願を会社に提出して意思表示する必要があります。

民法上では退職申告後2週間後には退職が可能とされていますが、業務の引き継ぎなどを考えると希望退職日の1~2カ月前には申し出る必要があるでしょう。なお、退職願は退職を撤回できますが、退職届は撤回できませんので注意が必要です。

自己都合退職のメリットとデメリット

自己都合退職のメリットは、退職理由に「一身上の都合」と記載するだけでよい点です。また転職の際、普通解雇が含まれる会社都合退職よりも面接官に与える心証がよくなりやすいといえます。

一方デメリットは、失業給付金を受給する際、待機期間7日間に加えて3カ月間の給付制限が付く点。また給付日数(自己都合退職:90~150日、会社都合退職:90~330日)や最大支給額も、会社都合退職と比べて少なくなるのです。

会社都合退職とは?

会社都合退職とは、経営不振や倒産による事業所停止、事業所廃止、人員整理(リストラ)、普通解雇(経歴詐称・業務成績が著しく悪い等の理由による)、退職勧奨といった事業主側からの働きかけによって退職となること。

人員整理が目的の早期退職制度を労働者が利用した場合も、会社都合退職に含まれますが、応募期間が3カ月以内のものに限ります。なお、労働者本人が起こした懲戒事由によって解雇される懲戒解雇は、会社都合ではなく自己都合扱いとなるのです。

会社都合退職のメリットとデメリット

まず、会社都合退職のメリットを見ていきましょう。

  • 30日以上前に解雇予告がなかった場合、30日分以上の平均賃金を解雇予告手当として受け取れる
  • 退職金に上積みされる
  • 退職に関する一時金が支払われる
  • 特定受給資格者として扱われるため、失業給付金の所定給付日数が自己都合よりも長くなり、支給額も多くなる
  • 給付制限は待機期間7日間+約1カ月と自己都合と比べて短く、失業給付金を早く受給できる

一方デメリットは、転職の際に不利になる場合があること。会社都合退職の理由が解雇の場合、面接時の質問が通常よりも増えることが想定されるため、履歴書に記載する内容や面接時の回答について、十分な吟味が必要でしょう。

退職勧奨を受けた場合、勧奨を承諾して自ら退職を申し出ると、会社都合退職とはならずに自己都合退職か合意解約となるため注意が必要です

4.解雇とは?

解雇にはどのような種類があるのでしょうか。解雇について詳しく見ていきましょう。

普通解雇

普通解雇とは、「勤務態度や業務上の成績が著しく悪い」「採用時に提出した経歴を詐称している」「病気やけがによる休職期間が満了したにもかかわらず復職ができない」といった場合に生じる解雇のこと。

普通解雇を行う際、客観的に見て合理的な理由があり、その理由が社会通念上、解雇に相当すると認められるものでなくてはなりません。ただし休職期間満了における退職かつ、就業規則で定めている場合は、自然退職扱いとなります。

整理解雇

整理解雇は普通解雇の一種で、業績悪化など経営上の理由で労働者を雇用できなくなった場合に生じる解雇のこと。

整理解雇を行う際、「人員削減の必要性は本当にあるのか」「解雇を回避する努力を尽くしたか」「解雇する人員の選定方法に合理性はあるか」「従業員に十分に説明するなど、誠実な対応をしているか」などから、整理解雇が妥当かどうか厳しく判断されます。

業績が悪いからといって簡単に解雇できるものではありません。相応の理由が必要なのです。

諭旨解雇

諭旨解雇とは、従業員に不祥事などがあった場合に、自発的な退職を促したものの退職に至らない場合に生じる解雇のこと。懲戒解雇よりもひとつ軽い処分ですが、懲戒解雇に相当する状態にあることが前提となるのです。

諭旨解雇を行う場合、企業と従業員が話し合いの場を設けて、本人に弁明の機会を与えなくてはなりません。また互いに納得した上で従業員に解雇を受け入れてもらう必要があります。

懲戒解雇ではなく諭旨解雇となるのは、本人に反省している様子がうかがえる場合に多いようです。

懲戒解雇

懲戒解雇とは、情報漏えいや横領で刑事罰を受けるなど、会社に対して著しいダメージを与えた従業員に対してペナルティとして行う解雇のこと。解雇の中でも最も厳しい処分に当たり、公務員の場合は懲戒免職といいます。

ただし、明らかにペナルティに値する行為を行ったとしても、懲戒解雇の事由を就業規則に明記していなければ懲戒解雇にはできません。また本人に弁解の機会を与えたり、懲戒解雇に相当する合理的理由があるか客観的に判断したりする必要があります。

懲戒解雇の事由に相当するのは、「重大な犯罪行為」「重大な経歴詐称」「長期間の無断欠勤」「重大なセクハラ・パワハラ」「懲戒処分を受けても同じことを繰り返す」などです

5.自然退職によるトラブル、事例、裁判例

自然退職で生じるトラブルの事例や裁判例をいくつか紹介しましょう。

復職を申し出たが断られた

業務外の私傷病を理由に休職をしていた従業員が、休職期間満了を迎える前に、医師の診断書を添えて「軽い作業ならできます」と復職を申し出ました。しかし、「これまで通りの仕事ができないなら辞めてほしい」と告げられたのです。

休職制度には法律上の規定はなく、企業ごとの就業規則などで定められたルールに従って運用されます。一般的には、休職期間満了時に復職が困難な場合は自然退職になる場合が多いです。

しかし完全に回復していない場合の復職について、事業主に一定の配慮を求めた裁判事例もあります。

JR東海事件

脳内出血で倒れて以来、療養のため休職していたJR東海の従業員が、3年間の休職期間満了間近に、復職の意思を会社に示したにもかかわらず、後遺症を理由に就業できる業務がないとして休職期間満了をもって退職させられたのです。

この従業員は、杖なしでの歩行も意思疎通ができる程度の会話も可能で、指先を使う細かい作業は難しくても握力は十分にある状態でした。

裁判では従業員側が勝訴。休職前の業務に対して十分に労働力を提供できなくても、企業内で配置換えなどを検討して復職に配慮すべきであったという判決が出ています。

エールフランス事件

結核性髄膜炎により休職していたエールフランスの従業員が、回復したとして復職を申し出たところ、めまいや耳鳴りなどの後遺症があると復職を拒否され、休職期間満了を理由に退職させられました。

こちらの裁判例でも、休職期間満了による退職扱いは無効とされています。従業員の回復の見通しをきちんと調査せず、また回復状態に合わせて徐々に通常業務に復帰させていくなどの配慮をせずに復職不可としたことは、妥当ではないという判断が下されました。

傷病による休職期間満了時の復職は、どの程度であれば治癒したと認められるかどうか、判断が難しい側面もあります。復職にあたっては従業員とよく話し合うことが重要でしょう

6.自然退職の流れ

どのようなステップで自然退職となるのでしょうか。その流れを紹介します。

就業規則の確認

自然退職に当たりそうな従業員がいる場合、まず就業規則の内容を確認します。就業規則や雇用契約書に自然退職に関するルールが定められていて、当該従業員がその事由を満たすようであれば、解雇や自己都合退職などに該当しない退職が成立するのです。

就業規則などに規則を定める際、前述の通り自然退職には休職期間満了のほか定年退職、雇用契約満了、無断欠勤、本人の死亡なども含まれるため、それぞれについてルールを記載しておく必要があります。

自然退職とする旨を通知

就業規則を確認して自然退職に該当すると分かった場合、自然退職となる旨を従業員に通知します。自然退職時に退職届や退職願、各種通知は不要ですが、会社側から休職期間満了通知書などを送付して事実を明確にしておけば、トラブル防止につながるでしょう。

精神疾患を理由とした休職の場合、セクハラやパワハラ、長時間労働など会社が原因の場合も。いきなり通知書を送るのではなく、慎重な対応が必要です。

離職票の発行

自然退職が決まったら、退職後10日前後までに離職票を発行します。離職票は離職者がハローワークに提出するもので、離職票がないと失業給付金が支給されないため、事業者は必ず交付しなければなりません。

離職票には退職理由や過去半年間の給料、出社日などを記載します。自然退職の場合、離職理由には「休職期間満了時に復職できないため自然退職」などと記載しましょう。

なお、離職者が傷病などですぐに求職活動ができないときは、自然退職日から30日間経った後から1カ月以内に、本人が管轄のハローワークに受給期間延長申請書、離職票、診断書などを提出すると、最大3年間延長できます。

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自然退職扱いの場合、トラブルを避けるためにも退職の約1カ月前に会社から、就業規則に基づいた、自然退職となる旨の通知書を送付しておきましょう