サーバントリーダーシップとは? ビジネスに効く最新のリーダーシップ論

アメリカで提唱され、世界で広がっているサーバントリーダーシップ理論。これは奉仕精神にもとづくリーダーシップ哲学のことで、最新のリーダーシップ論として注目を集めているのです。

ここでは、よりサーバントリーダーシップを知るために従来のリーダーシップとの違いや、サーバントリーダーの理想像、メリットとデメリットのほか、実際の導入事例をまとめて紹介・解説します。

目次

1.サーバントリーダーシップとは?

サーバントリーダーシップとは「リーダーはまず相手に奉仕し、その後相手を導くものである」という考えのもとに生まれた支援型リーダーシップのことで、部下の能力を肯定し、お互いの利益になる信頼関係を築くといったスタイルのリーダーシップです。

部下を何もできない存在と考え、一方的に命令して動かすスタイルではなく、組織としてのビジョンを示し、部下を信頼して協力し合いながら、組織全体の成長を促すことに重きを置きます。

サーバントの意味
サーバント(servant)は、「奉仕者」や「使用人」という意味を持つ言葉です。それに加え、組織のメンバーの力を最大限に発揮するための環境づくりに奉仕・支援するリーダーシップのスタイルという意味もあります。

誤解されやすいサーバントリーダーシップの意味

サーバントリーダーは、「部下の主張を何でも聞き入れる」とか「部下の言いなりになる」といった誤解を受けることがありますが、これは間違いです。

誤解は、サーバントの部分に注目が集まって、メンバーのやりたいことをサポートするのがリーダーの仕事という考えにもとづきます。

リーダーは「こうしたい」というビジョンや明確なミッションを提示し、戦略を提案して方向性を示す必要があるものの、その方向性が自分勝手なものでは、サーバントリーダーとはいえません。

社会に貢献し、利益を生み出すといった価値ある目標を示し、それに取り組むメンバーが仕事をより効果的かつ快適に遂行できるよう奉仕することが、サーバントリーダーの役割なのです。

サーバントリーダーとは、部下に対して奉仕の気持ちを持って接し、メンバーの持つ力を最大限に発揮させる環境づくりに邁進する支援型リーダーシップのことです

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2.サーバントリーダーシップにおける理想のリーダーとは?

サーバントリーダーシップにおいて、理想とされるリーダー像は何でしょうか。サーバントリーダーに必要なものは奉仕の精神。自らの良心に従いより良い世界へ導くことを自身の責務と信じ、その上で部下を中心に考えた組織運営を行うのです。

サーバントリーダーは周囲の人々との信頼関係を重視しており、部下の話に耳を傾け、協力しながら目標を達成します。

メンバー各自のモチベーションを意識し、たとえ失敗してもそれを学びに変える環境づくりに取り組むことができる人こそ理想のリーダーといえるでしょう。

サーバントリーダーの役割

サーバントリーダーシップの理論においてのリーダーの大きな役割は、部下やメンバーへの「奉仕」。そのためには、私利私欲から離れた奉仕の精神を持っている必要があります。

リーダーは、カリスマ性や高位の職権が伴うものではなく、相手にまず奉仕をして、それから相手を導くものだというのがサーバントリーダーシップにおけるリーダーの役割なのです。

サーバントリーダーシップでは、リーダーがメンバーを取り巻く環境に対して奉仕の精神を持つことが重要だと考えられています

3.サーバントリーダーシップの概念が誕生した背景

サーバントシップの考え方はどのようにして生まれたのでしょうか。

この考えは、1970年にロバート・K・グリーンリーフというアメリカ人によってもたらされました。当時、アメリカはベトナム戦争が泥沼化し、ウォーターゲート事件の勃発、ニクソン大統領の辞任など、混迷の時代が続いていたのです。

若者たちは、国家や社会を導くリーダーに対して不信感を募らせていました。

そんな時代背景の中でグリーンリーフは、ヘルマン・ヘッセの短編小説『東方巡礼』から着想を得て、権力や物欲への執着から動くのでなく、人々が望む素晴らしい目標や社会を実現するために立ち上がるリーダーの必要性に思い至ったのです。

サーバントリーダーの高い倫理観や精神性は人々から信頼を得られる、という考えは、このとき誕生しました。

提唱者:ロバート・K・グリーンリーフ

サーバントリーダーの提唱者であるロバート・K・グリーンリーフについて解説します。

グリーンリーフはアメリカの教育コンサルタントで、自身のリーダーシップ研究の中で「サーバントリーダーシップ」という言葉を生み出し、1970年に著書で奉仕(servant)こそがリーダーシップの本質であることを説きました。

企業人としての人生の大半をAT&Tマネジメント研究センターで過ごし、マネジメントやリサーチ、開発、教育分野の研究に携わったのです。

また、マネジメント研究センター長となり、その後はマサチューセッツ工科大学スローン・スクールやハーバード・ビジネス・スクールの客員講師に。さらに、ダートマス大学・ヴァージニア大学でも教鞭を執ったのです。

その上、多くの企業や財団、学校でコンサルタントとして名を残しました。

現代社会において注目されている理由

サーバントリーダーシップが現代社会でも注目を集めている理由は何でしょうか。

その理由として考えられるのは、かつてのアメリカのように社会的な不安や腐敗から、リーダーに倫理的な信頼感を求めている社会の流れに加え、ITの発達や急激に広がるグローバリゼーションなどです。

ワールドワイドなビジネスの速度に対応することが必要不可欠とされる現代において、一人のリーダーがすべてを管理してメンバーに支持を与えるやり方では間に合いません。

そこで、メンバーが持っている力を発揮し、成果を生み出しながら成長して、パフォーマンスを上げていくことが求められるのです。

リーダーが個人の特性と資質を理解し、個々が活躍できる環境をつくり上げていくことが重要という時代だからこそ、サーバント的なリーダーが不可欠だと考えられました。

社会的な不安を背景に誕生したサーバントリーダーシップの考え方は、グローバルな活躍が求められる今日のビジネスで再び注目を集めています

4.日本企業に支配型リーダーシップが多い理由は?

日本においてこれまで主流となっていたリーダーシップは「支配型リーダーシップ」と呼ばれるものでした。これは、強い意思の下、リーダーが自身の考え方や価値観を貫き、部下を強い統率力で引っ張っていくようなリーダーシップ像です。

メンバーに対しては、その権力を用いて一方的な説明や命令を出し、コミュニケーションを取っていました。

ロバート・K・グリーンリーフによってサーバントリーダーシップが提唱されたのは1970年ですが、日本で知られるようになったのはごく最近です。

ビジネスを取り巻く環境が激変して、人材にも多様性が求められるようになった点を背景に、今までのリーダーシップとは正反対ともいえる「サーバントリーダーシップ」が注目されるようになってきました。

支配型リーダーとサーバントリーダーの違い

従来の支配型リーダーとサーバントリーダーの違いを、分かりやすく図解してみましょう。

項目 従来のリーダーシップ サーバントリーダーシップ
モチベーション 最も大きな権力の座に就きたいという欲求 組織上の地位に関わらず、他者に奉仕したいという欲求
マインドセット 競争を勝ち抜き、達成に対して自分が賛美されることを重視 みんなが協力して目標を達成する環境で、みんながWin-Winになることを重視
影響力の根拠 目標達成のために、自分の権力を使い、部下を畏怖させて動かす 部下との信頼関係を築き、部下の自主性を尊重することで、組織を動かす
コミュニケーションスタイル 部下に対し、説明し、命令することが中心 部下の話を傾聴することが中心
業務思考能力 自分自身の能力を磨くことで得られた自信をベースに部下に指示する 部下へのコーチング、メンタリングから部下と共に学びよりよい仕事をする
成長についての考え方 社内ポリティックスを理解し活用することで、自分の地位を上げ、成長していく 他者のやる気を大切に考え、個人と組織の成長の調和を図る
責任についての考え方 責任とは、失敗したときにその人を罰するためにある 責任を明確にすることで、失敗から学ぶ環境をつくる

支配型リーダーの特徴

この表を見ると、支配型リーダーは、自分中心の考え方で組織を動かしていると分かります。自身の組織における権力のため、他者と競争したり、社内での地位を意識したりしているのです。

部下に対して一方的な説明や命令などによりコミュニケーションを取るため、部下はリーダーに対して恐れを感じたり義務感で指示に従っていたりするケースも少なくありません。

また、このようなリーダーの下で育った部下は、同じく支配型リーダーとして新たな部下の上に立つことが多いです。

サーバントリーダーの特徴

サーバントリーダーは、「奉仕」の精神の下、部下を中心に考えた組織運営を行います。信頼関係を重視し、部下の話に耳を傾けるため、サーバントリーダーは部下から信頼を得ながら、同じ目標に向かって協力します。

メンバー各自のモチベーションを意識し、たとえ失敗してもそれを学びに変える環境づくりに取り組むため、部下は安心して自分の業務に集中でき、自主的に工夫しながら行動できるのです。

恐れや義務感で部下を統率する従来の支配型リーダーに対し、サーバントリーダーは信頼と奉仕の精神で部下と協力し合いながら、目標を達成しようとします

5.現代ビジネスにおけるサーバントリーダーシップの必要性

サーバントリーダーシップは「リーダーのために部下がいる」という従来の組織の発想を逆転させ、「部下を支えるためにリーダーは存在する」としています。

上司は部下の自主性を尊重し、部下の成功や成長に奉仕する行動を実践することで、組織のメンバーの行動を変え、生産性向上につなげていくのです。

メンバー一人一人の声に耳を傾けて自主性を尊重するリーダーの存在により、信頼関係が育まれ、コミュニケーションが円滑になります。そして、メンバーの仕事に対するモチベーションがアップしていくのです。

「この人にならついていきたい」と部下に思われるようなサーバントリーダーの活躍が目立つようになったことで、昔ながらの支配型リーダーと比較し、その価値や必要性が再認識されています。

上司が組織を導くだけではなく、メンバー一人一人が能動的に組織を導く構図を生み出すのがサーバントリーダーの役割です。これは現代のビジネスに必要不可欠な存在といえるでしょう

6.サーバントリーダーが持つ10の特性

NPO法人「日本サーバント・リーダーシップ協会」によると、サーバントリーダーには、重要とされる10の特性があるといわれています。

この指標を元に自分がサーバントリーダーとして当てはまるかどうか確認できるでしょう。そんなサーバントリーダーシップの特性10項目を解説します。

  1. 傾聴
  2. 共感
  3. 癒やし
  4. 気づき
  5. 説得
  6. 概念化
  7. 先見力
  8. 執事役
  9. 人々の成長に関わる
  10. コミュニティづくり

①傾聴

まず人の話にしっかり耳を傾けて、相手が本当に伝えたいことを聞き出し、そのためにはどうすれば役立てるのかを考えることが大切です。

また、自分自身の心の声にも耳を傾けます。自分の示したミッションやビジョンが社会の役に立っているのかを見つめ直すことも、自分の心の声を「傾聴」する上で重要です。

②共感

サーバントリーダーは、誰しも完璧ではないということを理解した上で、相手の立場に立って物事を考えられなければいけません。どのような相手でも受け入れて気持ちを理解し、共感しようと努力し、感謝と思いやりを示すことが重要です。

③癒やし

人は誰でも意気消沈したり、さまざまな形で感情を傷つけられたりする経験があるもの。サーバントリーダーには、触れ合う人々を「癒す」力も不可欠でしょう。

相手の心を癒して、本来持っている力を取り戻させるのです。組織や集団においては、欠けている力を補い合えるようにします。

④気づき

物事をありのままに見て、その本質を見る能力です。これによって自身も気づきを得られ、相手にも気づきを与えることができます。

あらゆる気づきは、倫理や価値観に関わる問題を理解する際に有効です。状況をより総合的・全体的な立場から見る点において役立ちます。

⑤説得

権限によって服従させるのではなく、相手とコンセンサスを得ながら納得を促して仕事を進めます。

地位にもとづく権限ではなく、主に説得によって組織の意思を決定しようとするのが、サーバントリーダーの大きな特徴。サーバントリーダーは自らの権利を振りかざすことなく、集めた信望によってメンバーを感化させるのです。

⑥概念化

組織の将来を見据えた大きな夢や目標、ビジョナリーなコンセプトを持ち、それを相手にも分かりやすく伝えることも重要です。リーダーがビジョンやコンセプトを示すことで、メンバーは迷わずに行動できます。

⑦先見力

現在の出来事を過去の出来事と照らし合わせ、そこから直感的に将来の出来事を予測する能力です。サーバントリーダーが先見力を持っていれば、正しい判断を下せるため、メンバーが進む道に責任を持てます。

⑧執事役

自分が利益を得ることよりも、相手に利益を与えることに喜びを感じるようにしたり、相手から一歩引くことを心得る能力です。執事のように、自分以外のニーズを満たすことに対して責任を引き受けられる人間となります。

⑨人々の成長に関わる

一人ひとりの資質と特性を把握し、個々の成長を促すことに深くコミットする能力です。メンバー各自が秘めている可能性や価値を理解し、その成長を全力で支援し、芽を伸ばすことに責任を感じます。

⑩コミュニティづくり

メンバーに対する愛情と癒しを感じさせる環境を構築し、それぞれが大きく成長できるコミュニティをつくり出す能力です。また、メンバー同士の関係にも気を使います。協力的な環境は、生産性のある環境と直結するでしょう。

サーバントリーダーシップの10の特性を見ると、サーバント(奉仕)的な精神と、リーダーとしての素質的な側面、どちらも重要な要素だと分かります

7.サーバントリーダーと「やさしいリーダー」の違い

サーバントリーダーとやさしいリーダーは、まったく違います。

  • サーバントリーダ-:メンバーに積極的に関わり、話に耳を傾け、組織の明確な方向性を示すなどでメンバーを支えながら一人ひとりの可能性を引き出す
  • ただやさしいだけのリーダー:メンバーの代わりに自分がトラブルを解決する、欠点に目をつぶる。メンバーの成長に対して無関心と同じ

サーバントリーダーシップは、リーダーがメンバーに「奉仕する」という考え方にもとづいています。メンバーに積極的に関わり、話に耳を傾け、組織の明確な方向性を示す、そして、メンバーを支えながら一人ひとりの可能性を引き出すことが重要なのです。

サーバントリーダーはやさしいだけのリーダーではありません。組織の方向性を提示し、間違いがあれば愛情を持って正し、一人ひとりの可能性を引き出す必要があります

8.サーバントリーダーシップによって組織が得られる効果

実際にサーバントリーダーシップを取り入れて運営した場合、組織にはどのようなメリットが発生するでしょうか。

メリット①メンバーの行動が変わる

サーバントリーダーがメンバー一人ひとりの声に耳を傾け自主性を尊重すれば、自然とメンバーから尊敬と信頼が集まり、士気とやる気が高まります。リーダーとメンバーの間にに信頼関係が生まれ、チームが一体となるのです。

メリット②社内コミュニケーションが円滑になる

サーバントリーダーシップは「リーダーのために部下がいる」という発想を逆転したもの。つまり、「部下を支えるためにリーダーは存在する」としているのです。

リーダーがメンバーの自主性や意見を尊重し、その成功や成長に奉仕する行動を実践することで信頼関係が育まれ、コミュニケーションが円滑になり、さらにメンバーのモチベーションも向上します。

メリット③社員が能動的に目標達成する

組織全体が同じビジョンや目標を共有化できていれば、リーダーが一人きりでメンバーと組織を導くのではなく、メンバー一人ひとりが能動的に組織を導くという構図になります。

これにより、組織の全員が協力し合いながら総合的なアウトプットによって目標が達成できるでしょう。

サーバントリーダーシップによって組織が得られるメリットは、「メンバーの行動が変わり生産性が向上」「社内コミュニケーションが円滑になってモチベーションアップ」「目標の共有化によって全員で目標達成が実現」以上の3点です

9.サーバントリーダーシップの課題・問題点

続いて、サーバントリーダーシップを取り入れた際に組織内で起こり得る2つのデメリットについて、解説します。

デメリット①組織の方向性を調整するのが難しい

サーバントリーダーシップはトップダウンの一方的なものではなく、対話型のリーダーシップであることが重要です。よって対話など工数が増えるため、時間もかかって、組織の方向性を調整していくのが難しくなります。

デメリット②脱落メンバーが出やすい

社会人として経験が浅く知識量が不足している、自ら思考して気付きを得るなどが不得手なメンバーは、ついていくことができず脱落してしまうことも。メンバーの自主性を尊重するサーバントリーダーシップでは、メンバーにもある程度の経験値が求められます。

サーバントリーダーシップのデメリットは、「組織内で方向性を調整するのに時間がかかる」「メンバーの経験値が浅い場合、脱落者が出やすい」以上の2点です

10.サーバントリーダーシップを実践している業界リーダー例

続いて、サーバントリーダーシップを実践しているリーダー像を追っていきましょう。

サーバントリーダーに求められる能力

サーバントリーダーシップを実践する際に必要な能力は、リーダーとして上から何かを教える姿勢ではなく、

  • 仕事の質を上げるためにリーダーとして支援できることは何かを考える
  • メンバーの意見を傾聴する

メンバーの悩みを聞いて理解しながら可能性を引き出し、活躍の場を与えることができる人でなくてはなりません。

さらに、自分が持つすべての資源を他者に与えられる奉仕精神が必要です。他者に対する敬意と謙虚さを兼ね揃え、メンバーから信頼される人材こそ、サーバントリーダーに適任だと考えられます。

サーバントリーダーには、他者を理解する力や能力を引き出す力、奉仕精神などさまざまな能力が求められます

11.サーバントリーダーシップの導入事例

最後に、実際にサーバントリーダーシップを導入した企業の事例を紹介します。

資生堂

資生堂の池田守男相談役は、サーバントリーダーシップの実践者です。同氏は「会社を再建する」「新しく生まれ変わらせる」というミッションの下、社長に就任し、その在任中に「店頭基点」を念頭に組織改革を行いました。

顧客を一番上に置く逆ピラミッド型組織を推進するサーバントリーダーシップを経営の中心概念に据え、自らビューティーコンサルタントや営業職の会議に顔を出して現場スタッフの話に耳を傾けたのです。

そこで見聞きした内容から得たアイデアを施策に活用したり、社員が活動しやすいような環境の整備などに尽力したりして、経営における数々の改革を成功させました。

氏は著書の中で、「大切なことは、変革の必要性や可能性を社員に理解させ、ゴールを示して、そこに主体的に向かうようにモチベートすることだ」と述べています。

良品計画

無印良品を運営する良品計画の元社長・松井忠三氏も、サーバントリーダーシップを取り入れた先駆者の一人です。業績が急落したタイミングで社長に就任した同氏は就任後、全国ほぼすべての店舗を自分の足で回り、店長や現場の話に耳を傾ける機会を設けました。

傾聴の結果見えてきた課題をもとにして、業務を可視化する「MUJIGRAM」というマニュアルと、現場スタッフの声を吸い上げるシステムを開発したのです。サーバントリーダーシップの10の特性にある「概念化」と「先見力」を実践した事例だといえるでしょう。

良品計画は、2001年に松井社長が就任したのち、その後V字回復を達成。現在も増収増益を続けています。

ダイエー

続いて大手スーパー、ダイエーの元社長である樋口泰行氏の例を紹介します。

当時、トップダウン経営による業績悪化の結果、赤字が続き閉鎖が決まった50もの店舗がありました。同氏はこの店舗すべてに自ら出向き、閉鎖理由の説明や、働いてくれたお礼を直接従業員に伝えたのです。

すると、対象店舗のスタッフのモチベーションが向上。各スタッフの努力により「閉店売りつくしセール」が成功し、ダイエーは2年4カ月ぶりに前年比プラスの売り上げを記録したのです。

閉店後も、同氏から直接言葉をもらったスタッフのモチベーションは維持されました。そして異動先のスタッフたちに積極的に働きかけを行い、同社は11カ月連続の前年比プラスの売り上げを達成したのです。

課題を分析し、トップ自らサーバントリーダーシップを発揮して業績を好転させた例は数多くあります