スキームとは? 意味、使い方、構築の方法、スキーム図について

スキームとは、「計画」「構想」などの意味を持つ言葉で、ビジネスの世界でもスキームという言葉が一般的になりつつあります。そんなスキームとは一体どんなものなのでしょう。

  • スキームがビジネスの世界でどのような意味で使用されているのか
  • スキームの使い方
  • スキーム構築の方法
  • スキーム図の実例

などについて詳しく説明します。

1.スキーム(の意味)とは?

スキームという言葉は、

  • 計画
  • 構想
  • 枠組み

という意味を持っています。もう少し分かりやすくいうと、やり方や取り組み方でしょうか。

スキームの使用例に、「○○新プロジェクトについてのスキームを検討してください」があります。これは、「どのように取り組めば新プロジェクトが成功しそうか、やり方を考えてみてください」という意味に解釈するとよいでしょう。

内閣府のサイトの一つである『プロフェッショナル人材戦略ポータルサイト』 でもこのスキームという言葉が用いられています。民間企業も含めて、スキームという言葉そのものがかなり一般化していると分かりますね。

参考 プロフェッショナル人材戦略ポータルサイト内閣府

英語のschemeが由来

スキームとカタカナで表記されるように、スキームの由来は英語の「scheme」にあります。英語で「scheme」は、

  • 悪巧み
  • 陰謀

といったネガティブなニュアンスを持つ言葉として解釈されています。しかし、私たちがビジネスの世界でスキームという言葉を用いる場合、そのような意味は含まれていません。

スキームとは、「やり方」という意味の言葉です。由来となる「scheme」のネガティブな意味合いは含まれていません。

評価運用の効率と「質」を向上させるクラウドツール

  1. MBO・360度・OKR・1on1など、あらゆる人事考課運用をクラウドで実現可能
  2. 多彩な運用実績で作られたテンプレートを使って、考課シートを手早く構築
  3. 進捗状況が一目瞭然。催促メールで締め日までに確実に評価結果を回収できる
  4. フィードバック面談だけは“紙で”やりたいときは、帳票として出力可能

カオナビで評価運用をクラウド化して、圧倒的な効率化を実現!

> カオナビについて詳しく見る

2.スキームの使い方(ビジネスでよく使われる場面・業界)

ビジネスにおけるスキームの使い方で多いのは、事業スキームやM&Aスキームなどで、特に定型的な決まった文脈で用いられるという決まりはありません。

たとえば、

  • ヒト
  • モノ
  • カネ
  • 情報

といったさまざまなビジネス資源が複数の人間や組織の間で移動するような、

  • 複雑な計画
  • 難易度の高い方式

などを意味する場合にスキームが使用されています。また、一個人といった単体が立案した個人のみの行動計画について「行動スキーム」と呼ぶことはあまりないようです。

  1. 事業スキーム
  2. M&Aスキーム
  3. 集団投資スキーム
  4. 資金調達(融資)スキーム
  5. プログラミング

①事業スキーム

スキームの主な使い方の1つ目は、「事業スキーム」です。この言葉は、

  • 事業計画
  • 事業構想

を意味し、どちらも企業が行う事業の枠組みを表す言葉になっています。事業スキームという言葉を用いた場合には、

  • 単に立案しただけの計画(plan)
  • 単純な業務の範囲を決める枠組み(framework)

とは異なり、

  • 組織立った
  • 継続的に

といったニュアンスを含む実効性が期待されているのです。具体的な例として、新規事業の計画策定時に、

  • 仕入れ
  • 生産
  • 営業
  • 販売
  • 資金の流れ
  • 商品管理

などについて具体的な計画を立てるなどがあります。それらは「スキーム図」を使用して説明されることが多いです。

②M&Aスキーム

スキームの2つ目の主な使い方は、「M&Aスキーム」です。M&Aは、合併と買収、すなわちMerger and Acquisitionの頭文字を取った言葉です。

M&Aスキームといった場合M&Aのやり方やM&Aの手法といった意味合いの言葉になります。

M&Aスキームの例は、

  • 株式譲渡によるM&A
  • 第三者割当増資(新株引受)によるM&A
  • 事業譲渡によるM&A
  • 会社分割によるM&A
  • 資本、業務提携とM&A

など。M&Aスキームを使用する場合、どのスキームを使用するか、それぞれのスキームの特徴を事前につかんでおくことが重要です。

③集団投資スキーム

スキームの主な使い方の3つ目は、集団投資スキームです。多くの投資家から集めた資金をもとに事業運営や有価証券などへの投資を行う、事業や投資による収益を出資者に分配する仕組みのことをいいます。

集団投資スキームには、

  • 多くの投資家から集めた資金をファンドマネージャーが運用する
  • 運用収益が出たら投資家に還元する

といった投資信託に代表される仕組みの資産運用型と、

  • 特定の資産から生じたキャッシュフローを組み替える仕組み
  • 組み替えたキャッシュフローを投資家に販売する仕組み

の資産流動化型があり、資産流動化型には、不動産の流動化による不動産証券化商品の開発、販売が該当します。

集団投資スキームを行う際、

  • 金融商品取引業の登録の義務
  • 例外的に適格機関投資家等特例業務の場合には登録の義務でなく届け出

の手続きが必要です。

④資金調達(融資)スキーム

スキームの主な使い方の4つ目は、資金調達(融資)スキームです。新しく事業を起こす起業や新規事業開発時に行う資金を他者から調達するための仕組みのことをいいます。

具体的には、

  • 融資
  • 借入
  • 第三者割当増資
  • 出資
  • リース
  • リースバック
  • 流動化
  • ファクタリング(売掛債権・不動産等)

といったもの。また、インターネットを通じた新しい資金調達の仕組み、クラウドファンディングもこの資金調達スキームの一つです。

クラウドファンディングとは、

  • 新しいモノやサービスを創造したい
  • 世の中の問題を解決したい

といったアイデアや提案を持つ人が、クラウドファンディング専用のサイトを通して世界中に情報発信し、発案に共感した人から資金を広く直接調達していく仕組みのことを指します。

⑤プログラミング言語

スキームの主な使い方の5つ目は、プログラミング言語です。プログラミング言語の中に、Lispという言語から派生したSchemeという言語があります。

Schemeは、

  • シンプルな構造
  • 習得のしやすい言語

として、広く認知されているのです。

スキームの主な使い方の①から④までは、スキームを「やり方」「取り組み方」という意味合いで用いていましたが、ここでいうSchemeはそれらとは関係がありません。

もともとSchemeは「陰謀を企てる人=Schemer」と名付けられていました。しかし、その当時のファイルシステムにおける文字数制限の関係上、6文字のSchemeが使用されるようになったのです。

スキームには使い方が複数あります。案件がどのスキームに該当するのか、しっかり把握しましょう。

3.スキームの構築

スキームの構築を知っておくと実践に役立つ事業スキームを作成できます。スキームの構造と、事業スキーム作成において押さえておくべき3つのポイントを説明しましょう。

  1. 簡潔に事業内容を説明
  2. 実施項目の明確化
  3. 客観的な事実を盛り込む

①簡潔に事業内容を説明

1つ目は、簡潔に事業内容を説明すること。

  1. 1項目当たり1~2分程度で説明できる内容
  2. 冗長にならず、簡潔明瞭で本質を捉えた表現
  3. スキーム図に落とし込みやすい内容

3点に注意を払いながらスキームを作成します。外部からの資金調達を検討している場合、より簡潔性が必要です。

②実施項目の明確化

2つ目は、実施項目の明確化。

  • 実際に遂行できるプラン
  • 将来的なビジョンも盛り込んだ内容
  • やるべきことをピックアップして盛り込んだもの

などは評価の高い優れたスキームとなります。

③客観的な事実を盛り込む

3つ目は、客観的な事実を盛り込むこと。

  • 仮説や予想のみの構成を避ける
  • 根拠のあるプランを盛り込む
  • 市場規模、競合他社の売上高など定量的な客観的事実を盛り込む
  • 実践的に活用できる内容まで落とし込む

これらに注意を払って、効果的なスキームを作成してください。

スキームを作成する際、押さえておきたいポイントがあります。それぞれの項目をチェックしながらスキーム作成に臨みましょう。

4.スキーム図とは?

スキームには、視覚的な理解を促すためのスキーム図があります。スキーム図で用いられる要素は、

  1. 人物や組織を含んだ「ヒト」
  2. 物質的要素だけでなく、情報など無形の要素も含めた「モノ」
  3. カネ

3者の関係性です。スキーム全体の中で、

  • どのような人物や組織がどのような相関関係にあるか
  • ヒト、モノ、カネの流れや循環
  • ヒト、モノ、カネの役割

などに配慮しながら、シンプルに図解化していきます。

スキーム図の作り方

STEP.1
情報整理:要素(関係者、各関係性など)の洗い出し
STEP.2
記号化:情報の記号への置き換え
STEP.3
記号の配置:各記号(情報)を配置

①情報整理:要素(関係者、各関係性など)の洗い出し

まず情報整理を行います。

  • 関係者
  • 関係者間の関係性

など洗い出すことで、スキームの全体像を具体的につかむきっかけにするのです。

  • ヒト・モノ・カネといった経営資源
  • 経営資源の動き・流れ
  • 経営資源同士の関係性

の視点に注意を払って、情報整理を行います。

②記号化:情報の記号への置き換え

情報整理が終わったら、スキーム図作成のセカンドステップ、記号化に移ります。記号化とは、整理した情報を記号へと置き換える作業のこと。

  • 図形
  • 矢印

といった記号に置き換えて、情報をさらに視覚的に整理していくのです。類似したカテゴリーの記号は揃えるなど、記号化する際の簡単なルールづくりも必要でしょう。

③記号の配置:各記号(情報)を配置

記号化が終わったら、スキーム図作成の最後のステップ、記号の配置を行います。記号の配置とは、各記号や情報を図の中に分かりやすいように配置していく作業のこと。

最初から完璧な配置図を作ろうとしても難しいものです。一旦、それぞれの要素を配置して何度か場所を移動させる作業を繰り返し、分かりやすく直していくほうがよいでしょう。

似たような事例で参考にできるスキーム図があれば、自社の要素を置き換えて使用しても構いません。

スキーム図の具体的な例

①3ミニッツ・Kaizen Platform協業スキーム図

3ミニッツは、女性向けマーケティングを軸に、

  • メディア事業
  • 広告プロデュース事業
  • コマース事業

を行っている企業で、Kaizen Platformは、ウェブサービスのUI改善を効率的に実現する「Kaizen Platform」の運営を手掛ける企業です。

この両社が協業して、

  • 女性向けに特化したプロモーション動画の制作
  • 掲載先メディアに最適化したフォーマット編集

などを行っています。それぞれの配置と役割に熟慮の跡が窺える精度の高いスキーム図です。

②みずほ情報総研 産学連携イノベーション促進事業費補助金の執行スキーム図

みずほ情報総研が中心となって、経済産業省や信託銀行なども交えた産学連携イノベーション促進事業費補助金の執行を実施する際のスキーム図です。

  • 知的財産の蓄積
  • 施設・設備の有効利用
  • 産学連携で人材育成等を含む事業化に向けた継続的な枠組みの構築
  • 本格的なオープン・イノベーション環境の整備の促進
  • 産学の英知を結集した効率的なイノベーションの創出
  • 東北地方を中心とした特定被災区域等の復興・発展

などを目的としています。下図は、経済産業省や信託銀行なども交えた関係性を矢印でコンパクトにまとめた図です

③日通商事 割賦販売の取引スキーム図

日通商事の割賦販売の取引スキーム図です。このサービスの特徴は、

  • 資産の効率的運用
  • 多額の資金を要さない長期延払い
  • 支払い回数や支払い期間、支払い方法の柔軟な設定
  • 原則固定金利の採用で金利変動リスクの回避

などができること。日通商事と販売会社、顧客、地方自治体との関係性が、矢印記号と共にしっかりとスキーム図に反映されており、ヒト、モノ、カネの経営資源の流れも分かりやすくなっています。

④三井不動産投資顧問 TMK(特定目的会社)事業スキーム図

三井不動産投資顧問『TMKスキーム

三井不動産投資顧問が企画した、特定目的会社事業に関するスキーム図です。資産保有先として資産流動化法に基づいて特定目的会社を設立します。

  • 特定目的会社
  • 金融機関
  • 投資家
  • 売主
  • 三井不動産投資顧問

とのヒト、モノ、カネの関係性がシンプルにまとめてあり、

  • 投資家からの優先出資
  • 金融機関からの特定借入または特定社債によって現物不動産または不動産信託受益権を取得し運用する

これらの関係性が分かりやすいスキーム図になっているのです。

参考になるスキーム図があれば、そこに自社のスキームを充ててイメージをつくり出してみるのもよいでしょう。

詐欺のスキーム「ポンジ・スキーム」とは?

「ポンジ・スキーム」という詐欺のスキームがあります。詐欺師、チャールズ・ポンジが行っていたことが、名前の由来になっているスキームです。

チャールズ・ポンジは、

  • 出資してもらった資金を運用する
  • 運用によって出た利益を出資者に配当金などで還元
  • と宣伝しておきながら、
  • 実際には運用を行わない
  • 別の出資者から集めた資金を配当金に回す

といった手口で、あたかも資産運用が成功し大きな利益を生み出しているかのように操作を行っていました。

しばらくの間は出資金がうまく流れていたため、詐欺だと気付かれずにいたのです。しかし、

  • 利益を生むシステムでない
  • 出資者が増えれば増えるだけ負債も増える仕組み

などから、最後は配当金の支払いができなくなり破綻以外の選択肢がなくなるスキームだったと判明しました。

「ポンジ・スキーム」は、後から出資すればするほど出資者の損害がより大きくなる特徴を持ちます。最後の出資者に至っては、出資金がすべて消えてしまうという詐欺のスキームです。

「ポンジ・スキーム」は、投資詐欺の一つとされており、一般的な言葉で「自転車操業」と呼ばれています。また現代社会でも「ポンジ・スキーム」の詐欺は、日本のみならず世界各地で起こっているのです。

詐欺にもスキームがあるとは驚きですね。スキーム図で関係性を把握し、違法性を確認するのもよいでしょう。