兼務出向はどのような雇用契約になる?

兼務出向する社員は、出向元会社と出向先会社双方と雇用契約が締結されます。兼務出向する社員は、身分や給与体系、休暇、退職金といった基本的なところは出向元会社に従い、具体的な業務は出向元会社と出向先会社で、それぞれに従う形となります。給与については、労働者の業務割合に応じて、出向元と出向先で負担します。

出向契約書および出向合意書

契約を書面で行う際には、出向元の会社と出向先の会社との間で「出向契約書」、出向元の会社と兼務出向する社員の間で「出向合意書(契約書)」が必要になります。

出向契約書および出向合意書には、出向する人の氏名、業務内容、勤務時間など、労働条件について記載します。

通常は副業が認められていない限り、1労働者につき1社との契約になりますが、兼務出向の場合は1労働者が2社と契約することになります。

このときダブルワークとならないためには2社合わせて1契約、とする必要があります。つまり、労働者との契約内容(例えば勤務時間など)は双方の会社で重複しないように定めなければなりません。

兼務出向する社員が結ぶ契約

兼務出向する社員は、契約書に基づいて業務を行いますが、通常は以下のように契約を結びます。

  • 労働者は業務に応じて、出向元および出向先でその指示に従う。
  • 労働者の給与は出向元から支払われる。出向元は出向労働分の賃金を出向先に請求し、出向先はそれに応じる。
  • 労働者の社会保険料・労働保険料は原則的に出向元が支払う。労働保険料については、出向先と協議のうえ、出向先が負担することも可能とする。

兼務出向する先は、出向元会社の子会社や関連会社となります。これが他会社である場合は派遣契約となるので、混同しないよう注意が必要です。

兼務出向者の業務時間や仕事内容といったことの範囲を事前に定める

兼務出向させたいときには、出向元会社と出向先会社の間で、兼務出向者の業務時間や仕事内容といったことの範囲を事前に定め、契約を結ぶことが重要になります。

それらを契約書に明示し、兼務出向者の負担が大きすぎるものにならないよう留意するようにしてください。