人事評価から裁判に発展した例はありますか?また、その判例はどのようなものでしたか?

人事評価に関するトラブルを社内で収束できず、訴訟問題に発展したケースがあります。

その背景には年功序列や終身雇用のような日本古来の雇用制度が形骸化し、成果主義が幅を利かせるようになったことがあります。

成果主義・能力主義が主流になる一方で、自分の働きは会社から認められていないと感じる人も増えているのです。

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裁量範囲についての判例

平成10年に出された広島地裁でのマナック事件判例から、人事評価制度の裁量範囲を見てみましょう。

判決には、人事評価は使用者の広範な裁量にゆだねられると明記されています。同時に、裁量の逸脱や濫用が認められた場合、その人事評価は違法となると判断されました。

裁量の逸脱に関する判例

裁量を逸脱した判例に、平成13年に判決が出た住友生命事件があります。

この裁判では、「職務遂行能力以外の属性を判断基準にするのは人事評価の趣旨に反する不法行為である」と判断されました。また、「女性の婚姻の有無で査定をしたのは個々の従業員の能力に基づく人事評価に反する」ともしています。

「成果主義人事の評価は、業績・能力のみで判断をすべき」と裁判所が認めたのです。

公平性や納得性に留意

使用者には広範な自由裁量が付与されていると、人事評価の中で判断されています。しかしときには、上司の評価に納得できない社員が出てくる場合もあり、それは離職率の低下を招くことも。

だからこそ、公平性や納得性に留意して客観的な人事評価を行わないといけないのです。裁判を防ぐだけでなく、適切な評価を普段から行うためにも公平性や納得性に留意した客観的な人事評価ができるよう制度を構築しましょう。