プロアクティブ行動とは?【わかりやすく解説】メリット、実践のポイント

プロアクティブ行動とは、組織行動学における専門用語です。その意味や特徴、使われ方について詳しくご紹介します。

1.プロアクティブ行動とは?

プロアクティブ行動とは、積極的に行動しながら組織に馴染もうとする行動を指す組織行動学の用語。たとえば、自ら企画立案をしたり呼びかけをしたりするといった、主体的な適応行動が該当します。

企業が発展するためには、与えられたり反応を待ったりするのではなく、自ら主体的に考えてプロアクティブ行動を取れる人材が必要です。

プロアクティブとリアクティブとの違い

プロアクティブとリアクティブには、下記のような違いがあります。

  • プロアクティブ:先手を取って行動する。積極的または主体的な行動
  • リアクティブ:ことが起こってから行動する。受動的な行動といえる

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2.プロアクティブ行動が注目される理由

プロアクティブ行動という語が登場したのは2008年のこと。それ以降は多くの企業がプロアクティブ行動を重視するようになりました。ここではふたつの理由を説明しましょう。

  1. イノベーションの実現
  2. 社会や市場の変化に対応

①イノベーションの実現

企業がこれまでになかったような新しい商品やサービスを生み出すためには、社員のプロアクティブ行動が必要となります。積極的に課題を見つけて取り組んだ結果が、イノベーションを呼び起こすからです。

しかし日本人の場合は協調性や受け身的な傾向が強く、リアクティブなタイプが多いのも事実。そのためいっそうプロアクティブ行動を取れる人材への期待が高まるのです。

日本人がリアクティブな傾向にある理由

これまでの日本の教育が人々にリアクティブ傾向をもたらしたと考えられます。従来の日本の教育方針では正解を求めるあまり、正解のない問いに対する答えや個の意見を重視しなかったためです。

正解のない問いに対して取り組む機会を多く与えていれば、自分なりに考えるという習慣が身に着いたでしょう。また多くの企業で、上から指示が降りてくる「トップダウン方式」を採用していたのも理由といえます。

②社会や市場の変化に対応

周囲を取り巻く環境の変化に対し、柔軟かつスピーディーに対応するためには、プロアクティブ行動が求められるからです。たとえば近年の新型コロナウイルス感染症の影響や少子高齢化などの影響により、従来の生活様式や働き方が大きく変化しました。

またさまざまな技術の進歩によって、市場の変化スピードも増加。企業が変化に対応しながらイノベーションを生み出すためにも、プロアクティブ行動ができる人材の重要性が高まっているのです。

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3.プロアクティブ行動の特徴

プロアクティブ行動は、「イニシアティブ志向」と「チェンジ志向」というふたつの特徴を統合した概念です。

  • イニシアティブ志向:自ら積極的に主体的に行動する
  • チェンジ志向:組織や役割に応じて自分を変化させていく

つまりプロアクティブ行動は、これらの特徴をあわせ持っているのです。

プロアクティブ行動の尺度

プロアクティブ行動は7つの尺度項目に分類できるとされています。

  1. 情報探索:自社の組織体系や方針、人間関係などを学ぼうとする
  2. フィードバック探索:自分の仕事に対してフィードバックを求める
  3. 一般的な社会活動:自社の会合などへ参加する
  4. ネットワーク探索:他部署の社員とも関わろうとする
  5. 上司との関係構築:上司とよい関係を築こうとする
  6. 職務変更交渉:自分の仕事についてほかの人と話し合う
  7. ポジティブフレーム:物事を前向きに捉える

なかでもポジティブフレームは、仕事の満足度にも大きく影響を与えるとこれまでの研究論文によって明らかになっています。

プロアクティブ行動の具体例

企業に入社したばかりの新入社員であれば、自分の実力を発揮するために社員研修に参加し、仕事を積極的に学ぼうとしてメモや質問をするなどの行動が挙げられます。

中堅社員の場合、セミナーに参加したのち学びを社内で生かすために情報共有やレポートを作成して公開するといった行動が、該当するでしょう。いずれも主体性や積極性を持った行動です。

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4.プロアクティブ行動のメリット

社員がプロアクティブ行動を取ると、企業にとってどのようなメリットがあるのでしょう。ここでは3つのメリットを解説します。

  1. 社員のスキルやモチベーションの向上
  2. 企業全体のパフォーマンス向上
  3. 業務精度の向上

①社員のスキルやモチベーションの向上

社員が問題の解決に向けて積極的に取り組んでいくと、その分スキルや経験が積み重ねられます。解決できれば、新たな課題解決へのモチベーションが高まるでしょう。

またこのような経験は仕事で活用できるため、業務をスムーズに進められるようになり、モチベーションも高まりやすくなります。モチベーションの向上は、さらなるプロアクティブ行動を促すという好循環を生み出すのです。

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②企業全体のパフォーマンス向上

プロアクティブ行動を取る社員が多いほど、企業のパフォーマンスを高めます。ひとりのスキルが向上すればその分業務効率が上がり、そのような社員が徐々に増えていくほど、企業全体の生産性やパフォーマンスが向上するからです。

プロアクティブ行動を取るリーダーを部署に置くと、ほかの社員に伝播しやすく、部署全体の積極性を高められます。

③業務精度の向上

自らフィードバックを求めるプロアクティブ行動を取っていくと、業務が改善されていき精度も高まります。もらったフィードバックに対して積極的に取り組み、難題であっても工夫を重ねて克服しようとするからです。

もちろんフィードバックには、ポジティブな内容もあればネガティブな内容もあるでしょう。しかしポジティブフレームの尺度に位置する社員ならば、ネガティブなフィードバックにも主体的に取り組むのです。

商品やサービスの売上などの目標も徐々に高くなることも予想されます。あるいはそれと平行して、業務全体や社員それぞれの仕事の精度も向上するのです。

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5.プロアクティブ行動のデメリット

プロアクティブ行動ができる社員は、積極的に仕事に取り組むというだけでなく未経験な部分に挑戦する傾向にあるため、予期しないデメリットを生む可能性もあります。

  1. 人間関係のトラブル
  2. マイナス評価を受ける
  3. 定型業務には不向き

①人間関係のトラブル

プロアクティブ行動が強い社員は、自我が強くて扱いにくい場合があります。「自分の考えに固執する」「支配欲が高い」といった傾向が強い場合、他者の話に耳を貸さず、同僚と衝突するといった人間関係のトラブルを招く恐れもあるのです。

②マイナス評価を受ける

プロアクティブ行動が強い上司やリーダーの場合、自分の判断で企業や職場のルールを変更してしまうケースも見られます。振り回された同僚や部下からは迷惑な存在と思われてしまい、マイナス評価を受ける恐れもあるでしょう。

③定型業務には不向き

手順や内容が定められている定型業務の場合、決まった手順や方法に従わなければならないときもあります。独自の考え方でルールに沿わない社員がいると、ほかの人がその定型業務を担当したときに混乱するでしょう。

プロアクティブ行動を取る社員に割り振るなら、定型業務は避けたほうが無難です。

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6.プロアクティブ行動が持つ3つのプロセス

プロアクティブ行動は、自分の置かれた立場や役割、あるいは同僚との関係によってさらに3つのプロセスへ分類できます。

各プロセスを知っておけば、プロアクティブ行動を身につけさせる研修にも役立つでしょう。ここでは3つのプロセスについて解説します。

  1. 社会的プロセス
  2. 仕事の構造を学習するプロセス
  3. 発達と変化のプロセス

①社会的プロセス

職場内でよりよい人間関係を構築するために積極的な行動を取り、企業内における社会性を高めるプロセスです。このような行動は「組織社会化」とも呼ばれます。

具体例として挙げられるのは「上司や先輩を食事に誘う」「社内のイベントへ参加してほか部署の人たちと交流する」など。いずれも自社への順応を高めるため、新入社員にも必要なプロセスです。

②仕事の構造を学習するプロセス

自分に任せられた仕事を確実に行うため、仕事の内容やほかの仕事との関連性などを学ぼうとするプロセスです。

具体例として挙げられるのは「仕事を効率的に行うための勉強会を主催する」「仕事に必要なスキルをマスターするためにセミナーに参加する」「先輩からフィードバックをもらう」など。ある程度仕事に慣れた若手社員が求められるプロセスです。

③発達と変化のプロセス

自分の能力やキャリアを発達させ、必要があれば環境を変化させるプロセスです。たとえば「上司や役職者に対し、自分の役割を向上するように訴える」といったもので、このような行動であれば、自社にとってよい効果となりえるでしょう。

しかし「転職して職種や業務内容を変えようとする」といったプロアクティブ行動に現れることもあるのです。この場合、企業にとって損失になるかもしれません。

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7.プロアクティブ行動実践のポイント

プロアクティブ行動を浸透させるには、主体的な行動がスムーズに取れるような環境作りがポイントです。

  1. 仮説、行動、振り返りの実践
  2. 失敗を責めない企業風土
  3. 主体的な行動を評価
  4. ペアやチームの活用
  5. オンボーディング取り組みの実施

①仮説、行動、振り返りの実践

プロアクティブ行動を習慣化するには、実践を繰り返すこと。このとき、実践における「仮説」「行動」「振り返り」というプロセスが重要です。

行動するときに「こうしたら、こうなるのではないか」といった仮説を立て、「それに近づくにはどうしたらよいか」を考えて行動を決定。そして行動後は、結果を振り返ります。このプロセスを繰り返すほど、プロアクティブ行動が習慣化するのです。

②失敗を責めない企業風土

プロアクティブ行動の結果が失敗に終わっても、責めずに挑戦しやすい風土を作るのも大切です。主体的な行動が必ずよい結果をもたらすとは限りません。

しかし失敗したことを責めると、失敗を恐れるあまり保守的に行動するようになってしまうのです。責めるのではなくフィードバックを伝え、改善を促しましょう。

③主体的な行動を評価

プロアクティブ行動を後押しする評価の仕組みも整備しましょう。主体的な行動に対して賞賛や承認が得られると、社員がプロアクティブ行動に取り組む動機となるからです。たとえば「人事評価の基準に設ける」「社内で表彰する」などが挙げられます。

このような評価はプロアクティブ行動に対する社員の心理的安全性を高めるでしょう。

④ペアやチームの活用

プロアクティブ行動が苦手な社員に対しては、実践できている社員とペアを組ませることで成功したという事例があります。プロアクティブ行動の苦手な社員がいきなり実践しても失敗に終わる可能性が高く、リアクティブ傾向を強めてしまいかねません。

実践できている社員と組ませれば苦手な社員をフォローでき、プロアクティブ行動の成功体験を積ませられるでしょう。

⑤オンボーディング取り組みの実施

オンボーディングとは新人社員に対して職場環境に早く慣れるための支援。つまりオンボーディングとプロアクティブ行動には「組織に馴染む」という目的が共通しているのです。そのためオンボーディングの実施は、アクティブ行動の浸透に効果が期待できます。

オンボーディングの取り組みはさまざまですが、コミュニケーションを活性化するイベントの開催や、気づきを与えるメンター制度や1on1ミーティングの導入が挙げられるでしょう。

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