人事システムとは? 求められる人事システム構築戦略の転換

人事課題の変化や技術の進歩とともに、企業の人事システム導入や運用に対する考え方も変わってきています。労務管理などの定型業務を行う人事システムについては、かつては従業員が数百名規模というのが導入目安のラインと言われていました。

黎明期には、各企業が独自で開発・運用していましたが、環境変化に伴いパッケージ化が進み、現在ではクラウドで提供されることも多くなりました。

人事システムの導入コストが下がり、立ち上がりのスピードも速くなる中で、戦略的人事業務への活用も目的に、100名に満たない小規模の事業所で導入がなされるケースも見られるようになっています。

人事システムとは?

人事システムとは? 人事業務効率化を目指した黎明期

人事システムと呼ばれるものが日本で使われだしたのは1980年代頃で、企業で使われるシステムとしては最も古い部類であるとされています。

当初はこの人事情報管理コストを下げることがユーザー側の最大の関心事であり、ターゲットとなったのが、いわゆる定型業務と呼ばれる分野でした。

具体的には、労務や給与、勤怠管理の効率化を目標に、氏名、性別、住所、家族構成や職歴、資格、昇降格や異動情報を管理する用途で開発、導入、運用されていました。

これらが厳密に管理されるべき個人情報であったこともあり、システムには汎用機ベースの自社開発ソフトウェアが使われることが多く、当然こうした開発や導入が可能なのは、一部の大手企業に限定されていました。

人事システムのパッケージ化と導入企業数の拡大期

1990年代に入り、バブル崩壊やグローバル競争の激化といった社会的・経済的背景も相まって、リストラや成果主義の導入を行う企業が相次ぎました。

この一連の流れで中途採用や抜擢人事などが行われるようにもなり、人事部門は変化への柔軟な対応や、脱均一的管理が求められるようになりました。

そうした中で、人事システムにオープン系システムを導入する企業が増え、大手企業向けのERPだけでなく、中小企業向けのパッケージソフトなども一般的になり、人事システムを導入する企業の数が一気に拡大していきました。

戦略的人事業務への人事システム活用へ

2000年以降には、各企業の人事部門が、従来の労務管理業務メインの役割から戦略的経営パートナー的役割への転換を目指す風潮が強まります。

人事部門にとって、企業の戦略実現に直結する、戦略的な人員配置や人材育成こそがメイン業務であるべきとされるようになりました。

人事部門では、定型業務に割く時間やコストを抑えつつ、いかにしてこうした重要業務にリソースをつぎ込むべきかが課題とされ、従来の人事システムを見直すとともに、戦略的人事業務へのさらなるシステムの活用が模索されるようになりました。

ベンダーからリリースされる人事システムの具体的な機能も、採用(含マッチング)、人事評価・タレントマネジメント、教育・研修といった分野にまで広がりを見せています。

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人事システムの課題

日本の人事部は人事情報の蓄積・整理業務への割り当て時間が長い

神戸大学の調査(2009)から、日本企業の人事部は米国企業と比較した際「人事情報の蓄積・整理業務(従業員に関わるデータを収集し、必要な時に引き出せるようにメンテナンスすること)」に割く時間の割合が高くなっている一方で、戦略的経営パートナーとしての役割(戦略的な人事計画、組織設計、戦略的変革への従事)や、人事施策の実施や運用に関する支援といった業務への時間の割り当てが低いことが明らかになりました(Lawler, Bouderau and Mohorman, 2006の調査と神戸大学調査2009の比較によるもの)。

人事施策とは? 意味、トレンド、施策の種類、事例について
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従来型人事情報管理の限界

Lawlerなどは、人事部門の戦略的パートナーへの転換の有効性を主張し、逆に人事情報の蓄積・整理に時間を費やす人事部は戦略的焦点を曖昧にすると警鐘を鳴らしています。

また、平野氏は研究により、ローテーションを活用し、内部人材市場を育成し配置していく従来型の日本企業において、人事異動や人材育成をサポートするために人事部が集中的に情報蓄積・管理を行うことは、効率的かつ効果的であったことを明らかにした一方で、企業が今後もこのような人材マネジメントの形をそのまま維持し続けることに対しては否定的な見解を示しています。

今後の課題

今後も環境変化のスピードは増し、人事部門には、こうした流れにタイムリーに反応して組織強化を実現することが求められてくるでしょう。そうなれば、今後定型業務の一層の効率化を推進する一方で、戦略的業務を効果的に行っていく必要があります。

アメリカではHR テクノロジー市場の急成長を背景に、関連企業の数は400を超え、大手ERPベンダーもHR関連の製品開発を強化しています。

グローバル競争におけるライバル企業がこれらの人事システムを続々と投入していく中で、自社はどうしていくべきか―自社の人事課題に対し、どんな人事システムをどんな形で活用していくべきか―を検討していくことも、人事業務の重要な要件となっていくと見られます。

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