マインドセットとは? 意味、目的、必要性、具体例、構成要素、研修について

企業の人材育成などでマインドセットを活用する動きが増えています。このマインドセットとはどのようなものなのでしょう。

  • マインドセットとはどのようなものか
  • マインドセットの目的
  • マインドセットの必要性
  • マインドセットの具体例や構成要素
  • マインドセット研修

などについて、説明します。

目次

1.マインドセットとは?

マインドセットとは、

  • 生まれながらに持つ性格
  • 受けてきた教育
  • 経験
  • 先入観
  • 時代背景などからつくられた物の見方
  • 価値観
  • 判断基準
  • 信念
  • 思い込みといったパラダイム

などさまざまな要素から構成される、思考様式、心理状態などを表した言葉のこと。

マインドセットは2つあります。

  1. 成長型:状況を前向きに捉えることで現状打破のための方策を導き出そうとする
  2. 停滞型:思考が停止した状態になり、その場にとどまったり諦めの境地に陥ったりする

成長型マインドセットを持つ従業員は、自ら問題解決の糸口を見つけようとします。そのため、組織全体も良い方向性に向かって動くのです。

mind-setの訳

マインドセットとは、

  • 人の固定された物の見方
  • 人の固定された考え方
  • 人の習慣
  • 人の好み

といった意味の言葉。人間の意識や心理状態を一側面で判断することは難しいです。多面的に見て合わせたものがマインドの全体像を表しているといえます。

マインドセットの具体例

マインドセットとは、経験、教育、先入観などから構成される思考様式、心理状態のことで、含まれるのは、

  • 暗黙の了解
  • 思い込み(パラダイム)
  • 価値観
  • 信念

マインドセットには、プラスの好循環を生み出すマインドセットと、マイナスの悪循環を生み出すマインドセットの2種類があります。

ビジネスにおけるマインドセットの内容

マインドセットをビジネスの世界に限定して解釈してみた場合、企業におけるマインドセットは、

  • 企業戦略
  • 組織構成
  • 将来的なビジョン
  • 歴史
  • 取扱商品、製品、サービスの特性
  • 経営スタイル
  • 社内外におけるコミュニケーション
  • 情報伝達

など、企業を取り巻くさまざまな要素から形成されます。

ポジティブなマインドセットを上手に活用して組織運営を行うことを考えましょう。

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2.企業がマインドセット教育を行う目的

なぜ企業はマインドセット教育を行うのでしょう。その目的は、マインドセットが周囲に伝播するという特性にあります。

リーダーがポジティブなマインドセットを持っていれば、その心の持ちようは部下に大きく影響し、ポジティブなマインドセットが組織全体に伝播すれば、組織は問題解決型に変わっていくのです。

企業がマインドセット教育を行うのは、ポジティブなマインドセットを持った人物を中心にそのマインドが組織内に広まり、培われていくことにあります。

マインドセットの魅力は、ポジティブなマインドセットの伝播によって、一人ひとりの社員だけでなく組織ごと問題解決型に向かえる点です。

3.マインドセットが必要な理由

企業にポジティブなマインドセットが必要なその理由を、2つの観点から説明します。

  1. マインドセットのビジネスへの影響力
  2. 成功者が語るマインドセットの重要性

①マインドセットのビジネスへの影響力

1つ目は、マインドセットが持つ組織への影響力。

  • スタンフォード大学心理学教授キャロル・ドウェック(発達心理学、社会心理学の分野で権威のある心理学者)
  • オックスフォード大学感情神経科学センター教授エレーヌ・フォックス(心理学、脳科学、遺伝子学など幅広い観点から研究を重ねる心理学者、神経科学者)

などの研究者たちが、マインドセットが組織に与える力の大きさを提唱しているのです。

②成功者が語るマインドセットの重要性

2つ目、成功者が語っているマインドセットの重要性。実業家の稲盛和夫氏を例に挙げて見てみましょう。

稲盛氏が説く人生を成功させる方程式は、「人生・仕事の結果=考え方×熱意×能力」。

いくら熱意や能力が高くても、考え方がネガティブであればすべてを掛け合わせた積は大きなマイナスになります。一方考え方がポジティブであれば、熱意や能力の高さが人生・仕事に対しての高い結果を導き出すのです。

研究者や著名人がマインドセットの重要性を説いており、そこからマインドセットを活用する背景が理解できます。

4.マインドセットの成長型と停滞型のたとえ話

マインドセットの成長型と停滞型を理解する上で分かりやすい事例をご紹介しましょう。
アフリカに靴を売りに出掛けた2人のセールスマンの話です。

2人がアフリカで気付いたのは、靴を履く習慣がないことでした。その様子を見たセールスマンAは、「靴を履く習慣のないアフリカで靴は売れない」と言い、早々に母国へ帰っていきました。

しかしセールスマンBは、「誰も靴を履いていないことは最大のビジネスチャンス。靴を履く文化や習慣を身に付けたら、私の靴はたくさん売れる。独り勝ちだ!」と考えたのです。

そしてアフリカ人に靴を履くことの便利さ、快適さ、素晴らしさを伝え始めました。

Aのような停滞型マインドセットは現状を見て諦めてしまうのに対し、Bのような成長型のマインドセットは打開策を自ら考え、実行に移せる、2つの違いがよく分かります。

成長型マインドセットは、未来を切り開く力を持っています。企業の中でも大事に育てていきたいマインドセットです。

5.企業におけるマインドセットの構成要素

さまざまな要素が絡み合ってマインドセットの全体を構成していきます。もちろん企業や組織におけるマインドセットも同様です。

たとえば、

  • 組織や企業としての歴史
  • 経営者個人の個性

ここでは、その中でも企業におけるマインドセットの主要な構成要素として挙げられる3つの要素を説明します。

  1. 製品特性、事業特性
  2. 戦略、ビジョン、企業理念
  3. 企業が経験してきた出来事

①製品特性、事業特性

取り扱い製品や取り組んでいる事業の特性によって、組織そのものの価値観を構築していく必要があるのです。

たとえば、ライフサイクルの短い製品では、意思決定にスピードが求められますし、組織は、一定のリスクや意見の衝突などを脅威と感じない姿勢が求められます。

②戦略、ビジョン、企業理念

「新製品開発によって、マーケットリーダーになる」というビジョンを持つ企業は、新製品開発力を強化して市場牽引力を高めるためのマインドセットが形成されます。

「後発でも質の良いものを提供する」といったビジョンであれば、広告宣伝や製品管理などを徹底するマインドセットが形成されるでしょう。

③企業が経験してきた出来事

急激な業績向上といった事業展開をしている企業が製品のリコールを受ければ、「リスクを取って革新的な事業展開をする」といったマインドセットを失い、「リスクを徹底的に管理する」というマインドセットにシフトチェンジします。

「マインドセットは組織文化の本質である」と述べた心理学者エドガー・H・シャインの言葉通り、組織文化を再考する際は、マインドセットの点検も併せて実施するのです。

マインドセットは企業文化の本質と同じ。つまり、マインドセットは企業文化と切り離せない関係にあるのです。

6.組織に必要なマインドセットの具体例

組織に必要なマインドセットとはどのようなものなのか、具体的事例を挙げて説明しましょう。

「成長志向」のマインドセット

「成長志向」は、組織に欠かせないマインドセットです。始まりは、2010年6月、東京都内で開催されたシンポジウムにおいて、カリフォルニア大学・バークレー校のローラ・クレイ准教授が語ったことにあるとされています。

組織は成長なくして存続することが不可能な存在。組織が十分に機能し存続していくためにも、

  • 成長
  • 進化
  • 進歩

に価値を見出すマインドセットが必要だということは、容易に想像できますね。

リーダーに必要な「変化」「率先」「指導」「倫理と思考」

組織の中でも、とりわけリーダーに必要なマインドセットは、

  • 変化
  • 率先
  • 指導
  • 倫理と思考
  • そしてリーダー個人の意識変革によって比較的即時に習得できるものは、変化や率先。新しい方法を率先して取り入れる
  • 率先して組織を導いていく

などのマインドセットは、価値を創造する必要のある企業組織には不可欠です。また、日々の精進が求められるのは、

  • 指導
  • 倫理と思考

より良い組織運営には、これらの要素を持ったマインドセットが重要でしょう。

常に変革や成長を求められるのが組織。そのためマインドセットにも変化、率先、進化などが求められているのです。

7.【成功心理学】成功と失敗はマインドセットで決まる

マインドセットは成功と失敗を決める鍵といわれています。

マインドセットを上手に活用して、「やればできる!」と考えられる強いメンタルをつくる方法を説いた本が、『マインドセット「やればできる! 」の研究』。20年にわたる調査をもとに、科学的に実証されたメンタルのつくり方が分かりやすく解説されています。

グロース・マインドセット(growth mindset)

『マインドセット「やればできる! 」の研究』の中に出てくる言葉に、グロース・マインドセット(growth mindset)があります。

これは「しなやかマインドセット」とも呼ばれているもので、向上心を持っている、失敗にくじけにくいといった特徴を持つのです。

またグロース・マインドセットを持つ人材は、

  • 粘り強い
  • 努力を惜しまない
  • 失敗から学ぶことができる
  • 挫折からの立ち直りが早い

といった特徴を持ちます。

フィックスト・マインドセット(fixed mindset)

『マインドセット「やればできる! 」の研究』の中には、フィックスト・マインドセット(fixed mindset)という言葉も登場します。これは「据え付ける」という意味の言葉で、

  • 周囲の評価や視線を非常に気にしてしまう
  • 自分に能力がないと思われることを気にしてしまう
  • 常に自分の能力を周囲に対し証明しようとする

といった特徴を持つのです。

別の言い方でいうと、

  • 他人から能力があると思われたい
  • 自己愛が激しい
  • うぬぼれやすい

などとなります。

硬直マインドセットから、しなやかなマインドセットへ

『マインドセット「やればできる! 」の研究』では、「硬直マインドセットから、しなやかなマインドセットへ」というフレーズがキーセンテンスになっています。

硬直マインドセットの被験者は、

  • 結果志向
  • 失敗には否定的
  • 困難に直面した場合、逃避するかズルをして逃げる

といった傾向にありますが、しなやかなマインドセットの被験者は

  • 成長志向
  • 失敗に対して肯定的
  • 困難に直面した場合、立ち向かう

といった傾向にあるのです。長期的な成功を望むのであれば、硬直マインドセットの持ち主はしなやかマインドセットへの転換が必要となるでしょう。

そのためには、

  • 挑戦に対して褒めて伸ばす
  • 失敗を乗り越えたことを称賛する

ことが有効です。

グロース・マインドセット、しなやかなマインドセットなどを使い、有益なマインドセットを構築しましょう。

8.成長志向のマインドセットに変える方法

PDCAサイクルを使って成長志向のマインドセットに変えられることを提唱したのは、マインドセットの提唱者の一人であるスタンフォード大学心理学教授キャロル・S・ドゥエック氏です。

  1. ビジョンを言語化する
  2. 言語化したことを書き記す
  3. 行動に移す
  4. フィードバックを行う
  5. 目標に沿って軌道修正する

①ビジョンを言語化する

企業や組織が掲げるビジョンを言語化することで、

  • 意識の中にビジョンが具体的な言語として定着する
  • 細かくビジョンを言語化することで、より具体的なイメージが構築できる

といった効果が期待できます。

②言語化したことを書き記す

言語化したことを書き記すことで、

  • 最初に感じた気持ちに意識を向ける
  • 自分の中でビジョンを定着する意識づくりができる

といった効果が期待できるでしょう。

日記などを活用すると、

  • その日に行ったこと
  • 改善点

などを容易に振り返ることができ、PDCAサイクルを回しやすくなります。

③行動に移す

続いて、行動に移します。実行とは突発的にアクションを起こすだけではありません。

  • すぐに実行する
  • 実行したことを継続していく
  • 行動力を発揮しようとする姿勢を継続して保つ

なども意味します。言葉で言うのは簡単ですが、実際に行動に移すと問題点も生じることが多いです。

④フィードバックを行う

決意をし、即実行できるようになったら、ここまでの工程をフィードバックします。

  • 周囲に協力を仰ぎ、マインドセットに沿っていないときには問題点などを指摘してもらう
  • 考え方の癖を洗い出す
  • 思考様式がマインドセットに適合しているか否かをチェックする

といった作業を通して、今までの取り組みについて、フィードバックを行います。

⑤目標に沿って軌道修正する

実践を重ねるうちに、目標に近づく場合もありますが、遠ざかる場合もあるでしょう。フィードバックで軌道修正しながら、引き続き目標に向かって実践を重ねていきます。

また、目標そのものも、より質の高いものへと進化していくことが考えられるでしょう。新たなステージに入っても、目標に沿って Plan(計画)→ Do(実行)→ Check(評価)→ Act(改善)を活用し、軌道修正していくことは重要です。

マインドセットを修正する際は、Plan→Do→Check→Actを上手に活用します。

9.マインドセットを定着させる際の注意点

マインドセットを定着させる際の注意点3つを説明しましょう。

  1. フィックスト・マインドセットの持ち主は挫折を感じやすい
  2. 小さな成功体験を積み重ねる
  3. ミッションやビジョンを意識する

①フィックスト・マインドセットの持ち主は挫折を感じやすい

マインドセットを定着させるには、フィックスト・マインドセット(才能や能力は、努力をしても向上しないという考え)の持ち主は挫折を感じやすいということを理解し、さまざまな工夫をする必要があります。

マインドセットは一朝一夕で定着するものではありません。時間をかけてマインドセットを修正、定着させていきます。

②小さな成功体験を積み重ねる

小さな成功体験を積み重ねることも有効です。成功体験の積み重ねは、自己効力感につながっていきます。

また、高い目標である必要はなく、

  • 少しの頑張りが必要
  • 目の前にある小さな目標

といったもので十分です。それを一歩一歩クリアし、小さな成功を積み重ねていくことで、徐々にマインドセットが変化していきます。

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③ミッションやビジョンを意識する

ミッションやビジョンの意識も重要です。

ミッションとは、

  • 理念
  • 信条
  • 生きる目的
  • 存在意義
  • 人生をかけて成し遂げたいこと

といった意味の言葉。ミッションが意識できれば、

  • 人生の達成感
  • 未来像
  • 将来図

が変わります。未来を意識することで、マインドセットの定着、促進が図れます。

マインドセットを定着させるためのポイントを押さえながら、マインドセットを自分のものにしていきましょう。

10.マインドセット研修

マインドセット研修とは、マインドセットを効率よく取り込み、仕事に生かしていこうといった人材育成のプログラムのこと。

マインドセットは、

  • 生まれ持った性格
  • 幼少期の教育

などがベースになっているため、停滞型マインドセットを成長型に転換することは
困難を極めます。しかし、不可能なことではありません。

すぐに取り組むべきことは、

  • 自分自身の思考の癖を理解する
  • 思考の癖を修正する

たとえば、「もう無理だ」と思考停止に陥る人は、「もう」を「まだ」に言い換えて「まだ無理だ」と思考を修正しましょう。

これは、「できない」という意味から「今はまだできない」という意味に変わっており、「いつかはできるかもしれない」といった希望を含んだ表現になります。

このような思考修正の訓練を行うのが、マインドセット研修の意義。マインドセット研修では、思考の癖を意識しながら思い込みを消去し、成長型マインドセットを習得します。

成長型マインドセットを求める企業は、この研修を取り入れるとよいでしょう。

多くの企業が求める成長型マインドセットの習得が、マインドセット研修を通して行えるのは魅力的です。