マネジメントサイクルとは? 種類、活用法、注意点を解説

マネジメントサイクルとは、仕事を効率的に行うための手順に関する理論です。ここでは、マネジメントサイクルについて解説します。

1.マネジメントサイクルとは?

マネジメントサイクルとは、仕事を効率的に進める手順に関する理論のこと。アメリカの物理学者であるウォルター・シューハートとエドワーズ・デミングの両名によって提唱されました。

  1. Plan(計画)
  2. Do(実行)
  3. Check(点検・評価)
  4. Act(改善・処置)

で構成されており、PDCAサイクルとして広く認知されています。

ビジネスでのマネジメントの意味

マネジメントという言葉には、取り扱い・処置・管理といった意味が込められています。ビジネスでマネジメントという言葉を用いる場合、その対象はヒト・モノ・カネの3つに限られているのです。

ビジネスにおいてヒト・モノ・カネをマネジメントする人材は、一般的にマネージャーと呼ばれており、こうした人物は、「自らの業務」「組織の管理・運営」、両方の業務を担っています。

マネジメントサイクルを活用したISMS

マネジメントサイクルを活用したISMSは、「Information Security Management System」の頭文字を取ったものです。情報漏えいなどの社会問題を受けた情報セキュリティへの関心から、マネジメントサイクルをセキュリティに応用する動きが広がりました。

情報管理におけるマネジメントサイクルであるPDCAが確立されたことにより、ISMSは管理者の立場にある人が知っておくべきビジネススキルのひとつとなっています。

マネジメントサイクルとは、仕事を効率的に行うための手順に関する理論です。PDCAサイクルとして広く認知されています

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2.代表的なマネジメントサイクルを紹介

代表的なマネジメントサイクルは、5つです。それぞれについて見ていきましょう。

  1. PDSサイクル
  2. PDCAサイクル
  3. OODAループ
  4. CAPDサイクル
  5. PDRサイクル

①PDSサイクルとは?

PDSサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「See(評価・見直し)」の3ステップから構成されるマネジメントサイクルのこと。主に管理業務の改善に用いられ、下記のような内容を実施します。

  • 組織共通の目的の明確化
  • 目標達成に向けたPlanの立案
  • Planに従った実行
  • 実行した成果の評価・見直し

②PDCAサイクルとは?

PDCAサイクルとは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4ステップから構成されるマネジメントサイクルのこと。主に業務効率化を目指すために用いられます。

日本でPDCAサイクルが多用されるようになったのは、1990年代後半。1サイクルが4ステップで構成され、計画から改善までスムーズに進行できる便利なマネジメントサイクルです。

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③OODAループとは?

OODAループとは、「Observe(観察)」「Orient(方向づけ)」「Decide(意思決定)」「Act(行動)」の4ステップから構成されるもの。アメリカ空軍の戦術家、ジョン・ボイド氏が開発したビジネスサイクルで、主に意思決定のために用いられます。

特徴は、計画の段階がない点。OODAサイクルは、観察に重きを置くフレームワークだといえるのです。

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④CAPDサイクルとは?

CAPDサイクルとは、PDCAサイクルのステップの順番を変えて、「Check(評価)」「Action(改善)」「Plan(計画)」「Do(実行)」の4ステップから構成されるマネジメントサイクルのこと。

CAPDサイクルは、計画・実行を重視しているため、PDCAサイクルよりアクティブで適応力の高いフレームワークになっています。

⑤PDRサイクルとは?

PDRサイクルとは、「Prep(準備)」「Do(実行)」「Review(見直し)」の3ステップから構成されるマネジメントサイクルのこと。

特徴は、「OODAループと比較して実行の前段階が簡略化されている」「スピード感に特化している」点です。これはほかのマネジメントサイクルには見られません。

代表的なマネジメントサイクルには、「PDSサイクル」「PDCAサイクル」「OODAループ」「CAPDサイクル」「PDRサイクル」の5つです

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3.マネジメントサイクルのひとつ「PDCAサイクル」を上手く回すポイント3つ

これまでのマネジメントサイクルに広く活用されていた「PDCAサイクル」は、どうすればうまく回るのでしょうか。

PDCAサイクルを回す際は、「具体的な計画を立案する」「目標を明確に設定する」「実行した結果を定期的に精査する」3つのポイントを押さえます。そのうえで以下に挙げる3つのポイントに注意を払うのです。

  1. 実現可能な目標に設定する
  2. 継続的に回し続ける
  3. 次のサイクルに生かす

①実現可能な目標に設定する

設定した目標があまりにも現実から乖離した高いものですと、「諦めムードにより、モチベーションが大きく低下する」「PDCAサイクル自体が成り立たなくなる」可能性が高まります。これでは、本末転倒になりかねません。

設定する目標は、自分の業務量を考え、そのうえで実現可能な範囲に設定しましょう。

②継続的に回し続ける

PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4ステップから構成されています。

1サイクルが終了したからといって、歩みを止めてはなりません。4ステップでの1サイクルを繰り返し回し続けて初めて、本当の結果を手に入れられるのです。

③次のサイクルに生かす

単にPDCAサイクルを回し続けても、マネジメントサイクルは成功しません。直近に実施したサイクルで見つけた「問題点」「反省点」「改善点」「良かった点」などを総合的に振り返って、それらを次のPDCAサイクルの計画立案に生かしていくのです。

「振り返りをどう次につなげていくか」仕組みの構築が必要でしょう。

PDCAサイクルをうまく回すポイントは、「実現可能な目標設定」「継続的に回し続ける」「次のサイクルに生かす」の3つです

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4.PDCAはもう古い? PDCAに代わるOODAループとは?

従来、広く用いられてきたPDCAの代わりに今、OODAループが注目を集めています。ここでは、

  1. OODAループとは何か
  2. PDCAサイクルとの違いとOODAループの利点

について簡単に解説します。

①OODAループとは何か

OODAループは、下記4つからなるマネジメントサイクルです。それぞれについて見ていきましょう。

  • Observe:観察する
  • Orient:状況を判断する
  • Decide:意思決定を行う
  • Act:実行に移す

①Observe:観察する

OODAループの最初のOは「Observe」つまり、観察するという意味を持つ言葉の頭文字です。観察には、以下のような行動が含まれます。

  • ひたすら相手を観察する
  • 立案した計画には固執しない
  • 徹底的な観察により、相手の出方をうかがう

意思決定者がひたすら観察を行って、外部状況に関する生きたデータを収集するのです。

②Orient:状況を判断する

OODAループの2番目のOは「Orient」つまり、状況を判断するという意味の言葉の頭文字です。状況判断には、以下のような行動が含まれます。

  • 現場の状況把握
  • 収集・把握したデータについての深い考察

これは、「データが意味する本質の理解」「本質をもとにした状況判断」を指しており、現場の生きたデータを価値ある判断材料に変えていくことを意味します。

③Decide:意思決定

OODAループのDは「Decide」つまり、意思決定を意味する言葉の頭文字です。現状を把握して導き出した情報をもとに、意思決定を進めていきます。

「前ステップで捉えた本質に焦点を当て、行動計画を決定していくこと」を意味しているのです。

④Act:実行に移す

OODAループのAは「Act」つまり、実行に移すことを意味する言葉の頭文字です。ここでは前のステップで立案した行動計画を、現実に実行していきます。

計画を実行に移すと、新たな課題や問題が見えてきます。その結果を受け、OODAループの最初のステップ「Observe(観察)」へ戻って、新たなループを繰り返していくのです。

②PDCAサイクルとの違いとOODAループの利点

まずPDCAサイクルとOODAループの違いについて、見ていきます。

  • PDCA:「目標やアクションプランがスタート地点」「数値的な指標や定量化できる基準を活用している」
  • OODAループ:「観察と状況判断を最重要視」「的確な状況判断が求められ、機動性を重視」

両者を比較するとOODAループの利点は、「現場適合性の重視」「迅速な観察と判断」による市場動向や顧客ニーズへの適合力にあると分かるのです。

OODAループは、機動性を重視しています。それは市場動向や顧客ニーズへの適合力の高さに生かされていくのです

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5.PDRサイクルはスピード感のあるマネジメントサイクル

PDRサイクルの特徴は、スピード感のあるマネジメントサイクルである点。ここでは、下記2点について解説します。

  1. PDRサイクルとは何か
  2. PDRサイクルがPDCAより優れているといわれている理由

①PDRサイクルとは何か

PDRサイクルとは、下記3つからなるマネジメントサイクルです。それぞれについて見ていきましょう。

  • Prep:実行に向けた準備をする
  • Do:実行する
  • Review:結果の見直しをする

①Prep:実行に向けた準備をする

PDRサイクルのPは、Prep、つまり実行に向けた準備という意味の言葉の頭文字を取ったもの。実行に向けた準備では、「目標設定」「計画実行前の市場調査」「競合分析」「自社分析」などに取り組むのです。

これはPDCAサイクルのステップでいうと、最初の計画(Plan)に該当します。

②Do:実行する

PDRサイクルのDは、Do、つまり実行するという意味の言葉の頭文字を取ったもの。実行するとは、準備終了後に行う実行段階のことです。

  • 準備してきた内容を実行に移す
  • 実行によって、目標や成果を達成する

このように、それぞれの目標達成に向けたアクションの実行を意味しています。

③Review:結果の見直しをする

PDRサイクルのRは、Reviewつまり、結果の見直しという意味の言葉の頭文字を取ったもの。結果の見直しとは、「得た結果から見直しを行う」「実行した結果から、目標に対する達成度をチェックする」ことです。

「達成度の視点から準備段階ならびに実行段階での改善点を探って、次に向けた学びを探すこと」を意味します。

PDRサイクルがPDCAより優れているとされる理由

PDRサイクルがPDCAより優れているとされる理由は、何でしょうか。それは「使いやすさ」です。

PDCAサイクルは、「Plan(計画)」「Do(実行)」「Check(評価)」「Action(改善)」の4ステップから成り立っているため、「時間がかかる」「柔軟性に乏しい」といった欠点があります。

一方、PDRサイクルは「Prep(準備)」「Do(実行)」「Review(見直し)」の3ステップで構成されているため、簡単に扱えるのです。

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6.さまざまなマネジメントサイクルの問題点を理解しておくことも重要

さまざまなマネジメントサイクルが抱える問題点を理解しておくと、マネジメントサイクルを考える際に役立つのです。ここでは下記3つについて、解説します。

  1. PDCAサイクルの問題点
  2. OODAループの問題点
  3. PDRサイクルの問題点

①PDCAサイクルの問題点

PDCAサイクルの問題点は、下記のとおりです。

  • 設定した目標が高すぎて、実現できない
  • 計画の立案に時間がかかり過ぎる
  • 高い目標を設定し過ぎるなどの理由で、途中でPDCA自体が止まってしまう
  • 結果の評価を適正に実施しないまま、改善のみを急がされる
  • サイクルを繰り返すことなく、1サイクルで終わってしまう

PDCAサイクルは、「4つのステップを効率的かつ柔軟に回していくことが難しい」という問題点を抱えています。

②OODAループの問題点

OODAループの問題点は、下記のとおりです。

  • 組織で使う場合、導入にトップマネジメントによるリーダーシップが必須
  • 個人で使う場合、思い込みに気付いた固定観念を変えることに困難が伴う
  • 何が正解で何が間違いなのかが分からない場合、思考の訂正が難しい

OODAループは、現場の一個人が提唱しても導入の実現は難しいです。また個人で導入しようにも、周囲からの同調圧力に屈してしまう状況が考えられます。

③PDRサイクルの問題点

PDRサイクルの問題点は、「Do」の最中に「Review」を行ってしまうこと。PDRサイクルを回す際は、理解しておきましょう。しかしこの点が疎かになってしまうケースも多々あるのです。

PDRサイクルを回す際は、下記PDRサイクルの基本を正しく理解しておきましょう。

  • PDRサイクルの評価は、行動を評価するために行うものではない
  • PDRサイクルの評価は、準備を評価するために行うもの

さまざまなマネジメントサイクルが抱える問題点を理解して、効果的なマネジメントサイクルの実施に生かしましょう