ラテラルシンキング(水平思考)とは?【鍛え方】例題

問題解決のための思考法の中に、ラテラルシンキングがあります。ラテラルシンキングとは、直感的で斬新な発想を生み出す思考法のこと。

今、注目を集めているラテラルシンキングについて、

  • ラテラルシンキングとは何か
  • ラテラルシンキングの使い方
  • ラテラルシンキングの鍛え方やコツ
  • ラテラルシンキング以外の思考法

などについて、解説していきます。

1.ラテラルシンキング(水平思考)とは?

ラテラルシンキングとは、問題を解決するために固定観念や既存の論理にとらわれず、「物事を多角的に考察する」「新しい発想を生み出す」ための思考法のことです。日本では水平思考と呼ばれます。

常識を疑い、直感的な発想や単なる偶然を何かのチャンスに変えられないかといった視点で考えを深めていくのです。

ラテラルの意味

ラテラルシンキングの「ラテラル」という言葉は、「側面の」「横からの」「水平の」といった意味を持ちます。

シンキングの意味

ラテラルシンキングの「シンキング」という言葉は、「考える」「思想のある」といった意味を持ちます。

ラテラルシンキングの提唱者

ラテラルシンキングが最初に提唱されたのは、1960年代です。マルタの医師であり、心理学者・発明家・コンサルタント・作家など複数の肩書きを持つエドワード・デボノ博士が提唱しました。

エドワード・デボノ博士は、従来からある論理的思考や分析的思考といったものを理論構築のための垂直思考としたのに対し、直感的で斬新な発想を生み出す思考法として水平思考を提唱したのです。

なぜ思考力が必要なのか

ビジネスに限らず、さまざまな場面でラテラルシンキングやロジカルシンキングなどの思考法が注目されます。なぜなら知識を持っているだけで、知識を活用した発想がなければ知識が無用の長物になってしまうからです。

ビジネスの世界では、業務に関する多くの知識を持っているだけでなく、思考によりそれらの知識を活用していけば、大きなチャンスを得ることができるでしょう。また思考法の獲得により、生活全般や社会全体をもより良く変えていくことができます。

ラテラルシンキングは、直感的で斬新な発想を生み出す思考法のことで、水平思考とも呼ばれます

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2.ラテラルシンキングの使い方や手法、進め方

ラテラルシンキングの使い方、ポイントや進め方は、創客営業研究所の代表でラテラルシンキングに関する書籍を多数執筆といった経歴を持つ木村尚義氏によって整理されています。

ここでは、5つのステップに分けてラテラルシンキングの使い方や進め方についてご紹介しましょう。

  1. 不満に気付く
  2. なぜ?
  3. ならば
  4. どうやって?
  5. 前提を疑う

①不満に気付く

不満というのは、現状に問題がある場合につくり出される感情です。逆に考えれば、不満を解決していくことで、一歩前進できるようになります。

つまり、ラテラルシンキングを実際に活用しようとする場合、

  • 今の仕事に不満はないか
  • 仕事の手順に不満を感じていないか

といった、業務に関する不満の感情を洗い出すのです。

②なぜ?

「普段、何気なくこなしている業務」「定型業務」「上司から指示された業務」など、言われるがまま取り組んでいるようなことに対して、「なぜこのような手順なのか?」「どうして取り組む必要があるのか?」などと問います。

そしてそこから不満を改善するためのキーとなる物事を発掘していくのです。

③ならば

3つ目のステップは、「ならば」を言語化すること。

  • どうなったならば解決するのか
  • 何ならばよいのか

といったように、「ならば」を突き詰めて考え、新しい視点で問題を捉え直し、あるべき理想像を言語化していくのです。少々理想が高くても、思いもつかない方法が見つかればその理想に届くかもしれません。

ラテラルシンキングは斬新な新しい発想を大事にする思考法なので、まず理想を具現化することが重要です。

④どうやって?

固定観念や常識、フォーマット、法則やルールといったあらかじめ決められている、固定されたものさしだけで考えるのは厳禁です。

ラテラルシンキングでは、できる限り視野を広げ、直感的な感覚や斬新な発想などをフルに活用し、さまざまな観点から問題解決の具体案を検討していきます。

⑤前提を疑う

  • 不満の要素を洗い出す
  • 「なぜ?」「どうして?」という疑問符から不満を発掘する
  • 「どうなったならばよいのか」を言語化して可視化する

という工程の最後に問題解決の具体案を導き出したら、再度、ラテラルシンキングを使う2つ目のポイントに戻って、「なぜ?」「どうして?」と問い直します。

「どうして具体案が必要なの?」と再思考することで、ラテラルシンキングにより一層の深みが生み出されていくのです。

ラテラルシンキングでは、不満要素を洗い出し理想を言語化して、問題解決を探り続けます

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3.ラテラルシンキングの鍛え方、コツ

ラテラルシンキングを上手に活用するには、1つの要素だけでなく複数の要素を複合させての使用も必要です。それでは、ラテラルシンキングを上手に活用するためのコツを解説しましょう。

  1. 前提を疑う
  2. 見立て、抽象化
  3. セレンディピティ

①前提を疑う

  • 本当にそれでよいのか?
  • ほかにも選択肢があるのではないか?
  • 自分たちの出した結論が正しいのか?

といった問いかけをして、すでに出来上がっている前提を疑うことが求められます。

これにより、自由な発想や新しい視点を持つことができるため、より多くの新しい問題解決の答えを導き出すことが可能です。既存のものに縛られない物の見方、考え方を存分に発揮し、前提を根本から疑っていきます。

②見立て、抽象化

物事について思考をめぐらせる場合、

  • 何か別のものに見立てる
  • 個別具体的な案件を抽象化する

などで物事の本質が浮き彫りとなり、それを見抜くことができる場合があります。

ラテラルシンキングは、既存の発想にとらわれない思考法ですから、発想を豊かに物事の全体像を大きく捉えます。その中から核となる部分だけを見極める方法も非常に有効となるでしょう。

③セレンディピティ

セレンディピティとは、「偶然に出会う」「想定外のものを見つける」「運をつかみ取る」などの意味を持つ言葉です。

ラテラルシンキングでは、想定外で手に入れた偶然や幸運のチャンスだけでなく、不幸とも捉えられる事態を好転へのチャンスにすることで、事象のすべてを新しい発想の糸口に使うのです。

幸運と不運、メリットとデメリット、成功と失敗の両方を味方につけ、問題解決に向けて進みます。

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4.ラテラルシンキングの例

ここで、実際に木村尚義氏が提唱する「ラテラルシンキング」のクイズから、ラテラルシンキングにトライしてみましょう。

Q1. 13個のオレンジを3人に分けるには?

木村尚義氏の『ずるさで勝る水平思考トレーニング』の中には、「13個のオレンジがあります。これを3人の子どもに分けるにはどうしたらいいでしょうか?」という問いがあります。

単純に3人で割り算をしてもオレンジが1つ余ってしまいますが、どのように分けることができるのでしょうか。

Q2. 金メダリストに勝つには?

別の問いもご紹介しましょう。「オリンピック選手と競争することになりました。勝つためには、どうやったらいいのでしょう?」という問いです。この場合まず、前提を疑ってみると問題解決の糸口が見えてくるかもしれません。

Q3. マカロニを測るには?

最後にもうひとつ問いもご紹介します。「300gのマカロニを料理で使いたいと思います。しかし、現在持っているのは500g入りの袋のみ。では、どうやって300gを測りますか?」。

頭の体操だと思って、楽しみながらラテラルシンキングにトライしてみましょう。

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5.ラテラルシンキング以外の思考法

最後に、ラテラルシンキング以外の、よく使われる思考法を解説します。

ロジカルシンキング(論理的思考法)

ロジカルシンキングは、「複数の論理をつなぎ合わせ、推論を重ねることでひとつの結論を導き出す演繹法」「多くの事実を考察することでそれらの類似点を探し出し、結論を出す帰納法」の2つから成り立っており、論理的思考法と訳されます。

単に物事を論理的に考えるだけでなく、「一貫している」「筋道が通っている」論理を構築することにより、問題解決法を見つけ出す手法のことです。

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クリティカルシンキング(批判的思考)

クリティカルシンキングは、「明確な目標を設定する」「現状を分析する中で課題や問題を発見する」「課題や問題解決のために重要なことを実際に計画する」といった思考法で、批判的思考と訳されます。

批判的という意味を含んでいますが、批判的や否定的な見解を持つわけではなく、自身の論理構成や分析内容などを内省するといった意味合いで用いられているのです。

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