給料明細とは? 支給項目と天引きされる保険や渡されたときに見るべきポイントについて

給料明細とは、労働者が働いて稼いだ金額や、税金などに支払った額を記載した書類のことです。ここでは、給料明細に記載されている項目の詳細や、給料明細を渡されたときに見るべきポイントなどを解説します。

1.給料明細とは?

給料明細とは、給料の支払額や控除額を計算し、それらを明記した通知書のこと。給料明細には支払われる給料や手当の金額だけでなく、健康保険料や所得税などによる控除の金額、勤怠情報などが記載されています。

給料明細の記載項目

税金や社会保険料を会社が天引きしている場合、会社はその明細を記載した計算書、つまり給料明細を従業員に渡さなければなりません。給料明細の書式は法律で決められていないため、会社によって多少のデザインは異なりますが、記載項目はどの会社も同じです。

支給額

基本給に残業代や各種手当、交通費などを加えたお金を額面(額面給与)といい、支払額とは、この額面を指し、内訳は「固定給」と「変更給」に分かれます。

  • 固定給:基本給や資格手当、住宅手当や通勤手当など、変動しない金額
  • 変更給:残業手当(時間外手当)や休日出勤手当など、月ごとの支払額が変動する金額

控除額

控除とは、元の金額から一定の金額を差し引いて支給額から控除する(差し引く)ことで、社会保険料や税金の合計額が控除額として記載され、それぞれには以下の項目が含まれています。

  • 社会保険料(何かあった際にお金で支援してくれる項目):健康保険料、介護保険料、厚生年金保険料、雇用保険料
  • 税金(国が運営していくうえで必要なお金):所得税、住民税

差引支給額

口座に振り込まれる金額、いわゆる手取りを「差引支給額」といい、次の計算式で算出します。

差引支給額=総支給額-控除額

基本給が短期間で変動するというのは稀ですが、各種手当は残業や出張の有無、役職や家族構成の変更など勤務状況によって変わります。また控除額も年に1回など定期的に改訂されるため、差引支給額(手取り金額)は毎月少しずつ異なるのです。

勤怠

勤怠の項目には、その月の勤務日数や欠勤日数、残業時間などが記載されています。ほかにも有給消化日数や有給残日数などが書かれていますが、なかでもしっかりと確認したいのは「残業時間(時間外労働)」と「休日勤務時間」です。

自分の申請や記録と違う場合は、ただちに担当者に相談し、原因を解明しましょう。

給料明細には手取りの金額だけでなく、社会保険や税などお金に関するさまざまな情報が記載されているのです。毎月しっかりと目をとおし、金額に誤りがないか確認する癖を付けましょう

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2.給料明細の支給項目とは?

給料明細の支給項目には、基本給や残業代、通勤費などさまざまな項目が含まれています。しかし社会保険料や税金を算出する際は計算の対象が異なるため、注意しなければなりません。ここでは支給項目に含まれる細かい内訳をひとつずつ解説します。

  1. 基本給
  2. 残業代
  3. 各種手当

①基本給

基本給(基本賃金)とは、通勤手当や残業代、インセンティブなどの各種手当を含まない、基本となる給料で、会社と従業員の雇用契約によって定められています。

多くの会社ではボーナスや退職金を計算する際の基礎となるため、給与の中心として位置付けられているのです。会社によっては、基本給を細かく分けて本給や役割給、職能給と記載している場合もあります。

②残業代

残業いわゆる時間外労働とは、本来決められている労働時間以外に働くこと。各事業者で定められた所定の労働時間を超えて働いた場合、その時間の賃金は「残業代」として支払われます。

残業したのに会社から割増賃金を受け取っていない場合、その従業員は過去2年間までさかのぼって未払い分を請求できるのです。残業代の未払いが悪質な場合、6か月以下の懲役または30万円以下の罰金を科される可能性もあります。

残業代の計算の基本

残業代について、もう少し掘り下げてみましょう。残業代の算出には、次の計算式を使用します。

残業代=1時間あたりの基礎賃金×時間外労働の時間×割増率(休日労働の場合は1.35倍、法定時間外労働の場合は1.25倍)

月給の場合、まず1時間当たりの基礎賃金を、「月給÷1か月あたりの平均所定労働時間」で算出します。残業代の計算では、普段の給与に何倍の割増率をのせて支払うかが重要になってくるのです。

③各種手当

手当とは、基本給のほかに支給される賃金で、住宅手当や通勤手当、役職手当などさまざまあります。項目や金額は会社によって異なるため、自社の手当内容が気になった場合は、給与規程を確認するとよいでしよう。

住宅手当

各種手当のなかでも、従業員が特に重要視しているものとして「住宅手当」があります。住宅手当とは、会社が従業員に対して住宅にかかる費用の一部をサポートする制度のこと。

住宅手当の決め方は、「一律同額」「上限額までの家賃の数パーセントとする」「給与の数パーセントとする」など会社によってさまざまです。

通勤手当

「通勤手当」とは、従業員の通勤にかかる費用を支給する手当のことで、支給額は、「一部を現金支給する」「全額を定期券による現物で支給する」など、住宅手当と同じく会社によって異なります。

なお条件にもよりますが、1か月10万円までを非課税扱いとすると認められているのです。通勤手当を支給する会社は多いですが、労働法で通勤手当の支給が義務付けられているわけではありません。通勤にかかる費用は原則、自己負担という企業もあります。

給料明細の支給項目には、ベースとなる基本給以外にもさまざまな項目が含まれています。自身の給料内訳が、どの名目でどれだけの金額になっているのか確認してみましょう

3.給料明細から天引きされる5つの保険

会社が従業員の給料から源泉徴収(天引き)して納付する項目について、5つの保険から掘り下げます。

  1. 社会保険
  2. 健康保険
  3. 公的年金
  4. 介護保険
  5. 雇用保険

①社会保険

社会保険とは「健康保険」「厚生年金保険(いわゆる年金)」「介護保険」を合わせた保険の総称で、疾病や死亡、失業などさまざまな困窮に対して政府などの公的部門が給付を行い、従業員の生活を保障する制度です。

社会保険料は会社と従業員で折半して納めます。よって従業員負担分の保険料は、次の計算式で算出できるのです。

社会保険料=標準報酬月額×保険料率÷2

②健康保険

社会保険の内訳について、もう少し詳しく見ていきましょう。健康保険とは、従業員が病気やけがなどで医療機関にかかった際、治療や薬にかかる医療費の負担を軽くする保険のことで、会社や職種、年齢によって次の3つに分かれます。

  • 組合健康保険
  • 協会けんぽ
  • 国民健康保険

傷病手当金(病気がけがによって休業した際の手当金)や出産育児一時金(出産した際の手当金)などは、この健康保険によるものです。

6歳の義務教育の就学前

健康保険料の負担割合は、保険に加入した人(被保険者)の年齢によって細かく分けられます。6歳の義務教育就業前の場合、負担する医療費は2割です。

乳幼児や子どもにかかる医療費については、各自治体の医療費助成制度によってさらに負担額が抑えられています。就業前までの入院、通院による自己負担が0という都道府県もありますので、住んでいる自治体の窓口に確認してみましょう。

義務教育就学後の6歳〜69歳まで

義務教育就学後、6歳から69歳までの負担割合は3割です。本人・家族、入院・外来にかかわらず、医療費の一部を支払うことを「一部負担金」といいます。

医療機関にかかった際、病院や薬局の窓口に健康保険証を提示すると、一部負担金(自己負担額)を3割に抑えられるのです。自治体によっては、小学校入学後も医療費の助成を続けているところもありますので、確認してみましょう。

70歳〜74歳まで

高齢受給者、つまり70歳以上の場合は所得の額に応じて負担額が異なります。現役並みの所得がある人は3割、現役並み所得者以外は2割が自己負担額です。

なお75歳の誕生日を迎えると「後期高齢者医療制度」の被保険者になり、健康保険の被保険者、被扶養者の資格を失い、個人単位で保険料を支払うようになります。後期高齢者医療制度の自己負担額は1割です。

③公的年金

公的年金とは、「定年退職後の老齢年金」「現役中に障害を負った際に支給される障害年金」「死亡したときに支払われる遺族年金」3つの年金を受給するための制度のこと。次の3種類に分かれ、日本国内に住所を持つすべての人が加入を義務付けられています。

  • 国民年金:日本国内に住む20歳以上60歳未満すべての人
  • 厚生年金:厚生年金保険の適用を受ける会社に勤務するすべての人
  • 共済年金:公務員や私立学校教職員など

国民年金(基礎年金)

国民年金とは、日本国内に住所を持つ20歳以上60再未満のすべての人が加入する年金制度のこと。保険料は定額で、老齢、障害、死亡により「基礎年金」を受けられます。国民年金には次の3種類があり、それぞれ対象者や保険料の納め方が異なるのです。

  • 第1号被保険者:農業従事者や学生、フリーターや無職の人など。納付書による納付もしくは口座振替で納める
  • 第2号被保険者:厚生年金や共済年金の加入者。国民年金保険料は厚生年金保険料に含まれる
  • 第3号被保険者:第2号被保険者の配偶者で20歳以上60歳未満の人(年収130万円未満)。保険料は、配偶者が加入する年金制度が一括で負担する

厚生年金

厚生年金は、日本における企業年金制度の中核をなす制度で、企業などに勤務している人は、20歳未満でも自動的に加入します。

加入者は、厚生年金制度を通じて国民年金に加入する第2号被保険者に分類される、つまり厚生年金保険料を払ったことで、国民年金保険料も払ったことになるのです。定年退職後は、基礎年金に加えて厚生年金を受け取れます。

④介護保険

介護保険とは、被保険者が寝たきりや認知症など自力での生活が困難になったときに介護サービスを受けられる保険のこと。40歳になると自動的に保険料の徴収が始まり(第2号被保険者)、65歳になると第1号被保険者に切り替わります。

健康保険と同じく、介護保険料も標準報酬月額に保険料率をかけて算出できます。こちらも会社と従業員が半分ずつ負担するため、給与明細には従業員負担分のみが記載されているのです。

⑤雇用保険

雇用保険とは、労働者が失業した際などに必要な給付を行うための制度のことで、労働者の生活や雇用の安定を図り、再就職を援助します。雇用に関する総合的な機能を持ったこの制度は「仕事がなくなったときに備えた公的保険」とも言い換えられるでしょう。

雇用保険と関連した保険に「労災保険」があります。こちらは会社が全額納める制度となっていますので、給料には直接関係せず、給与明細にも登場しません。

給料明細から天引きされる保険には、従業員を守るためのさまざまな役割があります。定期的にそれぞれの補償内容と金額を確認し、無駄な保険料を払わないよう見直してみましょう

4.給料明細を見るときの注意点

給料の支払額や控除額を計算し、それらを明記した給料明細ですが、受け取ってそのままになっていないでしょうか。給料明細は、減給や転職を考える際のリスク管理に役立てられます。そんな給料明細を見る際、特に注意すべき点を3つ、見ていきましょう。

  1. 総支給額や課税対象額は適正か
  2. 出勤日数や残業時間などに問題はないか
  3. 給料明細は最低でも2年間は保管する

①総支給額や課税対象額は適正か

数ある業務の中でも、給料計算は間違いが許されない業務のひとつです。間違った給料計算は、会社全体の評判を下げかねません。まずは給料明細の支給されている金額に対して、基本給、時間外手当、役職手当などの金額が正しく反映されているか確認しましょう。

それから総支給額や課税対象額に適切な金額が記載されているでしょうか。間違えやすいもののひとつが通勤手当です。通勤手当は課税対象外となるため、課税対象にこの手当が含まれていないかチェックしましょう。

②出勤日数や残業時間などに問題はないか

続いて、実務時間をもとに、出勤日数や残業時間が正しく計算されているかを確認します。特に残業時間は、給料のなかでも大きな割合を占める場合もあるため、必ずチェックしましょう。休日出勤の実績や、深夜残業の実績なども同様です。

間違いを防ぐためにも、自分自身で勤務実績を控えておきましょう。そして自分の控えと給料明細に相違がある場合は、すぐに担当者に問い合わせます。

③給料明細は最低でも2年間は保管する

給料明細は一度確認したらすぐに捨ててしまう、という人も多いのではないでしょうか。勤務実績や給料額を確認するため、給与明細はすべて保管しておいたほうがよいとされています。

万が一破棄する場合は、最低でも2年分の給料明細を残しておきましょう。失業給付の確認や、未払いの給料を請求できるのは2年間だからです。

最近では紙媒体の給料明細ではなく、オンライン上で発行する企業も増えています。給料明細電子化システムを導入すると、紙の保管が不要になり、過去分も容易に閲覧できるのです。

給料明細は、ライフプランを立てるうえでも欠かせない存在です。確定申告の場合、5年間の給料明細が必要になる場合もあるので、きちんと保管しましょう

5.給料から天引きされる2つの税金

給料から源泉徴収(天引き)される項目に「社会保険料」と「税金」がある点は先に述べたとおりです。ここではそのうちの「税金」について掘り下げてみましょう。税金には所得税と住民税の2種類があり、どちらも毎月の給料から会社が天引き、納税します。

所得税とは?

所得税とは、その名の通り従業員が所得の額に応じて国に治める税金のことで、正確な確定額は、年末調整や確定申告によって決定します。会社員の場合、毎月の給与をもとに会社が税額を算出し、給料から天引きしますが、この制度を「源泉徴収制度」といいます。

源泉徴収制度では徴収するお金を概算で出しているため、人によって払いすぎたり不足していたりします。この過不足金額を追加徴収や還付で調整するのが、毎年12月に行われる年末調整です。

住民税とは?

住民税とは、従業員が住民票のある市区町村や都道府県に納める税金のこと。所得税が毎月の給料によって決まるのに対して住民税は、前年の1月から12月の給料所得に対して課税されます。

住民税は前年の給料所得に対して課税されるため、前年の収入がなければ今年の住民税は徴収されません。新入社員の1年目は住民税がかからない、といわれるのはそのためです。

所得税は国に、住民税は地方自治体に納める税金です。所得税は毎月の給料によって変動しますが、住民税は毎月一定です

6.その他会社独自で控除される費用

給料から天引きされる項目には、社会保険料と税金のほか、積立金や組合費、財形貯蓄など会社独自の控除が定められている場合もあります。それぞれ、所得税の計算に関係する控除なのか確認しておきましょう。

積立金とは?

積立金(保険料積立金」とは、保険会社が将来的に保険金の支払いをするために積み立てているお金のこと。保険会社は、被保険者が入院したり死亡したりしたときに約束した金額を支払えるよう、初めから保険料の一部を積立金として準備しています。

組合費とは?

組合費とは、労働組合の組合員が定期的に支払う金銭で、給与や労働時間、福利厚生など労働条件の維持改善を求め、活動を行う際に使われる費用です。

日本労働組合総連合会(財)連合総合生活開発研究所の調査によれば、組合費の月額平均は月額給与の約1.63%、金額にして平均4,917円と報告されています(2008年度10月実施)。

財形貯蓄とは?

財形貯蓄とは、会社が従業員の給料から一定額を天引きして、契約した銀行にその金額を送付する預金のことで、従業員は、会社を通して会社が提携している金融機関にお金を預ける形になります。

財形貯蓄はローリスクローリターン、安定性の高い資産形成方法として注目されているのです。

会社独自の控除項目には、従業員持ち株会の出資金や社宅使用料、社員食堂利用費や親睦会費(社員旅行費用の積立など)も含まれます

7.給料明細の保管方法

給料明細は非常に重要な個人情報です。保管する場合は、その保管方法に気を付けなければなりません。給料明細を保管する方法について見ていきましょう。

紙で保管する

紙媒体の給料明細は、ファイリングしたり専用スペースを作ったりしてまとめて管理するようにしましょう。一か所にまとめて保管すると、スムーズに確認できます。

また給料明細は最低でも2年は保管、といわれており、年末調整や給料未払いなど、何かあった際の証拠として使える書類です。確認したあとは破棄せずまとめて保管しておきましょう。

ファイルにする

紙媒体の給料明細を保管する際は、ファイリング方法を工夫して時系列ごとにまとめるとよいでしょう。原本をそのまま保管する、もっとも確実な方法です。

2つ穴を空けてファイリングする、クリアポケットに入れる、ノートに貼るなどさまざまな方法があります。できるだけひとつのファイルにまとめると、確認したいときすぐ見つけられるでしょう。

専用スペースを作る

ファイリングしたものをどこに保管したのか忘れないよう、箱や棚などを整えて保管専用のスペースをつくりましょう。紛失を防ぐため、保管専用スペースを必要以上に変えないことも重要です。

月に何度も確認するものではありませんが、源泉徴収票や所得控除の通知なども同じスペースに保管しておくとよいでしょう。給料明細を見直す人にとって便利な場所を保管場所に選ぶ方法もあります。

データで保管する

紙でできた給料明細の写真を撮り、インターネット上のクラウドサービスに残すといったデータで管理する方法も効果的です。オンライン上にデータとして保管すれば、ファイリングの必要はなくなるでしょう。

また給料明細を管理するスマホアプリも開発されています。アプリによっては、毎月の収入をグラフにしたり、過去分の控除の内訳を一括して抽出したりとさまざまな使い方ができるので、試してみるとよいでしょう。

一見、代わり映えしない給料明細ですが、毎月チェックするとお金に対する意識が変わります。給料の変化を見ることで、モチベーションの向上につなげられるかもしれません