雇用保険被保険者証の再発行方法・ 必要なものをわかりやすく

雇用保険被保険者証を紛失または破損した場合は、ハローワークで再発行ができます。再発行に必要な書類、発行までの流れ、再発行できないケースなどについて解説します。

1.雇用保険被保険者証の再発行方法と必要なもの

雇用保険被保険者証は、雇用保険に加入していることを証明する重要な書類です。離職時や転職時に提示を求められることがあります。万が一、雇用保険被保険者証を紛失または破損しても、ハローワークへ申請すれば再発行することが可能です。

再発行申請は原則労働者本人が行いますが、会社側からでも申請できます。発行方法は次の4とおりです。

  1. ハローワークの窓口による申請
  2. インターネットによる電子申請
  3. 郵送による申請
  4. 代理人による申請

各申請方法について、手続きの流れ、必要なもの、発行までの期間を説明します。

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①ハローワークで申請する

住居地(住民登録をしている住まい)を管轄しているハローワークへ行き、窓口で再発行を申請する方法です。

ハローワークでもらえる「雇用保険被保険者証再交付申請書」へ必要事項を記入し、持参した本人確認書類とあわせて窓口へ提出します。ただしハローワークの開庁時間(平日の8:30から17:15)内でのみ手続きが可能です。

必要なもの

ハローワークで再交付の申請を行う場合は、次の書類が必要です。

【本人確認書類】

  • 次のいずれか1種類:マイナンバーカード、運転免許証、官公庁が発行した身分証明書(写真付き)
  • 上記の書類を持っていない場合は、次のうち異なる2種類:住民票(住民票記載事項証明書)、個人番号通知カード、公的医療保険の被保険者証など

 

【被保険者証再交付申請書】

ハローワークでもらってその場で記入する、もしくはハローワークや労働局のホームページからダウンロードしたものを持参します。

なおハローワークによっては押印を求められることもあるため、必要書類とともに印鑑を持参しておくと安心です。

発行までの期間

ハローワーク窓口で再交付申請した場合、書類に不備がなければ即日発行されます。1回で再発行を完了できるように、必要なものを忘れずに用意しましょう。

②インターネットで電子申請を行う

ハローワークの開庁時間内に行けない場合は、ウェブサイト「e-Gov(イーガブ)」から再交付申請を行えます。24時間いつでも申請ができますが、e-Govを利用する際には事前準備が必要です。

【事前準備】

  • e-Govのアカウント登録
  • 電子署名の取得
  • e-Gov電子申請アプリケーションのインストール
  • 上記を行ったうえでe-Govから雇用保険被保険者証の再交付の申請を行う

再交付手続きが終わるとe-Govからメールが送付され、雇用保険被保険者証の取得が可能となります。

【取得手順】

  • e-Gov電子申請システムにアクセス
  • 状況照会画面にて「到達番号」と「問合せ番号」を入力し照会ボタンを押す
  • 状況確認画面にて「公文書一覧」ボタンを押す
  • 公文書一覧画面にて「取得」ボタンを押す
  • ダウンロードメッセージ画面にて「OK」ボタンを押す

必要なもの

電子申請を行うには、基本的に電子署名が必要です。電子署名を取得できない場合は、本人確認および住所確認ができる書類を提出する方法もあります。

また必要書類の提出は、スキャナ取込した電子ファイルを添付するほか、必要書類のコピーを郵送して提出することも可能です。ただし本人確認書類が住民票の写しまたは印鑑証明書の場合は現物を送付しなければなりません。

発行までの期間

電子申請の場合は、書類の受理や手続き完了までに2~3開庁日の時間がかかります。ハローワーク窓口のように即日発行はできないため、余裕を持って申請しましょう。

③郵送で申請する

ハローワークの開庁時間内に行けない場合は、郵送での申請も可能です。申請手続きは次の手順で進めます。

  • 必要書類を用意する
  • 必要書類と返信用封筒(切手を貼り付けたもの)を、住居地を管轄するハローワークへ郵送する

必要なもの

郵送で申請する場合は、以下の書類を同封します。

  • 雇用保険被保険者証再交付申請書
  • 本人確認書類の写し
  • 切手を貼った返信用封筒

申請書はハローワークが公開しているフォーマットを印刷して記入する、あるいはフォーマットへ入力したものを印刷することが可能です。

ハローワーク 雇用保険被保険者証再交付申請書

本人確認書類は窓口での申請と同じです。以下に再掲します。

【本人確認書類】

  • 次のいずれか1種類:マイナンバーカード、運転免許証、官公庁が発行した身分証明書(写真つき)
  • 上記の書類を持っていない場合は、次のうち異なる2種類:住民票(住民票記載事項証明書)、個人番号通知カード、公的医療保険の被保険者証など

本人確認書類はいずれもコピーを送付します。

発行までの期間

郵送での申請では郵送から返送までの時間を要し、1週間から2週間程度かかります。なお提出書類に不備があると再交付までにさらに時間がかかるので、急いでいる場合、最寄りのハローワークでの申請がオススメです。

④代理人による申請

ハローワークに行けない、かつインターネットでの申請も難しい場合は、代理人(家族、会社、後見人、介助人など)による手続きも可能です。代理人による手続きは次の流れで進めます。

  • 委任状の作成
  • 必要書類の準備
  • 管轄のハローワークで手続き

必要なもの

代理人による申請を行う場合は、以下の書類が必要です。

  • 雇用保険被保険者証再交付申請書:※代理人が申請する場合でも、雇用保険被保険者証再交付申請書は「被保険者本人」が記入する
  • 本人確認書類の写し:※申請時には代理人の本人確認書類も必要
  • 代理人の本人確認書類
  • 委任状

委任状は必ず委任者本人が自筆で記入する必要があります。また委任状の有効期限は3ヶ月である点にも注意が必要です。委任状の様式は任意とされています。ハローワークのホームページで公開している委任状のフォーマットをダウンロードして使うとよいでしょう。

発行までの期間

ハローワークの開庁時間内であれば、代理人による再交付の手続きも本人による手続きと同様に、即日で発行されます。

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2.雇用保険被保険者証が再発行できないケース

基本的に雇用保険被保険者証を紛失した際には再発行が可能ですが、次の場合は再発行できません。それぞれのケースについて解説します。

  1. 雇用保険の加入条件を満たしていない
  2. 退職から7年以上経過している

雇用保険の加入条件を満たしていない

雇用保険に加入していない場合は、そもそも雇用保険被保険者証が発行されていないため再発行もできません。雇用保険の加入条件は次のとおりです。

31日以上雇用される見込みがあり、以下のいずれかに該当する

  • 期間の定めがなく雇用される
  • 雇用契約に更新規定があり、31日未満での雇止めの明示がない
  • 雇用契約に更新規定はないが、同様の雇用契約により雇用された労働者が31日以上雇用された実績がある

1週間の所定労働時間が20時間以上

また新しい職場で、雇用保険被保険者証の提出を求められることがあります。前職では雇用保険に加入していなかった場合は、その旨を伝えれば問題はありません。

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退職から7年以上経過している

退職してから7年以上新しい職場に就職しなかった場合は、付与されていた雇用保険番号が使用できなくなるため、雇用保険被保険者証の再発行を行えません。

たとえば退職後に個人事業主となって7年以上雇用保険に加入していなかったケースや、家庭の事情などで前職の退職から7年以上経って働き始めるケースなどが挙げられるでしょう。

従業員の雇用保険番号が失効している場合、会社は雇用保険の再取得ではなく「新規取得」で雇用保険加入の手続きを行い、被保険者には新しい雇用保険番号が付与されます。なお失効した雇用保険番号の加入期間は引き継げません。

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3.雇用保険被保険者証の再発行が必要なケース

雇用保険被保険者証は、転職時だけでなく就業中や退職後にも提示を求められます。たとえば以下のケースなどです。

  • 転職先が決まったとき
  • 教育訓練給付金を受給するとき
  • 失業手当を受給するとき
  • 65歳未満の人が厚生年金を裁定請求するとき

したがって紛失したのが退職後であったとしても、速やかに再発行すべきです。

転職先が決まったとき

再就職や転職先が決まったときに、入社する会社から雇用保険被保険者証の提示または提出を求められます。会社が雇用保険の再取得手続きを行うために必要なので、指定された期日に提出できるように雇用保険被保険者証を再発行しておきましょう。

前職の退職後から7年以上経過していて再発行できない場合は、その旨を会社に伝えれば問題ありません。会社は新規発行の手続きを進めます。

教育訓練給付金を受給するとき

教育訓練給付金の受給申請を行うときに、雇用保険の被保険者番号が必要になります。

教育訓練給付金とは、厚生労働大臣が指定する教育訓練を修了した際に、受講料の一部が支給される制度。労働者のスキルアップやキャリア形成を目的としています。

給付率と給付の上限額は教育訓練の種類によって異なり、以下の3段階にわかれています。

  • 一般教育訓練:受講費用の20%(上限10万円)
  • 特定一般教育訓練:受講費用の40%(上限20万円)
  • 専門実践教育訓練:受講費用の70%(年間上限56万円)

教育訓練給付金の支給条件は次のとおりです。

受講開始に雇用保険に加入中で、以下のいずれかに該当

  • 過去に教育訓練給付を受けていない、かつ雇用保険の加入期間が1年以上
  • 教育訓練の給付を受けたことがあり、前回の支給から3年以上経過、かつ前回の受講開始日以降に雇用保険へ3年以上加入

離職中で離職してから1年以内、かつ以下のいずれかに該当

  • 過去に教育訓練給付を受けていない、かつ雇用保険の加入期間が1年以上
  • 教育訓練の給付を受けたことがあり、前回の支給から3年以上経過、かつ前回の受講開始日以降に雇用保険へ3年以上加入

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失業手当を受給するとき

退職後に失業手当(失業給付)を受給する際に、雇用保険被保険者証が必要です。退職後に前職の会社が雇用保険喪失の手続きを行い、退職者へ離職票や源泉徴収票などとともに雇用保険被保険者証を郵送します。

失業手当は、退職日以前の2年以内に、通算12か月以上の被保険者期間がある場合に受給が可能です。手続きには次の書類が必要になります。

  • 雇用保険被保険者証
  • 離職票
  • 本人確認書類
  • 休職申込書
  • 個人番号確認書類
  • 本人名義の通帳

雇用保険被保険者証を紛失してしまった場合は、先に雇用保険被保険者証を再発行してから失業手当の受給申請を行うのです。

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65歳未満の人の厚生年金を裁定請求するとき

65歳未満の人が、厚生年金保険の老齢年金を裁定請求するとき、雇用保険被保険者証が必要になります。具体的に必要なのは雇用保険の被保険者番号を証明する書類です。その書類として代表的なのが雇用保険被保険者証となります。

もし、雇用保険被保険者証を紛失してしまったときは、ハローワークで再交付を受けると老齢年金の年金請求書に添付できます。このほか下記のような書類も受け付け可能です。

  • 雇用保険受給資格者証
  • 高年齢雇用継続給付支給決定通知書

雇用保険に加入したことがない場合、被保険者証を添えられない旨の事由書を提出します。

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4.雇用保険被保険者証に関するよくある疑問

雇用保険被保険者証に関して、よく見られる3つの質問について解説します。

  1. 即日で再発行できるのか
  2. 再発行に費用はかかるのか
  3. 再発行したら会社にバレるのか

①即日で再発行できる?

ハローワークの窓口で再交付の手続きをすると、即日で再発行が可能です。ただし開庁時間は平日の8:30から17:15のみで、土日祝日や年末年始は再交付ができません。

平日に時間が取れる場合や、あるいは急いで再交付したい場合はハローワーク窓口での手続きをオススメします。

②再発行には費用がかかる?

雇用保険被保険者証の再発行手続き自体には費用がかかりません。ただし郵送で申請する場合は、同封する返信用封筒に貼り付ける切手代が必要です。またe-Gov電子申請を使う場合は、電子署名の取得に費用がかかる場合もあります。

③再発行したら会社にバレる?

従業員が自身で雇用保険被保険者証の再発行手続きを行えば、会社に知られずに済みます。再発行があったことをハローワークが会社へ連絡することもありません。雇用保険被保険者証からわかる情報は次の3つです。

  • 雇用保険番号
  • 被保険者の氏名
  • 被保険者の生年月日

雇用保険被保険者証や雇用保険番号から、過去の職歴をすべて知られてしまうことはありません。ただし雇用保険被保険者証とともに発行される「雇用保険被保険者資格確認通知書」には、「前職の事業所名」や「資格取得日」などが記載されます。