失業手当とは? 受給条件や給付の手続き、メリットデメリットについて

失業手当とは、労働者が失業した場合に一定期間保険金を給付して生活の安定を補償すること。ここでは、受給条件や給付の手続き、メリットやデメリットについて解説します。

1.失業手当とは?

失業手当とは、労働者が失業し、労働する意思と能力を持ちながらも機会が得られず職に就けないでいる場合、一定期間一定金額の保険金を給付し、生活の安定を図る保険制度のことで、社会保険制度の一種です。

自己都合退職の場合

失業手当の退職理由が転職や起業など、個人的な都合で労働者から希望して退職する場合、自己都合退職に該当します。自己都合退職の理由例は、下記のとおりです。

  • 転職
  • 結婚
  • 引っ越し
  • 妊娠・出産
  • 家族の介護や看病

一般的に多くの退職者が自己都合退職に該当します。

特定理由離職者の場合

自己都合退職の場合でも退職の理由が仕方のない場合などは、「特定理由離職者」となります。特定理由離職者に該当するのは、下記のとおりです。

  • 病気などにより健康状態が悪化した場合
  • 両親や身内の死亡、介護などにより家庭環境が変化した場合
  • 事務所の移転などにより環境が変わり、通勤が困難となった場合
  • 有期雇用契約期間が満了し、希望しても更新されなかった場合

特定受給資格者の場合

解雇や倒産など自分の意志とは関係がなく失業となる場合、「特定受給資格者」として認定されます。たとえば会社の都合で再就職の準備をする期間がないまま離職する場合です。

自己都合退職合でも、過度な長時間労働や退職の推奨を受けていた場合、会社都合退職つまり特定受給資格者となる場合があります。

失業手当はいつまでもらえるか

失業手当は、仕事が決まるまでの間、「所定給付日数」までの期間を限度に支給を受けられます。失業手当を受けられる日数である所定給付日数は、原則として90~360日です。

ハローワークで求職の申し込みを行ってから7日間の待期期間終了後に給付が始まり、再就職が決まり、新しい就職先で働いた際、失業手当の給付が打ち切られます。

所定給付日数は条件によって異なる

所定給付日数は、離職理由や離職時の年齢、雇用保険の被保険者であった日数で異なります。また雇用保険への加入日数が長ければ長いほど、所定給付日数が長くなるのです。

たとえば自己都合で退職した、雇用保険の被保険者の期間が1年未満だったという場合、失業手当は給付されません。同期間が1年以上10年未満だった場合は、所定給付日数は90日となります。

失業手当は、失業した労働者の生活救済を目的とした社会制度で、退職理由によって給付日数などが異なります

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2.失業手当受給の条件

失業手当には、受給条件があります。ここからは、それぞれの条件について詳しく見ていきましょう。

  1. 失業状態である
  2. 退職日以前の2年間で雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上である
  3. ハローワークに求職申込みをしている

①失業状態である

失業状態とは、労働しようという意思と能力があり、仕事に就くため転職活動をしていながら、仕事に就けていない状態のこと。具体例は、下記のとおりです。

  • 就職を希望している(定年退職の場合は失業状態ではない)
  • 就職できる状態にある(病気や事故で働けない場合は失業状態ではない)
  • 積極的に就職活動している(全く就職活動をしていない場合は失業状態ではない)

②退職日以前の2年間で雇用保険加入期間が通算12ヶ月以上である

賃金支払いの基礎となった日数が11日以上ある月、か月として数えます。自己都合退職の場合、退職日以前の2年間で雇用保険加入期間が通算12か月あることが失業手当の受給条件となるのです。

特定受給資格者や特定理由離職者は、退職日以前の1年間に雇用保険に加入していた月が、通算して6か月以上ある場合も可となっています。

③ハローワークに求職申込みをしている

ハローワークで渡される「求職票」に氏名や住所、経歴や資格、雇用形態や月収など就職の希望条件などを記入し、提出して求職の申し込みを行います。

失業手当の給付には、求職している意思を示すことが必要であるため、求職申込みは必須です。求職票が受理されると、ハローワークで求人情報の提供を受けられます。

失業手当は誰もが受給できるわけではありません。以前の勤務先で雇用保険に加入しており、かつ一定の条件を満たすことが必要です

3.失業手当給付の手続き

失業手当の給付を受けるには所定の手続きが必要です。受給のためにどのような手続きを行えばいいのか、それぞれの手続きのポイントとともに時系列で紹介します。

書類を準備

まずは、ハローワークに行く前に必要書類を準備します。

  • 雇用保険被保険者証・雇用保険被保険者離職票(離職票1、離職票2)
  • 個人番号(マイナンバー)の記載が確認できる書類
  • 身元確認のできる運転免許証、パスポートなどの証明証・証明写真 2枚
  • 印鑑と本人名義の預金通帳、あるいはキャッシュカード

雇用保険被保険者離職票は以前勤めていた会社に発行してもらいましょう。退職を決めた段階で、会社側に離職票が欲しい旨を伝えておく必要があります。

ハローワークの窓口を訪ねる

必要書類が整ったら、ハローワークを訪問し、書類提出の前に求職の申し込みをします。「求職申込書」に氏名や住所、経歴や希望職種などの必要事項を記載し、窓口で今後の就職活動についての面談を行うのです。

この際、窓口の担当者から「受給説明会」の日時について案内されますので、しっかりとメモを取っておきましょう。

離職理由の判定、受給資格の決定

雇用保険窓口で、失業手当の受給要件を満たしていると確認したうえで、受給資格の決定が行われます。

離職理由についても判定されるため、正当な理由があってやむを得ず退職した場合などは事前に説明ができるよう、根拠となるものを準備したり整理したりしておきましょう。

退職者と事業主で離職理由に相違がある場合、最終判断は退職者の受給地のハローワークが行います。

受給説明会に参加

指定の日時にハローワークで開催される「受給説明会」への参加が義務付けられています。受給説明会では、雇用保険制度の仕組みや受給について、また不正受給についての留意事項などの説明が行われるのです。

ここでは、「雇用保険受給資格者のしおり」、筆記用具、印鑑などを忘れずに持参しましょう。このとき、雇用保険受給資格者証と失業認定申告書が渡され、失業認定日が決められます。

失業認定日にハローワークで手続き

受給説明会で指定された失業認定日にハローワークに行き、「失業認定申告書」に基づき、失業を認定してもらいます。

当日は書類提出後に簡単な窓口係官との面談もあります。失業認定日に就職の面接がある場合などは、事前にハローワークに相談し、状況に応じて証明書などを提出しましょう。

理由もなく、認定日にハローワークに行かなかった場合、基本手当の支給を受けられなくなるので注意してください。

失業認定日とは?

失業認定日とは、ハローワークで失業手当の手続きを行った後、ハローワークから失業状態であると認められる日のことで、原則、4週間に1回認定を行います。

失業手当を受給するには、ハローワークで月に2回求職活動を行わなくてはなりません。求職活動の実施によって、再就職の意思や能力があり、積極的に就職活動を行っていると示さなければならないのです。

6、受給の流れ

失業認定日から5営業日以内に、指定の口座へ失業手当の基本手当が振り込まれます。自己都合退職などで給付制限がある場合、3か月後の振り込みとなります。

初回の振り込みは失業と認定される期間が短いため、手当も少額です。また銀行振込のため、土日・祝日などを挟むと振り込みが遅れる可能性もあります。

受給後の流れ

次の就職が決まるまでの間、「失業の認定」と「受給」が4週間ごとに繰り返されます。また4週間の間に原則として2回、以下のような求職活動を行う必要があるのです。

  • 求人への応募
  • ハローワークなどが行う職業相談への参加
  • ハローワークなどが行う各種講習やセミナーへの参加
  • 再就職のために国家試験や資格試験を受験する

失業認定日には原則としてハローワークに行く必要があります。スケジュール管理などをしっかりと行いましょう

4.失業手当の金額を計算する方法

失業手当の金額は、在職中の給与の約50~80%で、基本手当日額と賃金日額には上限額と下限額が設定されており、給付される期間は90~360日の間とされています。ここからは、失業手当の金額の計算方法について解説しましょう。

失業手当の受給額

失業手当で給付される1日当たりの金額を「基本手当日額」といい、算出するには、まず「賃金日額」=1日当たりに換算した平均賃金を算出します。基本手当日額を算出する計算式は、下記のとおりです。

基本手当日額=賃金日額(退職前6ヶ月の賃金合計÷180)×給付率(50~80%)

基本手当日額と賃金日額には上限額と下限額が設定されており、上限額は年齢によって異なりますが、下限額は全年齢共通です。基本手当日額に、条件に応じた給付日数を掛けると、失業手当の給付金額が算出できます。

たとえば27歳の会社員(月給28万円/6年勤務/会社都合での退職)の場合、賃金日額は約9,333円、基本手当日額は約5,812円となり、受給額は5,812円×120日=697,440円となるのです。

正確な基本手当日額の計算方法は複雑です。受給額の詳細を知りたい場合はハローワークに問い合わせましょう

5.失業手当を受給するメリット・デメリット

失業手当を受給する際、メリット・デメリットがあります。どのようなものなのか、詳細を見ていきましょう。

失業手当を受給するメリットとは?

失業手当を受給するメリットは、下記のとおりです。

  • 就職先が決まるまで一定額の収入がある:給与の50~80%の金額が支給されるため、ある程度生活を安定させながら就職活動を進められる
  • じっくりと転職先を選べる:一定額の収入があるため、焦らず希望どおりの転職先を見つられる

失業手当を受給するデメリットとは?

失業手当を受給するデメリットは、下記のとおりです。

  • 失業手当受給期間中は、雇用保険加入期間がリセットされる:雇用保険への加入期間が長いほど失業手当は多いため、次の失業も視野に入れる必要がある
  • じっくりと転職先を選んでしまうと、職歴の空白期間が長くなる:職歴の空白期間が長いと、企業によってはマイナスと捉えられることも

失業手当は失業後の生活を安定させてくれるものです。しかしメリットだけでなくデメリットもあるので、意識しておきましょう

6.受給中に覚えておくべきポイント

「失業手当の受給中に再就職が決まった」「年金を受給中に失業した」など受給にはさまざまなケースがあります。また失業手当の受給中は、職業訓練なども受けられるのです。最後に失業保険の受給中に覚えておくべきポイントを紹介しましょう。

再就職手当とは?

再就職手当は、失業手当(基本手当)を受給している期間中に「安定した職業への就職」が決まった場合に支給されます。

失業手当を満額もらうまで再就職しないと考えて職歴の空白期間が長期化するのを防いだり、早期の再就職を促したりするために設けられた制度です。失業手当の所定給付日数の3分の1以上を残して就職が決まり、一定の要件を満たすと給付されます。

年金と失業手当は一緒にもらえる?

65歳以上の被雇用保険者が失業した場合に給付される「高齢求職者給付金」は、年金との併給も可能です。失業手当(基本手当)は年金との併給はできませんが、高齢求職者給付金は一時金となるため、併給できるのです。

たとえば60歳から繰り上げで年金を受給している場合、失業手当を受けている期間は年金の支給が停止されますので、注意してください。

失業手当の給付制限

自己都合退職の場合、7日間の待期期間に加え、3か月の給付制限が過ぎてから、失業手当が支給されます。自己都合退職は、倒産など会社都合による退職と違い、自分の責任で退職するため、3か月という給付制限が設定されているのです。

また自己都合退職の場合、会社都合による退職よりも給付日数が短くなっています。

職業訓練を受ける場合

雇用保険の被保険者は、「公共職業訓練」を受けられます。公共職業訓練は公的な制度で、基本的には無料で就職に必要な知識やスキルを習得できるのです。

3~6か月間の短期コースが一般的ですが、1~2年の長期コースもあり、中には一部有料のものもあります。

公共職業訓練とは?

国や地方公共団体では、職業能力開発施設あるいは民間の専門学校などに委託して、失業手当を受給している求職者を対象に、職業訓練を実施しています。職業訓練を受けると、過程修了まで失業手当の給付を延長する「訓練延長給付」を受給できるのです。

求職者支援訓練とは?

「求職者支援制度」とは、失業手当を受給できない求職者を対象としたもので、職業訓練によるスキルアップで早期の再就職を促す制度です。一定の要件を満たすと、職業訓練受講手当や通所手当、寄宿手当などが受けられます。

不正受給した場合

不正行為があった日以降の失業手当は、給付されないだけでなく不正に受給した手当に相当する金額の返還が求められるのです。さらに返還が求められる不正受給額以外にも、不正に受給を受けた額の2倍に相当する額以下の金額の納付が命ぜられます。

これをいわゆる「3倍返し」と呼ぶのです。不正受給の具体例には、失業手当の受給中にアルバイトをしたにもかかわらず申告しないなどが挙げられます。

失業手当を受給した際は、受給した点に安心せず、職業訓練制度などでスキルアップして、早期に再就職するよう進めたほうがよいでしょう