雇用保険番号とは? 被保険者番号・適用事業者番号の調べ方

雇用保険番号とは、雇用保険に加入した被保険者(事業所および労働者)に付与される番号です。調べ方、必要になる場面などを解説します。

1.雇用保険番号とは?

雇用保険番号とは、雇用保険に加入した労働者および雇用保険を適用した事業所に発行される固有の番号のこと。

労働者には「雇用保険被保険者番号」、事業所には「雇用保険適用事業者番号」がそれぞれ割り当てられます。雇用保険の諸届出を行う際に労働者側の番号と事業所側の番号が必要です。

それぞれの雇用保険における意味合いは異なるため、以下でその違いを説明しましょう。

雇用保険被保険者番号とは?

労働者個人に発行される11桁の雇用保険番号で、一般的に雇用保険番号という場合はこちらの番号を意味します

その労働者が初めて雇用保険へ加入した際に一意の雇用保険番号が割り振られ、転職しても同じ番号を使い続けるのです。雇用保険被保険者番号は転職後の雇用保険加入時や、失業給付や休業給付の受給申請時に必要となります。

雇用保険適用事業者番号とは?

雇用保険に加入している事業所に発行される雇用保険番号で、4桁-6桁-1桁の合計11桁で構成され、それぞれに意味があります。

  • 最初の4桁…ハローワークの場所
  • 中央の6桁…ハローワーク内で振り分けられた管理番号
  • 最後の1桁…入力誤りなどを検出するための検査番号

事業者が事業所ごとに管轄のハローワークへ「雇用保険適用事業所設置届」を提出し、受理されるとその事業所へ雇用保険適用事業者番号が発行されます。

なおひとりでも従業員を雇用する事業者は、農林水産業の一部を除いて雇用保険適用事業者と見なされます。

雇用保険適用事業所番号の調べ方

雇用保険に加入している企業に対して割り振られる雇用保険適用事業所番号については、次の書類などから確認可能です。

  • 雇用保険適用事業所設置手続きの際に交付される『雇用保険適用事業所設置届事業主控(適用事業所台帳)』
  • 雇用保険資格取得手続きの際に交付される『雇用保険被保険者資格取得等確認通知書(事業主通知用)』

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2.雇用保険被保険者番号がわからない場合の調べ方

従業員が育児や介護の休業給付の受給申請を行う際に、自分の雇用保険被保険者番号がわからず会社側へ問い合わるケースが見られます。

そのため担当者は、問い合わせを受けた際にすぐに答えられるように、雇用保険被保険者番号の確認の仕方を把握しておくと安心です。ここでは雇用保険被保険者番号を調べる3つの方法を解説します。

雇用保険被保険者証

「雇用保険被保険者証」は初めて雇用保険へ加入したときに発行される書類です。雇用保険被保険者番号は、雇用保険被保険者証の「被保険者氏名」の上にある「被保険者番号」の枠内に、4桁-6桁-1桁の形式で記載されています

雇用保険被保険者証は重要書類であるため、発行後は社内で保管し、退職時に本人へ返却するのが一般的です。「退職後に新しい職場で雇用保険に加入する」「ハローワークで失業給付の受給手続きを行う」際に必要となるため、会社側は忘れずに返却しましょう。

出典:ハローワークインターネットサービス「雇用保険被保険者証」をもとに作成

雇用保険被保険者離職票

「雇用保険被保険者離職票(離職票)」は、雇用保険の被保険者が離職する際に会社が発行する書類です。離職票は2枚組になっており、いずれもの最上部に「被保険者番号」の枠があり、そこに雇用保険被保険者番号が記載されています

離職票は一般的に、退職してから10日から14日程度で従業員の手元へ届きます。ただし失業給付金の手続きをした場合は、離職票をハローワークへ提出することになるため、念のため雇用保険被保険者番号を控えておくと安心です。

出典:ハローワークインターネットサービス「記入例:雇用保険被保険者離職票-1」「記入例:雇用保険被保険者離職票-2」をもとに作成

マイナンバーポータル(マイナンバーカード)

マイナンバーカードを保持し、かつ会社にマイナンバーの届出を出している従業員は、マイナポータルから雇用保険被保険者番号、および雇用保険資格の取得日や喪失日を確認できます

ここでは2023年12月18日時点における雇用保険被保険者番号の確認手順(パソコン版)をご紹介しましょう。なお以下の流れは、マイナポータルの利用者登録が完了している状態で進めてください。

  1. マイナポータルにログインし、トップページの「カテゴリから探す」の「雇用・労働」をクリックし、表示された「雇用保険・労災」をクリック
  2. 「取得する情報の確認」ページにて、「取得する」をクリック
  3. 遷移したページにて、「回答結果一覧へ」をタップ
  4. 「回答結果一覧」ページにて、「閲覧可能」になった「雇用保険・労災 雇用保険」をクリック
  5. 「回答詳細一覧」ページにて、「雇用保険資格・給付情報」という回答の「詳細を確認する」をクリック
  6. 「回答詳細」ページにて、回答内容の「雇用保険求職者給付情報」の「被保険者番号」を確認

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3.雇用保険番号の再発行方法

雇用保険被保険者証を紛失した場合、ハローワークで再発行を申請することが可能です。ここでは3つの方法を解説します。

方法1:ハローワークの窓口で再発行

ハローワークの窓口にて、雇用保険被保険者証の再発行を申請できます。この申請では「雇用保険被保険者証再交付申請書」へ必要事項の記載が必要です。

基本的に平日であれば、即日で雇用保険被保険者証を受け取れます。土日祝日はハローワークが休みのため、再発行を申請できません。

手続きに必要なもの

ハローワーク窓口で再発行申請を行う際は、次のような書類と情報が必要です。

  • 写真つきの本人確認書類1点(運転免許証やマイナンバーカード。顔写真なしの本人確認書類の場合は2点必要。たとえば健康保険証と住民票の写しなど
  • 退職した会社の基本情報(会社名・所在地・電話番号など)
  • 官公署から発行された資格等の証明書(写真つき住民基本台帳カードなど)
  • 本人に代わり事業所が手続する場合は、代表者の印鑑
  • 代理が手続をする場合は、委任状、代理人の本人確認書類、本人確認書類

方法2:電子申請で再発行

電子申請(e-GOV電子申請)による雇用保険被保険者証の再発行申請も可能です。インターネットに接続できる環境であれば、24時間いつでも申請できます。電子申請では2日から3日で手続きが完了し、郵送料もかかりません

ただし電子申請の際に電子証明書の発行が必要です。会社が本人の代わりに申請する場合は、会社名の電子証明書と「記載内容に関する確認書・提出代行に関する同意書」の提出を求められます。

方法3:郵送で再発行

ハローワークへ必要書類を郵送して被保険者証の再発行申請を行う方法もあります。ただし各ハローワークで対応が異なるため、事前に郵送での申請が可能かどうか、確認が必要ですまた郵送による手続きは、1週間程度かかる点にも注意しましょう。

郵送する書類は次の3点です。

  1. 雇用保険被保険者証再交付申請書
  2. 本人確認書類のコピー
  3. 返信用封筒(切手含む)

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4.雇用保険番号が必要な場面

従業員が雇用保険被保険者番号の提示を求められる場面は、転職先で雇用保険へ加入するときと、給付金の受給申請を行うとき。

前者は退職後に必要となるため、退職時に雇用保険被保険者証を返却されたら失くさないよう注意しましょう。雇用保険被保険者番号が必要となるシーンを具体的に説明します。

転職したとき

転職先の会社で雇用保険に加入する場合、会社がその従業員へ雇用保険被保険者番号の提示を求めることがあります。

加入手続き自体は転職先の会社が行うものの、手続きにおいて会社はハローワークへ「雇用保険被保険者資格取得届」を提出しなければならず、この届に雇用保険被保険者番号を記載する欄があるのです。

雇用保険被保険者番号は雇用保険被保険者証や離職票で確認できます。また過去に他社で雇用保険へ加入したことがある従業員であれば、会社側からハローワークへ雇用保険被保険者番号の照会を依頼するのも可能です。

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失業等給付を申請をするとき

退職後に新たな仕事が決まっていない離職者は、失業等給付失業等給付(失業保険の受給)を申請できます。この給付申請手続きに雇用保険被保険者番号が必要です。

この失業等給付申請手続きにて、離職者は離職票(1および2)と雇用保険被保険者証の提出を求められます。そのためとくに退職後すぐにハローワークでこの手続きを行う退職者には、離職票と雇用保険被保険者証の郵送を迅速に行いましょう。

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教育訓練給付を申請をするとき

教育訓練給付制度は、厚生労働大臣が指定する教育訓練を受講し、修了した場合に経費の一部が支給される雇用保険の給付金制度です。訓練をとおして離職者および在職者(雇用保険加入3年以上)のスキルアップと再就職を支援します。

そのため在職中に教育訓練給付を受けようとする従業員から、雇用保険被保険者証の返却を求められるケースがあります。

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育児休業給付や介護休業給付を申請するとき

育児休業や介護休業を取得した場合、一定の条件を満たすと「育児休業給付」「産後パパ育休給付」「介護休業給付」などの給付金を受けられます。これらの受給申請手続きで雇用保険被保険者番号が必要です。

なおこれらの申請は本人のほかに事業主も行えます。本人が申請する際、会社側へ雇用保険被保険者番号の問い合わせがあるかもしれません。

育児休業給付金(育休手当)とは? 受給条件、申請方法を簡単に
「育児休業給付金」とは、育児休業給付金は、育児休業中の労働者に支給される給付金です。子育て支援の一環として、一定期間、収入の一部を補填し、仕事と育児の両立を支援します。 2022年10月の育児・介護休...

高年齢雇用継続給付を申請するとき

高年齢雇用継続給付は、定年を越えても引き続き働く高齢者を支援する制度です。給付金申請時の書類(高年齢雇用継続給付受給資格確認票・雇用保険被保険者六十歳到達時等賃金証明書など)に雇用保険被保険者番号を記載します。

なおこの給付を受けるには、以下の条件をすべて満たさなければなりません。

  • 60歳以上65歳未満
  • 雇用被保険者期間が5年以上
  • 60歳時点と比較して賃金が75%以下に低下

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特別支給の老齢厚生年金を請求するとき

特別支給の老齢厚生年金は、65歳よりも早い段階で給付が受けられる制度です。この制度を利用するときに、雇用保険被保険者番号を証明する書類が必要となり、以下の条件を満たすと、現在給与収入がある場合でも受けられます。

  • 昭和36年(1961年)4月1日以前に生まれた男性、および昭和41年(1966年)4月1日以前に生まれた女性
  • 生年月日に応じた受給開始年齢に達している
  • 厚生年金保険等に1年以上加入していた
  • 老齢基礎年金の受給資格期間が10年以上ある

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5.雇用保険番号と労働保険番号の違い

雇用保険番号と労働保険番号は、それぞれ異なる役割と割り当ての仕組みが異なります。

  • 雇用保険番号は、雇用保険に加入した個人へ割り振られる個別の識別番号
  • 労働保険番号は、労働保険(労災保険および雇用保険の両方)を適用している事業所へ割り振られる番号

労働保険番号は個人には付与されず、事業所の雇用保険加入を証明するために使用します。なお労働者を雇用する事業所は、労働保険へ加入しなければなりません。また雇用保険適用事業者番号は11桁、労働保険番号は14桁で表される点も異なります。

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6.雇用保険番号が複数ある場合の対応

「雇用保険被保険者証を紛失した」といった理由で雇用保険被保険者番号が不明となり、雇用保険へ新規加入するケースが見られます。この場合は新しい被保険者番号が発行され、ひとりの労働者にふたつの雇用保険被保険者番号が割り振られた状態になるのです。

しかし複数の雇用保険番号を所有すると、失業給付金の受給で不利になる可能性があります。それぞれの雇用保険被保険者番号での被保険者期間は通算されないため、給付金の受給額が減る可能性があるからです。

この問題を解決するには、雇用保険番号の統合手続きが必要です。

雇用保険番号の統一

従業員が複数の雇用保険被保険者番号を保持している場合、本人または本人に依頼された会社は番号を統合する手続きが必要です。離職して失業中の場合は本人による手続きのみとなります。統合手続きの流れは次のとおりです。

  1. 「雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願」に必要な情報を記載する
  2. ハローワークへ提出する

ただし雇用保険被保険者資格取得・喪失等届訂正・取消願1枚につき、統合できる雇用保険被保険者番号はふたつまで。また手続きでは、統合する雇用保険被保険者番号の雇用保険被保険者証を両方とも提出する必要があります。

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7.雇用保険番号に関するよくある疑問

雇用保険被保険者番号に関する従業員からの問い合わせや質問に、どのように回答すればよいかわからない担当者もいるかもしれません。ここではよくある疑問について解説します。

雇用保険番号は電話で確認できる?

個人情報保護の観点から、ハローワークやその出先機関が電話で雇用保険被保険者番号を伝えることはありません。番号の確認が必要な場合は、ハローワークといった公的な窓口で照会しましょう。

またワークプラザといった一部の出先機関では、雇用保険被保険者番号の照会を行えない場合があります。

雇用保険番号は変わる?

一度発行された雇用保険被保険者番号は、原則として変わりません

ただし離職してから7年間雇用保険に加入していない場合、既存の番号は残るものの無効となります。この場合は再度雇用保険に加入するときに、新しい雇用保険被保険者番号が発行されるのです。

雇用保険番号はパート・アルバイトにも存在する?

雇用保険へ加入していれば、パートタイムやアルバイトなどの非正規社員であっても雇用保険被保険者番号を付与されています

ただし雇用保険の被保険者になるかどうか、本人や雇用者が自由に選択できるわけではありません。雇用保険被保険者としての要件を満たす従業員がいれば、会社には加入させる義務があるからです。

2023年12月時点においては、次の3つを満たす労働者に雇用保険の加入義務が生じます。

  1. 所定労働時間が週に20時間以上
  2. 31日以上にわたって雇用見込みがある
  3. 昼間学生ではない