交通費とは? 通勤手当、支給要件、計算方法について

交通費とは、乗り物に乗車する際にかかる費用のこと。ビジネスにおける交通費について、支給要件や計算方法などから解説します。

1.交通費とは?

交通費とは、鉄道や飛行機、バスや船などに乗車する際にかかる費用のこと。ビジネスの世界で交通費という場合、営業で電車やバスを使って顧客先へ出向くときに発生するもので、会計科目上の「旅費交通費」「出張旅費」の2つに当たります。

この場合、社員が交通費を立て替え、後に会社に請求して精算します。現金で渡す、給与と一緒に交通費として振むなど、支払い方法は会社によって異なります。

交通費は、社員が顧客先を訪問した際などに使用した交通機関に支払った費用のことです。会計科目上は、「旅費交通費」「出張旅費」に該当します

社員一人ひとりの能力・評価の見える化は従業員満足度アップにつながる!

「社員の能力・個性に合った適正な配置ができているか?」「きちんと評価がされているか?」

人材データを見える化し、配置検討や人事評価に反映することは、社員のやる気に大きく影響します。

人材管理システム「カオナビ」なら

  • 顔写真に紐づけて人事情報を管理
  • 人材データベースの項目は「特技」や「性格」など自由自在に設定できる
  • 人事評価記録、面談記録も管理できる

「カオナビ」で離職防止・従業員満足度アップ【無料資料ダウンロード】

2.通勤手当と交通費の違い

通勤手当とは、社員の通勤にかかる費用を補助するために会社が社員に支給するもので、給与の一部とされています。ここでは、両者の違いについてポイントを解説しましょう。

通勤手当とは?

通勤手当とは、社員の自宅から会社までの通勤にかかる費用を、会社が手当という名の福利厚生として支給するもの

主な支給方法は、「現金支給」「定期券での現物支給」の2つで、通常1カ月15万円までが非課税で、15万円を超えた分は課税扱いになると定められています。しかし通勤手当の支給は、会社にとっての義務ではないため、通勤手当を支給しない会社も存在しています。

一部支給・通勤手当を支給しない会社もある

通勤手当は、会社が社員に必ず支払わなければならない手当ではありません。労働基準法などの労働法にも、通勤手当の支給義務の規定はないため、通勤にかかる費用は原則、自己負担となっています。

もし、会社が通勤手当を支給する場合は、就業規則や給与規定で「通勤手当を支給する」旨の規定がある場合に限るのです。その場合、会社側が支給額を全額支給または一部支給にするなど、任意で金額を決定できます。

交通費とは?

交通費とは、会社からの業務上の命令により、社員が顧客先などを訪問した際、交通機関に支払った費用のこと。

会計科目上、「旅費交通費」「出張旅費」に該当し、1カ月15万円までは非課税で、これを超えた金額は課税対象になりますが、交通費はその全額が非課税所得として扱われます。

交通費は、社員が立て替えて支払い、後で会社にその金額を請求する場合が多いようです。

交通費は業務上の命令で交通機関を使用した際の費用のことで、通勤手当は自宅から会社までの通勤にかかる費用のことです

3.交通費を支給できる要件

交通機関を利用する交通費の支給要件はいくつかあります。ここでは、交通費を支給できる要件について、支給の根拠や業務上の交通費、通勤のための交通費などの項目から解説します。

就業規則や雇用契約書などに規定する

就業規則や雇用契約、賃金規定により、「通勤手当を支給する」と規定することで、会社には通勤手当の支給義務が生じます。

通勤手当の金額は会社が任意で決定できるため、「支給金額は会社ごとに異なる」「支給方法は現金のほか定期券などの現物支給などで支給される」などになります。

就業規則に記載の必要がある

労働基準法には、就業規則を作成するにあたり必ず記載しなければならない必須項目があります。この必須項目のひとつが、「労働者に食費、作業用品その他の負担をさせる定めをする場合、これに関する事項」という規定です。

このことから、会社が交通費を支給する場合には、交通費の支給要件を就業規則に盛り込み、労働基準監督署に届け出なければなりません。

業務上の交通費

会社からの業務命令により移動した際に公共交通機関などに支払った交通費である業務上の交通費を支給するための要件は、支給ルールを事前に明確にすること。

業務上の交通費は、就業規則や社内規定などで事前に支給要件を定めることにより支給されます。交通費は経費処理の中でも発生件数が多いため、精算処理を効率よく行わなければなりません。そのためにも、交通費の支払いルールを明確にすることは重要です。

通勤のための交通費

通勤のための交通費は法律上、会社に支払い義務はなく、福利厚生費として会社が負担している費用です。そのため、会社は、支給要件について就業規則や雇用契約書で任意に決定できます。

また、国税庁は、通勤のための交通費に非課税限度額を設けており、限度額を超えた場合には所得税が課税されるのです。

会社が交通費を支給するためには、就業規則・賃金規定でその支給内容について明記していることが要件になっています

4.通勤交通費の支給方法と計算方法

通勤交通費を支給する際、手続きを適切に実行できるよう、通勤交通費の支給方法や計算方法について知っておきましょう。

通勤交通費には非課税限度額がある

通勤交通費には、定められた限度額以下であれば、通勤交通費に所得税がかからないという非課税限度額があります。通勤交通費は給与と一緒に支給される場合が多いため、課税対象であると誤解されがちです。

しかし通勤交通費には非課税限度額があり、その金額は1カ月15万円までと定められています。新幹線の定期代も通勤距離や時間から勘案し、明らかに合理性がある場合には非課税扱いとなるのです。

公共交通機関のみ

公共交通機関のみを使用した場合、一般的にはその区間の1カ月の定期代金を交通費と見なし、支給します。しかし場合によっては6カ月の定期券を一括購入する場合もあるため、6カ月分の定期代金を支給することも問題ないとされているのです。

交通費は、「通勤ルートおよび1カ月分の定期代金を当該社員から申請される」「通勤ルート、利用駅に合理性があり定期代金も適正であることを確認する」というステップを経て金額を確定し、支給します。

自動車・バイクのみ

自動車やバイクのみを使用した場合、通勤に要する往復距離をもとに通勤交通費を算出します。こちらも一般的に、非課税限度額が採用されます。

算出準備として、「自宅から会社までのルートの申告」「申告のあった距離とルートを確認」「会社で月平均労働日数とガソリン代、燃費を設定」を実施し、「自宅から会社までの往復距離×1カ月の平均労働日数×ガソリン代÷平均燃費」により支給額を算出します。

公共交通機関と自動車・バイクの両方

公共交通機関だけでなく、自動車やバイクを併用した場合、公共交通機関の定期代や距離、ルートの申告を受け、その合計金額を支給します。

この場合、「公共交通機関」「自動車やバイク」はそれぞれ、規定の方法で金額を算出し、合算したものを通勤交通費として支給するのです。

公共交通機関のみのほうが非課税限度額が大きくなります。そのため、公共交通機関と自動車やバイクの併用の場合の支給限度額は、非課税限度額が大きい公共交通機関のみを利用した場合の金額を用いるのです。

通勤交通費には、非課税限度額が設定されています。「公共交通機関のみ」と「自動車やバイクの併用」などでは、支給額の計算が異なります

5.通勤交通費以外の主な交通費

通勤交通費以外にも、交通費に分類されるものがあります。通勤交通費以外の主な交通費を、下記に分けて解説しましょう。

  1. 電車やバス、タクシー代
  2. 駐車場料金
  3. 高速道路など有料道路料金
  4. 旅費交通費
  5. 公共交通機関などによる出張交通費
  6. 宿泊費

①電車やバス、タクシー代

通勤交通費以外の交通費として、電車やバス、タクシーなどを利用した際に発生する交通費があります。業務上の必要で得意先などに出向く際にかかる交通費のことで、基本的には公共交通機関を使用した場合に当該交通費を実費で支払います。

精算に関しては作業効率化のために、交通系ICカードの利用や経費精算システムの導入
などで作業を行うケースが増えており、社内規定によってはタクシー代金も公共交通機関の一部と見なされるのです。

②駐車場料金

駐車場料金も交通費の中に分類されます。駐車場料金が発生する場合とは、社用車などで外出した際、顧客企業の近隣にあるコインパーキングなど有料駐車場を利用するケースです。

乗車代ではありませんが、社用車などで動き回る営業社員などにとっては避けられない費用であるため、駐車場料金も交通費のひとつという位置付けになっています。月極の駐車場を利用する際は、会計科目は地代家賃となり交通費には該当しません。

③高速道路など有料道路料金

高速道路など有料道路を利用した際の利用料金も、交通費扱いになります。高速道路を利用した場合、利用した分の金額を実費で精算するのが一般的です。ここでいう有料道路の利用とは、通常勤務している勤務地を拠点として社用車で移動できる範囲のこと。

仮に遠方へ出張するために社用車を使い高速道路を利用した場合、出張であることが加味されるため、会計科目は交通費ではなく旅費交通費として処理します。

④旅費交通費

旅費交通費とは、「自宅から出張先へ直行する」「拠点とする勤務地から遠方へ出張する」などで発生する交通費のこと。旅費交通費は、その全額が所得税の非課税扱いになります。

一般的な交通費と旅費交通費の線引きがはっきりしていないと、「法人税の計算に影響を及ぼす」「年末調整における所得税の計算が正しくできない」などにもなりかねません。交通費と旅費交通費の線引きを旅費規定などで設定しておきましょう。

⑤公共交通機関などによる出張交通費

公共交通機関などによる出張交通費とは、業務上必要な出張のために公共交通機関を利用した際の交通費のこと。出張交通費は、「業務上の出張にかかる交通費」「出張先でのビジネス活動に関わる活動費」の2つから構成されています。

一般的に出張交通費は、会社の旅費規定に基づいて支払われ、出張交通費の公共交通機関には、飛行機、新幹線、電車、バス、有料道路、タクシーなどが該当します。

⑥宿泊費

宿泊費とは、業務上必要と認められる出張に伴う宿泊代のことで、一般的に「宿泊先発行の領収書の金額」「会社の旅費交通費に規定されている定額」で精算します。

もし、旅費規定がなく一定額の宿泊費を支払って精算する場合、当該宿泊費は個人所得として扱われるのです。

出張時の日当・食事代・食費についても、

  • 旅費規定に基づいた場合:旅費交通費扱い
  • 旅費規定がない場合:個人所得と見なす

と扱いが異なります。

通勤交通費以外の主な交通費は、「電車やバス、タクシー代」「駐車場料金」「高速道路など有料道路料金」「旅費交通費」「公共交通機関などによる出張交通費」「宿泊費」です

6.通勤交通費を申請制にしている場合の注意点

通勤交通費を申請制にしている際の注意点について、下記3つから解説します。

  1. 通勤交通費の不正受給
  2. 申告と異なる通勤手段
  3. 居住地の虚偽申告

①通勤手当の不正受給に当たるケースとは

通勤手当の不正受給とは、悪意や故意で不正に受給すること。通勤交通費の不正受給の例としては、引っ越しをしたにもかかわらず新しい通勤経路の届け出をせず、高額の通勤手当を不正に受給し続けていたケースなどがあります。

不正受給が社員の悪意や故意によるものであると認定されれば、会社は過払いの通勤交通費を返還請求できるのです。それだけでなく懲戒処分の対象になる可能性もあります。

②申告と異なる通勤手段

申告と違う手段で通勤する具体例として挙げられるのは、通勤手当を申請して受給したにもかかわらず、申告済みの交通機関を使用せず徒歩や自転車で通勤していたなどです。

このような不正受給を防ぐには実際の通勤経路や通勤手段を定期的に確認したり不正に通勤交通費が支給されていないかどうかをチェックしたりする必要があるでしょう。

③居住地の虚偽申告

居住地を虚偽申告しているケースで多いのは、現住所よりも遠い場所に住んでいることにし、実際よりも通勤交通費が多くかかっているように見せること。

正規の通勤交通費よりも高額の通勤交通費を受給していてそれが悪意や故意の場合、「会社は通勤交通費の返還請求ができる」「場合によって懲戒処分の対象となる」となる場合があります。

通勤経路を会社に正しく申告せず、通勤交通費を不正受給していると、通勤交通費の返還請求や懲戒処分の対象となる場合があります