辞令とは? 意味、発令や内示との違い、書き方や挨拶について【辞令は断れる?】

辞令とは、企業が従業員に対して通知する公式文書のこと。

  • 辞令が出て転勤になった
  • 辞令で出向先が決まった

といった使い方をします。この辞令について、

  • 辞令とはそもそもどのような意味の言葉なのか
  • 辞令と「発令」「内示」との違い
  • 辞令交付書の書き方
  • 異動の際の挨拶
  • 辞令の法的拘束力

などの観点から説明しましょう。

1.辞令とは?

辞令とは企業や雇用主が従業員に通知する公式文書のこと。従業員やこれから入社する人に対して、

  • 人事異動
  • 転勤
  • 昇給
  • 昇進
  • 新規採用の決定

などを通知する際に作成し、

  • 企業や雇用主からの命令文書
  • 辞令を従業員に渡す際、「交付」という言葉を用いる

といった特徴を持ちます。

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辞令の意味

辞令という言葉の意味をもう少し説明しましょう。辞令とは、企業や組織に所属する従業員に対して、

  • 役職への任命を本人に伝える
  • その他の従業員に辞令の内容を広く示す

ために作成、交付される文書のこと。従業員に対して、重要事項を正確に伝達するために使われるのです。

辞令とは、人事異動や昇給、昇進、採用などについて、企業や雇用主が従業員に通知する公式文書のこと。

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2.辞令の交付方法

辞令の交付方法は企業によって違います。

一般的には、

  • 多くの従業員が目にする掲示板に貼り出す
  • 社内報などに掲載する
  • 給与明細とともに個々の従業員に手渡す

など。企業や組織全体で辞令の内容を共有するケースや、本人のみに知らせるケースまでさまざまです。

内示とは?

辞令の交付方法に、「内示」があります。内示とは、字のごとく内々に示すこと。辞令が交付される前に、

  • 本人
  • 直属の上司

などに辞令の内容を伝えることを意味しています。

内示では、

  • 内容を伝えるのは限定した人物のみ
  • 内容を伝えられた人物は周囲に内容を漏らしてはならない
  • 内示は辞令のための準備期間として捉え、手続きや引き継ぎなど準備を進める

などを踏まえる必要があります。転勤を例に考えると、

  • 転勤があることを周囲に漏らさない
  • 業務の引き継ぎや引っ越しの準備、家族の仕事や学校関連の手続きを行う

となるでしょう。このようにさまざまなことを行う期間が必要なため内示は、実際の辞令交付の1カ月から1週間程度前に出されることが多いようです。

辞令交付式

企業や雇用主が辞令を交付する際、辞令交付式を行うことがあります。たとえば、入社式と同時に配属先の辞令を交付するようなケースです。

辞令交付式は、

  • 事業規模の大きい企業が開催するケースが多い
  • 辞令交付をセレモニーとして位置付ける場合に開催

という傾向を持ちます。つまり式典の色合いが濃いのですね。そのため、服装やマナーに気を配る必要があるのです。

出席時の注意点~男性~

男性が辞令交付式に出席する際の衣装の選び方として注意したいのは、

  • カジュアルな恰好ではなく、スーツを着用
  • アイロンがかけてある白い色のシャツを着る
  • 華美にならないようシンプルなネクタイを合わせる

といった点。靴は、ブラシで靴の汚れをはらい、できるだけ磨いたものを履いていきましょう。スーツ、シャツ、ネクタイ、靴のどれをとっても求められるのは、清潔感のあるシンプルな装いです。

出席時の注意点~女性~

女性が辞令交付式に出席する際のポイントは、

  • 男性のスーツに準じる洋服を選択する
  • インナーは襟付きのブラウスなどを着用
  • 靴は3~5cm程度のヒールで、色は黒色を選ぶ

また、化粧はナチュラルメイクを心掛け、アクセサリーを着用する場合はイアリング、ピアスを避けます。ペンダントトップにパールなどが品良くあしらわれているネックレス程度は身に着けても構いません。

華美にならなければ、華やかな印象を与えても大丈夫です。

辞令交付式に出席する場合は、男女共、清潔かつシンプルで、華美にならない服装を心掛けましょう。

3.辞令が発令されやすい時期とは?

1年のうち、辞令が発令されやすい時期は、7月と10月。なぜ10月に辞令が発令されることが多いのでしょう。

その理由は、

  • 10月から始まる下期に向けて、新体制を構築する必要がある
  • 4月の期首は何かと多忙だが、期中なら落ち着きやすい

なお国家公務員、特に総合職における人事異動は7月に行われます。そのため、辞令発令件数も7月が多いです。

辞令の交付は多忙になりがちな期首を避けて、7月と10月に発令されることが一般的となっています。

4.辞令の法的拘束力

辞令は命令文書ですが、法的拘束力はありません。また、

  • 人事異動
  • 転勤
  • 昇給
  • 昇進
  • 新規採用の決定

などを行う際に「辞令を交付しなければならない」という法律も存在しないので、これらから、辞令に法的拘束力はないことが分かります。ただし、社内で交付される辞令に一定の効力がある点は認識しておきましょう。

辞令は口頭でも効力あり

辞令は企業や雇用主が従業員に通知する公式文書の一つですが、文書を作成しないで口頭で本人に伝えたとしても、法的には何ら問題ありません。

  • 辞令を発する側が権限を持っている
  • 権限を持った人物が辞令を発令

これらが成り立つ場合には、文書でも口頭でも辞令の効力を発揮するのです。

書面化が義務付けられている辞令の例

辞令は文書でも口頭でも効力を発揮します。しかし、採用辞令は書面化が義務付けられているのです。採用辞令とは、新規採用した者に対して発行する辞令のこと。

採用辞令の交付そのものは法的に義務付けられていませんが、労働基準法で「採用の日付や基本給をはじめとした労働条件や試用期間などを明示すること」が義務付けられています。

辞令には法的拘束力はありません。しかし、社内で発行される辞令は文書でも口頭でも一定の効力を発揮します。

5.辞令に記載されている内容

辞令に記載されている内容は、辞令の中身によってさまざまです。異動や昇進などの場合を例に見ると、

  • 異動、昇進といった人事の内容
  • 辞令の発令日
  • 発令番号
  • 辞令の実施日時や期間
  • 働く場所
  • 誰から誰への辞令交付か

など必要最小限の情報が簡潔に記載されています。

辞令の記載内容は、辞令の内容によって異なります。一般的には必要最小限の情報を簡潔に記載することがほとんどです。

6.辞令書の書き方

辞令書の書き方にはポイントがあります。辞令に記載する項目や書く際の注意点を説明しましょう。

辞令書の内容と項目

人事部門で人事関連の辞令を作成する際に困らないよう、辞令書に記載する内容や項目について知っておくことは、は非常に重要です。辞令書を書く際の基本は、簡潔明瞭に短文で明記すること。受け取る側の立場を考えながら、丁寧で分かりやすい文面を考えます。

辞令には、最小限記載すべき項目があります。

  • 辞令の公布日
  • 発令を受ける人物の所属部署、役職、氏名
  • 発令を行う側の企業名、役職、場合によっては氏名
  • 辞令の内容
  • 辞令が実行される日付

といった項目を網羅した、分かりやすい辞令を作成するのです。

注意点

辞令書を作成する際、文面に一定の配慮を行うことが求められます。

  • 昇格の際は昇格理由を記載して、対象者のモチベーションが上がるように考慮
  • 降格の際は考慮しながら降格の理由を記載して、対象者のモチベーションを維持

辞令書作成に活用できるテンプレート

bizocean「『辞令』の書式テンプレート」https://www.bizocean.jp/doc/category/268/

辞令書の作成には、内容に応じたテンプレートの活用が効率的です。作成の際の参考にしてみてください。

参考 「辞令」の書式テンプレートbizocean

辞令書を書く際には辞令対象者に分かりやすく、また、モチベーションにも配慮した文面を作成してください。

7.辞令の種類

辞令には、さまざまな種類があります。

人事全般では、

  • 従業員の新規採用
  • 昇格、降格
  • 昇給、減給
  • 転勤
  • 転属
  • 出向
  • 配置転換
  • 復職

など。その他人事関連では、

  • 戒告
  • 停職
  • 休職
  • 免職
  • 退職
  • 解雇

などがあります。

採用辞令

採用辞令とは、採用が決まった者にその旨を交付するもの。労働基準法では採用に関して、労働条件の明示を雇用主に義務付けています。通常の辞令は文書でも口頭でも一定の効力を発揮しますが採用辞令に関しては、

  • 採用の日付
  • 基本給
  • 試用期間

などを書面で交付することが必要です。

配属決定辞令

配属決定辞令とは、配属先を命じるための辞令のこと。新規採用者に関する辞令には、採用することを命じる採用辞令と配属先について命じる辞令があります。この場合は、採用辞令の中に配属に関しての項目を記載します。

配置転換辞令

配置転換とは、日本企業独特の人事制度の一つ。目的は、一定期間ごとに従業員の職務を変えて、企業の全体像を把握させることです。配置転換辞令は職務の変更が伴うため、現所属部署と新所属部署の所属期間に空白を生み出さないよう、

  • 現部署の任務を解く日
  • 新部署への異動を命じる日

を同日で記載します。日付の注意点は配置転換以外に、

  • 出向
  • 転籍
  • 昇進

などでも同様のことがいえます。社歴に空白の日が生じることが起こってはなりません。日付の管理には、細心の注意を払いましょう。

なお、転勤や配置転換に際しては、就業規則や労働協約などで出向や配置転換の規定がない場合、対象従業員の同意を得る必要があります。トラブルのもとにもなりますので、注意してください。

退職辞令

退職辞令は、従業員の退職に関する辞令です。

  • 退職者には、
  • 退職証明書
  • 離職証明書

など退職に関する各種証明書を発行するため、退職辞令を作成しないで手続きを済ませる企業も多くあります。しかし、再雇用が前提の定年退職時にはそれらの証明書を発行しない場合も。その際は、再雇用される従業員の退職時に退職辞令を交付します。

出張辞令

出張辞令は、海外などに中長期出張する従業員に対して交付する辞令です。

  • 長期間に及ぶ
  • 海外に出張する

では住居の確保や渡航準備などが必要となることも。早めに辞令を交付するか内示を出すようにしましょう。

転籍辞令

転籍辞令は、転籍を命じる辞令のこと。転籍は、従業員が所属する企業を雇用契約上変更するもののため、

  • 出向
  • 配置転換
  • 転勤

などと仕組みが異なるのです。よって、辞令対象従業員の同意を必要とします。

転勤辞令

転勤辞令は、企業内もしくは企業グループ内にある就業場所へ配置転換をすること。

就業規則に転勤に関する事項が定められている場合、使用者に広い人事権が認められていることとなりますが、特段の規定がない場合、原則として転勤辞令に対する根拠が必要です。

企業の裁量を広く考えたい場合には、就業規則に転勤に関する事項を明記しておきましょう。

出向辞令

出向辞令は、出向に関する辞令です。出向を従業員に命令する際は、

  • 就業規則、労使協約、出向規程などに出向に関する規定が記載してある
  • 規定がない場合は、対象従業員の同意を得る必要がある

などに注意してください。

昇給辞令

昇給辞令は、昇給を通知する辞令で、一般的に昇給辞令は昇給理由を辞令書に明記しません。

昇給理由を辞令書に記載するケースには、

  • 就業規則などの根拠を示して記載
  • 社内給与規程などで規定されている基本給などの等級を記載

などがあります。降格や減給についても記載内容は変わりません。

昇進辞令

昇進辞令は、昇進に関する辞令のことで、昇給辞令と同様に昇進理由を記載しないのが一般的です。
もし理由を記載する場合は、

  • 就業規則などの根拠を示して記載する
  • 配置転換などを同時に命令する際は、昇進と配置転換の内容を併記

などが必要です。

辞令にはさまざまな種類があり、内容によって注意点が異なります。交付する際は気を付けましょう。

8.辞令と発令の違い、使い方

辞令と一緒に使われる言葉で発令があります。発令とは何か、使い方や意味について説明しましょう。

発令との違い

辞令という言葉と併せて使われる言葉に、「発令」があります。「発令」とは、辞令を出すことを意味する言葉です。

  • 採用辞令を発令
  • 転籍を発令
  • 出向を発令

といった使い方をします。発令は、辞令を正式に発表する日に発せられるため、「発令日」などの日付を必ず記載するという決まりがあります。

通達との違い

辞令と類似する言葉に「通達」があります。「通達」とは、行政機関内部における上級機関から下級機関に対しての文書のことで、指揮監督権限に基づいて作成されるのです。

目的は、その機関の所掌事務に関しての命令や示達を行うこと。行政機関内部で用いられる用語であるため、一般企業や組織で使用される辞令とは、意味を異にします。

任命との違い

辞令と類似する別の言葉に、「任命」があります。「任命」とは、官職や役目に就くことを命じることです。

「発令」という言葉と併せて使われるのが辞令です。辞令に類似していても意味が異なる言葉もあります。

9.辞令を断ることは可能か?

辞令は法的拘束力がありませんが一定の拘束力はあります。しかしケースによっては辞令を断ることも可能です。

交付後の取消・変更はできない

辞令とは、企業の方針下で自社の従業員に配置転換などを命令するための文書のこと。企業からの命令文書という性質から、断ることは基本的にできません。

一般的に、採用や入社時に転勤、配置転換など人事異動の可能性がある旨を説明しますので、対象者はそれを承諾して入社しているはずです。

そのため、断ることは基本できません。ただし、あまりにも理不尽な内容である場合には、拒否できる可能性もあります。

断ることができる可能性が高い状況

辞令を断ることができる特別な状況と考えられるケースは、

  • 入社時の契約内容と辞令の内容に齟齬がある
  • 協力者がいない状況で家族の介護を行う、という対象者の状況

などがあります。契約内容から逸脱した辞令内容とは、限定的な転勤エリアを越えた転勤の辞令などをイメージするとよいでしょう。

家族の介護や妻の妊娠は、周囲に協力者がいないといった理由によって、特別な状況と判断される可能性が高まります。ただ、これらはあくまで可能性の話で、必ず辞令が取り下げられるわけではありません。

辞令には法的拘束力はないものの、

  • 辞令の取り下げにはハードルがある
  • 必ずしも事例が取り下げられるわけではない

点は理解しておきましょう。

断ると解雇になる可能性も

辞令を断った場合、解雇になる可能性が高いでしょう。辞令は、企業幹部で検討を行った結果として出される企業からの命令文書ですので、断るには、職場を失う可能性を覚悟する必要があるのです。

辞令を断りたい場合は、まず企業と話し合いの場を持ちましょう。

  • 辞令を受けたくても受けられない自分の状況を説明
  • 自分で思案した折衷案を提示

などを実施することで、企業側に辞令を断る理由を納得してもらえるかもしれません。専門家からアドバイスをもらうのもよいでしょう。

拒否したい場合は?

辞令をどうしても断りたい場合はまず、辞令拒否の姿勢を明確に伝えます。職を失う可能性もあるため、転職も視野に入れる必要もあるでしょう。

辞令は一定の拘束力を持つため、拒否はできません。ただ、契約内容からの逸脱や特別な事情がある場合は一度相談してみましょう。

10.辞令に関する従業員とのトラブル例

辞令に関する企業と従業員のトラブルはさまざまあります。トラブルでも多いのは、出向や配置転換に関するトラブルです。

平成29年6月に厚生労働省が発表した「平成28年度の個別労働紛争の相談件数」を見ると、出向や配置転換に関するトラブルは9,244件もありました。

裁判例①新日本製鐵事件

新日本製鐵事件は、経営の合理化を進めるため2名の従業員を3年間の業務委託先企業に出向させたものの、経営改善が図れなかったとして出向期間を計3回延長したことを発端とした事件です。これらを不当とした従業員と企業とが争いました。

その結果、

  • 従業員は著しい不利益を与えられたとはいえない
  • 就業規則や労使協約などで出向に関して詳細な規定がある
  • 出向は従業員に同意を得る必要のないものである

といった理由から「権利の濫用には当たらない」という判決になったのです。

裁判例②日本ステンレス事件

日本ステンレス事件は、

  1. 従業員3名に対して、子会社に期間の定めのない出向を命じたものの拒否されたため当該従業員を懲戒免職にした
  2. 出向していた別子会社から復帰した直後の従業員1名に対し、別工場への配置転換命令を出したが、拒否したため当該従業員を懲戒免職にした

2件について争われたものです。裁判では、

  • 子会社への出向は配置転換と同様のもの
  • 就業規則にも出向、配置転換などの規定がある
  • 本人の同意は不要
  • 当該従業員3名のうち、1名は親の介護といった家庭の事情があった
  • 親の介護という家庭の事情があるにもかかわらず転居を伴う出向は人選方針に反し、人事権の濫用に当たり無効

という判決が下されました。

裁判例③ネスレ日本事件

ネスレ日本事件は、従業員に他県にある工場へ配置転換または退職を命じた辞令に対してのものです。従業員60名中49名は退職、9名は配置転換に同意したものの、残った2名と配置転換の有効性を争いました。

判決では、

  • 勤務場所を限定しない契約では、使用者は業務上の必要に応じてその裁量により配置転換を命じる権利がある
  • 2名の従業員は家族介護などの家庭の事情があった
  • 従業員に与える不利益は通常甘受(=甘んじて受けること)すべき程度を著しく越えるもの

といった理由から、配置転換命令権の濫用に当たるため無効という判断を下しました。

厚生労働省の発表にもある通り、出向や配置転換を筆頭に、従業員との辞令に関するトラブルは多く発生しています。

11.辞令トラブルの防止策

従業員との辞令に関するトラブルはできるだけ回避したい、これは企業の本音でしょう。従業員との辞令に関するトラブルを防止するためのポイントが2つあります。

  1. 就業規則や労働協約を確認
  2. 従業員の家庭事情を把握

対策①就業規則や労働協約を確認

1つ目は、就業規則や労働協約の活用です。

  • 辞令で配置転換や出向などを命じる前に、
  • 就業規則や労働協約で配置転換や出向について規定しておく
  • 辞令の対象となる従業員に事前同意を得ておく

などを行うことでトラブルを回避できます。

また、就業規則や労働協約などに規定されていても、採用時の説明で「配置転換などの可能性がない」といった話をしてしまっている場合、トラブルになる可能性があります。従業員に説明する際は注意してください。

対策②従業員の家庭事情を把握

2つ目は、従業員の家庭の事情を事前に把握すること。

まず、出向や配置転換を行う前に、家庭の事情を把握します。人選の際は、それらも加味しながら検討を重ねましょう。そして、実際に転居の必要がある出向や配置転換を行う場合は、対象従業員にその旨を早めに内示します。

その際、業務上の必要性や当該従業員でなければならない理由を併せて説明すれば、トラブル回避につながるでしょう。

辞令に関するトラブルを回避するポイントは、就業規則への明記や従業員の家庭の事情を把握です。

12.辞令の受け取り方

辞令を交付する方法はさまざまあります。

たとえば、

  • 給与明細と一緒に辞令書を交付
  • 辞令交付式を開き、大勢の従業員の前で辞令を交付
  • 掲示板に辞令を掲示
  • 社内ネットワークを活用して共有画面に掲示

など。人前で辞令が交付される際は、深く一礼したあと、両手で辞令書を受け取るのが作法です。

辞令交付の方法は企業によってさまざま。辞令交付式で交付する場合、従業員は両手で辞令書を受け取ります。

13.辞令が出た後の挨拶

辞令が出た後、現在の職場の最終日にしなければならないマナーがあります。それは、現在の職場で一緒に仕事をしていたメンバーに挨拶することです。

タイミングや方法など辞令が出たときに行う挨拶の基本的な知識を、知っておきましょう。

挨拶の前に必ず行うこと

辞令が出た後の職場で最初に取り組むことは引き継ぎです。時間的な余裕はないかもしれませんが、

  • 取引先などに影響を与えないように
  • 残ったメンバーが業務遂行に困らないように

などの点に配慮して引き継ぎます。引き継ぎする相手との時間調整をうまく行うことがポイントです。

挨拶メールを送る場合の注意

社内向けの場合

最近は、メールで人事異動などの挨拶を行うケースも増えています。社内向けに挨拶メールを作成する場合、相手からの返信期間も考えて、実際に異動する日の数日前までに送りましょう。タイトルは「異動のご挨拶」といった簡単なものが適しています。

本文には、

  • いつ異動するのか
  • 異動先はどこか
  • メールを送る相手へのお礼
  • 今後について

という順番で記載します。最後は、「本来であればご挨拶に伺うべきところ、メールにて失礼させていただきますことをお許しください」など、メールで挨拶を済ませることに対するお詫びで締めくくりましょう。

社外向けの場合

人事異動などの挨拶メールを社外向けに作成する際は、社内向けメールよりも丁寧な言葉や表現を使います。「です」「ます」といった文体だけでなく、「~いたします」「~でございます」といった最敬体を使用することが望ましいです。

社外の人には異動の理由などは分からないため、不安を感じさせてしまうことも。今後の取引に支障を来さないためにも、

  • 後任が誰なのか
  • 「今後も遠慮なくお問い合わせください」といった言葉

を盛り込みましょう。

メールを送る範囲

挨拶メールはお世話になった人たちに送ります。

たとえば、

  • 同部署の仲間
  • 過去に上司だった人たち
  • 業務上関わった人たち
  • 仲の良かった人たち

挨拶メールを送る範囲の線引きは難しい問題ですが、

  • 社内社外問わずこれまでお世話になった人たちに送る
  • 感情的な行き違いがあったり、揉め事があったりした人にも送る

といった点に注意が必要です。

送り方

挨拶メールを送る際、CCやBCCを使うことはできるだけ避けましょう。手間のかかる作業になりますが、一人ひとりに宛ててメールを作成します。

基本的な文面はコピーでも構いませんが、その人とどのような関わりを持っていたかを思い起こさせるような文章を付け加えると、より丁寧です。

辞令交付日と出向などの人事異動日が近いなど時間がない場合は、「まとめてのご挨拶になり、無礼をお許しください」などの一文を加えて、BCCで送りましょう。

直接、挨拶をする場合

人事異動の挨拶を辞令交付式や朝礼などでスピーチにて行う場合もあります。

  • 自分の氏名
  • 異動日
  • 異動先の部署とそこでの仕事内容
  • 今後の意気込み
  • 今までお世話になった感謝の気持ち

などを話します。その際、現場に残る仲間が安心できるように、しっかりかつはっきりした声で、送る側の気持ちに寄り添って安心感を与えるように話しましょう。

人事異動の挨拶はメールもしくはスピーチで行うのが一般的です。今までの感謝と今後の意気込みをしっかりと伝えましょう。