人事通達とは? 意味、辞令の種類、内示の方法について

人事通達にはどのような意味があるのでしょうか。辞令の種類や内示の方法、書き方の例などについて解説します。

1.人事通達とは?

人事通達とは、企業が従業員に対して人事異動などを通達すること。正式に人事異動を命じる前、本人に予定を伝えるというのは内示と呼ばれます。辞令は公式な命令ですが、内示は非公式のものになるのです。

人事通達の種類は主に2つ

人事通達には辞令と内示、2つがあります。

  1. 辞令…正式に従業員に対して異動を通達するための制度。本人に役職への任命を伝える目的のほか、それ以外の従業員に対して辞令の内容を広く示す役割もある
  2. 内示…辞令が正式に出される前、事前に非公式の方法で従業員に伝達するもの。正式な辞令が出される1〜2ヵ月ほどに、前直属の上司や上層部からメールまたは口頭で通達される

辞令の意味

辞令とは、官職や役職などの任免をする発令のこと。雇用主側が、「人事異動」「転勤」「昇給」「昇進」「採用」などを従業員に伝えることです。

従業員に対して、正式な重要事項を正確に伝達するため文書で交付される場合がほとんどです。法律で義務付けられてはいないものの、会社の意向や方針を命じる文書になります。そのため、従業員はその方針や意向に従う必要があるのです。

内示の意味

内示とは、公式に何かを伝える前、事前に非公式の方法で物事を伝達すること。辞令の交付前に行うのが内示です。

一般的に内示を伝えるのは、従業員本人と直属の上司など限られた人物のみ。また内示を伝えられた人は、ほかの従業員に内示の内容を漏らしてはいけないとされています。

辞令と違い内示は非公式ですが、人事や上層部に人事権がある以上、特別な理由がない限り内示の内容は拒否できません。

内示を出す理由

内示を出す理由は、従業員に異動までの準備期間を取って整理をしてもらうためです。たとえば内示で転勤の辞令が出た場合、「業務の引き継ぎ」「引っ越しの準備」「新居探し」「家族の仕事や学校などの手続き」といった準備が必要でしょう。

人事通達の辞令を従業員が受け取った日から、新しい部署に変わります。そのため内示は辞令のための準備期間として、引き継ぎや手続きなどの準備を行うのです。一般的に、辞令交付の1~2ヵ月ほど前に出されることが多いとされています。

人事通達とは、企業が従業員に対して人事異動などを通達すること。辞令の前に、非公式の内示が出されます

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2.人事通達[辞令の種類]

辞令には、さまざまな種類があります。次の7つについて説明していきましょう。

  1. 採用辞令
  2. 配属決定辞令
  3. 転勤辞令
  4. 出張辞令
  5. 配置転換辞令
  6. 転籍辞令
  7. 退職辞令

①採用辞令

採用辞令は、採用の決定を知らせる通達で、「採用の日付」「基本給」「試用期間」といった内容が明記されます。

労働基準法にて、雇用主は労働条件を明示することが義務付けられているのです。口頭でも労働条件は明示できるものの、採用辞令は書面で交付します。採用辞令がない場合は、担当者に確認しましょう。

②配属決定辞令

配属決定辞令は、従業員の配属先を決めるために通達する辞令で、新規採用の場合、「採用を命じる採用辞令」「配属決定辞令」2つの辞令が出されるのです。

採用辞令の内容に、従業員として採用する旨と合わせて、配属する項目も記載できます。
たとえば「貴殿を○○年○○月○日より採用し、○○勤務を命ずる」などです。

③転勤辞令

転勤辞令は、企業内もしくは企業グループ内にあるほかの就業場所へ異動するときに発令される辞令です。

従業員は基本、転勤辞令を断れません。就業規則に転勤に関する事項が記載されている場合のみ、転勤辞令を発令できるのです。就業規則に明記されていない場合は、転勤辞令に対する根拠を示す必要があります。

④出張辞令

出張辞令は、海外などに中長期出張する必要がある場合に通達される辞令です。長期出張の場合、従業員は住まいの確保などさまざまな準備が必要となります。そういった場合の多くで、早めに出張辞令が発令されるのです。

国内で短期間出張の場合、急な発令もあります。

⑤配置転換辞令

配置転換は、会社の方針により、従業員を異なる部署へ異動するよう命じる辞令です。日本企業のみで行われている人事制度のひとつとなっています。

「介護や育児などによる欠員の補充」「組織の活性化」といった目的のほか、配属先を一定期間ごとに変えてさまざまな部署を経験させる会社もあるのです。就業規則に配置転換に関する事項が明記されていれば、従業員の同意がなくても発令できます。

⑥転籍辞令

転籍辞令は、ほかの企業へ転籍を命じるための通達です。転籍は、在籍していた会社との雇用契約を打ち切り、ほかの会社に再就職するもの。同じ会社内で異動する転勤辞令や配置転換辞令とは、異なります。

転籍辞令を発令するときは、雇用主は従業員の同意を得る必要があるのです。また転籍辞令に伴う退職は、会社都合退職になります。

⑦退職辞令

退職辞令は、従業員が退職するときに通達される辞令です。会社側が従業員に対して発令する義務はないものの、退職願を受理した証拠として出す場合もあります。

退職した場合、「退職証明書」「離職証明書」が発行されるため、退職辞令を出さない会社もあるのです。自らの意志で退職する場合、退職辞令が発令されていなくても辞められます。

7つの辞令は、人事に関わる重要な命令です。就業規則に明記されていれば従業員は辞令を断れないとされています

3.人事通達[内示について]

人事内示は、辞令が発令される前の事前通達のようなものです。異動や転勤、海外出張など辞令の発令前に、「業務の引き継ぎや引っ越し準備などの準備期間」として内示を使用します。

人事通達として内示される時期は?

人事通達として内示される時期は一般的に、辞令が正式に出される1〜2カ月ほど前です。

しかし「前任者が急に退職したなど特殊なケース」「人材確保が厳しい中小企業」など人材募集が間に合わない場合、辞令が交付される1週間前など内示から辞令までの期間が短くなります。

また2ヵ月前の内示は内々示と呼ばれるのです。内々示を出さない企業は多いですが、内示はほとんどの企業が辞令発令前に出しています。

内示に強制力はある?

内示は、基本的に拒否できません。内示段階でも人事異動自体が業務命令であるため、よほどの理由がない限り、従業員は内示を断れないのです。ただし次のような正当な理由があって内示を拒否する場合、申し立てがとおる可能性もあります。

  • 入社時の雇用契約書の内容と異なる
  • 介護や子育てなどやむを得ない事情がある
  • 気に入らない従業員を異動させるなどの嫌がらせを会社側が行っていた

内示は確定事項ではない

内示は会社の公式な命令ではないので拘束力はない、つまり確定とならないため内容を変更できる可能性があります。とはいえ、内示が出ている段階で辞令の発令はほぼ決まっているため、よほど重要な要件や理由がない限り、内示の内容変更は難しいでしょう。

また内示の内容について変更の旨を会社側に伝えると、会社の意向や方針に従わない従業員として退職を勧められる場合もあります。

内示は、辞令の1〜2ヵ月ほど前に出される準備期間です。公式命令ではないものの、特別な理由がない限り拒否できません

4.内示が出たら取るべき行動

内示は一般的に、従業員本人と直属の上司など限られた人物にしか伝えられません。そのため内示を伝えられた人は、ほかの従業員などに口外してはいけないとされているのです。内示が出された際に取るべき行動を紹介しましょう。

  1. 落ち着いて内容を確認する
  2. 口外しない
  3. 内示が出ても相談はできる

①落ち着いて内容を確認する

内示が出た場合、ほとんどの人は動揺してしまうでしょう。しかし冷静になって内示の内容をしっかり確認します。なぜなら内示が出るというのは、「大掛かりな命令(辞令)が出る」可能性が高いからです。

「異動先」「辞令発令の日付」「業務や職場の内容」「給与」など、内容についてしっかり確認しておきましょう。

②口外しない

内示の内容について、同僚などに口外してはいけません。内示情報の口外を就業規則で禁じている企業もあるほどです。

内示の口外を特別禁じていない企業もあるものの、内示を口外すると軽率な人間などと見られ、人事評価に影響を及ぼす場合もあります。

③内示が出ても相談はできる

内示の内容について引き受けるのが難しいという場合は、直属の上司などに相談してみましょう。その際、内示を拒否するかどうかなども含めて相談内容を用意するのです。

会社側は従業員個々のライフスタイルや事情などまで詳細に考慮せずに、人事異動を決める場合があります。「介護をする必要がある」「幼い子供を育てなければならない」などどうしても内示に従えない内容の場合、しっかりとその旨について伝えましょう。

内示は会社の秘密事項なので、他人に口外するのは禁物です。もし内示を引き受けるのが困難な場合は、相談しましょう

5.人事通達[内示の書き方の例]

内示の書き方に定義や決まりはありません。しかし内容は、端的で明確に分かりやすくしましょう。ここでは記載のポイントや書き方などについて、解説します。

押さえるべきポイント

人事の内示書で押さえるべきポイントは、下記のとおりです。

  • 発令を受ける従業員の氏名、異動する部署を明確に記載する
  • 発令を行う人の氏名は書かなくてよい
  • 公式書類ではないので書き方は自由

また企業間の内示書について押さえるべきポイントは、下記のとおりです

  • 必要としている製品名や材料名などの見積もりを作るなど、伝えたい内容をしっかり明記する
  • 基本的には、内示書も契約として取り扱える(業界によっては、内示書が契約に該当しない慣例がある)
  • 内示書のフォーマットはない

内示の書き方

人事異動における内示書の例文は、下記のとおりです。

「内示書○○殿○○部人事担当○月○日に●部●課●係への異動を発令します。○日までに○○部長に連絡をしてください。以上」。

内辞書の要点には、下記が挙げられます。

  • 「内示書」で書き出し、「以上」が結びの言葉となる
  • 必要最低限の事項のみを明記するのが内示書の決まり

内容が分かれば問題ない

内示書を作成する際は、「伝えたいと思っている内容が記載されていれば書式は自由」「詳しい内容を記載する必要はない」「受け取る人が読みやすく、内容が理解できる簡潔明瞭な文書にする」といったポイントをおさえましょう。

しかし非公式の文書とはいえ、大きな効力があります。細心の配慮をもって取り扱うことが大切です。

内示書は公式書類ではないので、フォーマットや決まりはありません。伝えるべきことを明確に記載すれば書式は自由です