ガバナンスとは? コーポレートガバナンスの概要、メリットやデメリットなどについて

組織を管理する上でよく耳にするガバナンスの意味について、知っているでしょうか。コガバナンスについて、コーポレートガバナンスの概要、メリットやデメリットなどから解説します。

1.ガバナンスとは?

ガバナンス(Governance)とは、日本語で統治や支配、管理またそのための機構や方法といった意味を持ち、主に国をまとめ上げて治めるといった意味で使われます。ビジネスシーンでは主に、企業自身が企業を管理するという意味で使われているのです。

コンプライアンスのためのガバナンス

ガバナンスをする目的および理由は、コンプライアンスのためです。それはガバナンスの「支配する、統治する」という元々の意味に、「法令に従うだけでなく、社会や道徳に従うために支配する、統治する」という意味も含まれているという点にあります。

コンプライアンスのためのガバナンス、といわれる理由はこのためです。

コンプライアンスとは?

コンプライアンス(compliance)は、日本語訳で「追従、応諾、即応」などの意味を持ちます。ビジネス用語では「法令遵守」と訳され、その内容は「法律や道徳、習慣を守り従うこと」という意味を含みます。

企業は、一般職員や役員による横領や粉飾決算など法律違反が発生しないよう、管理体制を整えており、それをコンプライアンスと呼ぶのです。

ガバナンスとの違い

コンプライアンスは企業が法令に「従う」ことで、一方のガバナンスは企業が企業自身を「支配する」ことです。

このように2つは真逆の意味となります。言い方を変えれば、ガバナンスはコンプライアンスを改善、維持するための管理体制といえるでしょう。

ガバナンスとコンプライアンスが必要な理由

「経営陣はガバナンスを強化する必要がある」「コンプライアンス意識が低い」などと、ガバナンスとコンプライアンスという言葉は、昨今のビジネスシーンで頻繁に使われています。ガバナンスとコンプライアンスが必要な理由を3つ紹介しましょう。

  1. 情報価値の向上
  2. 企業内の可視化
  3. 企業価値が高まる

①情報価値の向上

現代社会は情報化が進展しています。こうした情報化社会では顧客情報や製品情報など情報の価値が上がるのです。

この膨大な情報を管理し、それを意識化するため2つの言葉が必要になりました。たとえば顧客情報が外部に流出したとなれば、「重大なコンプライアンス違反を犯した企業」となり、社会の信用を落とすでしょう。

②企業内の可視化

情報化社会は、インターネットを介して誰もがかんたんにどこからでも情報を発信できます。ブログやTwitter、Facebookなどは誰でも容易に開設できるため、世界中に多種多様な情報があふれているのです。

それは個人間にとどまりません。社員は、会社の情報を世界中に発信できるのです。2つは情報と社員を管理するために必要な言葉でしょう。

③企業価値が高まる

情報の流出など、情報化社会は決してマイナス面だけではなく、優良企業の情報も世間に広まりやすくなるというメリットも持ちます。

ガバナンスを徹底して優れた企業と社会で認知されれば、生産性の向上、売り上げ、利益もアップし企業価値が高まるでしょう。経営状況がよい優良企業と判断されれば、金融機関からの融資も受けやすくなります。

情報化が進み社会が多様化する現代、企業は積極的なガバナンス、コンプライアンスの強化が求められています

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2.ビジネスで使われるガバナンス

ガバナンスは統治、管理といった意味で使われていますが、ビジネスシーンでは「コーポレートガバナンス」の意味で企業の管理体制、内部統制を示す言葉として使われているのです。ビジネスで使われるガバナンスを説明しましょう。

管理・内部統制を強化する〈ガバナンス強化〉

「ガバナンスを強化する」「企業においてガバナンス強化を図る」など、ガバナンスは、強化という言葉とセットで使用される場合が多いです。

ガバナンスを強化するというのは、管理体制、内部統制を強化するという意味で、企業が組織のあり方を見直す、不正防止を徹底するなどの内容が含まれます。企業がクリーンなイメージをアピールする方法でもあるのです。

ガバナンスが効いている状態

「ガバナンスが効いている状態」は、企業の管理体制が徹底していて、内部統制がしっかり取れているという意味です。
「ガバナンスが効いていない」というのは、管理体制が取れていない、経営の方向性が常にブレているなど内部統制の運用が適切に行われていない状況になります。ガバナンスが効いていない状況は、経営上の問題になるのです。

コーポレートガバナンス

コーポレートガバナンス(corporate governance)は、企業統治という意味です。「会社は経営者のものではなく、資本を投下している株主のもの」という考え方に基づき、企業経営を監視する仕組みのこと。

たとえば取締役と執行役の分離、社外取締役の設置、社内規則の明確化などがあり、「コーポレートガバナンスは保たれている」などのように使われます。

上場企業では当たり前

コーポレートガバナンスは、上場企業では当然のように実施されています。

なぜなら上場企業は、証券取引所が定める適時開示制度の一貫として求められる「コーポレートガバナンスなどに関する報告書」を提出する必要があるからです。そのため企業統治体制を整える必要があります。

上場していない中小企業の場合、コーポレートガバナンスの必要性は低いです。

会社の統制・監視規則〈ガバナンスコード〉

ガバナンスコード(コーポレートガバナンスコード)とは、利害関係者による企業に対する統治、監視を行うための指針をまとめたもので、金融庁と東京証券取引所が作成しました。

5つの基本原則、30個の原則、38個補充原則から構成されており、上場企業はこのガバナンスコードを基準にしてコーポレートガバナンスを実施しているのです。

グローバル・ガバナンス

グローバルガバナンスとは、さまざまな国際機関や国家などが協働で、世界で起こるさまざまな問題に対処していくための統治や運営能力のこと。

テロ問題や難民問題、地球環境問題など1つの国では解決できない問題に対して、共通のルールを運用して解決するのです。そうした組織を示す言葉というよりも、その活動を評価、判断する基準として捉えられています。

ビジネスでは、コーポレートガバナンス(企業統治)の意味として使われています。上場企業では当然のように実施されているのです

3.コーポレートガバナンスの概要

コーポレートガバナンスには企業統治という意味があり、上場企業では当然に実施され、近年は中小企業も求められるようになりました。コーポレートガバナンスでは、具体的にどのようにして企業をコントロールするのか、解説します。

基本方針は最初に記載

コーポレートガバナンスは、企業が独自にガイドラインを策定して実施するのです。通常、ガイドラインの最初にコーポレートガバナンスの基本方針について記載しますが、企業によって記載する内容、体裁は異なります。

日本取締役協会が公表している基本方針のモデルは、コーポレートガバナンスコードに示されている5つの基本方針に対応した5項目です。

記載するべき項目

コーポレートガバナンスコードは全73個の原則で構成されており、下記などについて開示すべきであると規定しています。

  • 政策保有株式
  • 関連当事者間の取引
  • 企業年金のアセットオーナーとしての機能発揮
  • 情報開示の充実
  • 経営陣に対する委任の範囲
  • 独立社外取締役の独立性判断基準および資質
  • 取締役会の全体としての知識、経験、能力のバランス、多様性および規模に関する考え方

記載を検討する項目

コーポレートガバナンスコードによる規定はありませんが、ガイドラインへの記載を検討する項目があります。たとえば下記のようなものです。

取締役会議長の条件:取締役会議長は経営責任者が兼任できないことを明記するとよい

社外役員の任期…独立社外取締役の任期について規定されていないが、ガイドライン策定する際の検討項目とするとよい

コーポレートガバナンスは、企業が独自にガイドラインを策定するため、企業によって内容が異なります

4.コーポレートガバナンスのメリット

上場企業は当然のように実施されているコーポレートガバナンスには、4つのメリットがあります。これらについて詳しく解説しましょう。

  1. 株主が安心して投資できる
  2. 企業価値が高くなる
  3. 企業側の不正を防止できる
  4. 財務強化

①株主が安心して投資できる

コーポレートガバナンスに取り組んでいる企業は、健全な経営が行われており、企業の私物化や不正の心配がないため、株主は安心して投資できるのです。

株価の上昇は、企業価値が高い優良企業として社会的に認知されていることでもあります。株価は企業側にとっても企業の将来を判断する材料にもなるので、金融機関からの融資を受けやすくなるのです。

②企業価値が高くなる

コーポレートガバナンスを強化すると、法律や規則、倫理をしっかりと守る企業と認知されるため、社会的信用が向上し、優良企業として成長し続けられます。

また企業価値が高いと社会における企業への評価も高まるため、営業利益も上昇しやすくなるのです。事業成長を続け、企業の規模を拡大していくことも可能でしょう。

③企業側の不正を防止できる

企業の管理体制が徹底され、しっかり内部統制されている企業経営が行われていれば、企業内部の不正を防止できます。バブルの崩壊後に相次いだ企業の不祥事は、株主や顧客、社員などに大きな損失をもたらしました。

組織内部の腐敗、企業の私物化、不正会計などはコーポレートガバナンスの強化によって改善されます。

④財務強化

企業が規模を拡大し成長し続けるには、現在の経営体制に見合った融資や出資を受けることが必要です。金融機関からの融資を受ける際、コーポレートガバナンスに則った情報開示は信用性が高く、有利になる可能性が高まるでしょう。

適正に評価されるためには、事業の状況などを透明性の高い情報として可視化することが重要です。

コーポレートガバナンスは企業の不正防止になります。社会的に優良企業として認知されると、企業価値も高くなるでしょう

5.コーポレートガバナンスのデメリット

コーポレートガバナンスには、以下のような4つのデメリットがあります。

  1. 企業活動が円滑に行えない
  2. オーナー企業では適正に機能しない
  3. 会社の成長を妨げる
  4. ビジネスチャンスを逃す

①企業活動が円滑に行えない

コーポレートガバナンスが働いていると、経営が効率よく動いていても監視側が何か問題があると判断した場合、進めている事業がストップさせられてしまいます。つまり企業活動が円滑に行えない恐れがあるのです。

またステークホルダーに合わせた経営になるため、目先の利益を求めて、利益優先の企業活動になってしまいます。

②オーナー企業では適正に機能しない

株主が社長をつとめるオーナー企業では、コーポレートガバナンスが適正に機能しない恐れがあります。

株主が経営者の一族などファミリー企業の場合、取締役や社外のステークホルダー(株主、顧客、社員など)が経営陣の体制を監視するといった適切な企業統治が必要です。

しかしオーナー企業で適正にコーポレートガバナンスを機能させるのは、難しいといえます。

③会社の成長を妨げる

コーポレートガバナンスでは、ステークホルダーの利益が重要事項とされています。そのため株主や企業外部のステークホルダーは、目先の利益を求めてしまう場合があるのです。

その際経営陣は、新規事業や事業再編など長期的な経営戦略の実行が難しくなります。結果、会社の成長を妨げてしまうのです。

④ビジネスチャンスを逃す

コーポレートガバナンスコードに則って運営している企業は、取締役による、企業戦略の方向性などを明確にした「中長期経営戦略」の提示が求められます。

しかしこのステップを通過している間に、大きなビジネスチャンスを逃してしまう場合もあるのです。

コーポレートガバナンスのデメリットは、「企業活動が円滑に行えない」「オーナー企業では適正に機能しない」「会社の成長を妨げる」「ビジネスチャンスを逃す」の4つです

6.ガバナンスを使うときの注意点

ガバナンスは企業のクリーンなイメージをアピールする効果もあります。社会的に優良企業と認知されれば、企業価値も高くなり経営は上昇するでしょう。しかしガバナンスを使う際には、注意点があるのです。

カタカナを多用しない

ガバナンス同様、ビジネス用語にはカタカナ語が非常に多く使用されています。たとえばアウトソーシング、イニシアチブ、イノセント、エビデンス、コミット、ジョインなど。

カタカナ語を使用し過ぎる議論、会話は、分かりにくさを助長します。本来伝えたい内容が相手に伝わらず、コミュニケーションが阻害される恐れもあるでしょう。

言葉の意味を理解して使う

ガバナンスは、日本語訳とほぼ同じ意味合いで使われていますが、ビジネス用語やカタカナ語は語源となる英単語とは違った意味合いで使われている場合も多々あります。

ビジネス用語はメディアでも多用されており見聞きする場合も多く、分かったつもりになりがちです。言葉の意味をきちんと理解した上で使用しましょう。

伝わりやすい言葉で

頻繁に耳にするビジネス用語でも、ほかの言葉で言い換えたほうが伝わりやすいのであればできるだけ言い換えましょう。たとえばガバナンスは企業統治、アサインであれば任命、アジェンダは議題など。

無理してカタカナ語で説明するより、スムーズに内容が伝達できる可能性は高いです。また分かりやすい言葉は相手によい印象を与えます。

多用されているビジネス用語、カタカナ用語は意味を理解して使用することが大切です。言い換えたほうが伝わりやすい場合もあります

7.ガバナンスで大切なこと

企業の不祥事は企業価値が下がり社会的な信用まで失ってしまいます。このような事態にならないためにも、ガバナンスの強化は重要です。昨今、中小企業にも求められるコーポレートガバナンス体制の重要性を説明しましょう。

コーポレートガバナンス体制にする

コーポレートガバナンスは、企業の不祥事を防ぐ、企業価値を高めるといった目的を持ちます。

非上場企業はこれまで、コーポレートガバナンスの必要性は少ないとされてきました。しかし昨今はファミリー企業の不正問題など、企業に対する社会の目も厳しくなっており、コーポレートガバナンス体制が必要になりつつあるのです。

日本社会で生き残っていくには、中小企業でもコーポレートガバナンス体制が必要とされています