みなし大企業とは?【定義や補助金をわかりやすく解説】

みなし大企業とは、大企業の傘下にある中小企業のことです。ここでは、みなし大企業についてさまざまなポイントから解説します。

1.みなし大企業とは?

みなし大企業とは、

  • 企業規模は中小企業の定義に該当する企業
  • 親会社である大企業の傘下にある企業

です。

2019年度の税制改正案の中にある「租税特別措置法」における、みなし大企業の定義は、資本金または出資金が1億円以下の法人であり、

  • 発行済み株式または出資の2分の1以上を同一の大規模法人に所有されている
  • 発行済み株式または出資の3分の2以上を大規模法人に所有されている

いずれかを満たす法人です。

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2.みなし大企業と大企業・中小企業の違い

みなし大企業と類似する言葉に、大企業と中小企業があります。ここでは、みなし大企業との違いについて解説します。

大企業の定義

一般的に大企業とは、

  • 多額の資本金を有している大規模な企業
  • 多くの従業員を雇用する大規模な企業

のことです。

また、大企業を「中小企業以外の企業」と定義する場合もあります。ただし、官庁が行う調査などで大企業といった場合、その多くは、「資本金3億円超の事業者等」といった定義が用いられています。

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中小企業の定義

中小企業の定義は、中小企業基本法の中で業種分類別に、資本と従業員数の違いによって定められています。

ここでは、

  • 製造業
  • 卸売業
  • 小売業
  • サービス業

について、中小企業の定義を解説します。

製造業

中小企基本法における中小企業の製造業の定義は、

  • 資本金の額又は出資の総額が3億円以下
  • 常時使用する従業員の数が300人以下

の企業です。

ここで言う「常時使用する従業員の数」とは、2か月を超えて雇用され、かつ、週当たりの所定労働時間がその企業の通常の従業員とおおむね同等である者のことを指します。

卸売業

中小企基本法における卸売業の中小企業の定義は、

  • 資本金の額又は出資の総額が1億円以下
  • 常時使用する従業員の数が100人以下

の企業です。

卸売業には、

  • 各種商品小売業
  • 繊維、衣料等卸売業
  • 飲食料品卸売業
  • 建築材料、鉱物金属材料等卸売業
  • 機械器具卸売業
  • そのほかの卸売業

などがあります。

小売業

中小企基本法における小売業の中小企業の定義は、

  • 資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下
  • 常時使用する従業員の数が50人以下

の企業です。

小売業には、

  • 各種商品小売業
  • 織物、衣服、身の回り品小売業
  • 飲食料品小売業
  • 無店舗小売業
  • 飲食店
  • 持ち帰り、配達飲食サービス業

などがあります。

サービス業

中小企基本法におけるサービス業におけるサービス業の中小企業の定義は、

  • 資本金の額又は出資の総額が5,000万円以下
  • 常時使用する従業員の数が100人以下

の企業です。

サービス業には、

  • 放送業や広告制作業、情報サービス業などの情報通信業
  • 駐車場業などの不動産業、物品賃貸業
  • 学術研究、専門技術サービス業
  • 宿泊業、飲食サービス業

などがあります。

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3.2019年税制改正によるみなし大企業範囲の見直し

2019年税制改正によって、みなし大企業範囲の見直しが行われました。ここでは、

  • 改正による影響
  • 税制優遇の対象外

といった2019年税制改正によって見直されたポイントをとりあげ、簡単に解説します。

改正による影響

2019年税制改正による影響は、大法人に間接保有されている法人なども中小企業から除外され、みなし大企業に該当するようになったことです。

たとえば、B社が、

  • 大法人の100%子法人
  • 大規模法人

であると、B社が発行済株式等の60%を所有しているA社は、中小企業であったとしてもみなし大企業に該当することになります。

税制優遇の対象外に

2019年税制改正では、みなし大企業は税制優遇の対象外になることが決まりました。つまり、中小企業を支援するための公的助成金の対象から外されてしまうことになります。

大規模法人の孫会社などがみなし大企業となった場合、中小企業関連税制の適用対象外となれば、「少額減価償却資産の損金算入」の適用外になるなど税制上不利になると考えられます。

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4.みなし大企業であることのメリット

みなし大企業であることにはメリットがあります。ここでは、みなし大企業のメリットを4点あげて簡単に解説します。

身軽である

みなし大企業であることのひとつ目のメリットは、身軽であることです。規模が小さいみなし大企業であるほど、

  • 意思決定のスピードが速い
  • 若い社員にも第一線で活躍できる場がある
  • 環境の変化に対し迅速な対応ができる
  • 複数の役員に稟議をとおす必要もなく、大企業に見られる堅苦しさがない

といった身軽さを売りにできます

きめ細やかな対応ができる

みなし大企業であることのふたつ目のメリットは、きめ細やかな対応ができることです。規模が小さいみなし大企業であれば、

  • 意思決定のスピードが速い
  • 組織として小回りがきく

という特徴があるため、顧客の要望に沿ったきめ細やかな対応ができます。顧客本位のサービスの提供が可能なことは、中小企業のメリットのひとつです。

減税措置がある

みなし大企業であることの3つ目のメリットは、減税措置があることです。中小企業であれば、

  • 法人税の軽減措置
  • 外形標準課税の対象外措置

といった税制措置を享受できます。

たとえば、中小企業者等の法人税率は、所得金額が年800万円以下であれば、19%に軽減されるといった措置を受けることもできます。

財政基盤が安定している

みなし大企業であることの4つ目のメリットは、財政基盤が安定していることです。みなし大企業は中小企業でありながら大企業から出資を受けます。そのため、中小企業に分類されている一般的な中小企業と比較した場合、資本の面で余裕があると言えます。

一般的な中小企業より財政基盤が盤石であることは、みなし大企業の大きなメリットです。

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5.みなし大企業であることのデメリット

みなし大企業であることのデメリットもあります。ここでは、みなし大企業のデメリットを3点あげて簡単に解説します。

親会社に追従しなくてはならない

みなし大企業であることのひとつ目のデメリットは、親会社に追従しなくてはならないことです。

みなし大企業には親会社があります。

  • 見なし大企業の経営方針は、親会社の方針に従うことになる
  • 新規事業の立ち上げなど新たなチャレンジをみなし大企業の内部だけで進められない

など、親会社に追従しなければなりません。

親会社の不祥事が影響する

みなし大企業であることのふたつ目のデメリットは、親会社の不祥事が影響することです。親会社と一体に見られるため、

  • 親会社が不祥事を起こした場合、風評被害を受けたり売上が低迷したりビジネス的な影響を受ける
  • 親会社がとった経営判断により、吸収合併や企業の売却といった事態が起きる

といったリスクを抱えます。

受けられない助成金・補助金がある

みなし大企業であることの3番目のデメリットは、助成金や補助金といった公的支援が受けられない場合があることです。

たとえば、中小企業の自社開発支援のための助成金や補助金は、みなし大企業に該当する中小企業は受けられません。親会社の支援が期待できるからです。

募集要項の中に「みなし大企業を除く」と明記している場合も多く見られます。

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6.みなし大企業でも受けられる助成金

みなし大企業でも受けられる助成金があります。ここでは、みなし大企業でも受けられる助成金を5種類あげて解説します。

職場定着支援助成金

みなし大企業でも受けられるひとつ目の助成金は、職場定着支援助成金です。職場定着支援助成金とは、雇用管理の改善により、魅力的な職場作りと従業員の離職率低下に取り組む事業主を支援するための助成金です。

  • 雇用管理の改善を行う事業主に支給される「個別企業助成コース」
  • 事業者の組合などに支給される「中小企業団体助成コース」

があります。

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トライアル雇用助成金

みなし大企業でも受けられるふたつ目の助成金は、トライアル雇用助成金です。トライアル雇用助成金とは、就職が難しい求職者に対し

  • 早期に就職できる機会を与える
  • 試用期間を設定して採用し、雇用のミスマッチを防ぐ

ことを目的とした助成金です。企業は助成金の支給を受けながら、3か月間の試用期間として雇用ができます。

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雇用調整助成金

みなし大企業でも受けられる3番目の助成金は、雇用調整助成金です。雇用調整助成金は、新型コロナウイルス感染症の影響で事業活動の縮小を余儀なくされた事業主に支給される助成金です。

従業員の雇用維持を目的として、労使間の協定に基づいた休業や出向などの雇用調整を実施した場合、休業手当の一部が支給されます。

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三年以内既卒者等採用定着奨励金

みなし大企業でも受けられる4番目の助成金は、三年以内既卒者等採用定着奨励金です。三年以内既卒者等採用定着奨励金とは、

  • 既卒者
  • 中退者

の応募機会拡大を目的とした助成金です。

  • 卒業後3年以内の既卒者などが応募できる求人申込みや募集を新たに行った
  • 当該採用後一定期間定着させた

という事業主に対し、奨励金が支給されます。

特定求職者雇用開発助成金

みなし大企業でも受けられる5番目の助成金は、特定求職者雇用開発助成金です。特定求職者雇用開発助成金とは、

  • 60歳以上65歳未満の高年齢者
  • 障害者

などの就職困難者を継続雇用する事業主に対して支給される助成金です。継続雇用が確実であると認められることが条件になっており、支給額などは対象労働者によって設定されています。

特定求職者雇用開発助成金とは? 各コースの支給要件と支給額
特定求職者雇用開発助成金とは、厚生労働省から支給される助成金のひとつです。その目的や各コースの支給要件と支給額、申請の流れや注意点、相談窓口などについて、詳しく解説します。 1.特定求職者雇用開発助...

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7.みなし大企業でも受けられる補助金

みなし大企業でも受けられる補助金があります。ここでは、みなし大企業でも受けられる3種類の補助金をあげて解説します。

IT導入補助金

みなし大企業でも受けられるひとつ目の補助金は、IT導入補助金です。IT導入補助金とは、中小企業や小規模事業者等が、課題やニーズにマッチしたITツールを導入した際に支給される補助金です。

ITツールとは、

  • パッケージソフトの本体費用
  • クラウドサービスの導入
  • 初期費用

などのことを指します。

事業承継補助金

みなし大企業でも受けられるふたつ目の補助金は、事業承継補助金です。事業継承補助金とは、

  • 事業承継
  • 事業再編、事業統合等などのM&A

をきっかけとした、

  • 経営革新等への挑戦
  • 経営資源の引継ぎ

を実施する中小企業者などを支援するための補助金です。

  • 補助率は2/3
  • 補助上限は400~800万円(上乗せ額200万円)

ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金

みなし大企業でも受けられる3番目の補助金は、ものづくり・商業・サービス経営力向上支援補助金です。

  • 中小企業
  • 小規模事業者

が、生産性向上のために実施する

  • 革新的サービス開発
  • 試作品開発
  • 生産プロセスの改善

のための設備投資などを支援する補助金です。

補助金は精算払いのため、

  • 資金繰り計画を作る
  • 費用の全額準備

が必要です。