大企業とは? 中小企業との違い、それぞれのメリット・デメリットについて

大企業の定義とは何でしょう。中小企業との違いやメリット、デメリット、学生が選ぶ大企業などを解説します。

1.大企業とは?

大企業とは、規模の大きな企業のこと。規模によって中小企業・零細企業といった分類になります。現在日本には、180万社前後の法人企業があるとされており、それらの規模は社員数や資本金で決まるのです。

大企業の定義とは?

大企業の定義とは、中小企業以外の企業です。大企業と零細企業に、社会的な取り決めはありません。中小企業に関してのみ、「中小企業基本法」の第2条第1項で、業種ごとに定義付けられているのです。

大企業は、中小企業基本法に定められた定義はありません。助成金の支給条件といった形で定義付けられているものの、一般的には中小企業以外の企業を大企業と呼ぶのです。中小企業の定義を裏返して、一定量以上の資本金や社員数を確保している企業が大企業といえます。

大企業の法律上の意味

企業に関する日本の法律には、会社法や中小企業基本法などがあります。しかし法律で定められているのは中小企業のみで、大企業の定義はありません。

中小企業基本法で定められている中小企業の条件は次のとおりで、この定義より規模が大きければ大企業であるといえます。

  • 製造業・建設業・運輸業など:資本金3億円以下、社員数300人以下
  • 卸売業:資本金1億円以下、社員数100人以下
  • サービス業:資本金5,000万円以下、社員数100人以下
  • 小売業:5,000万円以下、社員数50人以下

大企業に似ているけど違いはあるのか

大企業のように大きな規模の企業にさまざまな呼び方があり、それぞれ大企業との違いがあります。

  1. 大手企業
  2. 有名企業
  3. 上場企業

①大手企業とは?

大手企業とは、業界の中で規模や知名度、シェア率において上位に入る企業のこと。そのため「○○業界の大手」などといった呼び方をする場合も多々あります。

ただ大手企業に明確な基準や定義はありません。また中小企業以外に当てはまる大企業でも、業界のなかで知名度もなく順位も低い企業は大手企業と呼びません。

②有名企業とは?

有名企業は、多くの人が知っている企業のこと。大企業のように資本金の額や社員数は関係なく、知名度の高い企業はこれにあたります。そのため中小企業や零細企業でも、有名企業になる可能性は大いにあるのです。

有名企業は都心部だけではなく、全国にあります。また世界各国にも知名度の高い日本の有名企業が数多く存在しているのです。

③上場企業とは?

上場企業とは、株式を証券取引所で売買できる企業のこと。東京証券取引所で一部上場企業として上場するためには「株主数2,200人以上」「流通株式数2万単位以上」「時価総額250億円以上」「事業継続年数3年以上」などの基準をクリアする必要があるのです。

上場企業は、社会的信用の高い企業といわれます。2020年4月30日の上場企業数は、3713社です。

「業界中で規模と知名度の高い企業が大手企業」「多くの人が知っている企業が有名企業」「株式を証券取引所で売買できる企業が上場企業」となります

部下を育成し、目標を達成させる「1on1」とは?

・1on1の進め方がわかる
・部下と何を話せばいいのかわかる
・質の高いフィードバックのコツがわかる

効果的に行うための1on1シート付き解説資料をダウンロード⇒こちらから


【評価業務の「めんどうくさい」「時間がかかる」を一気に解決!】

評価システム「カオナビ」を使って評価業務の時間を1/10以下にした実績多数!!

●評価シートが自在につくれる
●相手によって見えてはいけないところは隠せる
●誰がどこまで進んだか一覧で見れる
●一度流れをつくれば半自動で運用できる
●全体のバランスを見て甘辛調整も可能

カオナビの資料を見てみたい

2.中小企業とは?

中小企業とは、経営規模が規定以内にある企業のこと。国内421万企業あるうち99.7%を占める、約419.8万社が中小企業です。中小企業のみ定義付けられており、業種ごとに決まっています。

中小企業の定義

中小企業は、中小企業庁により中小企業基本法で定義されており、業種ごとに次の条件によって中小企業、または小規模企業者であると定義されているのです。

  1. 製造業・建設業・運輸業・そのほかの業種…中小企業/資本金3億円以下、社員数300人以下 小規模企業/20人以下
  2. 卸売業…中小企業/資本金1億円以下、社員数100人以下 小規模企業/5人以下
  3. サービス業…中小企業/資本金5,000万円以下、社員数100人以下 小規模企業/5人以下
  4. 小売業…中小企業/5,000万円以下、社員数50人以下 小規模企業/5人以下

①製造業・建設業・運輸業・そのほかの業種

中小企業基本法の中小企業者の範囲は、個別の中小企業施策における基本的な政策対象の範囲を定めた「原則」です。よって各法律や支援制度における「中小企業者」の定義と異なる場合もあります。

中小企業基本法上の「製造業・建設業・運輸業・そのほかの業種」のうち、どの業種に分類するかを判断するには、日本標準産業分類から確認するのです。

②卸売業

卸売業とは、商品流通部門の重要な機能分野で、消費者に直接商品を販売する小売業以外の物品販売業のこと。一般的には、価格の決定や需要の安定、金融の円滑化といった役割を果たすとされています。

近年、情報化が発達して、メーカーや卸売業、小売業および物流業の間で情報ネットワークが構築されました。よって卸業者の業務内容も変化しているのです。

③サービス業

サービス業とは、お客さまに対してサービスを提供する業種のこと。サービスの提供によって、効果や効用、満足感といった形の無い材を提供して対価を得るのです。サービス業は、下記のような職場が当てはまります。

  • 飲食店
  • 宿泊施設
  • 遊園地といった娯楽施設
  • 美容理容店
  • 修理業
  • レンタル業
  • 情報提供サービス業

④小売業

小売業とは、個人用または家庭用消費のために商品を仕入れ、最終消費者に商品を販売する事業のこと。小売業の主な業態は、以下のとおりです。

  • 店頭販売
  • 店舗販売
  • 通信販売
  • ネット販売
  • 訪問販売

ただかばんや靴などを製造して販売している会社が、自社で製造して直販する場合、製造業になります。

中小企業とは、経営規模が規定以内にある企業のことです。国内421万企業あるうち、99.7%を中小企業が占めています

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

3.大企業と中小企業のメリットや違い

大手企業が持つメリットは下記のとおりです。それぞれについて解説しましょう。

  1. 福利厚生
  2. ネームバリューや社会的信用
  3. 会社の将来性や安定性
  4. 給与(ボーナス・昇給を含む)や昇進
  5. 労働時間・休暇制度
  6. そのほか

①福利厚生

福利厚生とは、年金や保険制度、通勤費や住宅手当、財形貯蓄制度などのこと。大企業の福利厚生は、充実している傾向にあります。

「社宅の完備」「公的試験取得や通信教育などの支援」「ワークライフバランスへの取り組み」といった、社員の働きやすさを高めている企業が多いといわれているのです。

②ネームバリューや社会的信用

大企業は、誰でも知っているという会社のネームバリューがあるため、以下のような理由で社会的信用度が高いといえます。

  • 「大企業で働いている」と社名を名乗るだけで、社外の人から社会的にも個人的にも信頼を得られやすい傾向にある
  • 「有名な大企業なら業績も良く、将来的にも安心」といったイメージが広く浸透しているので、社会的信頼が高い

③会社の将来性や安定性

会社の将来性や安定性については以下のような理由から、大企業の信頼性は高いといえます。

  • ネームバリューがあるため顧客から信頼も得られやすく、取り引き先やクライアントとの交渉でも契約が成立しやすい
  • 世の中が不景気でも倒産しにくいため、安定したビジネスライフを送りながら将来性が望める

④給与(ボーナス・昇給を含む)や昇進

大企業には、下記のような特徴があります。

  • 手当の種類が多く、賞与などの制度も整っているため、給与も年収も一般的に高く設定されている
  • 給与査定の基準が明確
  • 定年時の退職金制度の規定がしっかり設けられている

社員の多さから昇進の競争率が高くなります。

⑤労働時間・休暇制度

大企業は、労働時間に関して次のような特徴があります。

  • 労働時間を適正なレベルに保つため、労働時間や休憩時間について細かいルールを整備している
  • 心も体も積極的にリフレッシュさせるために、全社員が定期的に長期休暇を取れるようにさまざまな休暇を設けている

また大企業では36協定で定められる「時間外労働の上限規制」がすでに適用されており、2020年4⽉から中小企業でも適用開始されました。

⑥そのほか

大企業は、以下のように教育や研修制度が充実しています。

  • 公的資格取得の研修や自己啓発セミナーの実施
  • 社員個人に合わせた教育プログラムで、ビジネスマナーから専門的な知識までを研修
  • 新卒社員を一から人材育成できる環境の整備
  • 社宅や家賃補助、産休や育休、介護休暇といった福利厚生が充実

大企業は社会的信頼も高く安定しているため、福利厚生や給与も充実しています。さまざまなメリットが得られるのです

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

4.大企業と中小企業それぞれのデメリット

大企業と中小企業、それぞれで待遇や環境などにデメリットがあります。一体どんな内容なのか、解説しましょう。

大企業のデメリット

大企業のデメリットは、下記のとおりです。

  • 転勤の可能性が高い
  • 考えが古い、業務が保守的でチャレンジしにくい
  • 無駄が多い
  • 社員数が多く出世しづらい
  • 社員数が多く人間関係に苦労する、誰がどんな仕事をしているのかわからない
  • ひとつのことをするのに申請・承認が多過ぎる
  • 決裁に時間がかかる

大企業は規模が大きいため、国内・海外にたくさんの事業所があります。そのため転勤や異動の可能性が高くなるでしょう。組織が大きくなるとアイデアを自由に出しにくく、また意見もとおりにくくなるので、仕事への物足りなさを実感するかもしれません。

中小企業のデメリット

中小企業のデメリットは、下記のとおりです。

  • 大企業に比べると給与やボーナスが少ない
  • 大企業に比べて福利厚生が整備されていない場合も
  • 会社の安定性や将来性に不安がある
  • コンプライアンス意識が低い企業では、労働環境が悪い
  • 残業が多く、労働時間が長い
  • 休暇制度が充実していない
  • 社長がワンマン過ぎる
  • 圧倒的に人手が足りない

社員数が少なく、人間関係が濃密になるのも善し悪しがあるようです。配置転換も大企業ほどは望めません。

大企業は国内外へ転勤になる可能性が高い点、中小企業は会社の安定性が不安で自分の将来設計を立てにくい点がデメリットです

Excel、紙の評価シートを豊富なテンプレートで楽々クラウド化。
人事評価システム「カオナビ」で時間が掛かっていた人事業務を解決!
【公式】https://www.kaonavi.jp にアクセスしてPDFを無料ダウンロード

5.学生が選ぶ大企業とは?

キャリアセンターにアンケートを実施し、「学生に勧めたい大手企業」を選んでもらったところ、上位3社に以下のような企業が名を連ねました。

  • 全日空
  • JR東日本
  • 日本航空

就活は大学3年生から本格化

大学生の場合、3年生の3月に企業の広報活動が解禁になり、4年生の6月から選考がスタートするのです。近年、売り手市場が続き、また少子化もあって学生は企業を選べる環境にあります。

ここ数年、学部卒業生の平均実就職率はほぼ9割で、8年連続で伸びているのです。大学側が早い時期からキャリア教育、学生への企業紹介など、就職支援に力を入れているのも就職率アップに関係しているのでしょう。

将来性を考えて社員を大事にしている企業が人気

学生が大企業を選ぶ理由は、次のとおりです。

  • 安定している…26%
  • 将来性がある…24%
  • 社員を大事にしている…23.3%

「社員を大事にしている」の回答には「リストラをしない」「労働環境が良い」といった内容が含まれていると考えられます。2020年卒生の人気企業上位5社は、次のとおりです。

  • 全日空(ANA)
  • 伊藤忠商事
  • 東日本旅客鉄道(JR東日本)
  • 大和証券グループ
  • 明治グループ(明治・MeijiSeika ファルム)

大学生の就職人気ランキングは毎年、大企業が上位を占めています。大学生の就活は3年生から本格的に始動するのです