コンコルド効果とは? 身近な例、対策、サンクコストを解説

コンコルド効果とは、投資を継続すると損失が出ると分かっていながら、投資した分を惜しみ、投資を継続してしまう心理的傾向のこと。ここでは、コンコルド効果の詳細について解説します。

1.コンコルド効果とは?

コンコルド効果(Concorde Effect)とは、このまま投資を進めると損失が出ると分かっていても、これまでに投資した分を惜しみ、ついつい投資を継続してしまう心理的傾向のこと

ファイナンスや経済学でもよく使用されている用語で、別名、「サンクコストバイアス」ともいいます。先入観などから判断が歪められることを「認知バイアス」といい、コンコルド効果もその一種なのです。

コンコルド効果とは、投資継続で損失が出ると分かっていながら、投資分を惜しみ、つい継続してしまう心理的傾向のことです

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2.コンコルド効果の由来

コンコルド効果という名称は、過去に英仏で共同開発が進められた超音波旅客機コンコルドから来ています。

コンコルドは赤字になると見込まれていたにもかかわらず、開発が進められました。しかし、その負債の大きさから開発は中止に追い込まれ、さらに開発会社は倒産したのです。また、商業的にも成功する見込みのないまま、2000年まで運航は継続されました。

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3.コンコルド効果とサンクコスト

サンクコストとは、経済行為を中止、撤廃など、どんな策を尽くしても回収できない費用のこと。経済学の概念で埋没費用と訳され、個人の株式投資や企業の新規プロジェクトなどにおいて、継続や中止を判断する際の材料となります。

それまでに費やした資金や時間などを惜しんで事業を継続すると、損失が拡大する可能性があることから、事業継続の判断材料としてサンクコストを無視するのが合理的とされているのです。

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サンクコストとは、何をしても回収することのできない費用のこと。埋没費用ともいわれ、事業継続を判断する際の材料となります

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4.身近にあるコンコルド効果の事例

身近にあるコンコルド効果の事例を4つご紹介しましょう。

ギャンブル

コンコルド効果を最も理解しやすい例がパチンコなどのギャンブルです。返ってくる見込みが低いにもかかわらず、「これまで使った分を取り返そう」と躍起になってサンクコストを生み出してしまいます。

一発逆転はまれだと頭で分かっていながら、やめることができず、結果として大損してしまうのです。コンコルド効果の心理状態に陥ってしまうと、たとえば3万円で済んだはずの損失が4万円、5万円、またそれ以上に膨らんでいきます。

課金要素のあるゲーム

また、課金要素のあるゲームも同様です。「ガチャ」に象徴されるような課金要素の場合、ギャンブルと同じように「次は出るに違いない」という心理状態になり、サンクコストを増加させるのです。

課金要素のあるゲームは、多少興味が薄れてきてもそれまでに費やしたお金や時間などを考えると、やめるのはもったいないという心理が働くもの。ギャンブルと同様、これ以上お金や時間を費やしても不毛と分かっていながらやめられなくなるのです。

恋愛

恋愛におけるコンコルド効果とは、「この人と付き合っていてもダメだ」と分かっているにもかかわらず、これまでにかけた時間やお金のことを考えて、ずるずると関係を続けてしまい、次に踏み出せない状態となること。

また、全く脈がない相手に振り向いてもらうために、それまでかけた労力や時間などをもったいなく感じ、もう少ししたら振り向いてもらえるかもとアタックし続けることも恋愛におけるコンコルド効果といえます。

事業

事業におけるコンコルド効果とは、コンコルド効果の由来となったコンコルドのように、サンクコストが増加し、かつ回収できる見込みがないにもかかわらず、事業を拡大もしくは維持してしまうこと。

たとえば、社内で新規事業開発部門を立ち上げたとします。しかしなかなか収益が上がるプランができません。やがて成果のないまま終われないと部門を解散する機会を逸し、結果として会社のお荷物部門として扱われるようになってしまうのです。

「ギャンブル」「課金要素のあるゲーム」「恋愛」「事業」などが身近にあるコンコルド効果の典型です

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5.コンコルド効果の対応、対策、対処法

ここからは、コンコルド効果の対応、対策、対処法についてご紹介していきます。

損切り

ある時点で休止もしくは中止など損切りをすると、サンクコストの増加を防ぐことができます。これまでにかけた時間やお金を考えると踏み出しにくいですが、スパッと損切りをしたほうがよいでしょう。

自らがコンコルド効果に陥っていると気付いた時点で、これまで投資してきた分をすべて切り捨て、執着心なども断ち切ります。その決断に至るまでにはためらいもあると思いますが、一度脱却してしまえば、新たな一歩を踏み出せるでしょう。

ゼロベース思考

これまではこれまでとし、白紙から考える「ゼロベース思考」で捉えることも重要です。それにより過去を引きずることなく、現状からどうしようかと考えられるようになります。

たとえば、事業を継続しても採算が合わないことが判明したとします。しかし多額の資金や時間を費やしているため、進めざるを得ない状況でもあるのです。

こんなときゼロベース思考で捉えると、採算が合わないと分かっているのでサンクコストに縛られずに撤退するという判断ができます。

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限度を設定

サンクコストに縛られないためにも、限度を最初に設定しておきましょう。時間やお金に関して限度を設定し、どんな状態でも上限に達した時点でやめるようにするのです。

たとえばギャンブルであれば、「1万円の損失が出た時点でやめる」と決めておきます。これにより、「1万円も使ったからもったいない」というコンコルド効果を防止できるのです。

ビジネスも同様。予算やスケジュールをしっかりと決めておき、そこからぶれないよう管理しておきましょう。

ブレーンを側に置く

客観的に物事を見る立場のブレーンを設定することもコンコルド効果の抑止につながります。「もったいない」と考えてためらっても、第三者の客観的な視点から冷静に物事を見てもらえるのです。

自分は常に冷静だと思っていても、ギャンブルなどに没頭している際は、冷静さや理性が失われていることが多いもの。そんなとき、ブレーンによる的確な助言を受け入れると、冷静さを取り戻すことができます。

試算する

このまま進んだ場合、どの程度の損益が出るのかなどを試算することも重要です。それにより、「このまま進むとどのような状況になるか」が把握できるため、冷静になることができます。

コンコルド効果の由来となったコンコルドの事例では、このまま開発を続けても利益回収が見込めないというほど切迫した時点から、そのまま開発が続けられた場合の損失が試算されました。

しかし試算されてもなお、開発は中止されずさらなる損失を引き起こすことになったのです。

コンコルド効果の対策として、「損切り」「ゼロベース思考」「限度を設定する」「ブレーンを側に置く」「試算する」などが挙げられます

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6.認知バイアスとコンコルド効果

コンコルド効果は、認知社会学や社会心理学の理論である「認知バイアス」の一種です。コンコルド効果について深く理解する上で、認知バイアスと対策について知っておくとよいでしょう。

認知バイアスとは?

認知バイアスとは、何かを認識し、判断する際、これまで培った考え方や自分が持つ思考の癖などがよくない方向に働き、認知に歪みをもたらしてしまうこと。

人は元来、不必要なところでなるべく頭を使いたくないもの。そこで勘や経験を頼りに何かを選択した結果、多かれ少なかれ後悔した経験は誰にでもあるでしょう。

これは、人間が持つ認知の歪みによるものです。それによって合理的な決定や良い意思決定に結び付かないケースもあることを覚えておきましょう。

認知バイアスの対応、対処、対策法

認知バイアスを完全に防ぐことは非常に難しいとされています。なぜなら、経験値も含まれているので必ずしも間違っているとはいえないからです。ただし、認知バイアスの存在を認識すると、気付きを得たりそこから新たな対応策を見出しやすくなったりします。

さまざまなバイアスの存在を知っておくと、相手に対する見方や接し方を変えられるでしょう。それにより、新たな対人関係が構築できる可能性も高まります。

認知バイアスを完全に防ぐということは難しいです。しかし、認知バイアスの存在を認識しておくと、気付きや新たな対策を見出すことができます