EQ(心の知能指数)とは? 高め方と人材育成の方法、 高い人の特徴も紹介

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EQとは、自分の感情を理解し、適切に扱い、他者と良好な関係を築くための能力です。自分や他者の感情を理解し、適切に活用する能力ともいえるでしょう。

このスキルは生まれつきのものではなく、誰でもトレーニングによって高められます。EQを高めることは自分自身のビジネススキルを高めるだけでなく、企業の成長にも大きく貢献します。

この記事のポイント
EQ(Emotional Intelligence Quotient)は、感情を理解し、効果的に管理する能力を測る指標です。高いEQを持つ人は共感力や柔軟性に優れ、ストレス耐性も高く、感情の変化に適切に対応できます。
IQが主に知識や問題解決能力を測るのに対し、EQは後天的に高めることが可能です。
具体的な向上方法として、相手の話に耳を傾け、感情を言語化することや、感情の変化を理解することが挙げられます。

本記事では、EQの基本的な知識から、高めるための具体的な方法、さらにはEQの高い人材が組織にもたらす効果などについて詳しく紹介します。

1. EQ(心の知能指数)とは?

EQとは、「Emotional Intelligence Quotient(感情知能指数)」の略称で、「心の知能指数」を測る指標です。単に感情が豊かであることとは異なり、自分自身の感情を正確に認識し、管理し、活用する能力、そして他者の感情を理解し、共感する能力を指します。

この概念は、心理学者のジョン・メイヤーとピーター・サロベイによって提唱されました。その後、科学ジャーナリストであるダニエル・ゴールマンが著書『EQ こころの知能指数』でこの概念を世界に広め、一躍注目されるようになりました。

EQが高い人は、感情をコントロールして冷静な判断ができます。また、他者との円滑なコミュニケーションを築けるため、リーダーシップを発揮したり、チームの結束力を高めることに貢献します。

さらに、ストレス耐性も高い傾向にあります。困難な状況に直面しても感情に振り回されることなく、パフォーマンスを維持できるのです。


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2. EQの定義|IQ、EIとの違い

EQをより深く理解するためには、混同されやすい他の概念との違いを明確にすることが重要です。ここでは、EQとIQ、そしてEIとの違いについて解説します。

IQとの違い

IQは「Intelligence Quotient」の略称で「知能指数」を意味します。論理的思考力や問題解決能力、記憶力、計算能力といった、主に認知的な知性を測る指標です。学校のテストや資格試験などで測られる、いわゆる「頭の良さ」を数値化したものといえるでしょう。

一方、EQは、感情を理解し、適切に扱う能力です。

もしIQが「問題を解く能力」だとすれば、EQは「人と協力して問題を解決する能力」と言い換えられます。これは、どちらか一方が優れていれば良いというわけではありません。両方のバランスが取れていることが、ビジネスパーソンとして成功するために重要になってきます。

EIとの違い

EIは「Emotional Intelligence」の略称で、「感情的知性」のことです。EQの元となる概念であり、EQはEIを指標化したものになります。EIを構成する要素はEQと同じで、EIがどの程度備わっているかを測るためにEQが使われるのです。

つまり、EIとEQは本質的に同じ概念を指し、ほぼ同じ意味で使われることが多いと捉えてよいでしょう。

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3. EQを構成する要素

EQは単一の能力ではなく、複数の要素が組み合わさって構成されています。

ここでは、EQ研究の第一人者であるダニエル・ゴールマンと、EQの概念を最初に提唱したジョン・メイヤーとピーター・サロベイが定義したEQの構成要素について解説します。

5つの特性 (ダニエル・ゴールマン)

ダニエル・ゴールマンは、EQを以下の5つの主要な特性に分類しました。これらは、個人が感情を管理し、他者と円滑な関係を築くための基盤となる能力です。

  1. 自己認識
  2. 自己制御
  3. 動機付け
  4. 共感力
  5. ソーシャルスキル

5つの特性をそれぞれ詳しくみていきましょう。

① 自己認識

自己認識とは、自分の感情や思考、価値観、強み、弱みを正確に把握し、理解する能力です。これはEQの土台となる最も重要な要素といえるでしょう。自分の感情に気づくことは、感情をコントロールする第一歩になります。

たとえば、会議中にイライラしたときに「ああ、今自分はイライラしているな」と客観的に認識できる人は、その感情に振り回されることなく、冷静な対応がとれます。また、自分の強みや弱みを理解することで、無理のない目標設定ができ、他者に助けを求めることも容易となるでしょう。

② 自己制御

自己制御は、自分の感情や衝動をコントロールし、状況に応じて適切に行動する能力のことです。これは単に感情を抑え込むことではなく、感情のエネルギーをポジティブな方向へ向けることを意味します。

怒りの感情が湧き上がったときに、衝動的に相手を非難するのではなく、一度立ち止まって冷静になることができれば、不必要な衝突を避けられます。また、誘惑に負けず、目標達成のために粘り強く努力する力も自己制御に含まれます。

③ 動機づけ

動機づけとは、自分自身を鼓舞し、目標達成のために粘り強く行動する能力のことです。これは単なるやる気ではなく、成功への意欲や楽観性、失敗から立ち直るレジリエンス(精神的回復力)なども含まれます。

高い動機づけ能力を持つ人は、困難な状況に直面しても、それを乗り越えるための原動力を見つけ出せます。また、外部からの報酬に頼るだけでなく、内発的な動機に基づいて行動できるため、より高いパフォーマンスを発揮しやすいでしょう。

④ 共感力

共感力は、他者の感情や立場、考え方を理解し、思いやることができる能力です。言葉だけでなく、表情や声のトーン、しぐさから相手の感情を読み取ることも含まれます。

共感力が高い人は、相手の気持ちに寄り添ったコミュニケーションができるため、信頼関係を築きやすくなります。

また、チーム内で意見の対立が起きた際も、それぞれの立場を理解することで、建設的な解決策を導き出すことが可能になるでしょう。顧客対応においても、顧客の潜在的なニーズや不満を察知し、より質の高いサービスを提供できるようになります。

⑤ ソーシャルスキル

ソーシャルスキルとは、他者と円滑な人間関係を築き、協力して目標を達成する能力のことです。共感力に基づいて、実際に他者と関わり、影響を与え、良好な関係を維持するための実践的なスキルが含まれます。具体的には、効果的なコミュニケーション、交渉力、チームワーク、リーダーシップなどです。

ソーシャルスキルが高い人は、周りを巻き込み、協力を促すのが得意です。困難なプロジェクトでも、チームメンバーのモチベーションを高め、一体感を醸成することで、成功に導くことができるでしょう。

4つの特徴 (ジョン・メイヤーとピーター・サロベイ)

EQの概念を最初に提唱したジョン・メイヤーとピーター・サロベイは、EQを以下の4つの階層的な能力に分類しました。

  1. 感情の識別
  2. 感情の利用
  3. 感情の理解
  4. 感情の調整

EQの4つの特徴を詳しくみていきましょう。

① 感情の識別

感情の識別は、自分自身の感情や、他者の感情を正確に認識する能力です。表情や声のトーン、しぐさなどの非言語的な手がかりや、身体的な感覚を通じて、感情に気づくことを含みます。

この能力は、EQを構成する最も基礎的な部分であり、次のステップに進むための土台となります。

自分が今どのような感情を抱いているのか、目の前の人がどう感じているのかを正確に把握できなければ、感情を適切に利用したり、理解することはできません。

② 感情の利用

感情の利用とは、感情を思考や行動を促進するための情報として活用する能力です。感情は、単に受け身で感じるものではなく、物事を判断したり、創造性を高めるためのエネルギー源として利用できます。

たとえば、集中力が高まっているときにその感情を利用して難しいタスクに取り組んだり、ワクワクする気持ちを新しいアイデアを出すための原動力にできます。また、他者の感情を読み取って、コミュニケーションの方法を調整することも、この能力に含まれます。

③ 感情の理解

感情の理解とは、複雑な感情の動きや、その原因、結果を論理的に理解する能力です。ある感情がなぜ生じたのか、その感情が時間とともにどのように変化していくのか、複数の感情が同時に存在する場合にどうなるのか、といったことを深く考察する力といえるでしょう。

たとえば、誰かが怒っているときに、その背景に「悲しみ」や「失望」といった複雑な感情が隠れていることに気づける人は、感情の理解力が高いといえます。この能力によって、感情をより深く洞察し、より適切な対応をとることが可能になります。

④ 感情の調整

感情の調整とは、自分や他者の感情を適切に管理し、調整する能力です。感情をコントロールするだけでなく、感情を良い方向へ導くことも含みます。

自分自身の感情を調整する例として、ストレスを感じたときにリラックスする方法を見つけたり、落ち込んだときにポジティブな気持ちに切り替えることが挙げられます。

他者の感情を調整する例としては、不安を感じているチームメンバーを励まして安心させたり、対立している人たちの仲を取り持つことが挙げられるでしょう。

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4. EQがビジネスにもたらす効果

EQは、個人のみならず、企業や組織全体にも大きなメリットをもたらします。EQの高い人材が増えることで、企業文化の改善や、生産性・エンゲージメントの向上に期待できるでしょう。

ここでは、企業側と従業員側の両方にもたらされる効果について詳しく解説します。

EQが企業にもたらす効果

EQが企業にもたらす効果として、以下が挙げられます。

  • 早期退職やハラスメントの防止になる
  • 組織に自律性が生まれる
  • 生産性が高まる

早期退職やハラスメントの防止になる

EQが高い従業員は、自分の感情を適切にコントロールできるため、衝動的な言動や攻撃的な行動が減り、ハラスメントの発生リスクが低減します。また、他者への共感力が高いため、チーム内の対立を未然に防いだり、建設的な解決へと導くことが可能です。

これにより、職場の人間関係が改善され、従業員は安心して働くことができます。結果として、組織全体のストレスレベルが低下し、従業員のエンゲージメントと定着率が向上し、早期退職の防止につながるのです。

これは人材の採用・育成にかかるコスト削減にも直結する重要な効果といえます。

組織に自律性が生まれる

EQの高いメンバーが増えると、チーム内のコミュニケーションが円滑になり、メンバーがお互いの強みや弱みを理解し合えるようになります。

これにより、上司からの細かな指示がなくても、メンバー同士で協力し合い、自律的に課題を解決する組織文化が醸成されるでしょう。

一人ひとりが主体的に行動することで、指示待ちではなく、自ら考えて動く社員が増え、組織全体のスピード感と柔軟性が向上します。また、失敗を恐れず挑戦する風土が生まれ、イノベーションが促進される効果も期待できるでしょう。

生産性が高まる

EQの高い従業員は、チーム内のコミュニケーションを円滑にし、協力体制を強化することができます。情報の共有がスムーズになり、ミスの発生が減り、プロジェクトの進行が効率化されるでしょう。

また、EQの高いリーダーは、メンバー1人ひとりのモチベーションを理解し、適切な動機付けを行うことができるため、チーム全体のパフォーマンスを最大化できます。

従業員が精神的に安定し、モチベーション高く働ける環境は、結果として組織全体の生産性を高めるためにも有効です。

EQが従業員にもたらす効果

EQが従業員にもたらす効果としては、以下が挙げられます。

  • ホスピタリティが向上する
  • リーダーシップが高まる
  • ストレスを感じにくくなる

ホスピタリティが向上する

EQが高い従業員は、相手の感情やニーズを敏感に察知し、共感に基づいた行動がとれるため、顧客や取引先へのホスピタリティが向上します。これはサービス業や営業職に限らず、あらゆる職種において重要な能力です。

たとえば、EQが高い従業員は、顧客が言葉にしない潜在的な不満を察知し、先回りして解決策を提示したり、チームメンバーが抱える悩みに気づき、温かい言葉をかけることができます。

これにより、周囲との良好な人間関係を築き、より良いサービスや成果を生み出すことが可能になるでしょう。

リーダーシップが高まる

現代のリーダーシップは、単に権威や知識で人を動かすものではなく、メンバーの感情を理解し、モチベーションを高め、協力関係を築くことが不可欠です。

EQが高い人は、まさにこの現代的なリーダーシップに必要な能力を兼ね備えています

メンバーの個性や強みを活かし、それぞれの感情に寄り添うことが可能です。信頼できるリーダーがいる環境はメンバーにとっても安心でき、自発的に意見を出しやすくなったり、協力しやすい体制を構築できます。

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ストレスを感じにくくなる

EQが高い人は、自分の感情を客観的に捉え、コントロールする能力に優れているため、ストレスの原因となる出来事に直面しても、感情に振り回されることが少なくなります。

そのため、ストレスを感じたとしても、その感情を適切に認識し、発散したり、考え方を切り替えたりすることで、ストレスを溜め込みにくいのです。

これにより、精神的な安定が保たれ、仕事のパフォーマンスが低下するのを防げます。また、困難な状況でも冷静に対応できるため、プレッシャーのかかる場面でも力を発揮しやすくなるでしょう。

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5. EQを高める手順

EQは生まれつきの才能ではなく、トレーニングによって後天的に高めることができるスキルです。ここでは、EQを高めるための具体的な手順を、4つのステップに分けて解説します。

  1. EQについて理解する
  2. 自分のEQを知る
  3. 言語化の習慣を身につける
  4. 日々自分の感情や相手に寄り添う

① EQについて理解する

EQを高めるための第一歩は、EQがどのような能力で構成されているのかを正確に理解することです。EQの構成要素を知ることで、自分がどの能力を伸ばすべきか、どの能力が不足しているかがわかります。

まずはEQの概念を体系的に学び、日常生活の中でそれぞれの能力がどのように発揮されているかを意識してみましょう。

② 自分のEQを知る

次に、現状の自分のEQレベルを把握します。自分の強みや弱みを客観的に把握することで、効果的なトレーニングが可能になるでしょう。

自分のEQを測るには、自己評価式のEQ診断ツールや、専門機関による診断を活用するのが一般的です。自己評価を行う際は、後述する「7. EQの測定方法」で紹介したツールを使ってみるのがおすすめです。

ただし、自己評価には、無意識のバイアスが働く可能性があるため、完全に客観的な評価は難しいかもしれません。しかし、自分の現状を認識する第一歩としては非常に有効です。

③ 言語化の習慣を身につける

自分の感情を認識し、コントロールするためには、感情を言語化する習慣を身につけることが有効です。感情を言葉にすることで、曖昧だった感情がクリアになり、客観的に捉えられるようになります。

たとえば、「なんかイライラする」と感じたときに、「なぜイライラしているのか?」「何に不満を感じているのか?」を自問自答してみましょう。「今日中に終わらせたかった仕事が、Aさんの返信が遅くて進まないからイライラしているんだ」というように具体的に言葉にしてみるのです。

具体化することにより、単なる感情的な反応から、問題の原因を特定し、解決策を考える論理的な思考へと切り替えられます。感情を言語化する習慣を身につけるには、感情日記をつけたり、誰かに話したり、感情を書き出すワークを行ったりすることが効果的です。

④ 日々自分の感情や相手に寄り添う

EQは知識として理解するだけでなく、日々の実践を通じて身につけるものです。日常のあらゆる場面で、自分の感情や他者の感情に意識を向ける練習を繰り返しましょう。

たとえば、誰かと会話するときに、相手の表情や声のトーンから感情を読み取ろうと試みたり、相手の立場に立って物事を考えてみます。また、自分が特定の感情を感じたときに、その感情がどのような身体的な反応を伴うか、どのような思考を誘発するかを観察してみることもおすすめです。

このような地道な訓練を続けることで、感情への気づきが高まり、自然とEQが向上していくでしょう。

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6. EQの高い人材を育成する方法

企業が組織全体でEQを高めるためには、個人任せにするのではなく、組織的な育成プログラムを導入することが有効です。ここでは、企業がEQの高い人材を育成するための具体的な方法を紹介します。

EQ向上の研修を実施する

最も直接的な方法の一つが、EQ向上に特化した研修を実施することです。

研修では、EQの概念や構成要素を体系的に学ぶだけでなく、グループワークやロールプレイングを通じて、自己認識、共感、コミュニケーションなどのスキルを実践的に習得させることができます。

研修プログラムは、新入社員から管理職まで、階層別に内容を変えることが重要です。たとえば、管理職向けには、部下の感情を理解し、個別にモチベーションを引き出すコーチングスキルに焦点を当てた内容を盛り込むとよいでしょう。

これにより、組織全体のEQレベルを底上げすることが可能になります。

経営層に向けてコーチングする

組織のEQを高めるためには、経営層が率先してEQを実践することが不可欠です。トップがEQの重要性を理解し、自らの感情をコントロールし、従業員に共感を示すことで、組織全体にEQを重視する文化が浸透します。

そのためには、経営層向けのコーチングプログラムを導入し、自己認識や共感力、リーダーシップにおけるEQの活用法などを学ぶ機会を提供しましょう。

経営層のEQが高まることで、より従業員の意見に耳を傾け、心理的安全性の高い組織を築くことができます。

1on1でフィードバックを受ける

定期的な1on1ミーティングは、従業員のEQを高めるための貴重な機会です。上司は部下の行動や成果に対して、感情的な側面も踏まえたフィードバックを行うことで、部下の自己認識を深めるサポートができます。

たとえば、「あのプロジェクトの時、あなたは〇〇という困難な状況でも、冷静に△△という行動をとっていたね。その冷静さがチームを支えていたと思うよ」といった具体的なフィードバックは、部下が自身の強みや行動パターンを客観的に理解するのに役立ちます。

部下はフィードバックを受け入れる習慣を身につけることで、自己成長の機会として捉えることができるようになるでしょう。

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ストレスマネジメントを学ぶ

EQの構成要素である「感情の調整」を高めるためには、ストレスマネジメントを学ぶことが有効です。

ストレスは、感情を不安定にし、衝動的な行動を引き起こす原因となります。従業員が自身のストレスを適切に管理する術を身につけることは、EQ向上に直結します。

ストレスマネジメントの具体的な手法としては、マインドフルネス瞑想や、ストレスの原因と向き合うコーピング(対処法)、自分を客観視するためのジャーナリングなどがあります。

企業は、こうした手法を学べる研修やワークショップを提供し、従業員が心身ともに健康でいられるよう支援することが重要です。

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コミュニケーションスキルを高める

コミュニケーションスキルを高めることは、EQ向上に不可欠です。日々のコミュニケーションで、従業員に以下のポイントを意識させることも重要になります。

  • 相手の状況や感情を意識して話す
  • 傾聴する
  • 相手に伝わりやすい話し方を工夫する

日々の業務の中でこれらのポイントを意識することも大切ですが、企業として体系的な研修を提供することで、効率的に全従業員のコミュニケーションレベルを底上げできるでしょう。

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7. EQの測定方法

IQテストのように、EQを測定できるテストもあります。EQ診断テストは、質問形式で自己評価によりEQを測定する方法です。質問に回答することで、自己認識、自己制御、共感力、ソーシャルスキルといった各要素のレベルを数値化して把握できます。

たとえば、以下の診断ツールは、EQを世に広めたダニエル・ゴールマン博士が作成した10の問題からEQを手軽に診断できます。

参照:A Real Me「EQ測定

コンピテンシー診断から測定することも可能

自己評価式のEQ診断は、自分の主観が入りやすく、バイアスがかかる可能性があります。そこで、より客観的にEQを測定する方法として有効なのがコンピテンシー診断です。

コンピテンシーとは、高い成果を出す人材に共通して見られる行動特性や思考特性のこと。コンピテンシー診断は、個人の能力やスキルそのものではなく、実際の行動や成果に基づいた特性を評価します。

たとえば、以下のようなコンピテンシーはEQと関連性が高いといえるでしょう。

  • 協調性
  • 共感性
  • ストレス耐性
  • 自律性
  • 目標達成意欲

コンピテンシー診断を通じてこれらの項目を評価することで、実際の行動に基づいたEQレベルを客観的に測定できます。

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8. EQが高い人|10の特徴

EQが高い人は、ビジネスや人間関係において、優れたパフォーマンスを発揮します。このような人たちには、共通していくつかの特徴が見られます。

ここでは、EQが高い人の代表的な特徴を10個ご紹介していきましょう。

  1. 柔軟性がある
  2. 共感力が高い
  3. 傾聴力がある
  4. オン・オフの切り替えがうまい
  5. 完璧主義にならない
  6. 自分の強み・弱みを理解している
  7. 自発的に粘り強く行動できる
  8. 過去に囚われない
  9. ストレス耐性が高い
  10. 自分の感情をコントロールできる

① 柔軟性がある

EQが高い人は、予期せぬ変化や困難な状況に直面しても、感情的にならず、冷静に対応できます。計画通りにいかないときでも、その状況を「失敗」や「問題」として捉えるのではなく、「新たな課題」や「学びの機会」として受け入れられるのです

たとえば、プロジェクトの方向性が急に変更になったときでも、「なぜ変更されたのか」という背景を理解しようとし、すぐに新しい目標に向けて思考を切り替えることができます。

このように、完璧主義に陥らず、状況に合わせて思考や行動を切り替えるのが得意です。

② 共感力が高い

他者の感情や立場を深く理解できるため、相手の気持ちに寄り添ったコミュニケーションが可能です。EQが高い人は、相手の言葉だけでなく、表情や声のトーン、しぐさから感情を読み取ることに長けています

チームメンバーが落ち込んでいるときには、ただ励ますだけでなく、その原因を察知して「何かあった?もしよかったら話聞くよ」と声をかけることができるでしょう。

これにより、相手は「この人は自分のことを理解してくれている」と感じ、信頼関係を築きやすくなります。

③ 傾聴力がある

EQが高い人は相手の話をただ聞くだけでなく、言葉の裏にある感情や真の意図を汲み取ることが得意です。

たとえば、部下から「この仕事、ちょっと難しいです」といわれた際に、単に「手伝うよ」と答えるだけでなく、「もしかして、プレッシャーを感じているのかな?」「どんなところが難しいと感じる?」とさらに深く問いかけることができます。

これにより、相手は安心して話すことができ、本質的な問題解決につながりやすくなります。

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④ オン・オフの切り替えがうまい

EQが高い人は、仕事とプライベートの感情を適切に分離し、切り替えることができます。そのため、仕事でのストレスや不満を家に持ち帰ったり、逆にプライベートの悩みが仕事のパフォーマンスに悪影響を及ぼしたりすることが少ないでしょう。

また、就業後には趣味や運動に没頭するなど、意識的に気分転換を図る習慣を持っている傾向にあります。これにより、精神的な安定を保ち、心身ともに健康な状態を維持できているのです。

⑤ 完璧主義にならない

完璧を求めすぎると、小さなミスで落ち込んだり、ストレスを溜め込んだりしがちです。しかし、EQが高い人は、自分の弱みを理解しているため、できないことに対して素直に受け入れられる傾向にあります

これにより、不要なストレスを抱え込まず、目標達成のために前向きに取り組めるのです。また、他者に対しても完璧を求めないため、メンバーのミスを許容し、建設的なフィードバックを与えられます。

⑥ 自分の強み・弱みを理解している

EQが高い人は、自己認識力が高いため、自分自身の強みと弱みを正確に把握しています。これにより、強みを活かせる仕事を選んだり、苦手なことは他者の協力を得ることができます。

たとえば、データ分析は得意だが、人前で話すのは苦手だと自覚している人は、プレゼンテーションをするときに、得意なメンバーに協力を仰ぐことができるでしょう。無理にすべてを一人で抱え込もうとしないため、ストレスも少なく、効率的に成果を出せます。

⑦ 自発的に粘り強く行動できる

目標達成に向けて、外部からの報酬や指示に頼るだけでなく、内発的な動機に基づいて自発的に行動できます。EQが高い人は、たとえ困難に直面しても、それを乗り越えるための原動力を見つけ、諦めずに粘り強く取り組むのです

そのため、プロジェクトが難航したときでも、「これをやり遂げたら、チームの成長につながる」といったように、ポジティブな意味づけを行うことで、モチベーションを維持できます。

⑧ 過去に囚われない

EQが高い人は、過去の失敗やネガティブな経験を、いつまでも引きずらない傾向にあります。なぜなら、過去の出来事を冷静に分析し、反省すべき点は反省し、次に活かすべき点は学びとして捉え、すぐに気持ちを切り替えて前向きに行動できるからです。

これにより、新しい挑戦に対しても臆病にならず、成長を続けることができます。

⑨ ストレス耐性が高い

EQが高い人は、自分の感情を適切にコントロールし、ストレスの原因となる出来事から距離を置くことができるため、精神的な安定を保ちやすいです。また、ストレスを感じたときに、その感情を客観視し、適切に発散できるでしょう。

これにより、プレッシャーのかかる場面でも冷静さを保ち、最高のパフォーマンスを発揮できます。

⑩ 自分の感情をコントロールできる

EQが高い人は、怒りや悲しみ、不安といったネガティブな感情に振り回されにくいといった特徴もあります。感情を客観視し、理性的な判断に基づいて行動することができるため、感情的な対立が起こりやすい場面で特に強みを発揮できるでしょう。

たとえば、顧客からクレームを受けたときでも、感情的に反論するのではなく、まずは相手の不満を傾聴し、冷静に問題解決にあたることができます。

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9. 従業員自身でEQを高める方法

EQを高めるためのトレーニングは、従業員自身が日々の習慣として取り組むことも大切です。ここでは、個人で実践できるEQ向上法を3つ紹介します。

自分の感情を書き出して整理する

感情を認識し、客観視する訓練として、感情の書き出し(ジャーナリング)が有効です。日々の終わりに、その日経験した出来事や、その時に感じた感情を、ありのままに書き出してみましょう。

【例】

「午前中の会議で、自分の意見が却下されて悲しかった」
「上司から褒められて嬉しかった」
「通勤電車の遅延でイライラした」

上記のように具体的な出来事と感情をセットで記録していきます。これを続けることで、自分がどのような状況で特定の感情を抱くのか、感情のパターンやトリガーを客観的に把握できるようになるでしょう。

読書する

読書は、他者の感情や思考に触れることができる特別な機会です。とくに、小説や伝記、ノンフィクションなどは、登場人物の心の動きや葛藤、人生経験を追体験することで、共感力を養うのに役立ちます。

自分とは異なる価値観や文化を持つ人々の視点を知ることで、視野が広がり、他者への理解が深まるでしょう。また、感情を豊かに表現する文章に触れることで、自分の感情を言語化するヒントも得られます。

実践と内省を繰り返す

EQは、知識として知っているだけでは機能しません。実際に日々の生活や仕事の中で、学んだことを実践し、その結果を振り返る実践と内省のサイクルを回すことが重要です。

もし失敗したとしても、「なぜうまくいかなかったのか?」「次はどうすればいいか?」と改善点を考えることで、次の実践に活かすことができます。このサイクルを継続的に繰り返すことで、EQは着実に向上していくでしょう。

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10. まとめ|EQを高めて組織力・パフォーマンスもアップ

本記事では、EQ(心の知能指数)の基本的な概念から、ビジネスにおける重要性、そして具体的な高め方までを解説してきました。

EQとは、自分自身の感情を理解・管理し、他者と円滑な人間関係を築くための総合的な能力です。VUCA時代のように変化が激しく、正解がない現代において、EQは個人のキャリアを切り拓き、企業の競争力を高める上で不可欠なスキルといえるでしょう。

企業が従業員のEQ育成に取り組むことは、ハラスメントの防止、組織の自律性向上、そして生産性の向上といった、数多くのメリットをもたらします。また、従業員一人ひとりにとっても、ホスピタリティやリーダーシップの向上、ストレス耐性の強化といった、自己成長の機会につながります。

EQは生まれ持った才能ではなく、日々の実践と内省によって誰でも高めることができるものです。本記事で紹介した方法を参考に、EQを高めるための第一歩を踏み出してみてください。


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