製造業のスキルマップの作成方法 項目例とテンプレート活用を解説

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製造業では、スキルの属人化や人材育成の不十分さといった課題がつきものだと言われています。これらの課題を解決する有効なツールとして注目されているのが「スキルマップ」です。

この記事では、製造現場で実際に活用できるスキルマップの作成方法を、具体的な項目例やテンプレートの活用法とあわせて詳しく解説します。現場の業務効率化や収益性向上を目指す管理者・担当者の方は、参考にしてみてください。

目次

1.製造業にスキルマップが必要な理由・目的

製造業の現場では、各作業者が持つ専門知識、技術、さらには安全意識や管理技術といった多様なスキルを把握する必要があります。そこで役立つのがスキルマップです。ここでは、スキルマップがなぜ製造業で重要なのかを、3つの視点からわかりやすく解説します。

  • ISO9001認証の取得
  • 従業員のスキルの可視化
  • 効果的な人材育成

ISO9001認証の取得

製造業において、ISO9001の取得は品質マネジメントシステムの信頼性を示す重要な指標です。その取得にあたっては、従業員のスキルを把握し、必要な教育や訓練を実施していることが求められます。

スキルマップを活用すれば、各工程で必要なスキルと、そのスキルを誰がどのレベルで持っているかを明確に把握できるでしょう

これにより、足りないスキルへの教育対応がしやすくなるほか、審査時に求められる説明や証拠の提出にもスムーズに対応できます。

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従業員のスキルの可視化

製造現場で最も深刻な問題の一つが「誰がどのような技能を持っているかわからない」という属人化の課題です。

特にベテラン技術者の高齢化が進む中、貴重な技術やノウハウが個人の経験に依存し、組織として活用できていない状況が多く見られます。スキルを見える化することで、次のような変化が期待できるでしょう。

  • 技能継承の計画的実施
  • 後継者候補の早期発見と育成
  • 最適な人員配置の実現
  • 緊急時や繁忙期における柔軟な応援体制構築
  • 新規プロジェクトへの適材適所のアサイン

これらの取り組みによって、個人の能力が組織全体の財産として活かされ、生産性向上と品質安定化を同時に実現できます。

効果的な人材育成

スキルマップは、計画的な人材育成を進める上でも欠かせないツールです。従業員一人ひとりのスキルギャップを見える化できると、その人に最適なOJTや研修計画が立てやすくなります

たとえば、それぞれのスキルを「未経験・習得中・独力対応可・指導可能」の4段階で評価してみましょう。

すると「Aさんは機械操作が得意だが、品質管理の知識はまだ浅い」「Bさんはリーダーシップがあるから、技術力が上がれば班長候補だ」といった具合に、今後の育成方針が自然と見えてきます。

また、1人で複数の業務を遂行する多能工化やキャリア形成支援にも活用可能です。組織の強み・弱みを把握するための土台としても重宝します。このように、スキルマップは将来を見据えた人材戦略の貴重な情報源になるのです。


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2.スキルマップとは? 定義と構成要素

スキルマップとは、従業員が持つスキルや資格、能力を表形式で一覧化・管理するツールです。業界や職種によって求められるスキルは全く違うため、それぞれの現場に合わせたカスタマイズが重要になります。

基本的な作りはシンプルです。横軸に業務で必要なスキル項目を並べ、縦軸に従業員名を配置し、交差する部分に熟練度を「1〜5」の数値や「◎、○、△、×」といった記号で記録します。

なお、海外では「スキルマトリックス(Skills Matrix)」と呼ばれるケースが多いようです。国内では「力量表」「力量管理表」「技能マップ」など、会社によってさまざまな呼び方が使われています。

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スキルマップの構成要素

実用的なスキルマップを作るには、以下の4つの要素をしっかりと設計しましょう。

  • スキル項目(縦軸)
  • 対象従業員のリスト(横軸)
  • スキルレベル(評価基準)
  • 判定基準・判定方法

スキル項目(縦軸)

業務を遂行する上で必要な知識、技術、資格、ノウハウなどを項目ごとに整理してください。製造業では、大体次のような分類で整理されることが多いです。

  • 生産技術:仕様・工程設計、環境管理、設備管理、工程管理
  • 加工:機械加工、プレス加工
  • 品質管理:品質検査、品質試験
  • 安全管理:安全作業の実践、リスク認識、緊急時対応
  • マネジメントスキル:チーム運営、進捗管理、部下指導

対象従業員のリスト(横軸)

評価対象となる従業員の情報を配置します。部署別、職種別、経験年数別など、管理しやすい形で整理するのがコツです。

スキルレベル(評価基準)

各スキルの習熟度を評価する尺度です。一般的には4〜5段階で設定します。重要なのはレベルごとに具体的な行動基準を定義することです。

  • レベル1: 初心者(指導を受けながら実施可能)
  • レベル2: 一人前(独力で標準作業が可能)
  • レベル3: 熟練者(応用・改善提案が可能)
  • レベル4: 指導者(他者への指導が可能)

こうした明確な基準があることで、評価のバラツキを防げます。

判定基準・判定方法

スキルレベルを客観的で公平に評価するために、具体的な判定基準を設けます。技能検定資格の有無、実作業での成果物評価、筆記・実技試験の結果などを組み合わせるのがポイントです。誰が評価しても同じ結果になるような仕組みを作りましょう。

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3.製造業スキルマップの作成手順

製造業におけるスキルマップの作成は、現場の実情に合わせた体系的なアプローチが求められます。計画から運用まで6つのステップを着実に進めることで、現場に根ざした実用的なスキルマップを構築できるでしょう。

ここでは、各ステップの具体的な進め方を詳しく解説します。

  1. スキルマップの目的を決める
  2. 必要なスキルを洗い出す
  3. スキル項目を分類・階層分けする
  4. スキルの評価者、評価基準を設定する
  5. スキルマップを作成する
  6. スキルマップの運用・改善を行う

①スキルマップの目的を決める

まず、スキルマップを導入する目的を明確にしましょう。目的が曖昧だと、作成途中で方向性がぶれてしまい、現場で活用されない形だけのシートになってしまうかもしれません。

よくある目的例としては、次のようなものが考えられます。

  • 従業員のスキル習得状況を数字で把握する
  • 属人化を解消する
  • 適材適所の人員配置を実現する
  • 教育計画や多能工化の進捗を見える化する

実際にある組織の課題とリンクさせて狙いを共有しましょう。目的が明確であれば、関係者の理解と協力も得やすくなり、評価制度や教育方針との連携も図れます。

②必要なスキルを洗い出す

次に、現場で必要となるすべてのスキルをリストアップします。「どんな作業に、どのような能力が求められるのか」を職務ごとに整理しましょう。

<効果的な洗い出し方法>

  • 現場リーダーや各職種の担当者にヒアリングする
  • 作業マニュアルや手順書を詳しく確認する
  • 実際の作業現場を観察する
  • 既存の教育カリキュラムを分析する

機械操作などの技術系スキルから、リーダーシップ、現場改善提案まで、幅広い視点のスキル特定がポイントです。「このようなスキルもあったのか」という発見があるかもしれません。

③スキル項目を分類・階層分けする

スキルを網羅的に洗い出した後は、それらを体系的に分類し、階層化していきます。「技術系スキル」「管理スキル」「安全・品質関連スキル」などの大きなカテゴリに分類し、その中に具体的なスキルを細かく配置してください。

<階層化の基本パターン>

大分類 → 中分類 → 小分類(詳細作業)
例:「品質管理」→「検査業務」→「寸法測定器の使用」

見やすさと使いやすさの両立を目指して、項目名や分類ラベルにも工夫を凝らしましょう。

④スキルの評価者、評価基準を設定する

続いて、評価者(誰がスキルを評価するか)や評価基準(どのようなレベル感で判定するか)を明確に決めます。一般的には、自己評価と直属の上司や現場リーダーによる評価を組み合わせるのが効果的です。

評価基準については、「習熟度」や「実践経験」「資格取得」などをもとに、段階的な基準(例:A~D、1~5段階など)を設けます。一人ひとりの評価が主観に偏りすぎないよう、基準や評価方法を具体的に定めましょう。組織で統一感を持って運用することが大切です。

⑤スキルマップを作成する

分類されたスキルと評価基準を反映して、実際にスキルマップを作成します。Excelテンプレートや専用ソフト、既存のフォーマットなどを活用して、「誰が」「どのスキルを」「どのレベルで持っているか」が一目でわかる形にまとめましょう。

フォーマットは現場の使いやすさを最優先にし、記入や更新、閲覧がしやすいものに工夫します。

⑥スキルマップの運用・改善を行う

スキルマップは一度作って終わりではありません。新しい技術の導入、工程の変更、組織編成の変化などに応じて、定期的に見直し・改善を行います。

<運用のコツ>

  • 評価・更新のタイミングを明確にする
  • スキル項目の追加・修正ルールを決める
  • 実際の人材育成や業務改善に活用する
  • 運用ルールを組織全体で共有する

形骸化を防ぐには、実際の現場改善につながる活用事例を積み重ねることが何より大切です。「作って満足」ではなく「使って改善」を心がけましょう。

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4.製造業向けテンプレート:厚生労働省、職業能力評価シート

製造業でスキルマップを作成する際、必ずしもゼロから作る必要はありません。厚生労働省が提供している「職業能力評価シート」を使えば、国の基準にもとづいた信頼性の高いスキルマップを効率よく作成できます。

このテンプレートは、実際の製造現場で検証されているため、すぐに現場で使える実用的な内容です。

厚生労働省の職業能力評価シートとは

厚生労働省の職業能力評価シートは、各職業に求められる能力を体系的に整理し、スキルレベルを客観的に評価できるよう設計された公的なツールです。製造業向けには「生産管理」や「ねじ製造業」といった職種別のスキルマップが公開されています。

厚生労働省のWebサイトから無料でダウンロードできるため、コストをかけずに本格的なスキル管理を始められるのも魅力です。「導入・活用マニュアル」も一緒に提供されているので、具体的な使い方や運用の流れを学びましょう。

出典:厚生労働省「キャリアマップ、職業能力評価シート及び導入・活用マニュアルのダウンロード

テンプレートの活用方法

出典:厚生労働省「職業能力評価シート(事務系職種)のダウンロード_生産管理_生産管理プランニングレベル2

厚生労働省の職業能力評価シートは、自社のスキルマップ作成時の土台として活用できます。まずは自社の職種や工程に該当するテンプレートをダウンロードして、該当するスキル項目を選び出しましょう。

シート内には「共通能力ユニット」と「選択能力ユニット」が設けられており、共通ユニットはどの職場でも必要なスキル、選択ユニットは特定業務にだけ必要なスキルに使い分けができます。

次に「業務の粒度」「現場用語」「評価基準」などを現場とすり合わせながら、自社特有の技術や設備に関するスキル項目を追加します。

たとえば、テンプレートの「品質管理」の項目に、自社独自の品質管理基準を加えるといった具合です。公的な評価軸をベースにすることで、社内外への説明がしやすくなります。制度としての信頼性も高まるでしょう。

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5.項目例で見る!工程別・技能別スキルマップ

スキルマップは業種や工程によって必要なスキルが大きく異なります。ここでは、製造業でよく見られる3つの工程(機械加工、組立、品質管理・検査)を例に、それぞれのスキルマップ項目例を紹介します。

  • 機械加工工程のスキルマップ
  • 組立工程のスキルマップ
  • 品質管理・検査工程のスキルマップ

機械加工工程のスキルマップ

機械加工工程のスキルマップでは、基本的な機械操作から高度な応用技術まで、各レベルに応じたスキル項目を幅広く設定します。現場でよく見られる主な項目例は次のようなものです。

機械加工 ・汎用機械加工(旋盤・フライス盤の基本操作から応用作業)
・NC機械加工(NC旋盤、高能率・高精度加工やマシニングセンタ操作、CAMの活用)
・放電加工/高エネルギー加工
・精密加工
・仕上げ加工
・切削工具研削

参照:基盤整備センター「機械加工科 | 職業訓練指導員スキルマップ(訓練系・科別)

組立工程のスキルマップ

組立工程のスキルマップは、「精密機器組立」「機械組立」など、製品や工程ごとの組立技能が中心です。

機器組立/システム組立 ・精密機器組立/機械組立

参照:基盤整備センター「機械加工科 | 職業訓練指導員スキルマップ(訓練系・科別)

上位レベルになると、次のようなスキルや知識が身についているかが評価のポイントになります。

  • 図面に記載された動作を正確に再現するため、寸法公差や幾何公差の意味を理解している
  • 組立調整に必要な治具や測定方法について知っている
  • やすりやきさげなどを使った調整作業が確実にできる
  • 組立後の精度を確認し、結果を正しく評価できる
  • 安全衛生に配慮した作業が実践できる

品質管理・検査工程のスキルマップ

品質管理・検査工程では「ミスの見逃しを防ぐ力」「トラブル時の的確な判断力」「改善力」などが主な評価項目です。

測定・検査 ・機械精密測定/機械検査
・設備検査/設備診断(機械/電気)
工場管理 ・生産管理
・品質管理/技術管理

参照:基盤整備センター「機械加工科 | 職業訓練指導員スキルマップ(訓練系・科別)

具体的な評価基準としては「検査基準の正確な理解」「測定器の適切な取り扱い(ノギス・マイクロメーターなど)」「外観検査」「寸法検査」「検査結果の確実な記録」「不良品の分析と的確な報告」「改善活動への積極的な参加」などが挙げられます。

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6.現場での運用と定着のための工夫

スキルマップは作成しただけでは効果を発揮しません。特に製造業では、現場作業者の理解と協力がなければ、業務改善や人材育成への効果は期待できないでしょう。ここでは、スキルマップ運用を成功させるための4つの工夫をご紹介します。

  • スキル管理の目的を周知する
  • スモールスタートで始める
  • 全社で取り組む
  • スキル管理ツールを活用する

スキル管理の目的を周知する

スキルマップの運用を確実に現場へ根付かせるには、まず「なぜスキル管理をするのか」を明確に伝えることが大切です

目的が伝わらないまま導入しても、現場から「なぜやる必要があるのかわからない」と反発が起きたり、形だけのチェックに終わったりします。

たとえば「人材育成の方向性を明確にして現場力を底上げしたい」「業務効率化や適材適所の配置を実現したい」「公正な評価の土台を作りたい」など、現場にメリットがある理由を具体的に説明しましょう。

導入前のキックオフ説明会や、現場リーダー向けの個別説明など、階層ごとに丁寧な情報共有を行うのが効果的です。

スモールスタートで始める

スキルマップの導入は、いきなり全社で展開するより、まずは一部の現場やチームから始めるのがおすすめです。小規模でスタートすることで、初期の混乱や負担を抑えながら、現場に合った使い方と評価基準を試行錯誤できます。

「うまくいかない部分があっても、小さい範囲なら調整しやすい」というのがメリットです。導入部門で得られた成果や課題を整理して、それをもとに他の部署へ広げていけば、自然な形で全社に浸透していきます。

全社で取り組む

スキル管理は、従業員一人ひとりの成長だけではなく、組織全体の底力アップが目的です。そのためには、経営層から現場の従業員まで、全員がその重要性を理解してスキルを共有することが欠かせません。

それぞれの役割を明確にして協力体制を築けば、スキルマップが組織全体に根付き、自分事として運用されるようになります。以下は、役割の一例です。

  • 経営層:スキル管理の意義を社内に示す
  • 人事部:仕組みの設計や評価基準の整備を担当する
  • 現場リーダー:スキルマップの内容を実務に合わせて調整する
  • 従業員:日々の業務を通じて記入・更新や自己評価を行う

スキル管理ツールを活用する

製造業でスキルマップを運用するには、従来のExcel管理では限界があります。現場の負担を減らして継続的に運用するには、専用のクラウド型ツールを導入するのが効果的です。

クラウドツールなら、現場の状況をすぐに反映でき、チーム内でスキル情報をリアルタイムに共有できます。

また、複数拠点の一元管理も可能なため、作成・更新・分析・活用までがスムーズにおこなえるのも魅力です。特に、工程が多い製造ラインや従業員数の多い企業では、こうしたツールの導入によってスキルマップ運用の定着が進みやすくなるでしょう。

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7.導入後によくある失敗&対応策

スキルマップは人材の見える化や組織改善に有効なツールですが「導入したが形骸化している」「うまく活用できない」といった失敗事例も少なくありません。

こうした状況を避けるためには、よくある失敗パターンをふまえた対策が不可欠です。ここでは、製造業でよく起こる5つの落とし穴と、それを回避するための現実的な対策を紹介します。

  • スキル項目が多くて管理できない
  • 運用ルールが確立されていない
  • ISO9001の取得が目的になっている
  • 外部環境の変化でスキルが陳腐化している
  • 組織全体で活用できていない

自社導入時のリスクヘッジとして、これらのポイントをぜひ押さえておきましょう。

スキル項目が多く管理できない

スキルマップ導入後によく聞かれる課題の一つが、「スキル項目が多すぎて手が回らない」というものです。最初から詳細な項目をすべて網羅しようとすると、現場にとっては入力作業が負担となり、結果的に更新されず放置されてしまいます。

<対策例>

  • 重要な業務や分類に絞って優先的に評価する
  • 職種や役割ごとに項目を切り分ける
  • 段階的に項目を追加していく

まずは主要な5〜10スキルだけを抽出し、定着後に補助的なスキルを追加する運用が現実的でしょう。また、入力作業を効率化するために、ドロップダウン式の評価や自動集計機能を備えたツールの活用も有効です。

運用ルールが確立されていない

管理責任者や更新タイミングなどの運用ルールが定まっていないと、スキルマップは放置され、更新や活用が進まないでしょう。スムーズに運用を実現するためには、明確な運用体制を構築する必要があります。

<対策例>

  • 各部署にスキルマップ責任者を配置
  • 四半期ごとの定期見直し日程を設定
  • 評価者・被評価者の役割を明文化

また、社内マニュアルや評価ガイドラインを整備し、属人的な判断を避ける仕組みも有効です。定例の運用会議やフィードバックの場を設けることで、組織全体でのスキルマップ活用が実現します。

ISO9001の取得が目的になっている

ISO9001認証取得のためだけにスキルマップを整備すると、現場の実務に活かされず表面的な運用に終始します。これを防ぐには、「従業員のスキルアップ」「人材育成」「適切な人材配置」といった本来の目的に沿った活用が大切です。

<実際の活用例>

  • 評価結果をOJT計画に反映する
  • ライン編成時の配置判断材料として使用する

日々の業務と結びつけて運用することで効果が高まります。ISO対応は結果として得られる副次的な効果と捉え、人材育成を主目的にすると、持続的な運用が可能になるでしょう。

外部環境の変化でスキル項目が陳腐化している

IoT導入やDX推進などにより、製造現場で求められるスキルも変わっていきます。スキルマップの内容更新を怠ると、使用されていない技術や不要な作業項目が蓄積され、実態とのズレが大きくなりかねません。

<対策例>

  • 四半期ごとにスキルマップを更新する
  • 必要に応じてスキル項目の削除・追加を行う

新たなスキルを追加する際は、それに合わせた教育計画も同時に立てましょう。現場とのギャップを最小限に抑えられます。

組織全体で活用できていない

スキルマップは、特定の部署だけで使っていても十分な効果は得られません。製造業では部門同士の連携が重要ですが、縦割りの組織体制のせいで全社的な活用が進まないケースも見受けられます。

<全社活用実現のための施策>

  • 各部門代表による「スキルマップ活用委員会」を設置し、社内での活用方針を統一する
  • 部門横断的な情報共有を推進し、スキルやノウハウを見える化する
  • 配置転換やジョブローテーションの際にスキルマップを活用し、適材適所の人材配置を行う
  • 他部門での成功事例を積極的に共有し、自部署での活用イメージを持てるようにする

新入社員研修の段階からスキルマップの役割や使い方を伝えることで、早期に全社ツールとしての理解を深められます。

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8.カオナビで製造業界スキル・資格管理を一元化

製造業界では、従業員の多様なスキルや資格を効率的に管理し、適切な人材配置と計画的な育成を実現することが競争力向上のカギとなります。カオナビは、そのような製造業界特有のニーズに対応したタレントマネジメントシステムです。

製造業に特化した機能の特徴

  • 技能系スキルの詳細管理:業務経験や製造に携わった商品、使用可能機器などを登録してカンタンにスキル管理が可能
  • 資格・免許の一元管理:製造業で必須の資格情報を更新期限とともに管理し、資格失効リスクを回避
  • 後継者育成の配置シミュレーション:年齢・経験年数・保有資格・専門分野などの情報をもとに、熟練工と若手の最適な組み合わせを視覚的に検討

カオナビの導入により、従来Excel管理で発生していた更新漏れや情報の散在といった課題が解決され、リアルタイムでの人材状況の把握が実現します。

特に製造業では、急な受注変動や設備トラブル時の人材調整がつきものです。カオナビなら必要なスキルのある人材をすぐに検索・配置できます。

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9.まとめ|製造業スキルマップは現場改善の起点に

製造業のスキルマップは、単なる人材管理のツールではなく、現場の課題を見える化し、組織改善を推進する重要な仕組みです。属人化の解消、人材育成の効率化、配置最適化など、多くの経営課題に対して具体的な打ち手を提供してくれます。

公的テンプレートやスキル管理ツールを積極的に活用することで、導入の精度と定着率の向上が期待できるでしょう。

「カオナビ」は、技能系スキルの細かな把握や、資格・免許の一元管理といった、製造業に特化した管理機能が充実しています。スキルマップを効果的に運用し、人材の可視化や育成を推進したい企業におすすめのツールです。


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◆資料内容抜粋 (全31ページ)
・人事評価システム「カオナビ」とは?
・人事のお悩み別 活用事例9選
・専任サポートについて   など