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本記事では、KPT法の定義と具体例、5つのメリットと3つの欠点、5ステップの進め方、実践のポイント、テンプレートの考え方、役立つITツールまで網羅的に解説します。
目次
1.KPT法とは?
KPT法とは、Keep・Problem・Tryの3つの観点で活動を振り返り、継続すべき点と改善策を明確化するフレームワークです。
KPT法と他の振り返りフレームワークの比較
| フレームワーク | 構成要素 | 特徴 | 適した場面 |
|---|---|---|---|
| KPT法 | Keep・Problem・Try | シンプルで汎用性が高い。ポジティブな振り返りを重視 | プロジェクト振り返り、チーム改善、個人の日次振り返り |
| YWT法 | やったこと・わかったこと・次にやること | 事実から学びを抽出する。個人の内省に向く | 研修後の振り返り、個人の経験学習 |
| PDCA | Plan・Do・Check・Act | 計画と実行のサイクルを重視。定量的な管理に強い | 業務改善、品質管理、目標管理 |
| Start-Stop-Continue | 始めること・やめること・続けること | 行動変容に直結しやすい。短時間で実施可能 | アジャイル開発のレトロスペクティブ |
KPT法とは、行動や結果を「Keep(継続)」「Problem(問題)」「Try(挑戦)」の3つの観点から整理して、プロジェクトや活動を振り返るフレームワークのこと。
物事の「良かった点(Keep)」と「悪かった点(Problem)」を洗い出し、「改善策(Try)」を見出すという簡潔な方法であるため、ビジネスのさまざまなシーンで活用されています。
KPT法の読み方
KPTの読み方は、「ケーピーティー」または「ケプト」です。「Keep」「Problem」「Try」の3つの頭文字をつなげて「KPT」と略されます。
KPT法を用いる目的
KPT法は、チーム全体でプロジェクトの課題や解決策を共有し、次にやるべき具体的な行動を明確化するために用いられます。シンプルな構造なので、個人の活動から複数の職種をまたいだ大きなプロジェクトまで、さまざまなシーンで活用できるのが特徴です。
【一覧】フレームワークとは? ビジネスで活用する意味と効果
1.フレームワークとは?
フレームワークとは、目標達成や経営戦略、課題解決に役立つ思考の枠組みのこと。「枠組み」「骨組み」を意味する言葉です。
ビジネスで使う場合、「ビジネスフレームワーク」とも呼...
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2.KPT法の具体例
KPT法の具体例とは、リスティング広告やチーム業務などの実際の場面で、Keep(成果が出た施策)・Problem(達成できなかった点)・Try(改善アイデア)を書き出して整理するものです。
KPT法は、プロジェクトの振り返りだけでなく、研修やキャリアカウンセリング、定期報告などに取り入れられています。「Keep(継続)」「Problem(問題点)」「Try(挑戦)」の記述内容について具体例を解説しましょう。
Keep
Keepには「良かった点」および「継続するべき取り組み」を書き出します。具体的な数字や要因などを含めると効果的です。
- リスティング広告からのアクセスが2倍に増え、新製品の売り上げが目標の150%を達成した
- チーム全体で作業手順を共有するアプリを使用した結果、1日の作業量が120%増加した
- クライアントから急な依頼変更があったものの、チーム全員が1時間以内に内容を共有できたため当日中に対応できた
Problem
Problemには「現状の問題」や「今後発生する可能性がある問題」を書き出します。
- 展示会のために用意したサンプル商品の数が少なく、来場者の20%にしか配れなかった
- 残業時間が長い人と短い人の差が大きく、トータルで8時間あった
- クチコミサイトへの投稿が前月から15%減少しており、SNSからの商品購入も減少する可能性がある
Try
Tryでは、Keepをさらに向上させる取組みとProblemを改善する方法を検討し、アイデアを書き出すのです。
たとえばKeepに「チームで作業手順を共有した結果、一日の作業量が増加した」、Problemに「それぞれのメンバーの残業時間の差が激しい」が出た場合、Tryは「各チームメンバーの進捗状況がわかるシステムを導入する」といった内容になるでしょう。
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3.KPT法のメリット
KPT法のメリットとは、課題の早期発見・効果的な意見交換・組織のアップデート・やることの可視化・ポジティブな振り返りという5つの効果が得られることです。
KPT法の5つのメリット一覧
| メリット | 内容 |
|---|---|
| 課題の早期発見と解決 | チーム全員で問題を共有し、早期にアクションを実行できる |
| 効果的な意見交換 | 全員が振り返りに参加するため、新しい視点や解決策が生まれやすい |
| 組織のアップデート | 短スパンで定期実施することで、改善と成長が習慣化する |
| やることの可視化 | 次の行動(Try)の根拠が明確になり、目的意識が高まる |
| ポジティブな振り返り | Keepで良い点を評価するため、前向きな姿勢で改善に取り組める |
KPT法はシンプルな構造であるため汎用性が高く、さまざまな場面で有用です。ここではビジネスにKPTを取り入れる5つのメリットを解説します。
①課題の早期発見と解決
チームでKPTを実施すると問題点が明確になり、解決策の検討が進みます。全員が共有し、次に取るべき行動が明確になるため、早期に課題を発見し、解決に向けたアクションを実行できるからです。
進捗や成果を共有し、フィードバックを受けるサイクルを繰り返すと、より効果的な問題解決と改善が可能となります。
②効果的な意見交換の実現
KPT法では全員が活動内容を振り返り、自身の意見や気づきを共有するため、チーム内のコミュニケーションが活性化し、効果的に意見が交換されます。メンバー全員が意見を出し合えば、新しい視点で解決策を見出せるかもしれません。
③組織のアップデート
KPTを短いスパンで定期的に実施すると、組織をアップデートできます。定期的にKPTを実施すると「活動の振り返り」「改善策の検討」「改善策の実行」が習慣化し、組織やチームの改善と成長を促進するからです。
④やることの可視化
KPTを活用すれば、次の行動(Try)の根拠となる良かった点(Keep)や問題点(Problem)をメンバー全員が共有できます。次にやるべきことが「見える化」するため、メンバー全員の目的意識やモチベーションが向上しやすいのです。
⑤ポジティブな振り返りと反省
KPT法ではTryで問題の解決策を前向きに検討し、決定した行動をチーム一丸となって実行するため、振り返りや反省もポジティブに行われます。そのためKPT法を習慣化させると、問題解決に対するメンバーの意欲を高められるのです。
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KPT法の欠点とは、Keepの軽視・振り返りと問題解決の混同・単発では効果が出ず継続的な実施が必要であるという3つの注意点です。
KPT法の3つの欠点
| 欠点 | 内容 |
|---|---|
| Keepの軽視 | Problemばかりに注目すると、継続すべき良い点であるKeepが軽視され、ポジティブな振り返りができなくなる |
| 振り返りと問題解決の混同 | Problemからそのままtryへ移行してしまい、ほかの問題点の見落としやKeepの検討漏れが起こる |
| 継続的な実施が必要 | 単発の実施では効果が出にくく、Tryの実行結果を次のKPTで検証するサイクルを継続する必要がある |
KPT法を活用する際は、注意点も知っておく必要があります。ここでは実施する際の欠点を3つ紹介しましょう。
①Keepの軽視
Problemで抽出した問題にばかり注目しすぎて、Keepで洗い出した「継続するべき好ましいこと」が軽視される場合もあります。問題点にフォーカスしすぎるとポジティブな振り返りができず、チームのモチベーションが低下するかもしれません。
②振り返りと問題解決の混同
KPT法ではProblem(問題点)を洗い出すため、ついそのままTry(挑戦)へ移行してしまうのも少なくありません。この場合、ほかのProblem(問題点)が見落とされる恐れがあります。
またKPT法ではKeep(継続)を維持あるいは向上させることも重視するため、よかった点も忘れずに挙げましょう。
③継続的な実施が必要
KPT法による振り返りは、単発で行っても効果が期待できません。「前回のTryで決めた行動を実行し、その結果をKPTで検証してさらに次の行動を決める」というサイクルを継続的に行うことで精度が上がり、解決策の効果を高めていくからです。
振り返りを定着させるためにも、定期的に継続して実施する必要があります。
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KPT法の進め方とは、フォーマット準備→Keep・Problemの抽出→意見交換→Tryの具体化→実行と振り返りの共有という5ステップのプロセスです。
適切なKPT法の進め方は、組織の形態や人数などに応じて変わります。ここでは基本的な進め方を解説しましょう。
また次のようなディスカッションルールも同時に決めておくと、議論がスムーズに進められます。
- 個人の責任を追及しない
- 振り返りの際に言い訳をしない
- メンバーの発言はさえぎらず最後まで聞く
すべてを書き終えたら、付箋の内容を検討し「よかったこと」「継続するべきこと」はKeepに、「現状の問題点」「今後問題になりそうなこと」はProblemに振りわけ、フォーマットに貼っていきます。
Keepは「よかった」で終わるのではなく「なぜよかったのか」「どこがよかったのか」を考え、Problemでは個人の責任を追及するのではなく冷静に原因を分析しましょう。
貼り出した付箋の数が多い場合は、最初に内容を整理して優先順位をつけてディスカッションの時間配分を決めると、効率的に進められます。
「誰がいつまでに何を担当するのか、どのような手順やリソースが必要なのか」などの点をできるだけ具体的に示し、達成値は数字で設定するといった、客観的に評価できる内容にするのがポイントです。
また次回の振り返りで結果を検証しやすいように、決定に至った経緯を明確にしておきましょう。
前回作成したシートを再利用して、効果があった施策や新たな問題点を書きくわえ、必要ないものは削除するといったように、内容をブラッシュアップしましょう。
Tryを実行しながら、各自が「うまくできた点」「うまくいかない点」を記録し、全員で共有しておくと次の振り返りをスムーズに行えます。
6.KPT法実践のポイント
KPT法実践のポイントとは、意見しやすい環境の整備・ファシリテーターの設置・定期実施・テーマ限定・過去KPTの整理という5つの工夫です。
KPT法実践の5つのポイント
| ポイント | 内容 |
|---|---|
| 意見しやすい環境の整備 | 発言は最後まで聞く・批判しないというルールを決め、階級に関係なく自由に意見を言える雰囲気をつくる |
| ファシリテーターの設置 | 議論の優先度に応じた時間配分や、意見が出にくい場面での問いかけを行う調整役を置く |
| KPTの定期的な実践 | 「プロジェクト終了時」「月末の◯曜日」など実施タイミングを具体的に設定し、業務プロセスとして定着させる |
| テーマ範囲の限定 | 「広告の効果」「新商品の売上」など具体的なテーマに絞り、論点を明確にして議論する |
| 過去に実践したKPTの整理 | 過去の振り返り内容を文書化しておくと、新しいアクションの検討や新メンバーへの経緯共有に役立つ |
KPT法を効果的に実践する際のポイントは5つです。それぞれについて詳しく説明しましょう。
①意見しやすい環境の整備
階級に関係なくメンバー全員が自由に意見を述べられる雰囲気づくりが大切です。次のようなディスカッション時のルールをあらかじめ決めておくとよいでしょう。
それでも意見が出にくい場合は、進行役が質問を投げかけるなどの工夫も必要です。
②ファシリテーターの設置
KPT法のディスカッションでは、ファシリテーターを設置しましょう。ファシリテーターとは、会議で参加者の発言を平等に引き出し、議論を活性化させて適切な結論に導く「調整役」のことです。
ファシリテーターが、「適切なTryを導き出すために内容の優先度に応じて時間配分する」「意見が出にくい場合に質問を投げかけて議論を活性化させる」などのサポートを行ってくれます。
ファシリテーターとは? 意味や議論を円滑にするポイント、上手な人の特徴を解説
会議やミーティングで「話がまとまらない」「結論が出ないまま時間切れ」といったような経験をしたことがある方も少なくないでしょう。
意思決定のスピードが求められる現代ビジネスにおいて、会議の生産性向上は課...
③KPTの定期的な実践
KPT法の振り返りは、継続して実践することで効果を発揮するため、定期的に実施すべきです。一連の業務プロセスとしてチーム内に浸透させましょう。活動に連続性が生まれて、各メンバーが成長を実感しやすくなります。
「プロジェクトの終了時」や「月末の〇曜日」など、実施するタイミングを具体的に設定するとよいでしょう。
④テーマ範囲の限定
KPT法の振り返りを効果的に行うコツは、テーマを限定すること。振り返りの項目が多すぎると、論点が定まらず有意義な意見交換が難しくなるからです。
「今月の業務」などの漠然としたテーマではなく、「広告の効果」「新しく導入したシステム」「新商品の売上」など具体的に設定します。
設定したテーマはあらかじめ参加者全員に共有し、各自の考えをまとめておくよう伝えておくと、議論を効率よく進められるでしょう。
⑤過去に実践したKPTの整理
これまで実施した内容を確認できるように整理しておくと、振り返りを効率よく行えます。過去の問題や改善方法は、新しいアクションを決める際の参考になるからです。
過去のKPT法での振り返りを文書化しておけば、新しいメンバーがくわわった際、経緯を共有する資料としても役立ちます。
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7.KPT法のテンプレート
KPT法のテンプレートとは、ホワイトボードと付箋があれば実施できるシンプルな構造であり、オンラインではドキュメントやスプレッドシートで代用可能です。
シンプルな構造のKPT法に、テンプレートは必要ありません。ホワイトボードと付箋、人数分のペンがあれば実施できます。会議室などに集まり、対面でKPT法での振り返りを行うと、チームのコミュニケーションや議論がより活性化するでしょう。
全員集まるのが難しい場合、オンラインで同時にアクセスできるドキュメントやスプレッドシートに、箇条書きで書き出すだけでも実践できます。できるだけ簡単な方法を選ぶと、短いサイクルで振り返りを実施しやすくなります。
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8.KPT法で役立つツール
KPT法で役立つツールとは、Trello(掲示板形式のタスク管理)・ラジログ(振り返り特化の個人日報)・KPTon(オンラインホワイトボード共有)の3つです。
実施したKPT法の振り返りを記録に残したい場合や、オンラインで実施したい場合にはITツールの活用がオススメです。ここでは便利なツールを3つご紹介します。
Trello
掲示板形式でかんたんにチームのタスクを管理できる無料のツールです。個々のタスクをカード形式で登録し「Board(ボード)」と呼ばれる場所で管理するシンプルな構造なので、活動のプロセスや結果を振り返るのに適しています。
ラジログ
「振り返り」に特化した個人日報用のITツールです。連携したアクションログを確認すれば、その日の作業内容がわかる仕組みになっています。テンプレートにはKPT形式も用意されており、毎日の振り返りに便利です。
KPTon
オンライン上でホワイトボードを共有し、メンバー同士が意見交換できるツールです。過去のホワイトボードを残して確認するのも可能なため、KPT法の振り返りに適しています。無料で利用できるので、費用を抑えたいときにもオススメです。
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以下の比較表で整理します。
| ツール名 | 特徴 | 料金 | 適した利用シーン |
|---|---|---|---|
| Trello | 掲示板形式でタスクをカード管理。Keep・Problem・Tryを各リストに割り当てて運用可能 | 無料プランあり | チームでの継続的なKPT管理、タスク連携 |
| ラジログ | 振り返りに特化した個人日報ツール。KPTテンプレートを標準搭載 | 無料 | 個人の日次KPT振り返り、習慣化 |
| KPTon | オンラインホワイトボードを共有し、リアルタイムで意見交換が可能。過去の記録も保存できる | 無料 | リモートチームでのKPTミーティング |
10.関連する改善事例
以下では、本テーマに関連する企業の取り組み事例を紹介します。
【事例】学校法人立命館
大学・中高等学校を運営する教職員約3,600名の学校法人です。カオナビを導入してグループ全7校の人材情報を一元化し、人員配置資料の作成時間を1週間から1時間に短縮しました。スマートレビューで評価業務を効率化し、蓄積したデータをもとに施策の振り返りと改善を繰り返す体制を整えています。KPT法に取り組む企業にとって示唆に富む事例です。
【事例】ぎふ農業協同組合
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【事例】株式会社ダンクハーツ
ソーシャルゲームの開発・運営を手がける従業員約90名のIT企業です。カオナビを導入し、プロジェクトごとのメンバー配置を一元管理するとともに、年2回のベーシック評価とパフォーマンス評価を運用しています。評価結果をもとに次期リーダー候補の選抜・育成計画を策定し、組織の課題を継続的に改善する仕組みを構築しました。KPT法の効果を高めるモデルケースといえるでしょう。
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よくある質問
KPT法はどのくらいの頻度で実施するのが効果的ですか?
プロジェクトの区切りごと、または月1〜2回程度の定期実施が効果的です。スプリント単位で開発を行うチームであれば、各スプリント終了時に実施するのが一般的です。単発ではなく継続的に行うことで、改善サイクルの精度が上がります。
KPT法で意見が出にくい場合はどうすればよいですか?
まず「個人の責任を追及しない」「発言を否定しない」といったディスカッションルールを設定しましょう。全員がまず付箋に自分の意見を書き出してから共有する方式にすると、発言のハードルが下がります。ファシリテーターを置いて質問を投げかけることも有効です。
KPT法とPDCAサイクルの違いは何ですか?
KPT法は「振り返り」に特化したフレームワークで、チームの対話を通じて改善策を導き出します。PDCAは計画(Plan)から始まる管理サイクル全体をカバーし、定量的な目標管理に強みがあります。両者は排他的ではなく、PDCAのCheck段階でKPT法を活用するといった組み合わせも有効です。
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