1on1ミーティングを全社導入するには? 導入効果や目的、具体的なステップについて

1on1ミーティングは、アメリカのシリコンバレーで、上司と部下のコミュニケーションを高める手法として日頃から行われており、近年、日本の有名企業においても1on1ミーティングの導入が広がっているのです。

ここでは、

  • 1on1ミーティングの導入目的
  • 1on1ミーティングの導入が必要とされる背景
  • 1on1ミーティングの導入効果
  • 1on1ミーティングの具体的な導入方法

などを説明しながら、1on1ミーティングの効果的な導入、運用方法などを紹介します。

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1.1on1ミーティングの導入目的とは?

1on1ミーティングは、上司と部下が1対1で行う面談のこと。これまで1対1の対話といえば、年に2、3回行う人事評価の面談がほとんどでした。しかし1on1ミーティングは、お互いのコミュニケーションを高める対話をします。

かつてのように業務報告を求めたり、ネガティブな指示を出したりする場ではありません。部下の能力を引き出し、部下の成長を支援することが目的となっているのです。

そのためにも上司は部下の話にしっかりと耳を傾けることが求められます。部下は会話をすることでこれまでの体験を振り返る習慣が付き、今後取り組むべき課題が明確になるのです。そして部下の成長は会社全体の目標達成につながるでしょう。

1on1ミーティングを全社導入するには? 導入効果や目的、具体的なステップについて
1on1ミーティングは、アメリカのシリコンバレーで、上司と部下のコミュニケーションを高める手法として日頃から行われており、近年、日本の有名企業においても1on1ミーティングの導入が広がっているのです。...

自分の失敗や成功体験を振り返る習慣が付き、取り組むべき課題が明確になることで部下の成長が期待できるのです

2.1on1ミーティングの導入が必要とされる背景

1on1ミーティングの導入が必要とされる背景とは、どのようなものなのでしょうか。ここでは、必要とされる背景についての説明と背景ごとの具体的事例を見ていきましょう。

従業員を取り巻く環境が多様化・複雑化している

1on1ミーティングがなぜ必要とされているのか、その理由は、従業員を取り巻く環境にあります。近年、環境は多様化、複雑化し、さらに一般的な社会的背景にもさまざまな問題が存在しているのです。

  • 会社以外での個人事情の複雑化(親の介護、男性の育児参加、女性の働き方、保育園事情、セクシャルマイノリティなど)
  • 心の病を抱える人の増加
  • 過労死、サービス残業や長時間労働などが常態化したブラック企業による社会問題
  • 転職市場の広がりによって、世代を問わず退職、転職がしやすい環境になっている
  • 社内でのハラスメント(セクハラ、パワハラ、モラハラなど)のケア
  • 先行き不透明な現代の中で、将来のキャリア形成に悩む若手社員の増加
  • 社会と個人の幸福感の違い(お金があれば幸せという価値観ではなく、やりがいや自分のやりたいことを求める時代に変化している)
  • 仕事の分業化、失敗しない仕組みづくりにより部下を育成する機会の減少
  • 納得しないと動かない若年の増加
  • 副業を行う社員の増加
  • 同僚や上司、部下とお酒を飲みに行く機会の減少

このような現代社会の中、対話するコミュニケーションが組織として必要となってきたのでしょう。

部下の行動を把握しづらい時代になった

普段から上司と部下の会話も少なく、お酒を飲みに行く機会も減り、仕事以外の話題で盛り上がる場もほとんどないのが現代社会の実情です。

そのため上司は部下が何を考えているのか、部下がどのように業務を進行しているのかなど全く把握できません。

さらに現代はメールやチャット、LINEやFacebookなどが普及して、インターネットを介した人間関係が浸透しました。社内での業務連絡や報告に個別のメッセンジャーを用いる企業も増えています。

便利な世の中となり、コミュニケーションの取り方も多様化しました。しかし現実、お互いの理解を深める対話ができなくなっているのです。

現代社会では、個人の事情が複雑化し、またコミュニケーションの方法が多様化しています。それにより、1対1の会話で相手のことを知る機会が少なくなっているのです

3.一般的な1on1ミーティングの導入効果

1on1ミーティングとは、上司と部下が1対1で対話をすること。1~2カ月に1回などの短いスパンで定期的に行い、相互のコミュニケーションを高めていくのです。

面談というと多くは人事考課、または業務報告や進行状況の確認など情報交換をする場と考えるでしょう。しかし1on1ミーティングはあくまでも部下のための時間です。部下が今抱えている悩みや不安、困っていること、組織の問題点や改善点などを自由に話します。

上司は部下の話にしっかりと耳を傾け、部下の現状を把握することが必要ですし、その積み重ねによって上司と部下の間に信頼関係が構築されていくのです。

ときには部下の悩みに対してアドバイスをすることもあるでしょう。その結果、部下の問題は解決し不安が解消され、次へのチャレンジに自ら行動する意欲が生まれるのです。

1対1で話し合うことで、上司と部下のコミュニケーション不足は解消されます。また上司は、部下の現状を把握して、部下の成長へとつなげていくことができます

4.1on1ミーティングの具体的な導入方法

1on1ミーティングを導入するには、どのような方法で進めていけばよいのでしょう。具体的な導入方法を4つのステップで説明します。

STEP.1
トライアル導入の準備
1on1ミーティングは、人事部だけ、あるいは1つの部署だけといった単体が導入して実践しても高い効果はあまり期待できません。会社全体で取り組んで初めて、社内に1on1ミーティングが浸透するのです。

1on1ミーティングを導入する際は、そのためのプロジェクトを立ち上げ、役割を決めていきます。たとえばプロジェクト・オーナーには取締役や執行役員クラスを、プロジェクト・リーダーには人事部の責任者や課長クラスを任命します。

このような部門を横断した人選によって、会社全体で1on1ミーティングに取り組むという意識が高まるのです。

STEP.2
本社スタッフ部門でのトライアル導入
会社の規模にもよりますが、従業員が1,000名以上在籍しているような大きな会社の場合、1on1ミーティングのトライアル導入を2回に分けるとよいでしょう。

最初に導入するのは人事部などの本社スタッフ部門、次に営業や製造などのライン部門といったようにチーム分けをします。

そして最初に導入した本社スタッフ部門で、現在の業務ルールやマニュアルの問題点を洗い出すのです。上司と部下にアンケートを実施すれば、今後の運用方法も見えてくるでしょう。

STEP.3
ライン部門でのトライアル導入
最初に導入した本社スタッフや人事部がつかんだ問題点を改善してルールやマニュアルを作ります。

そして後から導入した営業や製造などのライン部門は、そこでできた1on1ミーティングのルールやマニュアルに沿って、1on1ミーティングを取り入れていくのです。

こうして実際に1on1ミーティングを体験する社員が増えると、これまで見えてこなかった問題点も浮上してきます。

STEP.4
全社導入と運用体制の確立
2度のトライアル後に浮かび上がった問題点を改善し、きちんとしたマニュアルを策定します。こうしていよいよ会社独自の1on1ミーティング制度がスタートするのです。

会社の規模が大きいほど、全社導入は難しいですが、これまでのプロジェクトの経過、マニュアル概要の説明、実際にトライアルを実施した社員の感想、そして今後の予定などを全社員に伝えると、スムーズに進みやすいです。

1on1ミーティングはまず、2部門程度からテスト導入を行います。そこで改善点や問題点を洗い出し自社のマニュアルを策定した後に全社導入していくとよいでしょう