1on1の目的とは? 3つの支援、達成するポイント、企業事例

1on1の目的とは上司と部下の信頼関係を深め、部下の育成を目指すこと。その目的に対し、上司が部下に行うべき「3つの支援」と「達成するポイント」「企業事例」を交えて解説します。

1.1on1の目的と3つの支援

1on1とは、短いサイクルで定期的に行う、部下を中心としたミーティングのこと。目的は、1on1をとおして部下の悩みや課題を共有し、上司と部下、互いの信頼関係を構築することです。また短期間に繰り返し行えば仕事の成果創出にもつながります。

上司はあくまでも部下のサポート役に徹し、支援にまわらなくてはなりません。具体的な支援として挙げられるのは下記の3つです。

  1. 精神支援
  2. 業務支援
  3. 内省支援

①精神支援

職場環境や人間関係で不安に感じていることや、プライベートで気に掛けていることも含めた、精神的な負荷軽減のこと

上司と部下が継続的に対話を続けて、お互いの関係を深めていくのです。部下にとって、1on1が精神的支援の機会になるようにしていきましょう。

②業務支援

部下が仕事上で困っていることは何かを把握し、悩みの解決に向けてサポートすること

部下が容易に解決できない問題でも、上司であればスムーズに解決できるかもしれません。1on1で相談すれば部下は一人で悩む時間が減り、結果的に業務の停滞を防いでいけます。

③内省支援

部下が仕事やプライベートでの出来事を振り返り、気づきを深める手助けのこと。

1on1にて、部下が内省する前に上司が質問攻めにする「取り調べ面談」になってしまう例はよくあり、これには注意が必要です。1on1では上司の意見をもとに部下が自分で考え、行動できるような支援を目指しましょう。

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2.1on1が注目される背景

1on1ミーティングが注目されている理由は、従業員を取り巻く環境が変化したためです。その環境の変化として、次のような社会的背景が挙げられます。

VUCA時代の到来

情報があふれる現代社会では、上司の職場経験が役立たない場合も。またインターネットの膨大な情報からどの情報を得てどう活用するか、上司でも判断に迷う場合は多いです。

むしろ子どもの頃からインターネットに親しんできた若年層のほうが、情報収集力に長けている場合もよくあります。VUCA時代の到来にともない、ときには上司が部下に教えを乞えるような関係性を構築することが大切です。

部下の多様化・複雑化

近年、在宅ワークといった働き方が多様化し、外国人従業員や嘱託(しょくたく)従業員など雇用関係も複雑化しました。それにともない制度の見直しが必要になっています。

そうした多様化や複雑化にともない、上司と部下お互いのコミュニケーションも希薄になりがちです。その対策として、1on1ミーティングが重要視されています。

人材不足と流動化

少子高齢化による人材不足や労働力の流出は課題です。現在、海外のように転職を繰り返してキャリアを積むワークスタイルが浸透し、人材の流動化が企業の不安材料になっています。

労働力の流出を引き留めるためにも、上司と部下が互いの理解を深める場が必要なのです。上司が部下に寄り添い、話を聞く機会として、1on1は注目を集めています。

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3.1on1のメリット

日本でもさまざまな企業が1on1を導入しています。1on1によってどのようなメリットが得られるのでしょうか。

  1. 信頼関係の構築
  2. 成長の促進
  3. エンゲージメントの向上
  4. 理解の向上
  5. モチベーションアップ

①信頼関係の構築

近年、リモートワークを行う企業が増えたため、従業員間での細かなすれ違いが起こりやすく、意思疎通も難しくなりつつあります。これを解決するため、これまで以上に1on1が重要視されているのです。

すでに1on1を導入している企業では、オンラインで上司と部下のミーティングが継続され、貴重なコミュニケーションの場として活用されています。

②成長の促進

上司が1on1をとおして部下の悩みをしっかり聞くと、解決の糸口も見つかり適切なアドバイスも可能になります。部下も「自分を理解してもらえた」と上司に対し信頼感を持ち、仕事に対して前向きに取り組めるでしょう。

また1on1をとおして行動し、成功すると部下には「成功体験」として蓄積されるため、やる気につながります。1on1は部下の成長促進に欠かせないものといえるのです。

③エンゲージメントの向上

1on1を定期的に行うと従業員の定着率向上を図れるでしょう。「会社や上司に信頼されている」と部下が感じられるため、エンゲージメント向上とともに離職防止が期待できるのです。

上司にプライベートなことも打ち明けられるといった心理的安全性が確保されていれば、部下が辞める可能性は低くなるでしょう。

④理解の向上

普段仕事をしている姿だけでは見えてこない、部下の不安や悩みなどを知ると、理解を深められます。

仕事上で部下とコミュニケーションを取れる時間は限られており、管理職であればなおさら接する機会はありません。行動からだけでは把握できない、部下が抱えている不安や悩みも、1on1という場をとおして見えてくるでしょう。

⑤モチベーションアップ

1on1をとおして課題をクリアした経験は、部下のモチベーションアップにつながります。1on1を行った結果が成果として出たら、部下に声をかけましょう。

成果に対して上司から褒められると、部下にとって成功体験になり、モチベーションも向上します。また同時に、上司に対する信頼も生まれるでしょう。

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4.1on1のデメリット

企業のマネジメントに欠かせない1on1ミーティング。適切に進めないと次のようなデメリットが生まれます。

  1. 上司・部下の負担が大きい
  2. 効果に個人差がある
  3. 人間関係が悪化する可能性
  4. 形骸化しやすい

①上司・部下の負担が大きい

1on1は上司と部下にも時間と心理の負担をもたらす場合があります。業務が慌ただしく1on1での部下との対話をかんたんに済ませてしまう上司も少なくありません。1on1は「毎週水曜日の朝礼後15分」のように、時間をしっかり決めて行いましょう。

また上司や部下お互いに、何を話してよいのかわからずただの雑談になった結果、1on1が苦痛になる可能性も懸念されます。できる限り事前に1on1ミーティングのテーマを決めて実施しましょう。短時間でも密度の濃い時間を目指すのが理想的です。

②効果に個人差がある

上司と部下の相性や、上司のコミュニケーションスキルによって、1on1ミーティングの進捗や効果に個人差が出てしまう場合もあります。なかには「1on1の効果を感じにくい」と思う人もいるでしょう。

こうした個人差を埋めるためにも、管理職や上司は積極的に1on1の研修を受けましょう。1on1に関する知識を身につけると、さまざまな価値観をもった部下とのコミュニケーションが図れます。

③人間関係が悪化する可能性

部下のモチベーション向上を目指して1on1を導入したにもかかわらず、かえって部下との関係がギクシャクしてしまうケースも考えられます。「部下と相性が合わない」「会話が続かず思うように1on1ができない」上司も少なくありません。

1on1は下記に注意して会話をすすめましょう。

  • 部下を頭ごなしに叱らない
  • 拘束感を出さない
  • 部下の話を聞く場である点を忘れない

④形骸化しやすい

「何のために1on1を行っているのか」従業員から十分な理解が得られていないと、「ただなんとなく1on1を実施している」状態、すなわち形骸化(けいがいか)が起こります。

「1on1は上司と部下における信頼関係の構築と部下の育成が目的」と従業員へ周知し、理解を得ましょう。同時に講習会や研修会を開催すると、従業員の1on1への理解が深まり、高い効果が期待できます。

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5.1on1の実施手順

1on1を実施する際には、思いつきで行わず、しっかりとしたステップを踏んでいくことが重要です。次に手順を紹介します。

STEP.1
目的を決定し共有する
1on1を始める前に、「あなたの成長のために行うもの」と部下に実施の目的をきちんと説明し、共有しましょう。また1on1は部下の話を聞く場なので、話のテーマは部下が決めます。

最初は「どのようにテーマを決めていけばよいのか」部下が戸惑うかもしれません。上司は次のようにアジェンダを準備し、部下と共有するとよいでしょう。

  • 仕事をとおして学んだこと
  • 業務で課題に感じたこと
  • キャリア育成のために行っていること
STEP.2
日時と場所を設定する
日時と場所の設定を思いつきで決めるのではなく、定期的な予定として組み込みましょう。1on1は継続によって質がよくなります。日時と場所を設定する際は、下記に注意しましょう。

  • 毎週何曜日、何時に行うかなど、日時を具体的に決める
  • 通知機能を利用して上司部下どちらも予定を忘れないようにする
  • 実施できなくなったらキャンセルではなくリスケする
STEP.3
ミーティングを実施する
事前に用意したテーマをもとに1on1を実施しましょう。1on1を始めたばかりの頃は部下も緊張してうまく話せないかもしれません。

上司は最初から部下の悩みや不安の相談を強要せず、リラックスできるような話題からはじめましょう。下記に質問例を紹介します。

  • 趣味や最近、夢中になっていることはあるか
  • 仕事で嬉しかったことはなにか
  • 仕事で楽しいと感じるのはどのようなときか
STEP.4
振り返る
1on1の最後にまとめの時間を設け、次回に話す内容を共有しましょう。なぜなら課題に対して結論がでないまま話を終えては効果が出にくいからです。その際、次のようなことに気をつけましょう。

  • 今回の1on1はどのようなテーマだったのか振り返る
  • テーマに対し、どのような解決策が挙げられたか振り返る
  • 次回までに何を実行するのか考える

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6.1on1の目的を達成するポイント

1on1において、次のようなポイントを意識するだけで効果を高められます。実施する前に把握しておきましょう。

  1. 信頼関係を築く
  2. 話しやすい環境を作る
  3. 事前準備を行う
  4. 部下の話に耳を傾ける
  5. 内容を記録し共有する

①信頼関係を築く

「お互いを理解するため本音で話し合おう」と上司が意識的に伝えると、1on1でより深いコミュニケーションが図れます。1on1をとおして、部下が次のことを自然に思えるようにしましょう。

  • 悩みに対して的確なアドバイスをもらえる
  • 親身になって部下の悩みを聞いてくれる

いずれも、部下に「信頼できる上司」と感じてもらうことが大切です。

②話しやすい環境を作る

「部下が話しやすい位置に座る」「お菓子とお茶を提供してオフの雰囲気を作る」などが効果的です。

話しやすい位置は、1on1ミーティングのテーマによって異なるでしょう。これはアメリカの心理学者が提唱したスティンザー効果の三原則にもとづく手法で、「会議で正面に座る人は反対の意見がでやすい」から考えられます。

部下とのミーティングを行う際、座る位置によって表れる効果は下記のとおりです。

  • 斜めに座る:上司と部下の視線がぶつからず、部下に安心感を与えやすい
  • 正面に座る:部下の本音を聞きたい、論議をしたいときに効果がでやすい
  • 隣に座る:上司と部下、お互いに情報共有しやすい。協力体制がとれる

③事前準備を行う

あらかじめテーマに沿って「部下に何を聞くか」「上司に何を伝えるか」を双方が考えておきましょう。1on1ミーティングを円滑に進めるためには事前準備が必要です。1on1を行う立場によって事前準備の内容は異なりますので下記を参考にしてください。

人事担当者の事前準備

  • なぜ行うのか明確にし、部下に目的を伝える
  • 上司のマネジメントスキルを把握し、不安を取り除く
  • 従業員全員に1on1の理解を得る。上層部の思いを伝える

上司が行う事前準備

  • 1on1は部下をサポートする場であると目的を伝え、共有する
  • 部下が1on1に慣れないうちは事前にアジェンダを準備しておく

④部下の話に耳を傾ける

1on1はあくまでも部下のために行うもの。上司が会話の主導権を握ってしまうと、部下が本音を話せないままミーティングが終わってしまう可能性も高いです。部下の話を聞く際は、次を意識してみましょう。

  • 話に耳を傾ける:ミーティングの時間ほとんどを部下の話を聞く時間にあて、上司はタイミングをみて質問をする
  • 目を見て話を聞く:上司は、部下の話をしっかり聞いている意思を伝えるため、部下の目を見て話を聞く

⑤内容を記録し共有する

1on1で話した内容が重複しないよう、記録に残します。部下と認識をそろえるためにも、上司と部下、お互いが1on1で話した内容をメモするとよいでしょう。それにより部下の成長確認にくわえ、今後の対応を検討しやすくなります。

また属人化してしまっても、1on1のデータを社内で活用できるようになるのです。

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7.事例集:企業が1on1を導入する目的

実際に1on1を導入している企業の実例を知ると、人材育成についても考えられますし、自社にも生かせます。いくつかの企業事例を見てみましょう。

ソフトバンク・テクノロジー

同社が1on1を導入した目的は、「1on1をとおして企業のビジョンや経営メッセージを従業員に浸透させる」「社員からの意見を吸い上げて、風とおしのよい社風の実現」です。

同社の1on1は、月に1回、ライン長とメンバーの1対1で実施されます。ミーティングは30分以上と決められており、仕事だけではなく、プライベートを含めた悩みを把握してキャリア形成を進めていきます。

リコージャパン

上司とメンバーの信頼関係を深めると同時に、メンバーの成長促進を目的とした1on1が行われています。

同社では2020年2月より原則、在宅ワークです。しかし週1回の1on1は継続し、オンラインでのコミュニケーションを続けています。このように部下が悩みを気軽に話せる場がしっかり設けられているのです。

電通デジタル

電通デジタルは、2016年に1on1を実施。当時200人いた従業員に一気に行ったため、混乱が生じました。しかし試行錯誤するうちに人事戦略として定着したのです。

デジタル会社である利点を生かして、導入当初からSlackやZoomなどのオンライン会議ツールを使用した面談が行われています。

1on1の実施目的は「トップのビジョンや目標が浸透しているか、を把握する」「部下のニーズや課題がトップまで伝わっているか」の確認です。