【3分でわかる】生産年齢人口とは? 労働力人口と何が違う? 日本の現状

少子高齢化問題を背景に、「生産年齢人口」を取り巻く問題が注目されています。とはいえ、生産年齢人口と聞いてもピンとこない人もいるでしょう。

ここでは、生産年齢人口の概要と、その推移と予測、減少原因や、減少による問題と影響、対応策、生産年齢人口と混同されがちな労働力人口とその内訳などについて解説します。

1.生産年齢人口とは?

生産年齢人口とは、生産活動の中心にいる人口層のことで、15歳以上65歳未満の人口がこれに該当します。日本国内の生産年齢人口は1990年代がピークで、それ以降は減少傾向が続いており増加の見込みもないのが現状です。

また、生産年齢人口のうち、労働の意思と能力を持ついる人口を労働力人口と呼びます。

生産年齢人口を英語で言うと?

「生産年齢人口」を英語に訳すと「working age population」という表現ができます。

15歳以上65歳未満の生産活動の中心にいる人口のことを生産年齢人口といい、1990年以降は減少傾向にあります

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2.労働力人口とは?

労働力人口とは、労働の意思と労働可能な能力を持った15歳以上の人のこと。就業者と完全失業者の合計からなりますが、生産年齢人口から非労働人口を差し引くことでも算出できます。

非労働人口とは専業主婦、学生など労働能力はあってもその意思を持たない人、病弱者・老齢者など労働能力を持たない人のこと。日本における労働力人口の基礎的な統計として、国勢調査や毎月実施されている労働力調査が挙げられます。

労働力人口の内訳

総務省が行っている労働力調査では、労働力人口の内訳が定められています。具体的な内容を見ていきましょう。

就業者

就業者とは、「従業者」と「休業者」の合計です。総務省統計局によると、従業者と休業者は以下のように説明されています。

従業者:調査週間中に賃金、給料、諸手当、内職収入などの収入を伴う仕事(以下「仕事」という。)を1時間以上した者。なお、家族従業者は、無給であっても仕事をしたとする
休業者:仕事を持ちながら、調査週間中に少しも仕事をしなかった者のうち、雇用者で、給料・賃金の支払を受けている者又は受けることになっている者

追加就労希望就業者

追加就労希望就業者とは就業者のうち、次の4つの条件に該当する人のことです。

  1. 就業者である
  2. 週35時間未満の就業時間である
  3. 就業時間の追加を希望している
  4. 就業時間の追加ができる

追加就労希望就業者が従事する産業は、卸売・小売業、飲食店、サービス業、製造業の4業種が特に多く、職業別に見ると、サービス、販売、事務などが多数を占めているのです。

ここから、追加就労希望就業者の多くはパートタイム労働の主婦などで構成されていると考えられます。

完全失業者

次の3つの条件に当てはまる人たちを、総務省は完全失業者と定義しています。

  1. 仕事がなくて調査週間中に少しも仕事をしなかった(就業者ではない)
  2. 仕事があればすぐ就くことができる
  3. 調査週間中を含む1カ月間に仕事を探す活動や事業を始める準備をしていた(過去の求職活動の結果を待っている場合を含む)

また関連して、完全失業率とは、労働力人口(就業者と完全失業者の合計)に占める完全失業者の割合のことで、以下の計算式で求められます。

失業率(完全失業率)=(完全失業者÷労働力人口)×100

非労働力人口

非労働力人口は、15歳以上でかつ「就業者」と「完全失業者」以外の人を指し、労働意欲を軸に次の3つに区分されます。

  • 就業希望者 : 就業を希望している者
  • 就業内定者 : すでに仕事が決まっている者
  • 就業非希望者 : 就業を希望していない者

潜在労働力人口

「潜在労働力人口」とは、非労働力人口に分類される人たちのうち、拡張求職者と就業可能非求職者のいずれかに該当する人たちのことです。

拡張求職者

拡張求職者は、以下の2つの条件に該当する人たちのことです。

  1. 1カ月以内に求職活動を行っている
  2. ただちに就業できるわけではないが、少し後(2週間以内)に就業できる

これらの人たちは、失業3要件といわれる「就業していない」「求職活動を行っている」「就業可能である」のすべてに該当するものではないため、日本においては失業者として扱われず、潜在労働力人口のひとつとして数えられているのです。

就業可能非求職者

就業可能非求職者とは、次の3つの条件を満たしている人のことです。

  1. すぐに働くことができる
  2. 仕事を始めるための活動を1カ月以内に行っていない
  3. 仕事をしたいと思っている

2018年に総務省が行った労働力調査によると、このような就業可能非求職者は日本国内で33万人に上ることが分かっています。また、求職活動を行っていない理由を「出産・育児のため」「介護・看護のため」とした人が多いことも判明しました。

総務省が行う労働力調査では、このように労働力人口の内訳が細かく定められており、中には日本独自の捉え方もあります

3.生産年齢人口の推移と割合、予測

少子高齢化が急速に進展した結果、日本では2008年をピークに総人口が減少しており、未曽有の人口減少時代を迎えています。

国立社会保障・人口問題研究所の将来推計によると、生産年齢人口(15歳~64歳)を見ると2017年時には7,596万人(総人口に占める割合は60.0%)いたものが、約20年後の2040年では5,978万人(53.9%)まで減少すると推測されているのです。

今後は、経済規模の縮小や労働力不足、国際競争力の低下や社会保障制度の給付と負担のバランスの崩壊など、さまざまな課題の深刻化が懸念されます。

出生数の減少が進む日本

少子化が加速する日本では、出生数の減少は今後も進むと推測されています。2050年には日本の総人口は1億人を下回ることが予測されており、そのような中で、2065年には出生数が56万人になるとの見込みになっているのです。

また、人口構成も変化しています。1997年には65歳以上の高齢人口が14歳未満の若年人口の割合を上回るようになり、2017年には3,515万人、全人口に占める割合は27.7%と、高齢者増加の一途をたどっています。

これにより生産年齢人口は2029年時点で7,000万人を切るといわれているのです。

少子高齢化に伴い、生産年齢人口減少の問題が加速化しています。この対策は日本にとって急務といえるでしょう

4.生産年齢人口が減少した原因

高齢化が進む中、出生数の減少により生産年齢人口が減少しています。なぜ出生数が減ったのでしょうか。そこにはさまざまな要因が複雑に絡み合っていると考えられます。

「女性の社会進出に伴い、仕事と家事の両立が難しく結婚や出産を諦める女性が増えている」「男女共に結婚する気がない人が増えている」「非正規雇用の増加によって収入が不安定な人」が増えているのです。

中には、「お金がなくて結婚できない」「子育てできるほどの余裕がない」と考える人もいるとされています。

生産年齢人口が減少した原因はさまざまで、それぞれ複雑に絡み合っています。東京など人口が集中している大都市が子育てに適した環境ではないことも、理由のひとつと考えられるでしょう

5.生産年齢人口の減少で起こる問題、影響

今後生産年齢人口が減ることで、どのような社会的・経済的な問題が起こると考えられるのでしょうか。

経済の成長が鈍くなる

人口の減少に伴って人手不足がさらに深刻化することは想像し難くありません。現在でも社会問題として取り沙汰される「人手不足倒産」などの増加も見込まれます。

倒産までいかずとも、業績は低下しやすくなるため日本全体の経済成長が鈍くなると想定されます。さらに人口そのものの減少によって、働き手だけではなく買い手、すなわち消費者の数も減り、日本経済全体の縮小につながると考えられているのです。

地方の過疎化が進む

地方の過疎化が進むことも懸念されています。地方での人口減少は、産業の衰退や伝統文化が継承できないなどさまざまな問題が勃発することが予想されるのです。

今すでに問題視されている学校の閉校、農林水産業の衰退や森林・農地の荒廃、商業・商店街の衰退などにより、地域住民の生活に不可欠な生活サービスの確保が難しくなると考えられます。

また、高齢者増加に伴い医療や介護などのニーズが増大することも予測されますが、サービスを担う人材が追い付かなくなる可能性も高いでしょう。

社会保障制度の保持が難しくなる

人口が減るということは、すなわち社会保障を支える人口も減るということ。高齢化に伴って年金・医療・介護等の社会保障支出は伸び続けており、今後も増大が見込まれています。

財源は保険料と税により賄われている社会保障給付費ですが、このまま人口が減少し少子高齢化がさらに進めば、現役世代(生産年齢人口)の全世代に占める割合がますます減少するでしょう。

そして増え続ける社会保障給付費を賄えるだけの保険料収入や税収の確保が困難になると考えられます。

生産年齢人口が減ることで、経済の縮小、地方の過疎化、社会保障制度の崩壊などさまざまな問題が起こると想定されます

6.生産年齢人口の対応、対策、対処法

生産年齢人口の減少に対して、国や社会が行うべき対策や対処法はどのようなものがあるのでしょうか。

次世代を育てる

次世代育成のためには、まず親となる世代の就労、育児の両立や家庭における子育ての支援など、子育てしやすい社会・街づくりを進めることが肝要です。子どもの教育や医療はもちろんのこと、子どもそのものを増やすための施策も必要でしょう。

これは子どもを産みたいが収入的に迷っている人の支えとなるような施策が考えられます。将来を担う子どもの育成と同時に、子育て世代の教育面での不安感や経済的な負担の軽減が重要です。

人材の成長

少子化が進む中、今後はさらに自立した人材の確保が重要視されます。

政府は、そのような人材の礎は基本的には初等・中等教育段階で築かれるものであるとし、教員の指導力や実践力などの衰退、子どもの学力・思考力の低下など、教育現場が抱える問題の解決に向けて取り組みを進めているのです。

このようにすべての人材の育成を考慮しているため、生産年齢人口が減っても人材の能力は底上げされるでしょう。さらに、外国人を含めた世界中の成長能力を取り込むことも必要と考えられています。

女性の活躍

女性や若年者、高齢者、障害者など、潜在的な労働力を秘めた人材への見直しが進められているのです。特に重要な戦力である女性がその能力を最大限に発揮し、活躍の場を広げていくことは生産年齢人口を取り巻く問題の突破口として欠かせないとされています。

女性活躍推進法のもと、女性の活躍を推し進めることが必要と考えられますが、日本では依然として家庭と仕事の両立など、さまざまな問題からキャリアを断絶せざるを得ない女性が多いです。これらの対策にも取り組む必要があるでしょう。

生産年齢人口を取り巻く問題のカギと考えられるのは、「未来を担う次世代の育成」「人材の成長」「女性の活躍」です