SaaS型ワークフローシステムとは? 機能、選定のポイント

ワークフローとは、業務における一連の流れのこと。転じて事務手続きの流れの意もあります。この手続きの流れを効率化するのに効果的なのが、SaaS型ワークフローシステムです。SaaS型ワークフローシステムのメリットやデメリット、選定のポイントについて紹介します。

1.SaaS型ワークフローシステムの機能

SaaS型ワークフローシステムの主な機能は、各種申請書の作成や申請・承認です。これまで作成してきた申請書の管理や申請ルートの設定などもできます。ほかのシステムと連携する機能があれば、社員情報をいちいち入力する手間もかかりません。

まずSaaS型ワークフローシステムの機能について、見ていきましょう。

  1. 申請書の作成
  2. 申請書の承認
  3. 申請書の管理
  4. ほかシステムとの連携

①申請書の作成

テンプレートを使って申請書を作成できます。ワークフローシステムで一度申請書を作ってしまえば、今後だれが利用する場合でもいちから申請書を作成する必要がありません。

また申請時にどの申請書を使えばいいか迷わなくなるでしょう。システムによっては、テンプレートをカスタマイズできますし、エクセルで作った既存のテンプレートを取り込むのも可能です。

②申請書の承認

申請者が申請書を提出するとメールで承認者に連絡が届くので、承認者は連絡を受けたらシステムへログインして承認あるいは却下などの処理ができるのです。

また申請者は申請書の承認ルートを確認でき、現在承認がどこまで進んでいるのか、確認する機能も備わっています。承認者の人数を自由に設定できる場合も多く、システムによっては多数決や全員合意で承認するといった承認方法も可能です。

③申請書の管理

申請書の管理では、申請状況や承認状況の確認や、過去の申請書の検索などが可能です。承認ルート管理では、申請に応じた承認ルートをあらかじめ設定でき、差し戻しや条件による承認ルートの分岐なども設定できます。

役職変更や人事異動などで承認ルートに変更が生じても、人事システムと連携できれば、組織の変更や権限の設定をシステムに自動で反映可能です。

④ほかシステムとの連携

経理や人事、販売管理システムなどとの連携が可能です。外部システムからデータを取り込むだけでなく、外部システムで作成した申請書の読み込みや、外部システムに申請フォームを表示させてそこから申請するのもできます。

ただしシステムによって、どこまで外部システムと連携できるかが異なるのです。連携する前に、確認しておきましょう。

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2.SaaSとはクラウドサービスのひとつ

「Software as a Service」の略で、クラウドサービス形態のひとつです。クラウドとSaaSはほとんど同じものという認識かもしれません。「クラウドサービスという大きな括りにSaaSがある」と考えるとわかりやすいでしょう。

SaaSはソフトウェアの機能をクラウドサービスにしたもので、代表例ではGmailが挙げられます。

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PaaSとの違い

システムのプラットフォーム(土台)をクラウドサービス化したもので、アプリを稼働させるデータベースやプログラムの環境を提供するサービスのこと。「Platform as a Service」の略です。

PaaSだけでは、ソフトウェアのような個々の働きをするものが使えません。代表的なPaaSは、「Amazon Web Services」「Microsoft Azure」「Google CloudPlatform」などです。

IaaSとの違い

「Infrastructure as a Service」の略で、下部構造つまりインフラをサービス化したもの。laaSは、システムの稼働に必要なネットワークやサーバーなどのITインフラを会社に提供します。

やはりこちらも業務で使うようなソフトウェアは含まれていないため、自社でシステムやソフトウェアの用意が必要です。

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3.SaaS型ワークフローシステムのメリット

SaaS型のワークフローシステムには、どんなメリットがあるのでしょう。4つ解説します。

  1. 導入が容易
  2. コスト削減
  3. タイムリーなアップデート
  4. 場所を選ばない

①導入が容易

導入にかかる手間を大きく省けるので、早く導入したい場合におすすめです。まずソフトウェアのインストール作業や、面倒な設定をする必要がありません。

ユーザーアカウントを取得して支払いが完了すれば、最短数日で利用を開始できます。運用後も、セキュリティ対策や定期的なメンテナンスなどはサービス提供会社が行うため、自社の人的リソースを割く必要もありません。

②コスト削減

自社でインフラ設備やソフトウェア、システムなどを用意するオンプレミス型と比べてコストを大幅に抑えられます。

SaaS型ワークフローシステムの多くは月額制や年額制になっており、基本利用料やユーザーアカウント料などを払うだけで済むのです。初期費用やサポートなどを無料にしているサービスを選べば、さらにコストを下げられるでしょう。

③タイムリーなアップデート

サービス提供会社がアップデートやメンテナンスを行います。そのため機能のアップデートや新たなサービスの追加などがあった際、タイムリーに反映されるのです。

アップデートやメンテナンスでワークフローシステムが使いやすくなるほどに、申請業務が効率化するでしょう。

④場所を選ばない

インターネットにさえ接続できれば会社のパソコンに限らず、スマホやタブレットなどからシステムを利用できます。たとえば承認者が外出している間、急ぎで申請をしている書類の承認が発生しても、わざわざ自社に戻って対応する必要はありません。

また申請や承認が行われるとリアルタイムに反映されるのです。そのため申請者や承認者がメールで申請書をやり取りしたり、共有フォルダへアップしたりといった手間がなくなります。

テレワークにも効果的

テレワークへの移行がスムーズになります。先述のとおり、インターネットにさえ接続できればどこにいてもワークフローシステムを利用できるので、自宅にいてもクラウド上で申請や承認といった業務を行えるからです。

コロナ禍にて「ハンコを押すための出社」からの脱却を目指し、ワークフローシステムを導入した会社も増えています。

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4.SaaS型ワークフローシステムのデメリット

SaaS型ワークフローシステムにはもちろんデメリットも存在します。ここではデメリットとして挙げられるセキュリティ関連の問題とトラブルに対する脆弱性、カスタマイズ性について見てみましょう。

  1. セキュリティの問題
  2. トラブル発生時に利用できなくなる
  3. カスタマイズ性

①セキュリティの問題

クラウドを利用して運用するため、外部からの攻撃があるリスクをつねに考慮しなければなりません。

もちろんサービス提供会社もセキュリティ対策はつねに行っています。しかし利用者側でもできる対策としてIDやパスワード、権限の管理を徹底しましょう。同時に内部漏えいを防止するために社員のセキュリティ意識を高める必要もあります。

②トラブル発生時に利用できなくなる

ネットワークエラーやサービス提供会社側のトラブルなどが生じると、一時的にシステムを利用できなくなってしまいます。

このとき利用者側は何もできず、ただ待つことしかできません。サービスの利用停止中は承認業務が滞りますし、申請データが消えてしまうというリスクも考えられるでしょう。

③カスタマイズ性

カスタマイズ性、つまりサービスの自由度が低い点はデメリットでしょう。基本、完成されたサービスが利用者に提供されます。そのため利用者側で、機能やレイアウトなどを大きくカスタマイズできません。

「運用開始後に導入したシステムの機能が多すぎてわかりにくい」あるいは「必要な機能がついていない」といった不満が出ないよう、事前に機能やカスタマイズ性を確認しておきましょう。

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5.SaaS型ワークフローシステム導入の手順

SaaS型ワークフローシステムならなんでもよいわけではありません。自社の現状とシステムの仕様を確認して導入を進めたいところです。SaaS型ワークフローシステムを導入する際の手順を見ていきましょう。

STEP.1
現状の把握と分析
SaaS型ワークフローシステムを導入する前に、まず自社の承認フローや課題などの現状を把握しましょう。

「申請から承認までどのくらいの日数がかかっているのか」「月にどのくらいの承認がされているのか」「人的ミスはどのくらい発生しているのか」などを調べておきましょう。場合によっては承認ルートやフロー自体の見直しが必要になるかもしれません。

STEP.2
目標の設定
自社の現状から、必要な機能の要件出しと目標設定を行いましょう。目標設定のポイントは、具体的な数値を含めることです。

たとえば「申請から承認までの日数を現状よりも○日短縮する」や「手続きのミスや差し戻しを現状の発生件数よりも減らす」などが挙げられます。目標に数値が設定されずあいまいになっていては、導入後の効果測定ができないでしょう。

STEP.3
担当者の設定
SaaS型ワークフローシステムを導入すると、必ず今までの作業との変更が生じます。それらの作業に対応する担当者を決めておきましょう。

たとえばワークフローシステムの導入で、申請書のフォーマットやテンプレートが変わります。また社内ルールや組織体制が変わると決裁ルートも変わるでしょう。ほかの社員への周知や使用方法の落とし込みも必要です。

STEP.4
試験導入
ここまでくれば導入まではもうすぐです。しかしいきなり全社に導入せず試験的な導入を考えてみましょう。

まずはどこかの部門でのみ導入し、SaaS型ワークフローシステムの問題点を洗い出し、改善を重ねてブラッシュアップしていきます。試験導入しながら社員の教育を進められるので、本格導入の際にも混乱やトラブルの発生を避けられるのです。

STEP.5
本格導入
テスト導入を行って十分なデータを得られたら、本格的に全社での運用開始です。導入の際は利用方法や注意点、間違いやすい点など要点をまとめたマニュアルを作成し、全社員に共有しましょう。

本格導入後は経過を見ながら、新たな問題の解決やフィードバックに対応します。もちろん効果測定も同時に行いましょう。

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6.SaaS型ワークフローシステム導入時のポイント

SaaS型ワークフローシステムを導入する際は、システムの仕様と自社の現状との親和性を考えなければなりません。仕事の効率がアップしないと導入した意味がなくなってしまいます。このような後悔をしないためにもポイントを把握しておきましょう。

  1. 自社に必要な機能があるか
  2. だれでも扱いやすいか
  3. 既存システムと連携できるか
  4. セキュリティは万全か

①自社に必要な機能があるか

導入を検討しているSaaS型ワークフローシステムが、自社にとって必要な機能を備えていなければ意味がありません。検討しているSaaS型ワークフローシステムに、そういった機能が備わっているのかを確認しましょう。

「希望する申請や承認が行えるか」「スマホといた端末からアクセス可能か」「あとからユーザーや機能を追加できるか」など。自社にとって優先度の高い項目をリストにまとめておくと、チェックしやすくなります。

②だれでも扱いやすいか

導入すると、社員全員がワークフローシステムを使用して業務を行います。そのためだれにでもかんたんに理解できて使いやすいシステムである点も重要なポイントです。

多くの機能を有したシステムは複雑になりやすく、かえって使いにくくなる恐れもあります。画面レイアウトが直感的にわかりやすいものや、できるだけマウスやタップで操作できるものがよいでしょう。

③既存システムと連携できるか

現在使っている既存のシステムと連携させたい場合は、どのようなシステムと連携が可能か、確認しましょう。既存システムと連携できれば、申請者や承認者となる社員データや、テンプレートなどをいちから入力する手間を省けます。

人事システムと連携すれば自動的に社員データを更新でき、経理システムと連携させれば、決済情報を経理システムに反映させられるのです。

④セキュリティは万全か

外部からの不正アクセスや、内部からの情報漏えいに注意しなければなりません。そのためセキュリティが万全であるかも重要です。

通信時の暗号化や権限管理機能、アクセスログや変更履歴の取得など期待するセキュリティ機能があるか、チェックしましょう。特定の人のみが利用できるVPN(Virtual Private Network)回線やセキュアブラウザなどが利用できるとなお安心です。