ユニコーン企業とは? 定義、日本の企業などわかりやすく解説

ユニコーン企業とは、上場しておらず評価額が10億ドル以上の企業です。ここでは、ユニコーン企業について解説します。

1.ユニコーン企業とは?

ユニコーン企業とは、「非上場企業」「企業の評価額が10億ドル、日本円にして約1250億円以上」の企業のこと。

ユニコーン企業という言葉は、アメリカのカウボーイ・ベンチャーズの創業者が使用したのが始まりだとされています。ユニコーン企業の代表的なものとして挙げられるのは、下記のとおりです。

  • ウーバー(Uber)
  • ピンタレスト(Pinterest)
  • ドロップボックス(Dropbox)
  • シャオミ(小米科技・Xiaomi)

過去、フェイスブックやツイッターなどもユニコーン企業として扱われていました。

なぜユニコーンなのか?

言葉の由来は、伝説の生き物である一角獣ユニコーンにあるのです。「投資家達に莫大な利益をもたらす可能性を秘めた非常にレアな存在である」といった意味からユニコーン企業と呼ばれています。

新しいビジネスモデルがありながら実質的な価値を生み出せていない点を、幻の生き物と重ね合わせているのです。

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2.ユニコーン企業の定義とは?

ユニコーン企業には4つの定義があります。それぞれについて解説しましょう。

  1. 評価額10億ドル以上である
  2. 非上場である
  3. 創業10年以内である
  4. テクノロジー企業である

①評価額10億ドル以上である

評価額とは、企業価値を価格に換算したもの。上場企業であれば株価をもとに評価額を決定します。しかしユニコーン企業は、非上場が条件のためかんたんに評価額を計算できません。

よってユニコーン企業の評価額は、「同業種の上場企業の評価額」「企業の預金」を判断材料にします。ただし評価額は調査機関が独自に算定するため、条件によって評価額は異なるのです。

②非上場である

もしユニコーン企業の定義内にあった企業が上場した場合、ユニコーン企業から外れます。過去にユニコーン企業だった企業で上場によりユニコーン企業でなくなった有名企業は、下記のとおりです。

  • フェイスブック
  • ツイッター
  • メルカリ

③創業10年以内である

創業10年を超えると、ユニコーン企業の範囲から外れます。なぜ10年といった年数が指定されているのでしょう。その理由は下記のとおりです。

  • 10年存続できれば、ビジネスモデルとして社会的認知を受けている証になる
  • 10年で莫大な利益を上げる企業は少なく、ユニコーン企業としてインパクトがある
  • ベンチャー企業であると示すには適した年数である

.④テクノロジー企業である

実はこの要件、ユニコーン企業の絶対的定義にはなっていません。しかしユニコーン企業になる企業の多くは、新しい技術の開発を行っており、ITと既存事業のコラボレーションを実現したテクノロジー企業です。

そのためユニコーン企業はテクノロジーの分野に強いといったイメージが定着しています。

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3.ユニコーン企業の類似語

ユニコーン企業には類似語があります。下記4つについて見ていきましょう。

  1. デカコーン企業
  2. ヘクトコーン企業
  3. ゼブラ企業
  4. NEXTユニコーン

①デカコーン企業とは?

株式の時価総額が100億ドル以上と評価されている、非上場のベンチャー企業のこと。

デカコーンの「Decacorn」は、10倍を意味する接頭語である「Deca」と伝説の一角獣である「Unicorn」とを組み合わせた造語です。2017年頃から、ユニコーン企業の新たな基準として使用されています。

デカコーン企業の例

デカコーン企業の例は以下のとおりです。

  • 中国の動画投稿アプリ会社、バイトダンス(評価額750億ドル)
  • アメリカの電子たばこ会社、ジュール・ラブズ(評価額500億ドル)
  • アメリカのシェアオフィス会社、ウィーカンパニー(評価額470億ドル)
  • アメリオアの決済サービス会社、ストライプ(評価額225億ドル)

評価額で100億ドルを超える非上場会社であるため、世界で20社ほどしかないとされています。

②ヘクトコーン企業とは?

ユニコーン企業のうち企業評価額が1000億ドルを超えた企業のこと。「ヘクト(hecto)」は100倍の意味がある接頭辞です。「ただ一つ」を意味するユニコーンの「ユニ」にかけ、100倍にされました。特徴は評価額が非常に大きい条件で設定されている点です。

ヘクトコーン企業の例

2020年現在、ショート動画アプリTikTokを運営するバイトダンスが唯一のヘクトコーン企業となっています。

③ゼブラ企業とは?

ユニコーン企業のアンチテーゼに位置する企業です。SDGsやサステナビリティ、よりよい社会の実現を重視しています。

ゼブラ企業のゼブラとは、シマウマのこと。シマウマの白と黒を、「企業利益を優先して拡大し巨額の利益をあげるユニコーン企業」「社会的意義と持続可能性の範囲で成長を目指すゼブラ企業」にたとえているのです。

またシマウマの集団で生活する習性と共存性を目指す姿勢に、縞模様を重ね合わせています。

ゼブラ企業の例

ゼブラ企業の例は、下記のとおりです。

  • 「途上国から世界に通用するブランドをつくる」という理念のもと、バングラデシュの工場で作られたバッグを販売して途上国の発展に貢献しているマザーハウス
  • 地球温暖化といった地球規模の社会問題の解決をめざして、社会起業家たちをサポートしているボーダレスジャパン

ゼブラ企業は、社会貢献や相利共生、経営の透明性などを目指しています。

④NEXTユニコーンとは?

「非上場企業」「国内スタートアップ企業」「企業価値が高いと推計される企業」のこと。日経新聞社が独自に設けた基準によって選考され、年1回発表される企業です。

NEXTユニコーンには、企業価値が100億円以下の企業も含まれています。2020年に発表されたNEXTユニコーンでは、発表された170社のうちの約90社が企業価格100億円以下であると推測されているのです。

NEXTユニコーンの例

NEXTユニコーンの例は、下記のとおりです。

  • 企業価値は505億円、名刺をもとにCRMソリューションサービスを提供するSansan
  • 企業価値は404億円、リチウムイオン電池メーカーのエリーパワー
  • 企業価値394円、クラウド会計処理サービスを提供するfreee

すでに海外展開している企業や、新工場を建設して生産効率を挙げている企業、大手企業と提携してシステムの共同開発を実現している企業など、今後の発展が期待されています。

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4.2021年の世界のユニコーン企業

2021年の世界のユニコーン企業について、アメリカの調査会社CBインサイツがレポートを公表しました。そこでは世界のユニコーン企業数はこれまでに800社以上に達したとされています。世界のユニコーン企業ランキングを解説しましょう。

世界の国別ユニコーン企業数ランキングベスト10

世界の国別ユニコーン企業数ランキングベスト10は以下のとおりです。

  • 1位:アメリカ 369社
  • 2位:中国 138社
  • 3位:インド 32社
  • 4位:英国 29社
  • 5位:ドイツ 17社
  • 6位:フランス 14社
  • 7位:イスラエル 13社
  • 8位:ブラジル 12社
  • 9位:韓国 10社
  • 10位:カナダ 9社

日本は5社とアメリカや中国と比較した場合、ユニコーン企業の数はまだ少ないといえます。

世界のユニコーン企業ランキングベスト5

世界のユニコーン企業ランキングベスト5は以下のとおりです。

  • 1位:TikTokの親会社ByteDance(評価額1,400 億ドル)
  • 2位:フィンテック企業Stripe(評価額950億ドル)
  • 3位:ロケット会社SpaceX(評価額740億ドル)
  • 4位:中国のライドシェアリング事業Didi Chuxing(評価額620億ドル)
  • 5位:アメリカにおける食料品の即日配達サービス事業Instacart(評価額390 億ドル)

1位のTikTokの親会社であるByteDanceは、唯一のヘクトコーン企業です。

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5.2021年の日本のユニコーン企業

2021年の日本のユニコーン企業について、ユニコーン企業ランキングベスト5と日本にユニコーン企業が少ない理由を解説します。

日本のユニコーン企業ランキングベスト5

日本のユニコーン企業ランキングベスト5は以下のとおりです。

  • 1位:機械学習などを研究、実用化するPreffered Networks(3,549億円)
  • 2位:ニュースアプリ運営のスマートニュース(1,981億円)
  • 3位:Saas型クラウド人事労務ソフトを提供するSmartHR(1,731億円)
  • 4位:半導体システムを開発するTRIPLE-1(1,641億円)
  • 5位:バイオ素材を開発するSpiber(1,351億円)

日本政府も、「ユニコーン企業又は上場ベンチャー企業を2023年までに20社創出」することを2018年、成長戦略目標として定めています。

日本にユニコーン企業が少ない理由

日本にユニコーン企業が少ない理由は3つです。

  1. ベンチャーキャピタル(VC)の投資額の少なさ
  2. 起業家の少なさ
  3. 若手起業家の育成の難しさ

①ベンチャーキャピタル(VC)の投資額の少なさ

ユニコーン企業には、非上場であると同時に企業評価額が10億ドル以上である点を求められます。このような条件を満たすためにはベンチャーキャピタルからの投資が不可欠でしょう。

しかし実際の投資額はアメリカの約2%で、ベンチャーキャピタルからの自由な投資は困難です。また新興市場として上場するユニコーン企業が多い点も影響しています。

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②起業家の少なさ

日本では、起業家そのものが少ないという現状があります。2018年の調査による日本での開業率は、4.4%でした。調査方法の違いから単純比較はできないものの、下記のように他国と比較しても少ない結果となっています。

  • イギリス13.6%
  • アメリカ10.3%

これには、日本特有の安定志向が影響していると考えられています。

③若手起業家の育成の難しさ

たとえばアメリカのシリコンバレーには、優秀な起業家たちが集結しています。起業家をポケットマネーで支援するエンジェル投資家といった存在もあり、資金力を問わず起業できるのです。

一方日本では起業家の約60%が40代。若年層が起業できる環境はなかなか整っていません。

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6.ユニコーン企業を学ぶためのおすすめ書籍

ユニコーン企業を学ぶためにはどのような書籍を読めばよいのでしょう。おすすめをご紹介します。

『ユニコーン企業のひみつ ―Spotifyで学んだソフトウェアづくりと働き方』

アジャイルコーチやエンジニアなどソフトウェアに関するさまざまな経験を積んだ著者が、ユニコーン企業のソフトウェアづくりについて解説しているのです。

世界有数の企業であるテックを企業事例として紹介しており、チームにおける効果的な働き方などにも言及しています。経営層やマネージャー、チームリーダー必見の一冊です。

『ソフトバンクとユニコーン企業』

ソフトウェアの銀行として出発したソフトバンクが、巨大コングロマリットの持ち株会社へと進化していった道のりを解説しています。

ソフトバンクのビジネスモデルやユニコーン企業をとりまく環境など、ソフトバンクが巨大企業にまで上りつめた背景から、ほかの巨大企業のビジネスモデルまで、解説されているのです。

投資家にとって光る原石でもあるユニコーン企業の可能性が軽快に述べられています。

『Work in Tech!(ワーク・イン・テック!) ユニコーン企業への招待』

ビズリーチやメルカリ、スマートニュースなどユニコーン企業を渡り歩いた著者が、「ユニコーン企業に転職する際のノウハウ」「DX時代のキャリア戦略」などを解説しています。

実体験にもとづくアドバイスが記載されているため、自分という商品の新たな市場価値創造や、未来の大手企業になる可能性の高い仕事に就く面白さを学べる一冊となっているのです。

『リップル総合まとめ: ユニコーン企業はこうして誕生した』

グーグル社が出資したリップルについて、ブログ『Ripple総合まとめ』の管理人が詳しく解説しています。

創業期以降の数年、すなわちユニコーン企業として激動の時期の記録が克明に記されているため、リップルがどのようにユニコーン企業に入ったのか、という疑問が解明されるのです。今後の仮想通貨がどのようになっていくのかも含め、一読の価値があります。