社員が持つスキルや知識、経験値などを一元管理して可視化することで適材適所な人材配置や適切な人材育成に活かす「タレントマネジメントシステム」。

タレントマネジメントシステムとは?【比較ポイント】
人事領域では昨今、人材情報を活用したDX(デジタルトランスフォーメーション)や人的資本経営が関心を集めています。こうした背景から人材情報を管理・活用するツールとして、タレントマネジメントシステムが注目...
タレントマネジメントは、1990年代にアメリカで生まれた考え方で、日本では労働人口の減少が問題視されるようになった2010年頃から広く知られるようになってきたのです。
ここではそんな「タレントマネジメントシステム」の基本的な機能について見ていきましょう。
目次
1.タレントマネジメントシステムの8つの基本機能
人材マネジメント再構築のひとつとして注目を集める「タレントマネジメント」。これに代表される人材管理システム「カオナビ」には8つの基本機能があります。
- 従業員の基本情報データベース
- スキル・キャリア・実績などの登録機能
- コンピテンシー情報の管理機能
- 配属管理機能、組織図の作成機能
- 育成計画の管理機能
- アンケート機能
- 目標管理機能
- データ分析機能、スコアリング機能
①従業員の基本情報データベース
おおもとになるのが従業員の基本情報を集約したデータベースです。これにはキャリアや実績だけでなく特技やスキルなどあらゆる社員情報を登録することができます。
顔写真と名前がパッと並ぶシンプルインターフェースを使用しているため、氏名や部署は分かるが顔が分からないので見分けにくい、といった事態を防げるのです。また年齢や入社年度、人事評価におけるランク、保有資格、残業時間などの登録もできます。
②スキル・キャリア・実績などの登録機能
基本情報データベースには、スキルや実績なども登録できます。またそれらをもとにした従業員の検索や不足スキルの洗い出し、人材のサジェスト機能を備えているものもあるのです。
職務とスキルのギャップを見える化すれば、育成計画や配置転換、自社に不足するスキルを持つ人の採用計画立案など幅広いシーンに役立てられるでしょう。
③コンピテンシー情報の管理機能
コンピテンシー(competency)とは高い業績や成果につながる行動特性のこと。専門知識や技術、ノウハウや基礎能力などを観察分析し、何が社員を「仕事のできる社員」にしているのかを明らかにするのです。
データベースにコンピテンシー情報を加えることで、コンピテンシーモデルの作成をサポートできるほか、コンピテンシー項目の洗い出しや人事評価、目標管理に活用することも可能です。
④配属管理機能、組織図の作成機能
タレントマネジメントシステムは情報の可視化が重要です。配属管理機能では各部門に所属する人員のランクやスキル、残業時間などをグラフで表示できます。この機能では性別や年齢、勤続年数や評価等の属性を集計してグラフを作成することも可能です。
また従業員情報をもとに組織図を生成したり、配置転換のシミュレーションを行う機能を備えていたりする場合もあります。
⑤育成計画の管理機能
一元管理した従業員データベースから将来不足すると考えられるスキルを洗い出すことも可能です。評価や資格など、特定の項目で絞り込んだ社員情報リストを作成できます。
事前に育成計画を作成しておけば計画的に採用活動を進められるでしょう。また、気になるリストを保存したり作成したリストをCSV形式でダウンロードしたりすることも可能です。
⑥アンケート機能
従業員データベースを通じてアンケートの実施や回答結果の集計を行うこともできます。アンケートフォームはドラッグ&ドロップで自由に作成可能。従業員満足度や研修受講後アンケートなど、さまざまなテンプレートが用意されています。
また人・データ・アプリをつなげるチャット形式のコミュニケーションツール「Slack」とも連携しているため、回答依頼をSlackで通知することもできるのです。
⑦目標管理機能
タレントマネジメントシステム「カオナビ」では、細かい単位で目標を管理することもできます。年次や四半期、月単位で目標を管理できるほか、全社目標や部門目標など組織やチーム単位での目標管理も可能なのです。
個人や自分が所属する部署の目標だけでなく、他部署や期間単位での目標を意識することで売上・利益を上げる、事業を拡大するといった企業の経営目標を人事戦略の視点から実現できます。
⑧データ分析機能、スコアリング機能
前項までに説明してきたデータを分析したり、タレントマネジメントをビジュアル化したりできます。
勤続年数や評価といった属性だけでなく、アンケート結果や資格所持の割合などさまざまな指標でグラフを出力できるのです。それによって予測値や傾向を出力したり、人材配置や人材採用に役立てたりなど、企業全体を多角的に分析できるでしょう。
2.タレントマネジメントに本当に必要な機能とは?
タレントマネジメントにおいて重要なのは、数年先の人材状況をいかに正確に、そして分かりやすく把握することができるかどうか。組織の人事は経営戦略や事業目標に基づき、先回りしながら手を打たなくてはなりません。
そのため高い精度で将来の自社の人材事情、また人材市場の状況を予測しながら手を打つ必要があるのです。