タレントアクイジションとは?【意味を簡単に】メリット

タレントアクイジションとは、企業の成長に必要な人材を積極的に獲得するための採用活動のこと。通常の採用活動との違い、メリットとデメリットなどを解説します。

1.タレントアクイジションとは?

タレントアクイジションとは、自社の経営戦略や事業戦略を実現するために、必要な人材へ積極的にアプローチする採用活動のこと。もちろん採用後の育成やサポートも含みます。

才能のある人という意味のタレント(Talent)と、獲得という意味のアクイジション(Acquisition)を合わせた造語です。

変化の激しい昨今、企業が今後も長期的に成長し続けるには、自社の業務プロセス、商品やサービス、ビジネスモデルなどにイノベーションを起こす必要があります。

イノベーションを起こすには、優秀な人材が不可欠。そこでこのような人材を確保する攻めの採用活動、つまりタレントアクイジションの重要性が高まってきたのです。

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2.タレントアクイジションと採用の違い

タレントアクイジションと、これまでの採用(リクルーティング)との大きな違いは、採用の目的です。そのため採用活動への姿勢や活動期間が異なります。

  1. 姿勢
  2. 期間

①姿勢

リクルーティングの姿勢は、人材が応募してくるのを待つ姿勢であるのに対し、タレントアクイジションは人材獲得へ向かって積極的に動く攻めの姿勢。この点が両者の大きな違いです。

ほとんどのリクルーティングは、欠員が出たポジションを埋めるための採用活動。つまり職種やスキルを限定して探します。

一方タレントアクイジションは、経営戦略や事業戦略の達成という目的に合った優秀な人材を獲得するため、募集する職種やスキルの幅も広くなるのです。

②期間

タレントアクイジションとリクルーティング、もうひとつの大きな違いは採用活動を継続する期間です。

リクルーティングは、欠員の出たポジションを埋められる人材を採用できたら募集を終了する短期的な活動。

一方タレントアクイジションの採用戦略は、採用活動そのものだけでなく、人材を惹きつけるための企業ブランド構築や獲得後のサポートまでを含む長期的な活動です。

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3.タレントアクイジションの特徴

タレントアクイジションの特徴は、より戦略的かつ広範囲にアプローチして人材を確保する点です。そのためリクルーティングとは異なる特徴も存在します。

  1. タレント人材獲得のための計画と戦略の策定
  2. 必要な人材の共有と組織体制の把握
  3. 方向性の明確化と採用ブランドの構築
  4. 必要な人材を作り上げるための要件定義
  5. 採用候補者との関係構築
  6. 改善に役立てる指標の構築と分析
  7. 研修・面接などのタレント人材定着支援

①タレント人材獲得のための計画と戦略の策定

タレントアクイジションでまず行うことは、下記について考えること。経営戦略や事業戦略は、市場や競合などの外部要因も含めて選定しましょう。

  • これからどのような経営戦略や事業戦略に取り組んでいくか
  • これらの実現にどのような人材が必要か
  • どのように採用活動を進めればこの人材を確保できるか

上記3点を明確化したのち、経営から採用まで一貫性を持ったタレントアクイジション戦略を策定します。

②必要な人材の共有と組織体制の把握

目指す経営戦略や事業戦略において必要な人材を全社で共有し、各部署で求める人材像とすり合わせます。求める人材像が固まってきたら自社の組織体制を確認。これらの人材が活躍するために役職やポジションが不足しているようなら、組織体制を改善します。

③方向性の明確化と採用ブランドの構築

より多くの人材を惹きつけるため、自社の経営や事業、社会貢献などの方向性を明確にし、採用におけるブランディングを実施します。採用候補者にとって、その企業が目指している方向は入社の大きな決め手になりえるからです。

たとえば採用ブランディングの手法には、Facebook、Linkedln、EightなどのビジネスSNSやタレントプールなどを活用する方法があります。

④必要な人材を作り上げるための要件定義

必要な人材の能力や経験などを定義し、人材へのアプローチ方法を決めます。

先に挙げたビジネスSNSやタレントプールなどでコミュニケーションを取っている人材のほか、リファラル採用(従業員による紹介による採用)やアルムナイ採用(退職者の再雇用)などが可能な人材もよいでしょう。このうちより多くのターゲットが期待できる範囲を選びます。

ただし人材要件を細かく定義するほどターゲットとなる母集団が小さくなるため、採用難易度が上がるでしょう。どこまで定義づけするか、バランスも重要です。

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⑤採用候補者との関係構築

採用活動を通じて、候補者と良好な関係を築きます。たとえば以下のような方法が有効です。

  • オンラインでの面談、就職説明会、キャリア相談会などを設ける
  • 連絡や日程調整は迅速に行う

柔軟かつスピーディーに対応する企業だというイメージを与え、候補者の入社意欲を高められます。また候補者だけでなく、能力の高い辞退者とも良好な関係を築いておくと、候補者の特徴を示すデータとして今後に役立てられるでしょう。

⑥改善に役立てる指標の構築と分析

採用活動プロセスにおける指標と実際のデータを分析し、活動を改善します。採用活動で用いられる主な指標は以下のとおりです。

  • 応募者数
  • 書類選考を通過した人数および割合
  • 面接を設定した人数および割合
  • 内定に至った人数および割合
  • 内定を辞退した人数および割合

「なぜ採用までこぎつけられたのか」「何が問題で採用に至らなかったのか」などを上記のようなデータから分析し、今後の採用戦略へフィードバックします。

⑦研修・面接などのタレント人材定着支援

採用した人材がそのポテンシャルを十分に生かせるよう、採用した人材の定着を支援します。目的は人材の採用ではなく、人材が定着して活躍することだからです。

たとえば知識やスキル習得のための研修や定期的な面談などの人材育成施策は必須といえます。また人材が早く自社へ慣れるためのオンボーディング施策も活用しましょう。

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4.タレントアクイジションのメリット

タレントアクイジションのメリットは、優秀な人材に的を絞って質の高い人材を獲得できる点。さらに獲得した優秀な人材の定着で組織が強化されるのもメリットです。

  1. 優秀な人材の獲得
  2. 組織力の向上

①優秀な人材の獲得

最初から優秀な人材に的を絞って採用活動を行うため、質の高い優秀な人材を獲得できる可能性が高まります。タレントアクイジションはただの欠員補充ではなく、自社の経営戦略や事業戦略に共感し、かつ貢献できる能力を備えた人材を採用する活動だからです。

また蓄積されたタレントアクイジションのノウハウは、今後も優秀な人材の獲得競争において有利に働き、さらに多くの優秀な人材を獲得しやすくなります。

②組織力の向上

タレントアクイジションで獲得した優秀な人材が自社に定着すれば、組織力の底上げが期待できます。

タレントアクイジションで獲得した人材は、自社の経営戦略や事業戦略に共感し、業務はもとより風土や社風などにも高い理解を持っている状態です。一方で受け入れ側も、獲得した人材を支援する体制を整備します。

その結果よい組織風土が醸成され、退職率の低下や従業員エンゲージメントの向上につながり、組織力が高まりやすくなるのです。

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5.タレントアクイジションのデメリット

大きなメリットを得られるタレントアクイジションは、中長期かつターゲットを限定した採用活動であるためデメリットも存在します。ここでは3つのデメリットを解説しましょう。

  1. 難易度が高い
  2. 短期的な採用が困難
  3. 費用対効果が低い

①難易度が高い

タレントアクイジションでの採用は、従来のリクルーティングと比べて実施の難易度が高まります。

タレントアクイジションは、2013年ごろから海外で活用され始め、そのあと日本でも注目されました。つまりノウハウや事例が少ない状態で、タレントアクイジションを進めなければならないのです。

また人材の発掘や教育などの業務も含まれるため、従来のリクルーティングと比べて手間と時間がかかる点もデメリットといえます。

②短期的な採用が困難

タレントアクイジションは、中長期的かつ企業側から働きかける採用活動であるため、短期的な採用には不向きです。

まずは市場に出てきにくい候補者を発掘し、見つかった人材へ積極的にアプローチを行って、相手と信頼関係を構築する必要があります。求める能力も高度になるため、リクルーティングと比べて応募者数も減るでしょう。

一方リクルーティングであれば求人票を見て応募してきた人材のなかから選べるため、早期に人材を採用しやすいです。

③費用対効果が低い

人材ひとりあたりの採用における費用対効果は低くなってしまいます。タレントアクイジションでは人材の量よりも質を求めるため、一度の採用で獲得する人材の数はリクルーティングと比べて減る傾向にあるからです。

ただし長期的な視点での費用対効果は、リクルーティングの費用対効果を上回る可能性もあります。獲得した優秀な人材が定着し、自社の成長や発展に大きく貢献する可能性があるからです。

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6.タレントアクイジションのやり方

タレントアクイジションのプロセスとして以下の4つが挙げられます。それぞれについて解説しましょう。

STEP.1
ワークフォース分析
ワークフォース分析とは、現状の社内の労働力を分析すること。この分析をとおして既存従業員の現状を把握し、今後どのような人材が必要なのかを明確にします。

ワークフォース分析に用いる指標は、従業員の生産性や離職率、貢献度や評価など。特定時期のデータではなく推移データを参照すると、自社の傾向をつかみやすくなります。

STEP.2
候補者のデータベース化
ワークフォース分析を終えたら、採用候補者のデータベースを構築します。

データベース化する際は、基本情報や希望職種などのほか、アプローチした理由や人材の転職意欲なども記録しておくと、選考の際に役立つでしょう。

データベースには選考を辞退されてしまった候補者など、今すぐは獲得できない人材の情報も残しておくと、傾向分析などに活用できます。

STEP.3
採用ブランドの確立
他社に打ち勝って優秀な人材を確保するため、候補者へ自社の魅力やビジョン、方向性などを発信する採用ブランディングを行います。

発信する内容は、自社の将来像に対する経営陣の思いやビジョンに至るまでのストーリー、既存従業員の満足度や口コミなど。発信方法は、コーポレーションサイトやSNSなどが効果的です。

STEP.4
行動の継続
獲得したい人材の興味を惹くためのアプローチを開始します。

入社したいと思ってもらうためには、一緒に働く姿がイメージできるような戦略を立てることが重要です。そのため社内の誰がどのような方法でその人材へアプローチしていくのかを、慎重かつ詳細に決めましょう。

またひとりの人材に対するアプローチを継続し、信頼関係を高めて応募へのモチベーションを高めるのもポイントです。